ロリ#コンパス   作:乱数調整

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作中の時系列時におけるカード効果、HS効果で書き進めています。
現在の効果と違う部分がありますのでご注意を。


篝火

『外すと疲れるけど本気を出すの……うぁぁぁぁあああああ!!』

 

乃保が【ビハインド・ザ・グライスイズ】を使用する。【明色に染まる空(daydream)】はこの勢いのまま決着を付けるつもりらしい。

 

しかし、先程までとは状況が違う。ロードも楼閣も、欠いていた冷静さを取り戻しており、コクリコのカードは全てCTが回復しており使用可能である。

加えて乃保は先程の猛攻でカードをほとんど使い終えており、通常攻撃のみで撃破しなければならない。【全天首都防壁】などのダメージカットカードで止まりやすくなっている。

 

「まぁ、イスタカさんのダメカはもうないんだけどねぇ。どうするロードくん?降参する?」

 

「そんな気微塵もないくせに。そんなんで負けてやれるくらいだったら元から参加してねぇだろ。」

 

「ま、だよねぇ。それじゃ、せいぜい足掻いてみせますか。イスタカさん?」

 

軽口を叩き合いながら楼閣とロードは敵を見据える。

同時に楼閣は乃保が来る前にマピヤをつけておくようイスタカに命じた。言葉は短かったが、イスタカはそれで全てを察すると信じているからこその短さである。

 

『承知した。呼吸を合わせるぞ!』

 

「お願いね。」

 

イスタカも短い呼び掛けで理解したのか、マピヤを乃保の方に向かって飛ばす。

しかしそんなことなど意にも止めず、乃保はイスタカに突っ込んでくる。

 

その場のヒーローたちの耐久力からすれば、アビリティも含めて厄介なコクリコを狙うのが最適解にも思えるが

 

「乃保、リコに構うな。イスタカ倒してからでいい。メカ犯戻りゃイージーウィンだ。」

 

『じゃあそうする。』

 

との事らしい。

ダメージカットがない分やや慎重にではあるが、乃保はイスタカとの距離を縮めている。

それでも強襲した方が強いことが分かっていたため、気持ち程度の慎重さではあったが。

 

乃保が恐ろしい速度でイスタカとの距離を詰める。イスタカも応戦するものの、インファイトを持ち込まれるまでに通常攻撃は一度しか当てられなかった。

乃保の体力は残り2/3程になっていたが、レイアはやられるよりも前にやれると思ったらしく距離を気にせず突き進み、理想的な対面を作り上げた。

 

「イスタカさん!」

 

『畳み掛けるはワキンヤン!死を運ぶはマタンツォ!!』

 

その瞬間、楼閣は狙い済ましていたかのようにイスタカのHSを発動させる。両者の立ち位置が重なり合っていたため、一見その凶矢の範囲はイスタカを中心に展開されているように見える。

 

「チッ!乃保!いったん離脱しろ!」

 

『分かった。』

 

それを見たレイアはダメージカットカードが使えないため乃保に撤退を指示する。HS効果時間をいいように潰されて歯痒い思いをしていた。

 

イスタカのHSが終了した瞬間、イスタカが打って出る。

 

『逃がさぬ!』

 

『あぁ……』

 

間髪入れずにイスタカが乃保に攻撃を加える。乃保の体力がまた減少した。

 

「……!きたっ!!【ディーバ】【ガブ】!!」

 

『守らないと切れないなんておかしいよ。ガラじゃないから。』

 

しかし、ちょうどそのタイミングでCTが終わった【ディーバ】と【ガブリエル】によって攻撃で減った体力が素早く回復される。ディーバの効果もあって3秒間はダメージを受けない。

 

乃保がまたしても急接近を始める。

 

「イスタカさん、3歩後ろ。」

 

『承知した。』

 

しかし楼閣はそれでもなお冷静に指示を出す。その余裕は乃保をHSを侮っているがゆえの余裕にも見えた。

 

「乃保!たたみかけろ!」

 

『切る……断つ……!』

 

『ぐわっ!……やるな!!』

 

信じられないスピードでイスタカの体力が減っていく。乃保の攻撃速度がHSで更に強化されているのだ、この状態での捲り性能は恐ろしい程に高い。

 

(いける……!)

 

そう確信した瞬間、レイアは戸惑った。

イスタカが倒れないのだ。

 

敵の体力を全損させるだけのダメージを与えたのに、なぜか体力ゲージは増えている。

そのありえない光景を見て、レイアは慢心から引き戻された。そして忘れかけていた事を思い出す。

 

「チッ!全体回復かよ!」

 

「そうだよ!」

 

怒鳴りつけるように両者が叫び合う。

楼閣は余裕がないがゆえに、レイアはPRHSがやられたことで熱くなっていた自分に苛立ちを覚えたがゆえに。

 

『痛いぃ……』

 

そうしているうちに【ディーバ】が切れていたらしい、イスタカの攻撃が乃保にヒットし体力を削る。

だがそこで、イスタカの体力ゲージが全損した。

 

『此度は私が狩られる番……か…………』

 

結局入れられたのは一撃のみ。体力の2/3を削るとはいえダメージを与える者がいなくなっては意味が無い。

そこで乃保のHSも効果が切れる。もう少し早く切れていればイスタカも倒れてはいなかっただろう。

 

「計算甘ぇぞ【不退の不死(カーディナル)】!」

 

レイアは勝ったことへの興奮からか、そのようなことを声高に叫ぶ。イスタカとともにステージから退場したであろう楼閣に向かい、決して返事のこない勝鬨を上げた。

 

「計算通りだよ!ジャスくん【メカ犯】!!」

 

本人は確かに、そう思っていた。

 

楼閣はこのタイミングを狙っていたのだ。肉を切らせて骨を断つ、イスタカを贅沢にも囮に使い、ジャスティスが接近するだけの時間を稼いでいたのだ。

 

“レイアが思考を止め、乃保も硬直する瞬間”

 

ただそれだけの状況を作り出すために。

 

「なっ……!?乃保!」

 

『……!?んっ……それ……っ!!』

 

乃保も反撃するが、体力が減るスピードは段違いだ。なんとかギリギリで耐えたものの、カードを使用していなかったためにダウンを取られる。

 

「ジャスくんトドメ!!」

 

『ふんっ!!ハンマーの錆にもならんな。』

 

『もう……疲れ…………』

 

「くそ……っ」

 

ジャスティスの体力は半分以下になったものの、正面から乃保を撃破する。

その事に楼閣は一つ安堵のため息をついて言った。

 

「勝ちなよ、ロードくん。タイマンは最強なんでしょ?」

 

 

 

 

乃保がイスタカに向かっていたころ、keyは乃保を援護しようと動いていたがその射線をコクリコに塞がれる。

コクリコとの距離はまだまだ遠いが、乃保が向かっている方向から来ているため援護には行けそうもない。

 

「セナ」

 

『分かっている!僕に指図するなァ!』

 

『オイ来るぞ相棒!』

 

「使えんの【ヴァル】だけだ!バクショで牽制するしかねぇ!!」

 

『おいマジかよクソだな!!』

 

先程の猛攻でカードをほとんど使い果たしていたkeyは苛立ち混じりに13に向かって叫ぶ。13も焦った様子で軽口を飛ばす。軽口を飛ばしあえるような状況ではないが、少しでも雰囲気を和らげておきたかったのだろう。

 

そう考えられる余裕が彼らにはかろうじてまだあった。

 

「チムレ4とチムレ2の戦いだ。その差に勝機がまだある。」

 

『相棒、俺はいつでも行けるぜ。』

 

ニヤリと笑い合う2人にコクリコが近づいてくる。DAを当てたいのだろう、少し効率の悪いルートを描いていた。

 

「右っ!」

 

『くらいやがれ!!』

 

「読めてる!」

 

『退けェ!!』

 

弧を描くコクリコの軌道に合わせてkeyは狙いを定めたが、相手が悪かった。

悪魔であるセナがコクリコを操っているのだ、肉体の制限を超えた挙動、すなわち90°の急旋回も容易に行える。

 

ゲームの時には不可能だったその動きは、火筒や氷柱のようなこの世界の変更点だ。知っているか知らないかが大きな差になりうる。

高低熱処理(HAラヴァーズ)】との戦闘を又聞きしたロードはその可能性について知っており、keyは知らなかった。ただそれだけの差が、ここに来て大きく開いた。

 

それゆえアタリやテスラ相手なら上手くいっていたであろうバックショットは空を切る。

 

『ぐぇっ!』

 

「っそ!なんでもありかよ!!」

 

そう叫ぶkeyにロードが追い打ちをかける。

 

「ここで仕留めるぞ!【オルレン】!」

 

「使え!!」

 

『おじゃま虫は排除する!』

 

『輪切りにして盛り付けてやるよ!!』

 

keyはかろうじてロードの放った【オールレンジアタック】を躱す。かなり際どいところではあったが削られた体力が最大値の50%回復し、攻撃バフで【眠り姫のまどろみ】のデバフをかき消すことができてkeyはいささかの余裕を取り戻す。

 

「とりあえず待避だ!」

 

『よっほーい!』

 

13がアタッカーモードのHAでコクリコにダメージを与えつつ少しばかり距離を取る。時間稼ぎ兼ダメージを与えるのが目的だろうか。

 

ただし、

 

『僕の役にたてェ!!』

 

「あのむっつり……援護がいつも的確なんだよ!」

 

ダメージについては全体回復で帳消しにされた。

【眠り姫のまどろみ】がなければ逆にやられていただろうが、たらればを言っても仕方ない。

keyは即時退避を13に命じ、ロードもセナに命じて13との距離を詰めにかかる。しかし、13の移動速度がHSで強化されており、その距離が縮まるのは平常時より少しだけ遅い。

 

その時、ロードにどこからか声が聞こえてきた。

 

《味方が倒されてしまいました》

 

《敵を倒しました》

 

ふたつのセリフに少しだけタイムラグがあったその音声の主はロードの機械音声だった。楼閣はうまいことやったのだとロードは思い、いっそう気を引き締めた。

 

そこで局面が動く。

 

「やれ、13!!」

 

『いよっほーい!!』

 

先程のHAで気づかぬうちにレイアに接近していたkeyと13がHAで楼閣に肉迫する。楼閣はかなり驚いた表情をしている。

敵を倒した後が最も無防備になる。

それは楼閣も例外ではなかった。

 

「!!ジャスくん!」

 

『テヤァ!!』

 

しかしさすがは【不退の不死(カーディナル)】と呼ばれただけあり、楼閣はすぐに反応してバリアを展開させた。あるいは双刃チェーンソー対策のためのバリアで防いだだけかもしれないが、防いだことに変わりない。

 

ジャスティスは半分弱あった体力が少し削れるだけで継続戦闘に支障はなさそうだ。

 

「ジャスくんやって!」

 

『ふん!』

 

少しでも敵の体力を削っておこうと考えたからか、楼閣はジャスティスで通常攻撃をしかける。攻撃速度は遅いが、それでも十分なダメージソースにはなる。

 

その行動を読んでかkeyは次の一手を打った。

 

「【秘めたる】【ヴァルヴァラ】ァ!!」

 

『そぉら!踏ん張ってみろ〜!!』

 

少しのタメはあるものの、体力回復ソースになり得る【吸収カード】の【ヴァルヴァラ】を使った。そのタメは【秘めたる力の覚醒】を使用することで軽減し、更に威力まであげている。

 

「ジャスくんバリア!」

 

『テヤァ!』

 

しかし、敵の攻撃にバリアを合わせられなくてはジャスティス使い失格だと言わんばかりに楼閣はギリギリまでダメージを与え、悠々とバリアで攻撃を防いだ。

 

だがそれでもHSバフと【秘めたる力の覚醒】が乗り、【眠り姫のまどろみ】のデバフが消えた【ヴァルヴァラ】は相当のダメージだったらしい。ジャスティスの体力は700程削られ、13の体力が1100弱回復する。

 

「チッ、やっぱ与ダメ150%回復じゃきちいわ。上方しろ運営!」

 

「余裕だねぇ!」

 

「ボヤいてる場合かよ!」

 

回復量を見てkeyがボヤく。それを見た楼閣とロードがトドメを刺さんと強襲した。

keyの余裕綽々だとも捉えられるその態度は、全てを諦めたかのようにも受け取れる。

 

「っなわけねぇだろ【オルレン】!」

 

「っ!!」

 

「っ!!【バーゲン】!」

 

『まって〜ひつじさ〜ん。』

 

『近寄んな金とるぞ。』

 

しかし、【孤独者達の宴(ロンリネス)】が勝ち筋を諦めきれなかったように、keyも、ただ一人になっても勝ちの目を追い続けていた。

貫通攻撃である【オールレンジアタック】をジャスティスにゼロ距離で放つ。いくら13の周囲の隙が大きいとはいえ、ゼロ距離で打たれれば躱すことができない。

13との距離を詰めていたロードはとっさに【カウンター】カードを使って防いだが、楼閣はそうはいかない。

 

そもそも発動時間【短】の回復が間に合うタイミングではなく、カウンターは持っていない。

ここで楼閣は脱落だ。

 

「ごめんねぇ、ロードくん。」

 

『守れなかった……』

 

『ハッハー!気分爽快!!』

 

ロードはやられた楼閣には目もくれなかった。そちらに気を取られればすぐにやられてしまうと思ったからだろう。

体力が全回復した13に向けて、カウンター攻撃を放つ。

 

『近寄るなァ!!』

 

『ぐえっ!?』

 

その攻撃は13の周囲モーションの残心に見事に攻撃を当て、体力を半分ほど削った。

 

keyはその硬直を好機と捉える。

ロードもkeyの思い込みを好機と捉える。

 

「【フルーク】ゥ!」

 

「【ぶれどら】ぁ!!」

 

両者ほぼ同時に攻撃を放った。

 

《バトルが終わりました》

 

その後、ステージに立っていたのは一人だけだった。




バトルが終わりました。乱数調整です。
ついに終わってしまいました、ギルドウォー編が……(次回は結果発表と反省会とかにしようと思っているのでノーカンで。)

いつものような作成話は今回ちょっとできそうにないので割愛しますね。

この章が終わり、最終章へと入っていきます。
どうか最後まで、あの孤独者達を見届けてやってください。

ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。
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