R-TYPE M-Alternative   作:DAY

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六話 消毒

 

 この世界にやってきた22世紀の地球軍―――即ち第2太陽系防衛艦隊に所属するグリトニル突入部隊はこれからの方針を固めた後、まず最初に稼働可能なR戦闘機の全てを使って地球上を衛星軌道上から偵察させた。

 

 この世界の人類とBETAとの戦闘にはなるべく関わらない―――というかそんな余力がないので干渉は最小限にする予定だが、万が一にもオリジナルハイヴに落下したグリトニル以外にもバイドが存在するとすれば、それは彼らにとっても他人事ではない。

 

 グリトニルは落下の際に複数のブロックが脱落して地球のいくつかの場所に落下しており、そのブロック内部にバイドが潜んでいる可能性も大いにあり得るのだ。

 その為、グリトニル制圧部隊はまずグリトニルの再突入の前にこれらの落下したブロックの調査を行うことを決定した。

 

 そしてバイドが残存していれば最優先で殲滅し、そうでなくても自分達の痕跡と技術の流出を防ぐため内部に残された機材や情報を徹底的に消去する。何しろ時間軸も歴史も違うこの地球は彼らの地球ではない。同じ地球人のよしみとして手助けする程度の義理はあっても義務はない。

 だがなによりも22世紀の地球軍が、この21世紀の地球を同じ地球人だから無条件で助けるという無邪気な思考になれない最大の理由は、更に別の時間軸である26世紀の地球が異次元に廃棄したバイドによってもたらされた被害が余りにも大きすぎ、別の時間軸の地球という存在そのものに潜在的な猜疑心を植え付けられた事も大きな一因だろう。

 極東に落下し現地勢力に一足先に確保されてしまったブロックもあるが、そのブロックからはバイド係数は検出されてなかったこともあり、そちらの対処は指揮官機でもあるエニグマが向かうことになった。

 

 R-9Sk2 "DOMINIONS(ドミニオンズ)"コールサイン『フレイムタン』はそういった経緯もあってアラスカに落下したグリトニルのブロックの調査に回された機体だった。

 そしてフレイムタンが現地に到着した時、機体のセンサーが捉えたのは異常増大したバイド係数と、落下したブロック内部で増殖したと思わしき有機型バイドに襲撃される現地勢力の部隊だった。

 この種の有機型のバイドは戦闘力は低いが、侵食能力が極めて高い場合が多く、一刻も早く殲滅する必要がある。都合のいいことに彼の機体はそう言った『消毒』にうってつけの機体だった。

 現地住民との接触や自機を目撃させることは極力避けろというオーダーがあったが、この際無視するしかあるまい。どのみち最終的にはある程度は彼らとも歩調を合わせる必要があるし、R戦闘機の戦いを秘匿し続けることなど不可能なのだから。

 

 故にフレイムタンは即座に装備された波動砲による低出力による波動砲撃を、現地部隊の最後の生き残りに襲いかからんとしていたバイドに汚染された人型機動兵器の群れへと浴びせかけた。

 R-9Sk2に装備された波動砲―――灼熱波動砲Ⅱは機体に搭載されたトカマク型核融合炉から超高熱のプラズマを引き出し、それを波動粒子集束技術の応用で集束させた上で波動粒子を付与して敵に向かって叩きつけるという、いわばR戦闘機用の超大型火炎放射器だ。

 

 その性質上、純粋な弾速や射程は他の波動砲に一歩譲ることになるが、射程範囲内の火力と殲滅力は他の波動砲の追随を許さない。この波動砲を最大出力で放てば戦艦クラスのバイド汚染体ですら一撃で灰も残さず消滅させるほどであり、この機体がグリトニル内部への突入部隊へと抜擢されたのも、この機体の汚染体に対する殲滅力を評価されてのことだ。

 

 勿論、戦場が地球上ということと、現地の部隊の生き残りがいることも考えて、波動砲の出力は可能な限り落としていたが、それでもこの現地部隊の人型機動兵器をベースにしたバイド汚染体群には過剰と言ってもいい威力だった。

 瞬く間に彼のコールサインを思わせる巨大な炎の舌に絡め取られた汚染人型機動兵器の群れは一瞬で熔解して、跡形も残さず消え去った。

 ブロックの外に出ていた汚染体の群れを殲滅したフレイムタンは、改めてブロックを機体の各種センサーで走査する。

 

 バイド係数、21.65。

 

 予想以上に高い数値だ。このブロックには確か生体プラントがあったはず。それに加えて取り込んだ現地部隊を使って増殖したのか。

 いずれにしてもやることは変わらない。

 フレイムタンは波動砲をチャージしつつ、箱型の大型ブロックの周りを旋回して汚染体の生き残りがいないかどうかを探る。

 その際、現地部隊の生き残りである人型機動兵器―――確か戦術機という呼称だったか―――の存在に今更ながら意識を向けた。

 警告の一つでもしておくべきか、とも思ったが許可のない現地勢力との接触は可能な限り避けろとも言われている。戦闘を目撃された今となっては今更だが、必要もないのに無駄にこちらの情報を与えるのもうまくない。念のためバイド係数を計測した所、幸運にも汚染は免れたようだ。ならば無理に始末する必要もない。

 レーダーによると更に戦域の外側にも別の部隊が待機しているようだが、これも無視しても問題ないだろう。

 

 結局彼はこれらの現地勢力の存在を無視して、バイドの殲滅を続行することに決めた。まともな判断力があるなら、彼らの戦力でR戦闘機とバイドの戦闘に関わりあおうとは思うまい。

 それにあの機体のパイロットが仮に錯乱でもして攻撃を仕掛けてきても、穏便に無力化出来る自信がフレイムタンにはあった。

 

 そこまで考えた所で灼熱波動砲Ⅱのチャージが完了した。他に敵影もバイド係数も検出されない。外部に出た敵は殲滅したと判断した彼は乗機を操り、ブロックに空いた大穴の前へと移動させる。

 フレイムタンはこの一撃を大穴に撃ちこんでブロックを内側から焼き払うつもりだった。

 頑丈なグリトニルのブロックの外殻は、低出力に抑えてあるとはいえ灼熱波動砲Ⅱの直撃にも耐えるだろう。しかし内部は別だ。

 内側に数百万度のプラズマの塊を叩き込めばブロック内部に潜むバイドは勿論、ありとあらゆるグリトニルの機材や情報も焼き払えることができ、一石二鳥である。

 

 フレイムタンが波動砲の照準を大穴に向けたその瞬間―――機体のセンサーが捉えたバイド係数が劇的に膨れ上がった。

 

 

 

 ◆   ◆   ◆

 

 

 

 突如現れ、怪物にされた僚機達を辺り一帯ごと一瞬で焼き払ったその正体不明の戦闘機は、まるでこちらには興味がないと言わんばかりに悠然と『α』の周りを旋回していた。

 あの機体は敵の生き残りを探しているのだ、とソフィーヤは直感で理解した。

 徹底した容赦のなさと狩人のような慎重さ。あれに乗っているのは間違いなく人間であり、訓練された軍人だ。

 同じ人間であるなら、こちらから呼びかけるという方法もあったが、彼女はどうしてもそれをする気にはならなかった。

 もし、あの正体不明機がこちらに対して敵対的な存在だったら? という疑念が頭から離れなかったのだ。

 とは言えあの機体がこちらに対して敵意を持っていたとしたら、最初の砲撃で自分は寄生された戦術機達共々『消毒』されていた筈だ。そういった意味でもこちらからコンタクトを取ろうとするのは無駄ではない。

 

 だというのに。彼女はそれをする気には一切なれなかった。

 今の彼女の心を占めるのは無力な小動物の様に息を潜め、あの怪物達の注意を引かない様にするべきだという思いだけだった。

 音を立てないように脚部を使った歩行でその場を離れ、付近の森の中に機体を潜める。

 先ほどまで雪化粧を施されていた白い森は今や、突然発生した火炎地獄による余熱で雪が溶けて土砂降りの雨を被ったような有り様になっている。

 あの怪物達や正体不明機からすれば何の偽装にもならないだろうが、それでも彼女はそうした。するべきだと思った。

 彼女がそうしたささやかな偽装を終えて、改めて視線を『α』に向けると例の正体不明機が大穴の前で動きを止めた所だった。

 

 その正体不明機の機首に青い光が集束し、機首の下の砲口からは赤い炎が零れ出る。

 間違いない。あの寄生戦術機の部隊を、一瞬で蒸発させたあの砲撃を放つつもりだ。

 あれを『α』の内部に撃ちこめばあの触手の群れも一瞬で蒸し焼きだ。

 少なくともそれで『α』の内部の正体不明の怪物達は無力化できる。―――その後は?

 全く気が乗らないがやはりあの機体にこちらから呼びかけてみるべきか、そんな事を考えたその時だった。

 正体不明の戦闘機から紅蓮の炎が吐き出されるよりも早く。

 無数の触手が穴の中から飛び出して、その戦闘機へと躍りかかった。

 

「危ないっ!」

 

 警告は間に合わないとわかっていながらも反射的にそう叫ぶ。

 自分の部隊を一瞬で全滅に追いやった超高速の触手の雨。

 彼女の位置は彼らが対峙する場からは1kmは離れていたが、それだけの距離が離れていてもその速度は人間の動体視力では残像しか捉えることができない。

 数十の触手が一息で正体不明機を全周から包囲し、押しつぶさんとして―――そしてその全てが焼きつくされた。

 

 正体不明機の前方に位置する光球兵装。それが上部から凄まじい勢いで炎を吹いたかと思うと、その炎は球状にぐるりと正体不明機を包み込み、炎のバリアを形成したのだ。

 無数の触手はただの一本たりとて、正体不明機を囲う炎の壁を抜けることができず、汽笛じみた音―――恐らくは触手の体液が煮沸して蒸気になる音だ――ーを上げながら炭化していく。

 だが敵もさるもの。触手による直接攻撃が通用しないとわかると、触手を使って『α』の装甲板の一部を引き剥がしそれを不明機に投擲した。

 その装甲板は余りにも大質量故に、如何に高温の炎の壁と言えど一瞬で溶解させるのは難しい。

 流石の正体不明機もこれが当たればダメージを受けることになるだろう。その為、不明機はその攻撃に対して回避を選択したようだ。

 ようだ。という言い方になったのはソフィーヤ自体確信が持てなかったためでもある。

 なぜなら標的にされた戦闘機はまるでその場からコマ落としの様に消失したからだ。

 

「……え?」

 

 思わずその光景を見ていたソフィーヤが呆然とつぶやく。触手の群れも獲物を見失ったのか混乱したかのように蠢いている。

 あの戦闘機は一体どこに行ったのか。

 そう考えたソフィーヤの戦術機の音響センサーが僅かな空気の振動音を拾った。

 

 その音の出処は―――機体の直上だ。

 思わず上空を見上げたソフィーヤの視界。おおよそ自機の上空200m程の上空に、光球を従えた正体不明の戦闘機は何事もなかったのように、エンジンから僅かな重低音を出しながら浮遊していた。

 恐らくは残像すら捉えることもできない速度で投擲された装甲板を回避して、あの場所に離脱したということか。

 

 先ほどまで居た『α』の前からここまで1kmは離れている。

 この距離を正体不明機は、視認すら不可能な速度で一瞬で移動したのだ。

 続いて正体不明機が反撃を開始する。

 その機首の下の砲口に付いた火が膨れ上がり、凄まじい瀑布と化して無数の触手を発生させている『α』に向かって行く。

 巨大な炎の龍と化したその砲撃は『α』の側面部へと直撃。炎で出来たその身を四散させて弾け飛び、空母に匹敵するサイズの『α』そのものを飲み込んだ。

 吹雪の中に墓標のように直立していた『α』は、地獄の業火に包まれた棺桶と化す。

 

 『α』が生理的な嫌悪感を感じずにはいられないほどの、甲高い悲鳴を上げる。いや正確には『α』の内部に潜む何かが悲鳴を上げているのだ。それは生物の悲鳴というには余りにも禍々しい声だった。

 信じがたいことに『α』そのものはあの業火の一撃を受けて尚、原型を留めているが、『α』の内部に潜む何かにとっては耐え難い一撃だったようで、灼熱に包まれた『α』から一刻も早く脱出しようと更に、無数の触手を大穴から吐き出して『本体』を引きずり出そうとする。

 

 だが火炎砲撃を撃ち込んだ正体不明機がそれを見逃すはずもない。

 正体不明機の前面に装備された光球が太陽の様に一際大きく輝くと、小規模な火炎弾の掃射を開始する。

 二重の螺旋状の軌道を描きながら直進するその火炎弾の威力は、先程の砲撃には劣るが代わりに連射速度と弾速が比べ物にならない程早い。

 先の一撃を大砲とするならば、これはさしずめ機銃といったところか。

 その火炎の螺旋弾は熱に耐えかねて外に出ようとする触手を次々と焼き切っていく。焼き切られた触手は地面に落ちても尚、炎が消えず数秒ほどのたうち回った後、全身に火が周り炭化していった。

 

 最早怪物の命は風前の灯と思われたその時だった。穴の内部からそれまでの触手よりも更に太い、直径20メートルを越える巨大な触手が飛び出した。

 当然それも瞬く間に燃え始めるが、完全に燃え尽きるよりも早く触手の先端が開いてそこから1機の寄生戦術機が飛び出すと、正体不明機には目もくれず、肉腫に覆われた跳躍ユニットを全開にしてその場からの脱出を図る。

 

 それと同時に、ソフィーナ機の直上に位置していた正体不明機が再び掻き消える。

 今度は彼女にも知覚できた。

 正体不明機は高速で移動したのだ。その速度は恐らくは極音速を軽く越えるだろう。

 そして正体不明機が速度を落とし、視認できるようになったのは戦域を脱出しようと全力で匍匐飛行している寄生戦術機の眼前だった。

 寄生戦術機は突然現れた敵機に対して速度を落とすこともなく、手にした突撃銃による攻撃を試みた。36mmと120mmの砲弾が立て続けに正体不明機に向かって放たれる。

 

 しかし正体不明機はその攻撃を前にして回避行動を取らなかった。否、取る必要がなかったのだ。

 放たれた砲弾の雨は、全て正体不明機の正面に位置する光球に飲み込まれてしまったのだから。

 

 続いて正体不明機の反撃。

 それはその戦闘を見ていたソフィーナの予想を超える攻撃方法だった。

 正体不明機は機体の前面に装備した光球を射出し、寄生戦術機に『体当たり』させたのだ。

 そしてその攻撃の結果もまた彼女の予想を超えるものだった。

 光球は寄生戦術機に触れるやいなや、一切の物質的な抵抗などないかのように寄生戦術機を、まるで空間ごとえぐり取ったように消滅させてしまったのだ。

 いや、それは消滅させたというよりは『喰った』ようにソフィーナには見えた。

 

 射出された光球は寄生戦術機を飲み込んだ後、ぐるりと旋回してまるで主人に従う猟犬のように母機である正体不明機の前面に再び装着される。

 そして敵機を消滅させた正体不明機はその機首を旋回させ、未だに炎上を続ける『α』へと向けた。

 またもや機首に集束する青い光の粒子。

 燃え盛る『α』からは更に無数の触手が飛び出し、それを地面に突き刺して内部の本体を

穴から引き出そうとしている。

 そしてついにそれが穴から姿を表した。

 焼き焦げながらもそれ以上の速度で表皮を再生させる全長50mはあろうかという醜悪な肉塊。肉塊の表面にはヒビ割れのような亀裂や穴が空いており、その下には肉塊とは全く別の何かが潜んでいるようにみえた。それはまるで肉によって出来た巨大な繭だった。一体この繭から何が孵化するのかソフィーナとしては考えたくもない。

 

 だがそれが穴の外に脱出することはついぞ叶わなかった。

 それが姿を表すと同時に正体不明機の紅蓮の砲撃が、大穴から出ようとする肉塊に向けて叩きつけられたのだ。

 付近の大気を燃え上がらせ、余波で付近の降り積もった雪を気化させながら、一直線に放たれた業火の鉄槌。

 それは『α』の大穴から脱出しようとしていた触手の本体と思わしき巨大な肉塊に直撃し、炭化させながら穴の内部へと叩き返す。

 

 再び怪物がその体に開いた無数の亀裂から、次々と悲痛な甲高い悲鳴を上げる。

 先の『α』の外殻に遮られた遠距離からの砲撃と違って、今度の一撃は完全に肉塊を捉えて消し飛ばし、更にその勢いは衰えることはなく、『α』の最深部へと着弾した。

 

 炎の炸裂音が怪物の悲鳴を上書きし、衝撃が大地を揺らす。永久凍土に覆われたアラスカの大地が熱波で解凍され、そのまま燃え上がって炭化を通り越してガラス化する。

 『α』から1kmは離れているソフィーヤの機体の装甲の表面温度も、砲撃の余熱で異常な高温になり、彼女は慌てて機体を更に後退させた。

 

 彼女の目にはもはや怪物を完全に仕留めたように見えたが、正体不明機はそれでも尚、慎重だった。

 再び青い光を機首に集束させ、三度目の砲撃の準備を行いはじめたのだ。

 今度は至近距離で火炎砲撃を内部に叩きこむためか、炎上し未だ炎を吐き出し続ける『α』の大穴の手前に移動。

 あの地点は溶鉱炉のような温度になっているはずだが、正体不明機は気にした様子もない。

 そして駄目押しとばかりに三度目の火炎放射を穴の中へと撃ち込んだ。

 

 もはや今度は悲鳴すらなかった。

 その代わりに今まで『α』そのものが、内部で荒れ狂う業火に耐え切れなくなったのか、水漏れした壺のように構造材の隙間から炎を吐き出しはじめて、巨大な篝火と化す。

 あらゆる存在を焼きつくす焦熱地獄となった『α』を見て、ようやく正体不明機は満足したらしい。

 ゆっくりと高度を取ると、標的の取りこぼしがないか確認するかのように付近一帯の上空を旋回。

 

 正体不明機は数回に渡って戦域を旋回し、そこでやっと敵の殲滅を確信したようで索敵を打ち切った。そして機体の後部から青いスラスター光を爆発させるとソニックブームをまき散らして一瞬で離脱していく。

 光球を従えた黄色い正体不明機が残したスラスター光の青い残光が、打ち上げられたロケットのように垂直に遥か宇宙に向かって伸びていった。

 

「なんだったの……あれは……」

 

 唯一人取り残されたソフィーヤが呆然とその光の軌跡を見て呟く。

 それが地球人が初めて捉えたR戦闘機の戦闘だった。

 そして彼女は気がついていなかった。

 この戦場の生き残りは彼女だけではなかったということに。

 ここより更に5kmほど離れた場所には―――『α』を確保するべくやってきた米軍のステルス戦術機ラプターの一部隊が存在していたことに。

 

 『α』を守るソ連軍部隊を秘密裏に排除するべくやってきた彼らは襲撃準備を整え、行動開始までカウントダウン寸前まで来ていた。

 しかし行動を開始する直前、『α』で異常が発生した。

 部隊の隊長は反射的にカウントダウンを中断し、その場で様子を見ることにしたのだ。

 それが彼らの命を救った。もしこの混乱に乗じてソ連の戦術機部隊に襲撃をかけていたら彼らも『α』からの攻撃を受けて、寄生戦術機の仲間入りを果たしていた事だろう。

 そして沈黙を保ち続けていた結果として、『α』の内部に潜む謎の生命体と正体不明機の戦闘機との戦闘記録を入手することができた。

 

 しかし唯一生き残ったソ連の戦術機はこちらの存在に最後まで気がついてないようだったが、あの正体不明機はラプターの存在に感づいていたようだ。

 なぜなら『α』を火達磨にした後、数度に渡ってこの戦域を旋回した際、ラプター達が潜む森の上空を観察するかのようにゆっくりと横切ったのだ。これは偶然とは思えない。

 

 ともかく、当初の想定とは全く違う流れになっている。

 この状況下で丸焼けとなった『α』をあの生き残ったソ連の戦術機を排除してまで、無理に確保することに意味は見いだせない。

 それよりもこのデータを一刻も早く米軍に持ち帰ることが先決だ。

 彼らは現れた時と同様に、音もなく後退しその姿を消した。

 

 




後書き
Q なぜ施設の制圧を目的にした部隊に火炎放射器装備したR戦闘機がいたんです?
A Rでは日常茶飯事だぜ!(サムズアップ)

あと今回のバイドはファイナル2面のボスの亜種です
気候を操る能力を持ってたのでもうちょっとしてたらアラスカが水没か砂漠化してた模様

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