ロリ#コンパス   作:乱数調整

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マイナーなパロディネタを少し含みます。


2周年記念短編 夏祭り

夏祭り

 

学生にとっては夏休み、普段とは異なるどんちゃん騒ぎができる大きなイベントでもあり、友人と夜遊びができる日でもあり、いつもと違う異性の──もっと言えば意中の相手の──浴衣姿を拝むことの出来る、年に一度の大きなイベントだ。

 

「だからといって、【#コンパス】の中でもやるとは思ってなかったんだよなぁ……」

 

ロードはコクリコを肩車しながらそう呟いた。コクリコはロードの頭の上であちこちをキョロキョロと物珍しそうに見ていた。

 

本日#コンパスはアリーナを全面封鎖し、夏祭りを行っている。

どうしてアリーナを全面封鎖したのか。理由は簡単、ステージを会場として使っているからだ。

 

それもただのステージではない。ステージ名【太鼓で祭りだドーン!】実装前のコラボステージをGM(ゲームマスター)が大盤振る舞いにも解禁したのだ。

 

そして【孤独者達の宴(ロンリネス)】一行はその会場にいた。

 

「でも夏祭りなんて、GM(ゲームマスター)も思い切ったことするよねぇ。」

 

「本当に。粋な計らいでしょうか?」

 

と言っても歩いているのはロード、波羅渡、楼閣の3人。ドクは絶対に行かない、人の多いところは苦手だと言って外出を断固拒否していた。

 

カフカとカロネは二人で別行動。楼閣が「私たちについてきたら気を使っちゃうでしょ?だから二人でのんびりしてきなよ。」と言って二人にしたのだ。

その際カロネは少し寂しそうな表情をしていたのだが、楼閣はそれを遠慮しているのだと捉え、その旨を伝えた。もしかするとどうしてもカフカを離しておきたかったのかもしれない。

 

ちなみにイスタカは『マピヤが興奮してしまうと悪いからな』と少し寂しそうに笑って断った。

 

「カフカちゃんとカロネちゃんとは打ち上げ花火の時間に待ち合わせしてるし、それまでは自由行動だねぇ。それまではカフカちゃんいないし、今日は羽を伸ばそうよ。」

 

『そうだな。休息は取れる時に取っておくべきだ。』

 

楼閣が晴々とした表情でそう言った。やはりどうしてもカフカと別行動をしたかったらしい。

もちろん3人のヒーローも付いてきており、めぐめぐははぐれないようにと波羅渡と手をつなぐことが出来てご満悦だ。

 

「ま、花火まで時間もあるし、それまでは自由行動でいいだろ。楼閣はどっか行きたいとこあるのか?」

 

「んー?特にないねぇ。ロードくん見てた方が楽しいかもしれないよ〜。」

 

「俺は見世物かなんかか?大所帯で動き回っても邪魔になるだろ。」

 

「んー……そういうものかな?」

 

波羅は絶対ついてくるし……とロードは言い、諦めたかのように先頭を行く。

コクリコはロードの肩の上でキョロキョロと辺りを見渡しており、何度か落ちそうになっていた。その度にセナが真っ青な顔をしてなんとか支えていたが。

 

そんなコクリコが大きな声を出す。

 

『おにいちゃんっ!あれなぁに?!』

 

「ん?どれだ?」

 

コクリコが指さしていたのは射的の出店。彼女の視線はその1番上の棚にあるウサギのぬいぐるみに釘付けだった。

ロードはそれを見て丁寧に答える。

 

「あれは【射的】っていうんだよ。あの鉄砲を使って棚の上のものを落とせたら、それが貰えるんだよ。」

 

「ロードくん、あってるけど【使って】って部分が絶妙にずっこいよ?」

 

「知るか。とりあえずね、欲しいのを落とせば貰えるんだよ。」

 

『へぇぇぇぇ!』

 

コクリコは目を爛々と輝かせて聞いていた。視線はまだウサギのぬいぐるみから離れない。

そんなコクリコの様子を見て提案する。

 

「コクリコ、やってみる?」

 

『いいの!?』

 

コクリコが期待の眼差しでロードを見下ろす。ロードはコクリコを抱えおろし、射的の出店へと向かう。

 

出店で店員をやっていたのは金髪の若い男だった。当然ロードはその男を知らないが、男はロード─ロリコンの王─を知っている。

 

「おっ、ロリコンの王!一回どうだ?」

 

「誰がロリコンだ。一回頼む。」

 

「ロリコンの王だろうが。一回500BMだ。まいどあり!これがピストルで弾は5発。ここには手を当てないでくれ、指が吹っ飛ぶぞ。」

 

ロードは普通に代金を支払い、コクリコにそのピストルを渡す。

 

「コクリコ、頑張って。」

 

『うん!うさちゃんもらうんだぁ〜!』

 

結果から言うと全然ダメだった。5発中3発は的が大きいからか当たりはするがぬいぐるみはビクともしなかった。

 

「あー、残念だな。またやってくれ!」

 

『うぅぅぅぅ……!』

 

「コクリコ、残念だったね。」

 

コクリコはぬいぐるみを手に入れられず、涙目になっていた。その様子を見て男はほくそ笑む。

 

(当たり前だ。ぬいぐるみとか人気のありそうないくつかの景品は台に固定してるから落ちるわけがねぇんだよ!)

 

男は泣きじゃくるコクリコとそれを宥めるロードとを見てもう一度挑戦させようと近寄る。

 

「いやー、もう少しで落とせそうだったんだがなぁ……どうだ?もう一回やらねぇか?」

 

ここでロードを躍起にさせればかなりの額を儲けることが出来るとふんだ男はそう言ってロードを煽る。するとロードは乗ってきた。

 

「やってやるよ。波羅、コクリコにりんご飴でも買ってやっといてくれ。戻ってくる頃には俺があのぬいぐるみ取っといてやるよ。」

 

「……かしこまりました。」

 

波羅渡は何か言いたげだったがそれだけ言うと、めぐめぐを使ってコクリコを宥め、りんご飴を買いに行った。

 

楼閣は何も言わず、何か言いたげなジャスティスを制して見守る。

その様子を見て男は勝利を確信し、笑みをいっそう深くする。

 

「おうこらてめぇ、もう一回だ。」

 

「おう!まいどありぃ!」

 

ロードは静かにピストルに玉を込める。それを見てどこかから野次馬が集まってきた。

 

(何回やっても取れるわけねぇもんをせいぜい頑張って取ろうとしてくれや!)

 

集まる野次馬を見て男は更にいい稼ぎになりそうだとほくそ笑む。そして自身の輝かしい未来を思い描く。

 

「……ここだな。」

 

その時ロードは引き金を引いた──店主目掛けて。

ピストルから放たれたコルクは何も知らずに妄想を続ける男に直撃する。

 

「……!?痛え!?おいコラてめぇ、なにしやが──」

 

「2発目ぇ〜。」

 

「ギャッ!?」

 

コルクが側頭部に当たり、男が激怒してロードの方を向くと、ロードは顔色を変えずにすぐさま2発目を男のこめかみに打ち込んだ。

男はこめかみを押さえて痛がるが、ロードは意にも介さず3発目、4発目と男に打ち込んだ。

 

男は狭い出店の中で暴れ、尻もちをつく。景品棚から景品がばさばさと落下する。

 

5発目を打ち終わり、ロードが男が復活するのを待っていると男はロードの胸ぐらを掴み怒鳴る。

 

「てめぇ、何しやがる!痛てぇじゃねぇか!!」

 

「あー、わりィわりィ。手が滑っちまってな。」

 

ロードは全く悪びれずに男にそう言う。男の怒りはヒートアップする。

 

「それで済みゃGM(ゲームマスター)は要らねぇんだよ!てめぇ、いい加減に──」

 

「ところで、あんだけお前が暴れたってのにあのぬいぐるみといくつかの景品は落ちてないんだが、なんでだろうなぁ?アレには根っこでも生えてんのかねぇ?」

 

男がまくしたたていた所にロードが冷ややかに追求した。男は思わず固まる。

ロードは続ける。

 

「まさか、落とせないようにしてた、なんてことはないよなぁ?そうだったら詐欺だよなぁ?ん?」

 

「え、あのっ……そ、それは……」

 

「まぁまぁまぁ、落ち着けよ。お前が俺の胸ぐらつかんでるから注目はこっちだ。後ろなんて誰も見てねぇよ。ほら、楼閣とジャスティスがちょうど横にいるから横からも見えてねぇし?条件次第じゃ黙っといてやってもいいんだぜ?」

 

ロードは笑顔で男を脅す。男の顔色はどんどん悪くなっていった。

 

「じょ、条件ってどんな?」

 

「いやなに、黙っててやるから固定してる景品くれよ。」

 

「はいかしこまりました!ぬいぐるみですね!?」

 

男はすぐさまぬいぐるみを取り外し、ロードに渡す。しかしロードは笑顔のまま続ける。

 

「あ?それだけか?」

 

「こちらも差し上げます!ありがとうございました!」

 

「んー……まぁいいか。せいぜい頑張れよ。」

 

ロードは景品を半ばカツアゲし、コクリコを探しに行った。

 

通りを3人で歩きながらコクリコ達を探しに向かう。

その道中、楼閣はロードに一つ質問を投げかける。

 

「それにしてもロードくん、なんであのぬいぐるみが固定されてるのに気づいたの?」

 

「あぁアレな。いやぁ、まさか固定してるなんて思ってなかったわ。」

 

「……はい?」

 

ロードの返答に楼閣は目を白黒させる。

 

「店主に弾ぶつけて棚に当てて落としゃ貰えるって思ってたが、まさか固定してあるとはなぁ。あっはっは。」

 

「何その発想!?ちょっとロードくん怖いよ!?」

 

「ん?どこが?ピストルを【使って】落としゃいいんだろ?」

 

「【傷害罪】ってナイスな言葉、知ってるかい?」

 

「あはははははは、あはははははははは。」

 

「何その乾いた笑い方!?」

 

楼閣の追求をロードはのらりくらりと躱す。

 

しばらく歩いているとべそをかきながらりんご飴を食べているコクリコと、同じくりんご飴を食べながら慰めているめぐめぐ、それを見てオロオロするセナとロードを信じて待つ微笑の波羅渡が見えた。

 

「おーい、取ってきたぞ〜。」

 

ロードがそう声をかけると波羅渡がコクリコにその旨を伝えた。コクリコがとぼとぼとロードに近寄ると、ロードの手にあるぬいぐるみを見てぱぁっと目を輝かせた。

 

『おにいちゃんありがと!おにいちゃんすっごいんだね!』

 

「ふふ、そうか?」

 

『うん!』

 

コクリコは笑顔でテディラビと一緒にそのぬいぐるみを抱いた。

 

『テディラビ、おともだちだよ!』

 

と言ってぬいぐるみとテディラビの顔合わせをしている。ロードはその微笑ましい光景を見ていたが、なにかに気づいた波羅渡に話しかけられる。

 

「ボス、そのもうひとつの紙袋は一体?」

 

「ニン〇ンドーSㅇitch」

 

「さすがにございます。」

 

「いや波羅ちゃん!?その反応おかしくない!?普通落とせないとかあるじゃん!?」

 

「ボスですから。」

 

波羅渡はごく自然に賞賛の辞を述べ、その事につっこんだ楼閣に一言で釈明をしていた。楼閣はそれで納得したのか諦めたのか、それ以上は何も言わなかった。

 

「あとちゃんと落としたお菓子とかも巻き上げ……貰ってきたから明日にみんなで食べような。」

 

『『わーい!』』

 

コクリコとめぐめぐは何も知らず、ロードの言いかけた言葉も気にせず喜んでいた。

 

『皆、そろそろ約束の時間だぞ。場所取りも兼ねて早く行くぞ。』

 

ジャスティスの一声に総員は「そうだな」とか『うん!』と言って場所取りに向かう。

 

さて、件の花火大会の会場まで行くと、ヴィオレッタとグスタフが場所取りを既にしていた。

 

『あら、早かったのですね。』

 

「ん?ヴィオレッタ、そっちこそえらく早いな。わざわざそんな前列取らなくても楽しんでくれればよかったのに。」

 

ロードはヴィオレッタを心配してそう言うが、ヴィオレッタは首を横に振る。

 

『いえ、たまたまヒイラギさんと会いまして。なんでも深川さんの花火の打ち上げをシラヌイさんと手伝うことになったそうで。たまたまその場にいたわたくし達にこの場所を譲っていただいたのですわ。』

 

「ヒイラギちゃんって、私がこの前ドクくんとイスタカさんとアリーナに行った時の子?」

 

『その通りです。』

 

ヴィオレッタはそう言って首を縦に振る。

 

「そんじゃ、俺達も食うもん買ってくるか。グスタフ、ヴィオレッタ、お前らなんか食いたいもんあるか?」

 

『俺は勝手がわからん。任せる。』

 

『わたくしもおまかせしてよろしいですか?』

 

「了解。任せとけ。」

 

そうして一行は再び買い出しに繰り出した。

 

 

──────────────────────

 

「ふーかがーわやー!」

 

花火が始まった。空に大きな火の花が咲く。

多種多様な色や形の花火が絶えず夜空を彩っていた。

 

コクリコとめぐめぐは二人でベビーカステラを、ヴィオレッタとグスタフはたこ焼き、カフカとカロネはわたあめ、ロード、波羅渡、楼閣、ジャスティスは焼きそばを食べていた。

 

花火が上がった瞬間に先程のようにロードが叫んだのだが、コクリコは不思議そうにロードを見て言った。

 

『ふーかがーわやーって、なぁに?』

 

「ん?あぁ、今のは花火を作った人のお店だよ。凄い花火を見たらこうやって言うんだ。」

 

『へぇ〜……ふーかがーわやー!』

 

コクリコはロードのマネをして叫ぶ。可愛い。

 

『はなび、きれいだね!』

 

「うん、そうだね。」

 

綺麗なのはコクリコだ!と言いたげな表情でロードはコクリコと目を合わせる。わしわしと少し乱雑に頭を撫でるとコクリコは嬉しそうにはにかむ。ベビーカステラはもういいのだろうか。

 

ロードはコクリコを抱えあげ、膝の上に乗せて一緒に花火を眺めていた。

 

しばらくしてコクリコがロードに質問を投げかけた。

 

『おにいちゃん!はなびってどうしておそらでひかるの?』

 

「ん?それはね、火薬を使ってるからだよ。違う色に光るのを使ってるから綺麗なんだ。」

 

『へぇ〜!』

 

コクリコは目を輝かせながら花火に注目し続ける。

そんな中、ロードは焼きそばを食べようと焼きそばを取り出す。コクリコは見たことがない食べ物に興味を惹かれる。

その様子にロードは目ざとく気づいた。

 

「……ん?コクリコも食べてみる?」

 

『いいの!?』

 

「もちろん。じゃ、ちょっと待ってね……」

 

ロードはそう言うと、焼きそばを購入した際に付いてきた小袋を取り出して焼きそばにかけた。

 

『??おにいちゃん、それなぁに?』

 

「ん?あぁ、これはね、【かやく】だよ。これをかけると美味しくなるんだ。」

 

ロードはよく混ぜた焼きそばを口に運ぶ。

すると、

 

『ダメっ!』

 

コクリコが大きな声を出し、ロードに抱きつく。ロードは驚いて食べるのを止めた。

しかしそんなことを知らないコクリコはロードに泣きついて続ける。

 

『ダメっ!たべちゃダメっ!!』

 

「落ち着いてコクリコ。なんで食べちゃいけないの?」

 

『だって……だっておにいちゃんがばくはつしちゃう!』

 

可愛い思い違いをコクリコはしていた。

ロードはしばらくポカンとした後、理由が分かったらしくくつくつと声を抑えて笑い始めた。

 

「コクリコ、あのね──」

 

花火を背に、ロードはコクリコに優しく説明を始める。

 

祭りの熱は、まだまだ冷めやらないらしい。




ロリ#コンパスジャスト2周年です。乱数調整です。一話と投稿時間まで合わせてみました。

次回は新章突入だと言ったな……アレは嘘だ。
この短編を入れるために5章を終わらせたり、短編書き上げたり頑張りました。褒めてください。
ちなみにこれは続きません。【胡蝶の夢】と同じ扱いです。アレは一夜にして消えましたが、こちらは消えません。2周年ですから。

2年経って75話しかやってないってどうなんだ……

次回こそ、新章突入

ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。
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