開戦宣言
「ギルマスギルマスギルマス!大変だよ!」
「ん?カフカちゃん、どうかした?」
#コンパスが現実になって4ヶ月と少し経った。
【
もちろん、大所帯ゆえに足並みが揃っていないところもあるのだが【
せいぜいグスタフのプリンをめぐめぐが食べて叱られるくらいだ。
そんな背景から、ギルドホール内で怒号が飛ぶことなどほとんどないため、大きな声を出して入ってきたカフカに楼閣は少なからず驚いていた。
長椅子に座り、コーヒーを飲んでいた楼閣の隣にカフカが座り、すごい剣幕で何事かまくし立てる。
「大変だよ!大変なんだよ!」
しかしその言葉は意味を成しておらず、ただカフカが1人であたふたしているだけで、楼閣の言葉が届いていないように見えた。
楼閣はこのままでは話を続けられないとそれに割り入る。
「ん〜……カフカちゃん、とりあえず落ち着いて?今の感じだと何が大変なのか分かんないよ?」
「大変なの!イベントが、ギルドで、メンバーの……大変なの!」
「うん、とりあえず1回深呼吸しようか?」
「そんなことしてる場合じゃないの!」
どうどう、と楼閣がなだめようとするがカフカはなおも1人で焦り続ける。
そんな時、カフカの幼馴染であるカロネが騒ぎを聞きつけて現れた。
「ん……ギルマス……どうか、しましたか?」
「あ、カロネちゃん。なんかねぇ、カフカちゃんが「大変だ!」ってあたふたしてるんだよ。私じゃ落ち着かせられないからさ、カロネちゃん、ちょっとお話聞いてみてくれるかい?」
「分かり、ました……」
そういうとカロネは楼閣に少し避けてもらい、カフカの近くに座る。そしてまっすぐカフカを見据えて言う。
「カフカ、何が大変なのか、分かりません……一度、落ち着いて?」
「えっと、えっと……」
「カフカ、落ち着いてください……このままだと、私も、ギルマスも、困ってしまいます……とりあえず、深呼吸……です。」
幼馴染だからかカロネの声はカフカに届いたようでカフカは落ち着きを取り戻して深い呼吸を始める。
「ひっひっふー……ひっひっふー……」
「カフカ……それは深呼吸、じゃなくて……ラマーズ法……」
その呼吸方法は少しおかしかったのだが、そこまで錯乱するような何かがあったのだろうとカロネは察し、しばらくそのままで待つ。
しばらくしてカフカが落ち着いたのか、2人に向かって言う。
「半月後にイベントが決まったんだよ!ギルド対抗戦!」
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「…………んで、バトアリからの帰還要請が俺たちに来たってわけか。」
「そ、通称【ギルドウォー】それぞれのギルドの総力戦らしいね。」
バトルアリーナに波羅とイスタカと潜っていた俺たちは、ギルドチャットでの要請を受けてすぐに帰ってきた。
それで集められた経緯を言われた訳だが、
「……ぶっちゃけ、無理くね?」
「まぁ、カフカちゃんの話だと無理だねぇ。総力戦なんて、私たちみたいな少人数ギルドは単純な質量ゴリ押しで負けちゃうからねぇ。」
やっぱそうだよなぁ……カフカ、情報は間違いないのか?
「【ギルドの総力戦】って小耳に挟んだだけだから詳しくは分かんないです……ごめんなさい!」
「いや、正直情報を早く仕入れてくれただけでありがたいぞ。気にすんな。」
情報の出処は不明、けど【半月後のイベント】って明記されてるってことは実際ある可能性は高い。
多分【掲示板】情報だと思うんだが、一人に情報集めさせるのは危ないと考えるところが多いだろうから情報区画は大混雑が予想される。
で、俺たちは早く情報が欲しい。
ってぇと……
「アイツなら知ってるか。」
「まぁ、頼もうかねぇ。」
楼閣も同じことを考えてたみたいで、素早くジャスとグスタフに目配せする。2人は重々しく頷き、部屋を後にした。
「キィ、頼むぞ。」
《4番個室のロックを解除します……成功しました》
その声を皮切りに何やらドタドタと騒がしい音がし始めたが、その数分後にはvoidollを先頭に両脇を筋肉に固められたドクが連れてこられた。
絵面はまさに連行される宇宙人。
「なっ、なっ、なんなんですか急に!普通に呼んでくださいよ!常識ってものがないんですか!?」
「いや、普通に呼んでもお前出てこねぇじゃん。」
「TPOって知ってます!?」
「知らん。どうでもいい。たまに声掛けても返事ねぇ時あったからたぶんその時に忘れた。」
そう言うとドクは急に大人しくなる。やっと諦めたか。今度からは素直に出てこいよ。
目が少し虚ろに見えるのはきっと気の所為だから無視することにして、本題を切り出す。
「そんでドク、半月後のイベントについて何か情報ないか?」
「はぁ……もう少しで終わったのに…………ん、え、呼びました?」
ダメだこいつ、根本のところが何も分かってねぇ。
いっぺん絞めるか、コイツ?
そんなことを考えている間に、楼閣がドクに優しく話しかけた。
「半月後にあるって言われてる【ギルド総力戦】についてだよ。何か知ってることはないかい?」
「あぁ、あのイベントですか。はい。情報なら出しますよ。」
やっぱり知ってたか。楼閣の時もそうだったけど、コイツは結構ニュースとかを部屋のパソコンかなんかで確認してるからな。
ただ、その言い方だと俺たちが脅してるみたいじゃねぇか、「情報を出せ!」ってか?強盗かよ。
……部屋に強引に入ってる手前、否定できねぇ。
「それは良かった。ちょっと詳しく教えて貰ってもいいかな?」
「はい。では詳しくご説明しますね。ボイちゃん。」
『ハイ、マスター。オマカセクダサイ。』
voidollがそう言うと空中に詳細情報が現れた。
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【ギルドウォー(名称仮定)】
ギルドメンバー全員参加の総力戦
デッキレベルはバトルアリーナ式
全ギルド参加
勝ち抜きトーナメント式を採用
バトルフィールドは【トレーニングルーム】統一
残機は1固定。復活なし。
リス地からの攻撃は敵回復。
少人数ギルドへの救済措置
持ち込みカードの増量
人数差20↑の場合
敵メンバー2倍↑ /+4枚×味方メンバー
敵メンバー7/4倍↑ /+3枚×味方メンバー
敵メンバー3/2倍↑/+2枚×味方メンバー
敵メンバー5/4倍↑/+1枚×味方メンバー
人数差20↓もしくは5/4倍↓の場合
敵メンバー+20↑ /+5枚
敵メンバー+10↑ /+3枚
敵メンバー+5↑ /+1枚
(追加カードはステータスに反映されない)
(この措置は1番効力の高いもののみ反映される)
基本ルール
制限時間なし
どちらかが全滅するまで継続
ポータルキー有り
HS使用可能
試合開始2分後リス地に毒ダメージ効果追加
リス地毒ダメージは時間経過で増加
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「……と、こんな感じですかね。」
「なんか、
ドクが説明を終えると皆が思ったであろう事を楼閣がすぐに言う。自分が先に言うことで話をコントロールして脱線を防ぐのが狙いだろう。あのムッツリめ。
「ですが、毒ダメージを増やす必要まであるのでしょうか?」
「あるぞ」「あるよ」
波羅が不思議そうにそう発言した。それの説明をしてやろうかと思ったが図らずも楼閣とハモる。
なんだ、お前も分かってたのか。
俺は顎をしゃくり、その先を楼閣に譲る。
「100人規模での戦いになるなら、周囲攻撃とか桜華さんのおてて、イスタカさんのHSでの全滅を防ぐために戦力を逐次投入する事が考えられるからね。ジャンヌちゃんが何人かいれば相互回復で乗り切れちゃうから増やさないと。ま、ステージがどのくらいの大きさになるかは分からないんだけどねぇ。」
「その上、ステージの広さによってはごちゃごちゃして誰がどこにいるのか分からんくなるから、敵味方の判別がしにくい。だから少人数ずつ出し合って戦う、とかがありえたわけだ。」
楼閣が概ねは説明したが「言うでしょ?」みたいな目線でこっちに再び譲ってきやがったから、俺は少しだけ補足する。
それを聞いてギルメンは感心したように皆一様に驚いていた。
「それでなんだけど、私たちが一番気にしてた部分はなんとか救済措置があったね。だいたいの相手には8枚まで積んで相手できるかな?キィちゃん、その辺詳しく分かったりする?」
《検索致します……判明致しました、10名未満のギルドが3つ、20名未満はなく、30名未満が5%、60名未満までに60%が集まり、それ以上が30%、100名が約3%です》
「ふぅん……ウチは7人だから、後の2つと当たらない限りは8枚積めるね。まぁ、当たる確率は2%未満だから無視していいでしょ。1戦目超えたら考えなくていいと思うよ。10名未満で勝ち上がるのってかなり厳しそうだしねぇ。」
キィからギルド人数の内訳を聞いてそう言う。デッキが変わらないのを強調したのは圧倒的人数差に尻込みさせないためだろうか。あのムッツリ、たぶん「せっかくのイベントだから楽しまないと」とか思ってるんだろうな。
「よし、そんじゃそれでデッキ組むか。前衛後衛決めて攻撃方法、デッキ決めるか。」
「ボスの指示に従います。」
「はーい!」
「精一杯、やらせて頂きます……!」
気合いは十分か。
「イスタカさんのガチャが実装されてるのも忘れないようにね?4枚はいつものでいいと思うよ。使用感が変わるのも疲れるだろうしね。それで、残りの4枚は相談しよっか。」
そう言って俺たちは作戦会議を始めた。
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後日、トーナメント表が決まり全ギルドに配達された。
「うわぁ……」
「うへぇ……」
「キッヒヒ!!」
「あーあ……」
「んっ……」
【
「な、【
楼閣の事件で因縁のある、最大規模のギルドだった。
6章、ギルド大戦編の始動です。乱数調整です。
さてさて、構成上7章で終わりを迎えるこのSS、最後の難関です。
本編であったようにガッツリバトルにステ振りしているのでとてもきついです。主に私がパワーバランスを考えるのがしんどいです。
普通、7人で100人相手にします?どのキャラでも3人相手にするのすら厳しいわ。誰だこんな企画考えた奴は?出てこいシバくぞ。
乱数は失踪せずに書ききることができるのか!?(天:新章入る前に失踪したの誰だっけ?)
ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。