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そのリビングのソファの上で男が1人、死んだ目でぼうっとしていた。
その男の背後に、這い寄る男がいた。這い寄る男はどこかいたずらっぽい顔をしていた。
「よっ、カナイ!!この世の終わりみたいな顔してどうした?」
「!!??……なんだアアルか、驚かすなよ。特になんでもねぇよ。」
アアルはカナイことニライカナイの背中を力強く叩いて話しかけた。ニライカナイは一瞬身を縮こまらせ、アアルを認識すると力なくそう答える。
「はっは〜ん、幼なじみの俺に隠し事ねぇ。いつの間にかそんなに大きくなってたかぁ……」
「いやお前、俺の幼なじみでもなんでもないだろ。」
「しかしそれを踏み越えていく勇気!!教えんかーい!!」
「話聞け!?」
ギルドメンバーが心配だったのか、アアルは冗談をまじえながらニライカナイに強引に話しかける。その冗談でか、それとも単に突撃してきたアアルに驚いたからか、ニライカナイは先程のような死んだ目をしてはいなかった。
わちゃわちゃと2人がもみ合っていると、騒ぎを聞きつけてかギルドメンバー達が集まってくる。
リビングが騒然としたところでギルドマスターのコウシュとサブマスターのリスカが慌てた様子で到着した。
「どうしたお前たち!!…………あー……いや、俺は別にそういうのに偏見はないが……できればそういうのは部屋で2人きりでやってくれ。」
「リスカさん、えっちいのはまだ早いと思うの。」
「「バカ待て誤解だ!!」」
コウシュとリスカは顔を赤らめてそっぽを向きながらギルドメンバーに指示を出して部屋までの道を開けた。
「「さぁ、続きはあちらで」」
「「だから違ぇよ!?」」
コウシュ・リスカの2人もアアル・ニライカナイの2人も何気に息ぴったりであった。
アアルとニライカナイは全力で否定するが、コウシュとリスカ、その他ギルドメンバー達は甘酸っぱいものを見るかのような目でうんうんと頷いていた。
「ちょっ、ギルマス!!マジで違うんだって!」
「そうだそうだ!俺にだって選ぶ権利がある!!」
「はっはっは、落ち着け2人とも、二割冗談だ。」
「「八割本気じゃねぇか!!」」
「で、どういう流れで2人は両思いに?」
「「なってねぇ!!」」
ギルドメンバー全員の「うんうん、恥ずかしいんだろ分かってるって」と言いたげな雰囲気にアアルはため息を1つ吐いてから話し始めた。
「カナイがな?死にそうな顔をしてソファに座ってたから心配になって話しかけてみたんだよ。そしたら──」
「家内……!?みんな聞いたか!入籍済みだぞ!!」
「もしもし俺だ。大至急赤飯を用意しろ。あ?理由?後で説明する!いいから早く!!」
「あぁもうお前ら一旦黙れよ!!」
「そうだぞお前ら。とりあえず全部聞いてから【神前式】にするか【ウェディング】にするか決めてもいいだろう?」
「っ……!!いや、もう聞いてもらえるならなんでも良いか……」
ぎゃあぎゃあと騒ぐギルドメンバー達に愛想がつきたのかアアルは諦めたようにそう言った。
「で、経緯なんだが……カナイが落ち込んでたのを見て俺は心配して声をかけたんだ。俺はただ、カナイが落ち込んでる理由を知りたかったってワケ。」
アアルはこれ以上厄介事を増やしたくないとばかりに詳しい説明を放棄して簡潔に説明した。その答えを受けてコウシュはニライカナイに質問を返す。
「なるほどな。んでニラ、なんでアアルが心配するほど落ち込んでたんだ?マリッジブルーか?」
「違ぇわ!!……いや、前の試合な、使用率一位のキャラを使えてりゃ勝ってたんじゃねぇかと思ってな……」
「なに?ニラあんた、そんなことで落ち込んでたわけ?」
うなだれるニライカナイに向かってリスカがピシャリと言い放った。それにニライカナイはピクリと反応した。
「そんなん言うならギルマスはどうなのさ?一位はデズ、二位はソル、三位にリュウだから四位のルチ使ってるんだよ?初心者の時にしか使ったことのなかったルチを使ってるギルマスの前でそんなこと──」
「そうじゃねぇからやりきれねぇんだろうが!!」
ニライカナイが怒号をあげた。その怒号はその場にいたギルドメンバー全員を凍りつかせた。
ニライカナイはその様子が目に入っていないかのごとく続ける。
「それならまだいくばか溜飲が下がったさ!【コラボキャラは使えない】それがここでのルールだからな!けど、俺はそうじゃねぇんだよ!俺の使用率一位はオリジナルキャラだった!なのに、それなのに俺にあてがわれたキャラは使用率一位じゃないマルコスだよ!おかしいだろ?なぁ!?」
「そ、それは……でも、直前で使用率が入れ替わったとか──」
「俺のマルコスの使用率は三位だぞ!そうホイホイ変わるような順位じゃねぇ!二位はリンだからなかったにせよ、短期間で全体順位なんざ変わんねぇだろうが!!」
ニライカナイは激情のままに叫ぶ。なぜ自分には使用率一位のキャラがあてがわれなかったのかと。
「それなら私もだよ。」
「メイ……?」
底冷えするような声音で話に割り込んできた者がいた。
メイと呼ばれた少女──アイアン・メイデンはニライカナイとは対照的に静かに続ける。
「私はさ、始めてからまだコラボが来てないからコラボキャラ持ってなかったんだけどね?それでも使用率一位の子は使えなかった。ニラと一緒だね。」
「実は俺も……」
「あたしも二位のキャラだった……」
「ホントはね、黙ってようって思ってた。変な奴だって思われたくなかったから。でも私も……」
ニライカナイとアイアン・メイデンの話を聞いて、実は使用率一位のオリジナルキャラを使えなかったプレイヤー達が次々と現れる。その数は、ギルドメンバーの半分を超えた。
「なぁリスカ、お前はこれをどう見る?」
コウシュが誰にも聞こえないように配慮しながらリスカに話しかける。リスカはコウシュの方を見ずに考え込みながら答えた。
「難しい質問ですね。キャラがみんな同じキャラならホントの話なんでしょうけど……現時点では判断のしようがありません。」
「なら……聞いてみるか。……おいみんな、お前らの話はよく分かった。良かったら教えてくれないか?お前らの使用率一位だったキャラを。」
コウシュにそう言われて一瞬黙ったギルドメンバー達だったが、誰に言われるでもなく目配せをして全員がいっせいに答えた。
「
今回は少し早めで短めです。乱数調整です。
短めと言っても一章の話の倍くらいの量がある話ですけどね。
さてさて最近は終章に向けて道筋をガッツリ作ってますよ!わぁい楽しい!
終章は間章を書いたからこそ出てきた終わりですので、終章自体が伏線みたいな形になってます。あと一章は見切り発車したのでそこには伏線とか特にないですハイ。
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次回「準決勝」
ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。