ロリ#コンパス   作:乱数調整

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盟友よ、貴殿の背負う重荷は我には分からぬ。
だが、そのために貴殿はなんでもやるのだろう?
ならば、貴殿の盟友たる我は貴殿の爪となろう。


請われて往き、壊れていき、請われて逝く

「ジャスくん倒して!」

 

『でりゃァァァァァァ!!打ち砕く!』

 

「セナやれ!!」

 

『おじゃま虫は排除するゥ!!』

 

背後の敵をイスタカに全投げして俺たちは前に進む。

セナは【フルーク】の残骸が消える前にその残骸を手に入れたからモーションも使えるし、想定してたよりは攻略が楽になってきてる。

 

それでも、まだ届かない。

 

「ボス、上から来ます!」

 

「チッ!散開しろ!!」

 

俺たちの上空には【サテライトキャノン】が常駐し、20秒おきくらいに上空から攻撃を仕掛けてくる。

さらに【フルーク】もいくばくか復活しているらしく、上空は【フルーク】と【サテキャ】で埋め尽くされている。

 

さらに正面も無限にカードキャラが増えるらしく、紅の狩猟団と蒼王宮の護衛騎士とかいうありえないタッグが結成されるうえに【ちーちゃん】や【ガルガル】といった遠距離射撃にまで気を使わないといけない。

 

「くっそアイツ、攻め方学習して変えてきやがった!脳筋のくせに!!」

 

「対策が絶望的すぎるんだよ!めぐちゃんの攻撃も高度が足りないから上空組に当たらないしっ!」

 

正面の敵が減ったとはいえ上空からの対策ができないから戦況は芳しくない。

牛歩とはいえ進めてはいるだけマシなのだが、これじゃ埒が明かない。

 

「もういい!押し通るぞ!波羅、」

 

「なんですか!?」

 

波羅は必死に上空からの攻撃を避けながら荒っぽく返事をする。かなりイライラしてきているらしい。

なら、状況としてはちょうどいい。

 

「好きに暴れ散らかせ!!」

 

「…………!! Sir. Yes,Sir!!」

 

そう指示を出してやると波羅は獰猛な笑みを浮かべた。同時に敵に超近接戦闘を仕掛ける。

 

大量にいる敵にインファイトをしかけたため、同士討ちをしないドクの【フルーク】から攻撃は飛んでこない。敵を倒しても近くにまだ敵がいるから【フルーク】は同士討ちを避けるって寸法だな。

ホント、考えたとおりに動いてくれる。

 

「まとめて消えなぁ!!」

 

『50口径に耐えられる!?』

 

波羅がガリガリと敵をものすごい勢いで倒していく。

ただ、一方面だけの攻撃だから常に近くに敵がいて【フルーク】も狙い通り攻撃してこない。

 

そう考えていると敵の湧き出るスピードが少し遅くなった。

いや、もともとあのくらいのスピードで、物量が減らなかったからもっと湧き出てるように見えてただけか?

 

いや、そんなことはどうでもいい。とりあえず今すべきは──

 

「楼閣!無理やり押し通るぞ!露払いはセナがやる!」

 

「おっけー!行くよジャスくん!」

 

「俺が今、成すべきことを成す!!」

 

そうして俺たちは地上の敵を無視して走り出す。

これなら届く、あのクソガキに。アイツを一発絶対にぶん殴ってやるんだ。

 

「…………!?ダメっ!ロードくん避けて!!」

 

そう思っていた時に、異変は起きた。

 

楼閣に叫ばれるまま辺りを見回すと、上空に【フルーク】から投下された爆弾があった。

 

待てよ、同士討ちはしねぇんじゃなかったのか?GM(ゲームマスター)はたしかguardollの時設備がもったいねぇからって不意打ち躱させてた気がいやそんなんはどうでもいいいやよくはねぇけど

 

アレ、これ俺死んだ?

 

【盟友!!】

 

走馬灯のように色々な情報が頭の中を巡る中、誰かの声がした。聞き覚えのある、一日だけしか聞けなかった、懐かしい声が。

 

いつまで経っても襲ってこない衝撃を不思議に思って薄目を開けると、目の前に大きな塊があった。

それは5,6m程の大きさで、灰色の鱗を持っていて、二本の足で立っていて、

 

「ぶれ……どら……?」

 

【あぁ、我だ。我が来たぞ、我が盟友よ!!】

 

ここにいてくればいいのに、と思っていた盟友だった。

 

「なん、で?なんでぶれどらがここに!?」

 

【野暮なことを聞くでないぞ、我が盟友よ。盟友に請われたというなれば、我は請われるまま征き、壊れてゆき、壊れて征き、請われて逝こうと言ったはずではないか。】

 

ぶれどらはなんでもない事のようにそう言った。そうか、あのセリフは大言でも冗談でもなくて、本気でそう思ってくれてたのか。ヤバい、なんか泣けてくる。

 

【ソレダケデハアリマセンヨ。私タチモイマス。】

 

「銀ちゃん!?」

 

【おいおい、俺抜きでできると思ってんのか?ただでさえ量がいるんだからさ、ちっとは俺のことも頼ってくれよ波羅っち!】

 

「秘めたるか!?なんでここに?」

 

【姫さん助けるためにゃ、仕方ねぇよな。ここにはいねぇがアイツにも恩を返さにゃならんし、行きがけの駄賃に手伝ってやるよ。】

 

いつか会ったカードキャラが集結する。【ぶれどら】も【Unidoll】も【秘めたる】も、それになんでか知らねぇけど【レオン】だっている。

 

なんでお前たちがここにいるんだ、なんで敵にならなかったんだ。GM(ゲームマスター)が一言いえば敵になっただろうに。

 

【そこは案内人殿の計らいよ!我ら、絶対にあの癇癪持ちには協力せぬと抵抗していた所を、盟友の案内人殿が見つけ、盟友たちに協力できるよう計らってくれおったのだ!】

 

つまり、ここにいる連中はこの状況でも俺達のことを助けようとしてくれてたわけか。

 

全くもう、

本当に、本当に

 

「頼もしいよ、俺の盟友。」

 

【任せるが良い、我が盟友。案内人殿が我の出力の制限を解除してくれたのでな、まずはあの有象無象を蹴散らすとしよう。】

 

そう言って盟友は攻撃をチャージし始める。

 

「…………!?なぁぶれどら、前よりだいぶ威力上がってね?」

 

チャージの時点で前よりもブレスは光を放ち、大きくなっている。

しかも、まだまだ大きくなり続けているのだ。

 

【出力制限を解除されたのでな、我の真の力を見せる時ぞ!】

 

盟友はそう言うと口から光線を発射した。

それはこの前のように紅く、この前のように防壁を無視して、

 

この前とは比べ物にならない程の威力を持っていた。

 

その光線はいくつもの【フルーク】に当たり、次々とそれをスクラップにしていく。

 

【クカハハハハハ!愉快愉快!!お主は制限をかけられず、出力がそのままだったからのぉ!我を格下だと思うとっただろう!残念だが、威力も速さも回転も!全てにおいて我が上位ぞ!クカハハハハハ!!】

 

どれだけ鬱憤が溜まってたんだろうか、俺の盟友……

 

盟友が嬉しそうに叫んでいると、突然隣にガチャガチャと機械が落下してきた。【サテライトキャノン】の残骸だった。

 

【天空竜サン、喜ブノハマダ早イデスヨ!】

 

上空から声がする。【Unidoll】だ。ぶれどらが打ちもらした【サテライトキャノン】を叩き落として戦闘継続不能にしたらしい。【サテライトキャノン】からは行き場を失った電流が迸っている。

 

【すまぬ防衛主任殿、助かったぞ。】

 

【イエ、ソレヨリモ集中シテクダサイ。】

 

【あいわかった!】

 

盟友とUnidollがそんなやり取りをする。それが聞こえていたのか地上の【カードキャラ】達は盟友とUnidollを警戒した。

 

だが、奴らは一人忘れていた。

 

【おいおい足元がお留守だぜ……っと!!】

 

秘めたるだ。秘めたるはカードキャラ達の後ろに回り込んでインファイトをしかける。完全に不意を突かれたカードキャラ達はなすすべもなく消えていった。

 

【進むぞ盟友!】

 

「おうよ!」

 

その空いた隙間を俺たちは進軍する。この調子ならあっという間にあのバカのところまでたどり着ける。

 

【屈ンデクダサイ!】

 

その時、Unidollが突然そう叫んだ。素早く屈むが何も起こらない。

 

「…………何だったんだ?」

 

【オカシイデスネ……私ノ計算デハ、500m右斜メ後方カラ銃撃ガアッタノデスガ……】

 

俺はUnidollにそう聞くが、当の本人も分からないらしい。

 

「まぁ、よくわかんないことはよくわかんないで良いんだよ。それより先に急がないと!」

 

楼閣のその一言で俺たちは先に急ぐ。ただでさえ時間が足りないのだ、無駄口を叩いている暇などない。

 

そこからの道中は楽だった。盟友が空を、秘めたるが地を制圧し、Unidollが遊撃をする。めぐめぐやセナの攻撃もあって危なげなくドクのいる場所までたどり着いた。

 

「……チッ、やっぱ守りと逃げ道だけは万全か。」

 

「【全天】だねぇ。どうしようか?」

 

ドクを守る最後の砦、【全天首都防壁】の前に俺たちは立っていた。

多分これは時間では消えない。消えたとしてもそれに合わせて再展開するだろう。

 

【カノーネ】を筆頭にダメカ破壊は向こうの陣営。割るのは無理だろう。

 

「だったら、賭けるしかないだろ?高負荷かけて無理やり割る。」

 

「ま、そうなるよねぇ。」

 

俺と楼閣はそれで合意して、いざ指示を出そうと自分のヒーローの方へ向き直った。

 

その時だった

 

ガラン、と何かが落ちる音がしたのは、

紫色が空気に溶けたのは、

 

その時だった。




『どうしてあんな約束をしてしまったのか』

『どうしてあんな重荷をあいつに背負わせてしまったのか』

『『あいつに任せるべきではなかった』』
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