ロリ#コンパス   作:乱数調整

89 / 113
嵐の前の静けさ

「ギルドウォー優勝おめでと〜!」

 

「『『いぇーい!』』」

 

「はい。」

 

「……けっ。」

 

ギルドウォーが終了した夜、【孤独者達の宴(ロンリネス)】の面々は疲れ果てていたのか、皆ギルドホールに戻るとすぐに眠ってしまった。

 

なので次の日に彼らは祝賀会を開いていた。

開始の音頭を楼閣が取り仕切り、コクリコとめぐめぐ、それにカフカがハイテンションでそれに続いた。その後ろに微笑を浮かべる波羅渡と新しい食器を配膳するヴィオレッタ、それに箸の練習に必死なイスタカがいた。

 

ちなみにジャスティスは装備の調整を行っており、ドクは引きこもっている。

 

ロードとヴィオレッタによる豪華な料理が並び、食卓はいつものように楽しげに見える。

 

その中でロードとカロネは浮かない顔をしていた。

 

「あっはっは。ロードくんが拗ねてるのって珍しいよねぇ〜。写真撮っとこ。」

 

「うっせぇ。見せもんじゃねぇぞ。それに、俺は別に拗ねてねぇ。」

 

「まったまたぁ。最後焦ってkeyくんに近寄ったのを反省してるんでしょ?【フルーク】と【ぶれどら】さんで相打ちにしかならなかったもんねぇ。それも【カウンター】のダメージがなければ負けてたときた。」

 

楼閣にそうズケズケと言われてロードは鼻をひとつならしそっぽを向く。図星だったのだろうか。

 

「あ、そうそうカロネちゃん。シビアな援護求めちゃってごめんねぇ。防御バフと全体回復助かったよ。私はまだCT終わってなかったからさ。」

 

楼閣がそう笑顔でカロネに話しかけるがカロネの表情へすぐれない。

悲しそうな顔をしてカロネが返事をした。

 

「でも……守れ、ませんでした……」

 

カロネはイスタカを守りきれなかったことに罪悪感を覚えていた。自分はタンクであるのに味方の肉壁もせず、ターゲットの切り替えをさせることできず、ただただ後方でバフや回復だけを飛ばしていたのに対しての罪悪感だろう。

 

それを見て、楼閣は言葉を迷う。

 

自身の作戦通りにことが進んだとはいえ、それをそのまま伝えてもカロネは楼閣がカロネを慰めるためにあえてそのような嘘をついたと思うだろう。それ以外の、カロネを傷つけない嘘をついても聡い彼女はその嘘を見破るだろう。

 

そんなことばかり考えて、楼閣は言葉に詰まる。

 

『そんなことはないぞ。』

 

この気まずい沈黙を破ったのは、意外にもイスタカだった。

 

『私がやられていなくては、敵の油断を誘えなかっただろう。私が倒れたことによって、かの堕天使も多少は油断しただろうからな。私がいては遠距離からの攻撃を警戒して、最後の局面を生み出せなかっただろうからな。』

 

「そう……ですけど…………」

 

『それに、全体回復を無駄にしないように私とロード、両方の体力が減った時に使用したのは良い判断だったぞ。あれほどに肝が据わった行動は、そうそうできることではない。他でもないお前がまずはそこを言祝ぐべきだろう。』

 

「そう……ですかね……?」

 

少しだけ照れくさそうにカロネが微笑む。確かに自分は、ギルドの役にたてたのだとそう感じて。

 

それを見た楼閣は、自分ではない別の人が、自分が伝えたかったことを伝えてくれて良かったと思っていた。

同じことを楼閣が言っていたとしても、カロネは納得していなかっただろうと、そう考えて。

 

「まぁ、みんな納得したなら楽しもっか!せっかくの優勝だし、寝てるのか知らないけど引きこもってるドクくんを部屋から引きずり出す勢いでさ!」

 

楼閣が柏手をひとつ打ってそう宣誓する。彼らの夜はまだまだこれからだと言わんばかりに。

 

夜は段々と更けていくのだ────

 

 

 

 

 

明色に染まる空(daydream)】の面々は、どこか晴々とした表情で集まっていた。

机の上には少量のつまみと酒の缶、3人だけの小さな酒盛りをしているらしい。

 

「…………してやられたな。」

 

ポツリとkeyが呟く。主語も目的語もない、歪で不完全な文章だったが、他のメンバーはkeyが何を言いたいのかを察した。

 

「そうだね。隠し球の【ドラ花】は見破られて、速攻仕掛けたけどやられちゃった。他のギルドとも違って、最初の一撃で警戒してジャンヌちゃんのHSが溜まるって状態も回避されちゃったし。」

 

keyのセリフにPRHSがかなり手厳しい反応を返す。keyの表情は優れない。

 

「でも、さ」

 

PRHSはそう呟いて続ける。

 

「あれだけ追い詰めたんだ。そこは誇っていいんじゃないかな?最後だって、あと少しロリコンの王が離れてて【カウンター】が発動してなければ勝ててたし、人数差もあって、あれだけのネームバリューがあるギルドを追い詰めたのは、すごいと思うよ。」

 

PRHSは照れたりちゃかすようなそぶりを見せず、真っ直ぐkeyを見つめて言った。

対するkeyは照れくさそうに頭を掻き、自分の缶を飲みほす。

 

静けさが戻った食卓をレイアがとりなす。

 

「ま、なんにせよ明日からまた気張って行こうぜ。」

 

「あぁ。」「そうだね。」

 

そう言って3人はコツンと缶をぶつけ合う。

 

夜はゆるゆると更けていくのだ────

 

 

 

 

 

 

それぞれのギルドホールで

それぞれのメンバー達の夜が

それぞれの早さで更けていく。

 

次の日、あんなことが起こるとも知らずに。




今回、少しだけ短めですね。乱数調整です。

さて、これでロリ#コンパス6章 害虫駆除の時間だぜぇ!!が終わりました。次回から最終章に入ろうと思います。

……思うのですが、少しだけ待っていただけると嬉しいです。
理由を言いますと、7章の更新を毎分更新しようかと思っていまして、全13話を1分ごとに更新し、ちょうど0時になる瞬間に完結、みたいなことをやろうかと思っているんですよ。ガッツリ私情です。申し訳ない。

今の時点で2話までと最終話は書けているのですが、もう少しかかりそう……となり、いつまでも6章が終わらないのはどうかと思ったのでこちらを投稿致しました。本当は日時までしっかり決めて告知したかったのですが……

とりあえず完結日(仮)としまして、9/19(土)の11:48からの更新にしたいと考えています。四連休ですし、夜更かしの影響がそこまで出ない(といいな……)ので。
そこで出てなかったら察してください……その場合は次の土曜日になると思います。

どんな結末を迎えるか、ぜひその目で。

次回、最終章 さぁ、最期の幕が上がる

ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。