ロリ#コンパス   作:乱数調整

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荒れている。
契約相手が荒れている。
これでは僕達の目的は果たせない。
効率よくいこう。
さぁて、駄々をこねるあの契約相手(クソガキ)に、少しちょっかいをかけてみるか。


深淵はあなたを覗いて

ガラン、と金属製の何かが地面に叩きつけられる音がする。

 

嫌な予感がした。

 

「コク、リコ……?」

 

俺は嫌な予感を振り切って振り返る。そこにいるはずの姿を求めて。

 

振り返った先で目にしたものは、装着者を失って山積みになった鎧だけだった。

 

そこにはいつもの頼もしい背中はなく、

そこにはいつもの狂った少女もおらず、

 

守りたかった最愛の姿も、どこにもなかった。

 

「コクリコ……コクリコ、は、どこに、いるんだ?」

 

誰か教えてくれ。誰でもいい。

この現状を嘘だと言ってくれ。

 

そう願っても叶わない。

 

「なぁセナ、返事しろよ?これからだろ?まだコクリコを助けられてねぇから、なぁ!!」

 

「無駄ですよ。」

 

冷たい声がした。

きっと俺に、悲しい事実を突きつけようとする声が。

 

「もう、終わりです。」

 

死刑宣告だった。

 

この世界で俺たち縺ッ蛛ス迚ゥだそんなこと分かりきっている。

だけど諦められなかったんだ。俺の事を縲舌♀蜈?■繧?s縲だという縺ゅ?蟄舌?譛ャ迚ゥ縺ョ莉」繧上j縺ォ縺ェ繧俺は今までできることはなんでもやってきた。

 

でも、それが莉雁凄螳壹&繧後※縲なら菫コ縺ッ縺ゥ縺?@縺溘i縺?>?滄??闃ア縺ァ縺ゅm縺?→縺励◆?俺はこれから繧?▲縺ィ蟋九a繧峨l繧のに、こ繧な縺ィ縺ろで隲ヲ繧√iれるわけ縺後↑縺

 

そ繧ゅ◎も、縺ェ縺懊□縲√↑縺懷ヵ縺ェ繧薙□縲よ舞縺医↑縺九▲縺溘?ゅ≠縺ョ蟄舌?縺溘a縺ォ縺翫§繧?∪陌ォ縺ッ蜈ィ縺ヲ謗帝勁縺吶k縺ィ諤昴▲縺ヲ縺?◆縺ョ縺ォ縲∽ソコ縺ッ縺セ縺?菴輔b縺ェ縺帙※縺?↑縺??ゅ%繧後°繧峨□繧阪≧?溘↑縺ョ縺ォ縲√↑縺ョ縺ォ縺ェ繧薙〒|菫コ縲雁ヵ縲九?笏?笏?

 

 

───────────────────────

 

黒く染まった。

いや、実際には何も変わっていない。変わっていないのですが、なぜだか僕には黒く染まったように感じられたんです。

 

なにが、と聞かれると、ボスが、と答える他ありません。

 

【全天首都防壁】の前まで来て、さぁこれからだと気合いを入れ直したとたん、ヒーロー達が消えました。

 

めぐめぐもジャスティスさんも、

 

もちろん、コクリコさんも。

 

その時のボスはどんな顔をしていたでしょう?

憤怒?憎悪?

 

僕が見たのはそんな表情ではありません。

 

僕があの時ボスの顔に見たのは【絶望】です。

 

どす黒く煮詰めて固まり、鍋のそこにこびりついたような絶望がそこには浮かんでいました。

 

嗚呼、

 

どうしてあなたはそんな顔をされたのですか?

どうしてあなたはそんな顔をしているのですか?

 

そう問いかけたいのですが、そのようなことは決してできません。

 

「ああああああぁぁぁァァァァァァアアアアアアア!!」

 

ボスは正気を失ってしまったようですから。

 

《間に合い、ませんでした……申し訳、ございません……》

 

苦しそうにキィさんが僕達に告げます。

そういえば、【秘めたる】や【ぶれいずどらごん】を呼び寄せてくださったのは彼女でしたっけ。

きっと、ヒーローが消されないようにいろいろと動いてくれていたのでしょう。

 

でも、それももう終わってしまったのです。

それも、考えられうる最悪の形で。

 

「もう終わりです。」

 

ドクが、この世界の神とも言えるGM(ゲームマスター)が僕らにそう言い放ちます。

 

邪魔をするものはいなくなった。反抗するすべもなくなった。

だからもう、彼に危機はないはずだ。

 

なのに、

なのにどうして、

 

あなたはそんなに泣きそうな顔をしているのでしょうか?

 

「もう無理です。ゲームオーバーですよ。あなた達の牙は抜きました。そこにいる【カードキャラ】たちも、新たに【カードキャラ】を出す手間がなくなるのですぐに消せます。」

 

もう諦めてください、とドクは言う。

そんなに簡単に諦められる物ではなかったのですが、こうなった以上、それ以外の選択肢もないでしょう。

 

無理やりついてきたのに、なんの役にもたてなかった自分がいる。

強く生きようと母に誓って、一度も実践できなかった自分がいる。

 

そんな自分が、僕はこの上なく憎らしい。

 

「やだね。」

 

そう悲観にくれている時、楼閣さんが堂々と言い放った。

 

「はい?」

 

「嫌だって言ったんだよ。聞こえなかったのかい?」

 

ドクが聞き返すが、楼閣さんはもう一度、ハッキリと拒絶の意を伝える。

思えば彼はいつもそうだった。いつもいつも、あの人と同じく突拍子もないことを言い出すんだ。

 

「ヒーローはいない、そちらには手札がない。そのうえ【全天首都防壁】に阻まれて僕を説得することもできない。もう詰んでるでしょう?」

 

「まぁ、その状態なら詰んでるよねぇ。」

 

飄々と余裕をかましながら楼閣さんが煽る。

 

「そうでしょう?だから──」

 

「でもさドクくん、」

 

ドクが小さな子をあやすように、言いくるめるように楼閣さんに話す。けれど楼閣さんはその言葉を遮って言い放つ。

 

「ちょっと上、見てみよっか。」

 

「上?」

 

そう言ってドクと僕が上を見た時、それは起こったのです。

 

【全天首都防壁】が、粉々になって降ってくる。

 

そんなありえない出来事が。

 

「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そして降ってくる【全天】の中心には、あの人がいました。

 

犬歯をむき出しにして白目を向きながら、血の涙を流して半狂乱で攻撃を繰り返す、僕の敬愛する主の姿が。

 

「ぅぅぅぅぅぅゥゥゥゥゥぅぅうううァァァァァあぁああああああああ!!」

 

「……!?ボイちゃん!」

 

『スベテヲフキトバシマス!!』

 

半狂乱でドクに襲いかかるボスをvoidollが止める。割って入って吹き飛ばしたはいいものの、ボスはそこまで離される前に地面に足をめり込ませて減速する。

 

荒々しく野性的なその姿はいつもの冷静なボスからは考えられない。

 

「ああああああああぁぁぁああああああ!!」

 

「【全天首都防壁】再展開!!」

 

ギィン!と硬質な音が鳴る。ドクが【全天首都防壁】を再展開してボスがそれを殴った音だ。

 

ただ、そのカバー範囲は前よりも小さくなっている。

 

戦況が見える。ただ見ているだけではいけないのに、熱くなって、必死になってでもボスを助けなきゃならないのに、どこまでも冷静に僕は戦況を見ている。

どうしてこんなに、僕は冷静なのでしょうか?

 

「波羅ちゃん」

 

楼閣さんの声がした。振り返るとジャスティスの鎧に身を包んだ楼閣さんがいた。

 

なぜ、その鎧をあなたが着ているんでしょうか?

なぜ、あなたはそんなに悲しい目をしているのでしょうか?

 

「……もう、分かっちゃったよね?」

 

その一言で分かった。全てが繋がった。

 

僕を含めたギルドメンバーを連れていきたがらなかった理由も、ボスがいきなりいつかの力を振るっている理由も、その全てが。

 

行っても行かなくてもどうせ別れるなら、行かない方が良いと思ったんだろう。

 

目を逸らしたかった。

この現状から、この惨状から、

これからきっと僕を失望に突き落とす言葉を放つこの人から。

 

「私たち……というか、私とロードくんだけだと思うんだけどさ、私たちはゲームと混じっちゃったんだよ。ゲームと混じって、身体から組み変わっちゃったんだ。」

 

聞きたくない。

 

「ロードくんはセナくんを自分に取り憑かせた時から、私は銀ちゃんに助けてもらった時から。」

 

止めてください。

 

「銀ちゃんによると、データでしか存在しない物を取り込んだから混じっちゃったらしいよ?食べ物とかは大丈夫らしいから安心してね。」

 

それ以上は

 

「知られずに終われれば一番良かったんだけど、こうなっちゃったからねぇ。一発でも当たったら、多分波羅ちゃん死んじゃうよ?守ってくれるヒーローももういないんだ。」

 

僕を拒絶しないで。

 

「だから波羅ちゃん、」

 

 

もう下がっていて。

 

 

楼閣さんが拒絶を示した。今まで示さなかった強い拒絶を。

 

楼閣さんは返事を聞かずに歩き出す。いつの間にやら大量に増えていたカードキャラ達に向けて歩き出す。

 

ボスは一心不乱に【全天】を殴り続ける。

【ぶれいずどらごん】は空の敵を一掃する。

【銀河防衛ロボ】はその討ちもらしを落とす。

楼閣さんが地上の敵を打ち砕き

【秘めたる】が楼閣さんの死角の敵を倒す。

 

まただ、

また僕は

この世界でも僕は

 

強い人たちに守られている。

 

「んなんで納得できるかよ!!デネブ!!」

 

《お呼びでしょうか》

 

僕の案内役のデネブがそう返す。僕は彼に何と?

決まっている。答えなんてひとつしかない。

 

「力をよこせ!!俺があの人たちに報えるような力を!!」

 

《言うと思いご準備致しました、上空をご覧下さい》

 

デネブに言われるがまま上を見ると、ガトりんが飛んできていた。

 

《セミオートですので指先でご調整をお願いします、弾数には制限がございます》

 

「あぁ、分かった。」

 

《ご武運を》

 

そう言ってデネブは会話を止めた。彼もいっぱいいっぱいだっただろうに申し訳ない。

けれど、それを気にしていたら僕は守られっぱなしだ。

 

「蹴散らすぜ、()の主のために!!」

 

迷うことなく、僕は引き金を引いた。




ギルドホールの画面の中で、【孤独者達の宴(ロンリネス)】のメンバーが戦っている。

なんのためにかは俺にはわかんねぇ。けど、俺たちにできないことを奴らはやってるんだ。

「勝てよ、ロード」

「勝ちなよ、ロードさん」

「俺達には、祈ることしかできねぇから、せめて応援くらいはさせてくれ。」

明け色に再び空が染まることを夢見て、この白昼夢が終わることを夢見て三人と三人は祈る。
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