門扉の向こうにあったのは、薄らぐらい雰囲気の廊下だった。
エントランスの明るさから一気に暗い気分にさせられた。
暦「雰囲気が、さっきと全然違うな……」
ミ「ここはどこなの……?」
少し不安になっている二人だった。勿論僕もだった。
こんなに不気味な場所に来たのは、生まれて初めてだ。気分が悪くなる。
僕らはどこにいるんだろう……そんな感情をよそに、突然廊下にあった引き扉が開く。
?「あら。他にも人いたのね……って何をしてんのよ」
僕らは驚愕のあまり、いつの間にか抱き合っていた。僕の右に阿良々木君、左にミカサという風に。なんだか、今思うと凄く良い位置に居たと思う。
霊「博麗霊夢よ。とりあえずよろしく」
博麗は部屋から出て、僕らに自己紹介をする。
さっきと同じ下りになるので、僕らの自己紹介は省略。
霊「それより、あんたらはこの場所の関係者?」
充「え、違うけど……」
霊「そう……やっぱりどこかに隠れてるのかな……」
充「あの、博麗さんは、一体どうしてこんなところに……?」
霊「ん? ああ、別に霊夢で良いわよ」
軽くそう言うと、霊夢は思い出したかのように言う。
霊「そういえば、説明しなくちゃね。私達は今探索中なの」
充「探索中?」
暦「それって、この場所を?」
霊「当たり前よ。」
ミ「達ってことは、他にも誰かいるの?」
霊「ええ、そうね。一度玄関らしきところで5人ほど集まってたけど、探索でもしないと、ここがどこだかわからないということで、皆で散策中なの」
どうやら僕らが会った人以外にも、人は沢山いるらしい。だとすると、少なくとも、今で十一人いるってことか。しかも、どの人物もみな、ここがどこだか分かってないし……僕らは、閉じ込められているのか?
暦「玄関らしきところってのは……?」
僕もそれに疑問に思っていた。何で玄関じゃなくて、玄関らしきところなんだろうって。
霊「私もよくわかんないのよ。眼鏡を掛けた女の子がそんな気がするって言っただけで、しかも鉄の塊で封じられてるし」
充「鉄の塊?」
霊「うん、結構でかかった。どんなことをしても傷一つ付かないのよ……」
暦「やっぱり僕らは、監禁されているのか……?」
霊「まだわからない。皆さっき探索し始めたばっかだし──」
?「うわあああああああ!!」
その博麗の言葉の矢先、突然霊夢が居た部屋と違う、隣の部屋から悲鳴が上がる。
霊「なにっ!?」
暦「何だ一体!」
霊「──!!」
僕らが慌てふためいてる中、霊夢は真っ先に悲鳴がした扉へ一直進に向かう。
霊夢が扉に手を掛けて、扉を開けると、教室に入る。
霊「どうしたの!」
?「ああ、それが……」
僕らも意識を取り戻して慌てて教室に入るが、そこに居たのは、円筒のでかいロボットと尻餅をついた少年だった。
?「いやぁ、こいつがここで寝てたんで、起こそうと思ったら滅茶苦茶ビックリされてな……」
いや、そりゃビックリするさ……。
誰でも目が覚めたらロボットが起こしに来る状況なんて、想定できない。幼馴染の女の子に起こされる男の子もビックリだ。
霊「もう……寿命縮むじゃないの」
?「悪い悪い。おい、立てるか少年」
?「は、はい……」
ロボットが手を差し出すが、一瞬どうすれば良いのか躊躇って手をグーパーさせるが、結局その手に
?「ありがとう……」
まだ状況が処理できてないのか、少しだんまりを決め込む。
そしてロボットは少年から少し下がって、右手を大きく上げて、お辞儀をしながら右手を体の前に潜らせるという、西洋貴族がやってそうなお辞儀をした。
メ「俺は、メカ沢新一だ」
それに続き、少年以外も皆自己紹介をする。
苗「僕は、苗木誠。これからよろしく……で、いいのかな?」
躊躇った様子だったが、この状況、どうやら彼は状況をまとめ切れていないらしい。
霊「突然で悪いんだけど、訊きたい事があるの。貴方は何者?」
苗「え……普通に高校生だけど……」
霊「……それじゃ、別の質問。貴方は何故ここにいるの?」
苗「…………わからない。目が覚めたらここにいたから……」
苗木君はメカ沢君の方を横目で見たが、すぐに僕らの方へ視線を返す。
苗「僕、
ミ「え?」
充「どうしたの?」
ミ「場所は違うけど、私と私の友達で希望ヶ峰学園に遊びに行こうとしていた時に、突然景色がおかしくなって、目の前が真っ暗になって……」
暦「僕も同じだ。気付いたらベッドで寝かされてたんだ」
霊「あら、私もそうよ」
メ「俺は玄関で目を覚ましたがな」
充「つまり、皆同じように目の前を真っ暗にして、皆所々で眠っていたというわけだね……」
暦「そういうことになるな。」
充「…………」
それを気に、皆は黙りこくってしまう。自分の置かれた状況に、恐怖を感じ始めたのだ。
皆同じ状況。
計画的に練られた監禁。
壁にある鉄板。
まるでここに閉じ込められているようだ。
しかし、どうして僕だけはそんな状況じゃないんだ? 僕は気付いたらそこにいた。その部屋にいた。
……なんでだろう?
充「集団誘拐って奴かな……」
暦「なあ霊夢。外へと連絡手段とかはないのか?」
霊「調べたばっかりだからわからないわ。玄関らしきところにもそれっぽいのもなかったし……」
暦「ごめん、少し退室する」
突然阿良々木君は部屋から出て行く。
メ「どうしたんだ、あの小僧は?」
充「う、うん……なんだろうね」
僕は何となく察しはついていたが、この状況にあの
まあ、そこまで察しが良い訳じゃないからね。
世の中では、女の子は女の子同士でしか言えない話があるように、吸血鬼は吸血鬼同士でしか言えない話もあるだろう。
しかし、この絶望的な状況を打破することができるのだろうか? こんな状況を作った人物が、そこまで想定しているかはわからないけど、しかし、もし閉じ込めるのが目的なら徹底的にしているだろうし……考えすぎかな。
霊「これじゃ、他の人を見つけても同じかもね」
充「少なくとも、ここの教室にいる皆と阿良々木君が全員同じ状況だからね……」
メ「八方塞か……」
ミ「…………」
苗「と、とりあえずさ、他に誰がいるか探そう! 動かないと何も進展しないよ」
充「そうだね……動かないよりはマシか」
ミ「それならば、早くしよう」
僕らは探索することに決めて、教室から出る。そしたら阿良々木君が目の前に立っていた。
充「あれ、どうしたの?」
暦「ああ、実はさっき人が通ってさ。食堂に向かったみたいだから、それを教えようとしたんだ」
充「どんな人たちかわかる?」
暦「……ああ。人数は四人だった。僕が知っていたのは、
充「…………」
何であいつまで……と低い声で呟く阿良々木君。
友達が、同じく監禁されている状況。嫌過ぎる。誰が好き好んで友達と一緒に監禁されて喜ぶ奴がいるんだ。
霊「とりあえず、食堂に行ったのね」
暦「ああ。そう言っていた」
霊「わかったわ。それじゃ、私は他の連中も連れていくから、あんた達は先に食堂に行っておいて」
充「……わかったよ」
そこで霊夢と僕らは分かれて、もう一度食堂へと戻る。
そして驚いた。その食堂に置かれていた状況に。
?「こんなうまいもん、初めて食べたぞ!」
?「私もだぜ!」
?「ふん……意地汚いな……」
?「そういうこと言っちゃダメだよ、十神君」
そこには、とある四人がカレーを食べている姿だった。
ア「いっぱいあるからお変わり自由だよー!」
?「アルミン! おかわりだ!」
?「私もおかわりだ!」
?「二人とも食欲旺盛だね~」
何だかその雰囲気は、とても元気があった。僕達も元気になるようで、安心する。
暦「相変わらず委員長だな、お前は」
?「あ、阿良々木君じゃない。さっき振りだね」
阿良々木君の声に反応して、委員長さんはこちらへ振り向いた。
?「なるほど。貴方達が阿良々木君の言ってた人たちね」
そして彼女は椅子から立ち上がり、
翼「初めまして。羽川翼です。これからヨロシクってのも変だけど、よろしくお願いしま──」
ミ「エレンッ!!」
翼「──す!?」
と突然ミカサが声を張り上げて、カレーを食べている、ミカサと同じ服装の人に一直線に近づいた。
?「ん──んわぁ!? な、なんだ!?」
あまりの出来事で動揺する、エレン・イェーガーだった。
エ「ミ、ミカサか?」
ミ「エレンエレンエレン……」
ミカサはエレンの胸板に頬擦りをしている。とても心配していたんだろう。
エ「やめろって……恥ずかしいだろ……」
ミ「うん……ごめんなさい……」
そのごめんなさいは、僕には何だか嬉しそうに聞こえた。
ア「本当に良かった……二人とも無事で」
エ「ああ、本当にな」
ミ「うん。良かった。本当に良かった」
何だかそこの雰囲気だけは誰にも壊し難い、特殊な結界でもあるようだった。これが絆という奴だろうか。不思議な感じだった。
ア「それよりもさ、皆に自己紹介しないと」
エ「ああ、そうだった……えーっと、普通の挨拶でいいんだよな」
ア「うん、大丈夫だよ」
アルミンが言うと、エレンは僕達の方へ体を向ける。
エ「俺はエレン・イェーガーだ。これからよろしく頼む」
次に、エレンの横にいた白黒の魔法使いが立ち上がった。
魔「私は霧雨魔理沙だ! よろしくな!」
意気揚々とした元気のある聞きやすい声だった。
バラエティー豊かにも程があった。
最後に、羽川さんの反対側に座っていた眼鏡に皆が視線を向ける。
十「……十神白夜だ」
先ほどの三人とは違い、十神君はきつそうな人だった。
後は僕、阿良々木君・ミカサ・メカ沢君・苗木の順番で自己紹介をした。
そしてその後に、厨房の三人も自己紹介を終えた。
ア「そうだ。皆もカレー食べる? さっき出来たばかりなんだ」
翼「皆で食べたほうが美味しいと思うし、どうする?」
充「それじゃ、いただこうかな」
ミ「エレンと食べれるなら、何でも食べる」
暦「お腹が空くと気分悪くなるし、僕も食べようかな」
苗「じゃあ僕もいただくよ」
メ「皆には悪いが、俺はカレーが昔から苦手でな……俺は遠慮しておくよ」
メカ沢君以外は全員食べるということになり、アルミンが厨房に入り、御盆にカレーを乗っけて、
アルミンがフレディと一緒に戻ってきた。フレディの登場に羽川さん率いる四人は驚いてはいたが、すぐに打ち解けた。フレディは結構無口だけど、凄く優しく気が利く高校生だった。……高校生か悩むほどの外見だけど。
霊「あら、えらく賑やかね」
和気藹々と仲良くカレーを食べている時、霊夢がさっき言っていた人を連れてきていた。
霊「にしても、キャラクター豊かねぇ……」
?「私はこの雰囲気は嫌いじゃないぞ」
?「…………」
霊夢が連れてきたのは、無駄におっぱいを強調をしている、容姿端麗な美人生徒会長さんとクールな印象を持つ女の子だった。
この二つだけで、ご飯5杯はいけるんじゃなかろうか。
霊「まあ、あんたらも大概キャラ濃いけど……」
?「そうか? 普通だと思うが」
?「そうね……」
霊「まあいいわ。それより、自己紹介しましょう」
黒「うむ! 私は黒神めだかだ! 箱庭学園で生徒会長を務めている! 以後、よろしく頼む!」
その自己紹介は、誰よりも凛としていて、一見するだけで物凄い人物だとわかった。
霧「…………霧切響子よ」
その後に、霧切さんの自己紹介をする。
いや、うん。あの人の後に自己紹介は、何だか少しきつい気がする。
例えて言うなら、大黒柱の芸人による漫才のあとに、素人芸人による漫才披露をやらされている気分だ。一緒に居る分はいいだろうけど、職として考えると、少し憂鬱になる。
僕らも軽く自己紹介をする。
暦「……全員で15人か。人数としては切りがいいが……」
翼「うん、一様隈なく探したつもりだけど、向こう側にはもう誰も居ないと思うよ」
ア「さっきフレディに個室の部屋の数を数えてもらったんだけど──確か15室あったんだよね?」
そう言うと、フレディは首を縦に振る。
暦「じゃあ、コレで全員な訳か……」
ア「でも、どうしてこれだけの人間がこんな場所に一集してるんだろ。何かあるのかな……」
霊「──もしかして、希望ヶ峰学園に行く途中だったりする?」
ア「え、うん。そうだけど……」
翼「私もそうだったよ」
魔「私も散歩がてらに行こうと思ったんだけど、いきなり視点がおかしくなってな。気付いたら変な個室で目を覚ましたんだ」
苗「もしかして、皆同じ理由で、希望ヶ峰学園に来る途中で、意識を失ったの?」
皆首を縦に振る。
霊「やっぱり……」
ア「その話が本当なら、この建物の中は希望ヶ峰学園の可能性が高いかもね」
エ「え、そうなのか?」
ミ「エレン。食べながら喋るのは行儀が悪い」
そう言われるとエレンは、すぐにカレーを飲みこんで、すぐに話を戻す。
エ「でもさ、どうして希望ヶ峰学園なんかに誘拐する必要あるんだよ。
閉じ込めるのが目的なら、最初から誘拐なんてせずに、皆を学園に入れてから閉じ込めればいいじゃないか」
ア「多分、そうできなかった事情があるかもしれない。建物の外見を見られたくないとか……」
苗「僕は来る時に見たよ。地図をちゃんと確認したし、凄くでかかったから印象に残ってるよ」
ア「うーん……だとしたら、時間がなかったからなのかな……」
黒「何だかよくわからんが、つまり私達はどういう状況なのだ?」
霊「あの玄関らしき所の鉄板を見て思わなかったの? 私達は閉じ込められてるのよ……」
黒「ふむ……しかし、どこかに窓があるんじゃないのか? そこから出れば良いだろう」
暦「窓は基本的に鉄板が打ち付けられてたんだ。だから外に出るどころか、景色さえ見ることもままならないんだ」
黒「成る程な。ならば壊せばよかろう」
暦「……それは僕が試した。だけどダメだったよ」
黒「八方塞という訳か……」
キーンコーンカーンコーン
そんな皆が悩んでいる最中、それは突然始まった。
『あー、あー。マイクテス。マイクテス。校内放送、校内放送
ねー皆聞こえてる? 聞こえてるよね?』
そんな声が、食堂の壁にあったモニターから流れた。
そこから流れた声はとても不気味で、まるで殺人現場を陽気に走り回る子供のような、そんな不快感を感じてしまう。
そんな声は、まだまだ続いた。
『えー、ではでは。これより、希望ヶ峰学園入学式を執り行いたいと思いますので、
みなさん至急、体育館までお集まりくださーい!
呑気にカレー食べてないで、さっさと来るようにね!』
そして唐突に、モニター画面から音声がなくなり、電源が切れた。
魔「何だ今の?」
霊「……何だか、嫌な雰囲気ね……」
上「あの……上条さん少し怖いんですが……」
みんなの雰囲気は最悪とまではいかなかったが、少し陰鬱な雰囲気になった。
何だあれ。体育館? 入学式? 何のことなんだ? さっぱり、わからない……。
僕は小さく足を震わせていた。只ならぬ、見えない恐怖に。
十「俺は行くぞ……」
十神君は立ち上がり、食堂から出て行く。
黒「ふむ。入学式か……しかし入学手続きを出した記憶はないが、話は聞いておくべきかもしれんな」
そういうと、黒神さんも立ち去る。
メ「何だか良い雰囲気じゃねぇな……行くっきゃねぇか……」
魔「それじゃ、私も行こうかな……」
メカ沢君、魔理沙と続いて、フレディも食堂から消えていく。
エ「俺達も……行ったほうがいいのか?」
ア「わからない……でも、行かないよりはマシかもしれない」
ミ「大丈夫。二人は絶対に私が守るから」
エ「……それじゃ俺達も先に行っておくぞ」
エレン・アルミン・ミカサと続いて出て行った。
食堂に残ったのは、僕、阿良々木君、羽川さん、上条君、苗木君、霧切さんが残っていた。
上「だ、大丈夫なのか……? 何だか、凄く不穏なんだが……」
暦「でもここで立ち往生してるわけにもいかないだろうし……」
翼「行ったほうが、賢明かもしれないね」
霧「そうね。ここで待っているより、ずっと良い選択だわ……」
苗「そう……だよね……」
皆陰鬱な雰囲気の中で、しかしここに居ても仕方なさからか、行くために決心を固めていた。
上「行かないと……ここがどこだかも、どういう状況なのかもわかんねぇしな!」
暦「よし、皆で行こう。そしたらまだ安心できるだろ?」
充「赤信号、皆で渡れば怖くないって奴だね」
僕らは一緒になって、食堂から足を踏み出した。
次回、モノクマ学園長のありがたいお話です。