インフィニット・ストラトス「王の歩み」   作:新人ガイア

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第一話~別れ~

ゲートの中はまるで宇宙の中を高速で動いている、そんなようなイメージだった。

無数の光の粒子が僕の目の前を過ぎていく。

 

「・・・・・・・・・」

 

声が出ない、目の前に移る綺麗な光景に魅了されているからではない。

王として戦って、守るべき国を、民を守れず全てを失って、、、しまいにはその民たちに守られ、臣下を死なせて逃げることしか出来ない自分の無力さからだ。

 

「!、陛下見えました、出口です。」

 

リネットに言われ僕は自分の鎧「グローリー・クラウン(栄冠)」を纏い、リネットに並走する。

前方に強い光が見える。ゲートの行先は解らない、急いで稼働させ座標の設定もせず始動ボタンを押したのだ。

この先が何があるのか解らないことに恐怖はなかった。国を捨てた身自分にはその資格は無いのだと、、、

 

 

 

 

 

 

「ここがゲートの向こう側、、、」

 

強い光の中に入った途端、無重力だったのが数分ぶりに重力に体を押された。

そして周りを見渡す、リンドヴルムと同じ青い海、、、それだけだった。

 

「どうやら海上の真ん中に出たようです。少し周囲の状態を調査します。」

 

そう言ってリネットは空中に投影されたレーダーで調べ始めた。僕も安全確保の為、携帯していた望遠鏡で周りを見渡していた。

 

「見つけました、2時の方角に原住民がいると思われる島があります。」

 

リネットの言う方が気に望遠鏡を向けると確かに遠いがこの世界の者が作ったと解かる建造物が確認できた。

 

「う~ん、、、アレがこの星の住民の建造物か、、、、なんというか、、、前時代的だね?」

 

「失礼ながら陛下、先の発言は控えるべきだと思います。」

 

見るからに技術レベルが低いものを見てしまいつい本音を出してしまったことを指摘されてしまった。

確かに無用な発言は控えるべきだ、此処はもう未知の領域、必要の無い敵を増やさないよう注意しなければ。

 

「ごめん、以後気を付けるよ。」

 

「いえ、こちらこそ出すぎた真似をいたしました。」

 

リネットが律儀に頭を下げる、もうリンドヴルムの生き残りが僕とリネットの二人しかいないことに胸が押しつぶされそうになる。

 

「とりあえず陛下、あの島の者にコンタクトを取り保護してもらえるよう提案しましょう。」

 

「そうだね、今は行動することが大事だ。」

 

他国との交渉などリンドヴルム史上初めての事だからいろいろと不安要素が残るが此処で動かなくては僕を逃がしてくれた皆に示しがつかない。今は出来る限りのことを尽くそう。

 

「じゃあ行こうか、リネット」

 

「はい!陛ッ!・・・か・・・・」

 

リネットに確認をしようと振り向いた時、僕の頬に生暖かいのが付着した、そして目の前のリネットを見て僕は驚愕した。なぜならリネットの腹部から大きな刃物のような「爪」がリネットを貫いているからだ。

その光景を見て理解した、僕の頬に付いたこれはリネットの血なのだと!!

 

「かッ・・はぁ!?」

 

吐血しているリネット本人も理解している。なぜこうなっているのか、その原因を。

 

僕たちが通ってきたゲートはまだ閉じておらずその場の空間を歪めていた、そしてその奥にいた。

恐らく僕たちの後を追いかけてきたアグレッサーだ。ヴェインが食い止めていたのとは違う10m級の大型だ。

 

「へい・・・か・・・」

 

「ッ!リネット今助ける!!」

 

まだ息のあるリネットを助けようと近づく。

 

 

 

 

 

 

      が!

 

「来てはなりません!!」

 

「!!」

 

血を吐きながら苦しんでいるというのにリネットは救助を拒んだ。

 

「行って・・・・くだ・・さい・・・」

 

「なッ!?何を言っているんだ!!出来る訳ないだろ!!」

 

リネットは僕に逃げろと言っている、その意味は解る。でもまた僕に民を見殺しにしろというのか!?

 

「生きて・・ください・・・私達の為に・・お願い・・・・です・・・」

 

「・・・・・・・ッ!!」

 

胸が張り裂けそうだった、皆の「生きろ」という願いを僕は応えなければいけない。

 

「--------!!」

 

リネットに背を向け僕はその場から離れる。出来る限り遠くへ。

 

                    ◇

 

少年が遠ざかっていくのを見てリネットは安堵する

 

「・・・・ありがとうございます。」

 

虫の息の状態であるリネットは朦朧とする意識の中自分の目の前に投影したタッチパネルに自爆コードを入力していく。

 

(申し訳ございませんヴェイン様、陛下を一人にしてしまいました・・・)

 

リネットの鎧から光があふれ、アグレッサーを包み込み大爆発を起こした。

 

                    ◇

 

「ッ!!・・・・・・リネット・・・」

 

後方から聞こえる爆発音に動きを止めふり返え、少年はリネットが自害したのを理解した。

途端少年の瞳から涙が流れていく、それはまた民を失った喪失感からである。

 

「どうして、どうして僕だけが生き残るんだ・・・結局僕は・・・なにも『ビー・ビー・ビー!!』ッ!!」

 

悲しみにくれている最中鎧から発せられる警告音に驚くと爆煙の中から紫色のビームが少年に目掛けて駆けていく

 

「くッ!!」

 

咄嗟に右にずれ、ビームを回避し爆煙を睨む、爆煙の中から爬虫類を模した腕が出ている。

先程リネットを刺したアグレッサーである、リネットの自爆をゼロ距離で受けたというのにその体は

ただ焼け跡がある程度の損傷しかない。

 

「・・・・・・何故だ・・」

 

少年は今に至るまでの過去を思い返していた。争いの無く科学の発展により実現していた平和なリンドヴルム星。

それが灰燼となりそこに住む民たちが死に、少年を信じて仕えていた臣下も少年を守るためにその身を犠牲にして死んでいった。皆が幸せで笑顔に包まれていた全てが何もかも壊された。

 

(何故だ?)少年は疑問する。全てを失ったことに、星を、民を、臣下を、(どうしてだ?)理由を探す、滅ぶことが無いと皆が思っていた国が滅んだことを、(お前だ・・・)思い返せば返すほどに怒りが溢れかえってゆく。

 

「・・・お前達さえいなければ・・お前たちが来なければ、皆はッ!!」

 

少年はクラウンの主武装である多連装ミサイル内蔵メイス「ティアマ・オーグ」

を展開しアグレッサーに向かって飛んで行く。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

自分に向けて放ってくるビームを体を僅かにズラして回避し距離を詰め、

アグレッサーの目の前まで近づいてメイスを振り上げ、頭目掛けて一気に振り下ろした。

巨大な鉄の塊である凶悪な鈍器をぶつけられたアグレッサーの頭部は勢いよく凹み、硬い外骨格は粉々に粉砕されているが口内にあるビーム砲はエネルギーを溜め、目は少年に狙いを定めていた。

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