ロリ#コンパス   作:乱数調整

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朝焼けと孤独

「いやまさか、ここまで来れるなんてな。」

 

夜も更けたころ、ギルドホールのリビングに3人の男が集まっていた。

 

「ほんとそれな。並み居る強豪を押しのけて、ここまで来れたのは単純にすげぇよ。」

 

一人の男が誰に言うでもなく呟いた言葉に対して、別の男が返事をする。感慨深いとでも言いたげな声音だった。

 

その2人の感慨をぶち壊すように最後の男が水を差す。

 

「ま、毎回毎回ギリギリの勝利で「あ、もう無理だこれ」って何十回も思ったけどね。」

 

「それはそれ、これはこれだ。とりあえず勝ってるんだぜ?今はそれでいいだろ。」

 

最後の男のそんなボヤきに対しても、一人目は明るく言い放った。

 

「だな。ボヤくのは最終戦が終わってからでもいい。とりあえず、当面の目標は「決勝進出」じゃなくて「ギルドウォー優勝」だからな。」

 

二人目が一人目の言葉を援護するように言うと、三人目は「まぁね」と肩を竦めて言う。彼も別に、この良い雰囲気をぶち壊すつもりはなく、ただ油断するなと伝えたかっただけなのだ。

 

「…………いろいろあったよなぁ、こっち来てから。」

 

「…………あぁ。感慨深いもんだ。もちろん、これが終わったからって帰れるわけじゃないんだが、多少は、な?」

 

一人目と二人目が感慨に耽ける。三人目も概ね同じ意見なのか、うんうんと頷いている。

 

それはどこか楽しかったことを思い出しているようで

それはどこかこのままでもいいと思ってしまっているようで

 

相棒(ヒーロー)はこの場にはいないが、それぞれがそれぞれの相棒との思い出に想いを馳せていた。

 

「さ、明日は最終戦だよ。早く寝なきゃいけないんだけど……」

 

「そうだな。8位決定戦からカードが伏せられてたからな。次の相手は前日の夜に【ギルド通知】で発表、だっけか?」

 

その追憶を止めたのは三人目だった。気を引きしめる意味も込めて、三人目は集まった目的だったものの話を切り出す。

一人目はそれを思い出したようで、残りの二人に確認を込めてそう訊ねた。

 

二人は徐ろに頷く。そこには大きな緊張と少しの期待が含まれていた。

 

「それじゃ、見るぞ。」

 

緊張の面持ちで一人目は何かを操作するように指で空を切る。知らせはまだ届いていないのか、一人目は何度も指を上下させていた。

 

「それで?最終戦のお相手ってのは誰だ?」

 

「まぁ少し待て……これか………ふむ…………ん!?……くははっ!!こりゃ面白い!傑作じゃねぇか!!」

 

しびれを切らせた二人目が最終戦の相手を一人目に聞くと、一人目は【ギルド通知】バナーを見て心底楽しそうに笑った。

 

「ちょっと、一人で楽しそうにしないでくれる?」

 

「おい、何一人で楽しんでんだよ。俺らにも教えろ。」

 

それを見ていささか不機嫌そうに二人目と三人目が抗議した。それを受けて一人目は湧き上がっている笑いを必死に抑えながら二人に伝える。

 

「悪い悪い、次の相手は──

 

 

─────────────────────

 

 

夜も更けたころ、3人の男がギルドホールのリビングに集まっていた。

 

「いやぁ、案外勝ち上がれるもんだねぇ。びっくりしたよ。」

 

一人目の男が茶化すようにそう言った。それはギルドマスターとして残りの二人に決勝を気負わせないための配慮だろうか。

 

「ま、アイツらがいなきゃここまでは来てねぇだろうけどな。」

 

二人目の男がぶっきらぼうに言った。ただ、その奥に隠していたギルドメンバーへの感謝の意は一人目にしっかりと伝わっていたが。

 

「全くもう、そんなこと言っちゃって!本当はすっごく嬉しいクセにぃ〜。」

 

「うっせぇ。二人とも周りがよく見えてて援護が上手いからな。ま、二人とも攻めの援護と守りの援護で種類は全く別物なんだけどな。」

 

一人目がそう囃すと二人目は照れたように素っ気なくそう返す。それを見て三人目は朗らかに笑った。

 

「あはは。ボスは優しいですよね。本当に、いつも誰かのことを思っています。」

 

「「えっ」」

 

三人目のその一言を聞いて二人は思わず固まった。そんな二人を見て三人目は不思議そうに訊ねる。

 

「えっ、どうしてそこで驚かれるんですか?」

 

「えっ、いやだって、普段どこか優しさが目に見えるところあった?」

 

「おいコラ、ひでぇ言い草だな……けど、俺もお前からそんな一言が出てくるとは思ってなかった。だって……お前との初顔合わせ、あれだぜ?」

 

得体の知れない物を見る目を向けられた三人目だったが、「何を言っているんだろうか、この人たちは」と言いたげに首を傾げて、懇々と諭すように二人に話し始めた。

 

「普通、僕のデッキを見たら文句を言うだけ言っておしまいですよ。それを貴方は、何とか戦えるレベルまで押し上げてくださいました。僕は貴方のそういうところに傅こうと思ったのですよ。」

 

三人目は満面の笑みで二人目にそう言った。二人目はどこか気恥しそうに目を背ける。そんな二人目を一人目は保母のような笑みで見守っていた。

 

「おい、そんな顔でこっち見んじゃねぇよ。」

 

「えー、だって照れてるの珍しいからさ〜。」

 

それに気づいた二人目が一人目に抗議の視線を向けるが、一人目はそれをのらりくらりと躱す。二人目は数瞬、イラッとはしたものの言っても無駄かと諦めたようで、別の話に切り替えた。

 

「茶化すな。そんで、そろそろじゃねぇか?」

 

「んー?じゃ、ちょっと見てみるか。」

 

その短いやり取りで伝わったのか、一人目は何やら空を指で撫でるような動きを始めた。目的のものはすぐに見つかったようで、ふむふむと静かに一人でその内容を読んでいた。

 

「次の相手は誰なんですか!?早く!早く教えてください!!」

 

「落ち着いて、読めないから。ほら、早く座った座った!」

 

「………………はい。」

 

三人目が待ちきれないといった様子で前のめりになって訊ねたが、一人目はかなりしっかりと読み込んでいるようでまだ目的の箇所へは到達していなかったらしく、素っ気なくそう返した。

 

「………………!!くっふふ!!……そっかぁ。そっかそっかそっか〜!!」

 

しばらく静かな時間が過ぎていく中、急に一人目が吹き出した。そして楽しそうに何事かを呟いた。

 

「あっがりました〜!!……アレ?ギルマス、なんか楽しそう?」

 

「お風呂……上がりました………………??ギルマス?なんだか……楽しそう、ですね……?」

 

そこに二人の女が入ってきた。二人はどうやら風呂に入っていたらしく、状況が飲み込めていない。

 

「おい、1人で楽しんでんじゃねぇよ。さっさと教えろ。お前がそんなに笑い転げるほどの相手って誰だ?」

 

そんな二人のことを知ってか知らずか、二人目はその先を進めようとする。それに気づいた一人目は「ごめんごめん」と軽く謝ってから本題を切り出す。

 

「ギルドウォー、最終戦の相手が決まったよ。その相手は──

 

 

──────────────────────

 

 

──【孤独者達の宴(ロンリネス)】」

──【明色に染まる空(daydream)】」

 

同じ日、同じ時刻、別の場所で、二人のギルドマスターが声を揃えて言った。

 

「アイツら、勝ち上がってきやがったよ。」

「あの子たち、勝ち上がったみたいだねぇ。」

 

所属メンバー10人以下のギルド。その3つの内の2つの戦いの火蓋は今、切って落とされた。




今回は少し早くて少し短いです。乱数調整です。
今回は決戦前夜、レギュラーと準レギュラーの戦いの前の、軽い導入です。

導入とは言っても、【明色に染まる空(daydream)】のメンバーの話はこの章で一話あったので察しのいい読者は分かっていたことでしょう。分からないように最大限の配慮はしていましたが、乱数はたまにありえないくらい分かりやすい伏線を敷いたりしてますので……

この章は【明色に染まる空(daydream)】戦で終わりなのですが、終わったら最終章に入ってしまうと思うと、少し寂しいものがありますね。
マシになってきたとはいえまだまだ駄文ですが、どうか最後まで見てやってください。

次回、明色に染まる空

ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。
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