それは舞だった。
双方の
あるいは死という概念が遠いと錯覚すらするほど濃密な死が充満する
死に至る舞
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「いくぞめぐめぐ!【クルエルダー】!」
『触れたきゃお菓子を持ってきな!!』
「捕まっ……!?」
『あぁ……』
「援護するよ!ジャンヌちゃん!【アンジュ】!」
『私に任せて!』
戦いの口火を切ったのは波羅渡。いつも通りの【クルエルダー】で乃保を絡めとる。【武術家の超速加速】を使用した隙を狙われたようで乃保は対策する暇もなく絡め取られる。
しかし【
「死にさらせぇ!!」
『あっはははは!!』
『あぁ……痛い……』
「させないよ!ジャンヌちゃん!!」
『いざ!』
ダウンを取られた乃保にめぐめぐの凶弾が次々と命中する。
がしかし、ジャンヌの回復があってのことだろうが、乃保が起き上がるまでなんとか凌ぎきったのだ。
もちろん、ジャンヌの回復だけではイスタカとめぐめぐの両名に狙い撃ちされていた乃保は耐えていなかっただろう。だがそこはPRHSがイスタカの射線を塞ぎ攻撃を代わりに受けることによってどうにか解決していた。
さすがは【
『楼閣すまない、仕留め損ねた。』
「何かあった?」
『あの女騎士殿に射線を塞がれた。やつらなかなかやり手だぞ。』
イスタカが離れた位置にいる楼閣に短く戦況を説明する。楼閣もある程度【
「なるほどねぇ。あんまり引きずらないでね?」
『分かっている。』
楼閣は短く忠告し、イスタカもまた最低限の言葉で返した。
そしてイスタカも切り替えて死の舞う戦場に戻る。
その頃、イスタカ達に阻まれて無理やりタイマンに持ち込まれたkeyと持ち込んだロードもまた相対していた。
「あっちはあっちで騒がしいな、key?」
「けっ!余裕綽々でよく言うぜ!【フルーク】も【オルレン】も余裕もって躱してるくせによ!!」
それまでにkeyは攻撃を試していたのだ。
まずはダッシュアタックを決めようと突撃してくるコクリコをギリギリまで引き付けて【フルーク】を打ち込む。それをロードは寸前で静止し躱してたのだ。
もちろんkeyとてそう簡単にロードのコクリコが攻略できるとは思ってはいない。ゆえに第二の刃として【オールレンジアタック】を連続切りしていたのだ。
しかし、それを読んでいたかのようにコクリコはカウンターで返す。13はコクリコにダメージを与えることなく、逆にコクリコの攻撃のダメージのみをまんまとくらってしまったのだ。
そのままではフルークを入れられてしまい、負けに直結する。そう悟ったkeyはなんとか
攻撃が失敗したことを悟ったロードは悪魔に命じて13の背後に後退する。ダッシュアタックを決めるためだろう。
確かに13から離れることで13の
13の背後に逃げたのはすぐには突っ込んでこれないように、という配慮からだろう。
2人の距離は少し開き、両者ともに攻めの機会を伺っていた。
ロードは相手のまだ見ぬカードを警戒して、
keyは内に秘めた作戦を機を逃さぬように、
「13、すまん。俺のミスだ。」
『気にすんなよ、相棒。一泡吹かすんだろ?』
「あぁ。もちろんだ。いくぞ13、【秘めたる】!!」
『いよ〜ぉし!効いてきたぞぉ!!』
目の前で【秘めたる力の覚醒】を使用したkeyに対して、ロードはこのまま追いかけ合いになると直感した。そうなれば一撃ヒーローアクションを入れられれば負けてしまうと考えたロードは迷わずダッシュアタックを決めようと動き出す。
「セナ!距離詰めろ!」
『言われなくともォ!僕の役に立てェ!!』
しかしそれは、少しだけ遅かったようで
「行け13!」
『ぃよっほーい!!』
「なっ……!?」
『あっはは!』
13はしつこく乃保を狙い続けていためぐめぐに鎌を振り回しながら突撃し、めぐめぐをはじき飛ばした。めぐめぐはなんとかその攻撃を持ちこたえたものの、遠くに投げ出されて戦線復帰の必要ができた上に満身創痍。
【
しかし、攻めの体制が崩れたのは【
「不意打ちご苦労様……って言いたいところだけど、【秘めたる】ちゃんと使った?」
「あぁ……使ったはずだ。よな、13?」
『あぁ、相棒。攻撃バフはちゃんと二重にかかってたぜ?』
「だったらどうして……いや、そうだった。向こうには支援のスペシャリストがいたんだっけ。」
PRHSがそう呟きながらめぐめぐの周りを回る十字と五角形が合わさったようなマークを確認した。それを見て何かを察したのか彼は遠くにいるカロネの方を向く。
ちょうどその時、楼閣はカロネにこんな話をしていた。
「いやぁ、カロネちゃんおてがらだねぇ。あの局面で急に【イノセンテ】使った時は何事かと思ったけど、ナイス判断だったよ。」
「【銀ちゃん】……!い、いえ……あの場で……狙う、なら……視野の狭い……波羅渡さん…………ですから……」
褒められて嬉しいからかそれ以外の理由か、カロネはかなり照れていたようでいつもより言葉がたどたどしかった。
彼女の言葉の通り、カロネはkeyが【秘めたる力の覚醒】を使用した直後に、彼女は慌てた様子で──いつもなら楼閣に「使います……!」と申告してから使用するはずなのに──突然【イノセンテ】を使用したのだ。
もちろん楼閣はかなり驚いていたものの、イベント参加は【楽しむため】と言っていたため口を挟むのも無粋だろうということで口を挟まなかったらしい。
もちろん、カロネの支援能力を高くかっているのも理由としてあるのだろうが。
「予想外に予想外が重なるねぇ。ね、カロネちゃん、」
「【月夜叉】……!……!?は、はい……!なん、でしょうか……?」
遠くで変わりゆく戦況を眺めながら、楼閣はカロネに語りかけた。
カロネは驚きながらも返事を返す。
そんな中楼閣は、その場ではあまりに場違いとも取れる質問を送った。
「楽しいかい?」
「…………えぇ……とっても……!!」
カロネは花びらが舞うように笑った。
その二人が見つめる戦場で、【
「もっぺんいくぞめぐめぐ!!【クルエルダー】!!」
『汚ぇ顔で近づくな!』
「読めてっぞ!【ディーバ】!!」
『守らなきゃ切れないなんておかしいよ。』
波羅渡は恐らく一番のダメージディーラーである乃保を一同から引き剥がし、今度こそ仕留めようと画策していた。乃保は乃保でそれを読んでいたらしく、きちんとダメージカットのカードを使用してダウンを免れていた。
「今度こそ……!【メカは──」
「させないよ〜!【カノーネ】!!」
『命の息吹よ!』
勢いそのままに乃保は【家庭用メカの反乱】を使用してめぐめぐを狩りとろうとするが、それを予期していた楼閣によって防がれる。
耐久が薄い乃保だが、チームレベルの差でかギリギリ持ちこたえていた。もちろん、イスタカのアビリティでマピヤとバディーズを組めていれば倒せていただろうが、現在マピヤはジャンヌに張り付いている。低耐久を守れる優秀な回復ソースを早めに絶っておこうという楼閣の策略だ。
そのまま張り付けていれば乃保を倒せただろうが、回復ソースを削りたかったため完全に戦略ミスとも言い難い。
「【クララ】!ジャンヌちゃん!」
『私に任せて!いざ!』
「させねぇよ!セナ!」
「こっちのセリフだ。13!」
『ぃよっほーい!』
『おのれェ!!』
イスタカが追撃をかけるまでの一瞬で、常に周りに気を張っていたPRHSが回復に動く。【クララ】で時間稼ぎ程度の体力を回復させた後にヒーローアクションで乃保の体力を回復させた。
もちろんキルをとるチャンスをみすみす見逃すわけにはいかないとロードもジャンヌに追撃を試みる。しかしそれはkeyの13によるヒーローアクションで不発に終わった。
「【月夜叉】。ロードくん、焦らないでね〜。」
「チッ、わぁってるよ。」
遠くにいる楼閣がロードにゆるゆるとそんな一言。
楼閣ならもう少し説教じみたことを言いそうな局面だとロードは思っていた。ただ、ロードならそのくらいは自分でわかっているだろうと楼閣は考えていたためにその程度で済ませたのだろう、ともロードは直感した。
「ったく……あのむっつり、よく見てやがる……!」
『少し攻撃が直線的じゃァないかァ?お前らしくもないなァ?』
「……お前に言われる日が来るとはな。ま、確かに少しだけ熱くなってたな。」
ロードはチラリと後ろを確認する。そして悪魔に向かって訊ねた。
「なぁセナ、俺と死地に赴いてくれって頼んだら、お前は来てくれるか?」
『コクリコちゃんのためならなァ。』
そうか、とロードは苦笑する。そして据わった眼で敵を見ながら返した。
「んじゃ、そんときは頼むわ。そうじゃない時は……ま、適当に頼む。」
『……あぁ。お前がお前である限りは、なァ?』
一人と一体は覚悟を決めた。
「そんじゃ、いくぞ!波羅、イスタカ!!ジャンヌに集中!乃保とさっちんは任せろ!」
「了解です!送ってやるよ、地獄になぁ!!」
『めぐめぐにおまかせ!』
『承知した!こちらは任せろ!!』
ロードは勢いよく味方の三人に言い放つ。三人はすぐに臨戦態勢を取り、ジャンヌに攻撃を加え始めた。
「ジャンヌちゃん、ここが正念場だよ!【イェーガー】!【花火】!」
『私が守ります!これで凌いで!』
「めぐめぐ!【レオン】!」
『触れたきゃお菓子を持ってきな!』
『呼吸を合わせるぞ!』
PRHSは向かってくるめぐめぐとイスタカを見て迷うことなく【イェーガー】と【打ち上げ花火】を使用し、耐久を底上げする。
対する波羅渡は【レオン】を使用してダメージカットを無視して攻撃を当てる。もちろんそのダメージは【打ち上げ花火】ですぐに回復されるが、波羅渡の狙いはそこでは無い。
「【タイオワ】!めぐめぐ!」
『ガトりんMk.2♪セット完了!』
波羅渡の狙いはその攻撃でヒーロースキルを貯めて、ジャンヌの行動を制限することにあった。【タイオワ】の乗ったガトりんMk.2だ、火力はバカにできない。
「してやられたね……!」
『なんとか向こうに行かないと……!』
それを受けてPRHSとジャンヌは少し焦る。
二人の視線の先にはコクリコ一人に翻弄される味方の姿があった。
「セナ!乃保狙え!」
『言われなくともォ!!』
ロードはイスタカと波羅渡に指示を出したあと、すぐに乃保と13の方に走り出していた。すぐに出なければ対策され、合流を果たされてしまうからである。
コクリコは乃保に狙いを定めて走る。ダメージディーラーを潰すのがコクリコの戦闘形式における定石だからだ。
しかし、黙ってくらってやるほど乃保も甘くはない。
「まだだ……今!【メカ反】!!」
ギリギリまで引き付けて乃保が【家庭用メカの反乱】を使用する。【家庭用メカの反乱】はバフ、デバフともに関係ない連撃をお見舞いするカードである。体力は低いがデバフを相手にかけることで疑似耐久指数を上げるコクリコにとっては天敵のようなカードだ。
だが、ロードと悪魔はその程度、想定の範疇だった。
「【バーゲン】!!」
『まって〜、ヒツジさ〜ん……♪』
『顧みる返り血最高……!』
『近寄るなァ!!』
ダッシュアタックを叩き込まずに【バーゲンセール戦争】を使用する。全ての攻撃を4秒間だけ無効化するカードで天敵をやり過ごし、逆にダメージを叩き込んだ。
【バーゲンセール戦争】のカウンターで乃保が打ち上げられる。
「チッ!13!」
「読めてっぞ!【オルレン】!!」
『お邪魔虫は排除するゥ!!』
『ぃよっほー……ぐぇっ!?』
背後からヒーローアクションを当てようとした13を【オールレンジアタック】でやり過ごした。keyならば追撃を阻止するだろうというある種の信頼か、迷うことなく【オールレンジアタック】を切る。驚嘆に値するメタ合戦だ。
「セナ、放置でいい。乃保に。」
『任せろォ!』
『ここで痛い目見せたい……』
「くっそ!これは高くつくぞ!」
ロードは13のダウンを取ったが、それは無視するようにセナに指示し、乃保への追撃を選択する。
その視線の先ではちょうどポータルキーの位置に落下した乃保がポータルを制圧していた。セリフから察するに制圧するつもりはなかったらしい。
『どけェ!』
『痛い……』
そのせいもあってかロードは無償でのダッシュアタックに成功する。しかしロードは止まらない。
「セナ、来るぞ。後ろ向け!【ぶれどら】!!」
『近寄るなァ!!』
13がヒーローアクションで突っ込んでくることを予測したロードはセナに180度回転を命じて【ぶれいずどらごん】を発動させる。鋭い読みとすぐに行動に移せる胆力は驚嘆に値するだろう。
ただ、その読みは外れていたのだが。
「それは読めてるぜ、ロリコンの王。13!」
『ぃよっほーい!!』
『おのれェ!!』
すぐには突っ込まず、一拍間を開けてから13はヒーローアクションで突っ込んできた。その攻撃を、コクリコは近距離モーションの硬直で避けることができない。
かなり遠くに弾き飛ばされてしまった。
「レイア、回復しとけ……っと貯まったな。13!」
『二丁拳銃ってリロードどうすんだ?』
「了解。サンキュ。【ガブリエル】」
『貸しだよ?』
その間に乃保と13はそれぞれの手段で体力を回復させる。連携の取れた見事な手腕だった。
そして、プレイングが上手い者は他にもいた。
『きゃあ!いたた……うまくいきましたね。』
『すまないロード!失敗した!』
「やっほー、二人とも。ただいま。」
乃保とkeyの元にジャンヌが降り立った。どうやって合流したかと言えば、イスタカの【フルーク】だ。
ガトりんが乃保とkeyの側に設置されている。多少のダメージを覚悟して突っ切ったとしても、波羅渡の【クルエルダー】で射線上に戻される可能性があるとPRHSは悟った。
だからPRHSは一旦波羅渡の【クルエルダー】の射線から逃れる必要があったのだ。
それを可能にするのは上空、すなわち【フルーク】で上空に打ち上げられることで射線から逃れようとPRHSは画策したのである。
体力こそ削れているものの、keyたちと合流でき、その目論見は上手くいったと言えるだろう。
「無茶苦茶しやがるな、お前。だが……」
「あぁ、合流出来たな。」
keyも乃保もPRHSの合流を喜ぶ。
今こそ反撃の狼煙を上げる時だと言わんばかりに。
だが、その油断が命取りだ。
「忘れてもらっちゃ困りますよ!グスくん【オルレン】!!」
『全開だ!』
今まで誰からも忘れ去られていたであろうカフカとグスタフが合流し、完璧な奇襲を仕掛ける。カフカはかなり大回りしてきたかいがあったと言わんばかりに満足気な表情をしていた。
「なっ!?」
「嘘っ!?」
「はぁ!?」
【
「立て直さないと……!【クラ──」
「させませんよ!グスくん【和太鼓】!」
『ブワァ!!』
すぐに体制を立て直そうとはしたものの、その動揺は凄まじかったらしい。カフカが連続切りをしていた【和太鼓】に全員巻き込まれる。全員体力が少なく、ジャンヌの全体回復も封じられてしまった。
「くっ……!2人とも大丈夫?」
グスタフの【周囲】に吹き飛ばされながらもPRHSはkeyとレイアに訊ねる。自身も満身創痍だというのに。
「ミリで耐えた……けど回復がねぇ。」
「同じく。」
keyとレイアはそう返す。そんなさなかにコクリコが接近する。悠長にジャンヌのHAで回復などしていたら【オールレンジアタック】で3人ともやられてしまうだろう。
そう考えたPRHSは、秘策に出る。ほとんど賭けとも言える秘策に。
「そっか。HAの暇もない……それじゃ、任せたよ2人とも。勝ってね。」
「すまんなPR。」「もちろん勝つさ。」
そう言ってPRHSは前進し、keyとレイアは後退する。
迫り来るコクリコに抗うべく突き進むジャンヌにPRHSは囁くように、慈しむように、言った。
「ごめんね、ジャンヌちゃん。こんな役回りばっかりで。」
『いえ。これが今私のできる精一杯なので。』
PRHSとジャンヌはそうやって笑いあった。
「よくやった、カフカ!!いくぞセナ!!」
『任せろォ!!』
カフカの奇襲で出来た大きな隙を、ロードが見逃すわけもなく、猛スピードで三人に迫る。
それに対抗するように、ジャンヌとPRHSは歩みを止めない。
そして、その時は来た。
「終わりだ!【オルレン】!」
「届かせないよ!受け止めてみせる!」
『あなたの攻撃を、彼らに当てさせるわけにはいかない!』
コクリコとジャンヌがぶつかり合う。使い手の意志をその身に乗せて。
ポリゴンの欠片が辺りに飛び散る。
そして──
キリのいい所まで進めたかったんです……前の二話とはうってかわって長くなりすぎて申し訳ありません。乱数調整です。
さてさて今回!この章の構想を練り始めた時からずっと考えていた後が気になる(けどちょっと考えれば次回の入りが分かりそうな)〆です!
バトルの内容は書いててすごく楽しかったんですけど、ジャンヌとさっちん&乃保を離す関係上、描写がかなりしんどかったです……主にどうやって視線を切り替えるかとか、どの程度バトル描写を入れるかとかで。
増えていく文字数、終わらない描写。いやぁ、ヒヤヒヤしました。
あとはあなたのお口に合うことを祈って、終わらせていただきます。
次回、騒ぎは存外呆気なく
ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。