インフィニット・ストラトス「王の歩み」   作:新人ガイア

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第二話~コンタクト~

IS学園の作戦会議室にて教師の織斑千冬と山田真耶、生徒会長の更識楯無、

その他専用機持ちの生徒が集まっていた

 

「さて、皆集まっているな」

「千冬姉、じゃなくて織斑先生、緊急の招集って一体何なんだ?まさかまた《絶対天敵》が!?」

「いや今回は少し違う、山田君。」

 

そう言われ真耶は皆に見えるように映像を表示させる。

そこには大きなトカゲのような姿をした生物と機械が掛け合わされたような化け物とそれと対峙する白いISが映っていた。白いISは王を彷彿させるデザインをしておりやや灰がかった白い騎士甲冑に背中になびく白いマント、王冠を模したヘッドギアが特徴であり、手に持っているメイスが凶悪な存在感を放っていた。

 

「この映像は一体?」

「え?この方男性ではありませんか!?」

 

イギリス代表候補生のセシリアが疑問し、タイ代表候補生のヴィシュヌの発言で他の専用機持ち達も驚き始めた。

 

「ギャラクシーの言う通り、この映像はこの学園近郊の海上で確認された物だ、だがいくつか不可思議な物がある。」

「「「不可思議?」」」

 

千冬の言葉に楯無以外の専用機持ちは首を傾げた

 

「実はこの映像を確認した直ぐに該当するISがないか確認をしたのですが・・・」

「このIS、いや、この機体にはISのコアの反応がなかったのよ。つまりこれはISに似て非なる物だと言うことになるわ!」

 

真耶に続いて言った楯無の言葉に皆驚愕の表情を露にした。

 

「それだけではなくこっちの大きな化け物も今確認できている《絶対天敵》に該当するものがなかった。

というよりも見た目からして全くの別物であることがよく解る。」

 

確かに機械的な部分が多い《絶対天敵》と違い、映像の化け物は機械を取り込んだトカゲか、トカゲに機械を植え付けたととっていいゲテモノである。皆がそう思っていると千冬が会議台を叩く

 

「お前たちを呼んだのは他でもない。このISでも《絶対天敵》でもないイレギュラーの調査・解決だ!!

必要なら戦闘も構わん、だが対象の能力が不明な以上迂闊な行動はするな。」

「付け加えるならこっちの人間の方は会話による解決が望ましいわね、向こうにその意思があればだけど。」

「あれ?楯無さんは一緒に行かないんですか?」

「ことが事だからね、私は此処でもしもの時の為に待機しておくわ。」

 

楯無は右手に持っていた扇子開くと中には「ゴメンね♪」と書かれており楯無本人もてへっと舌を出し誤魔化した。

 

                        ◇

 

                      海上上空

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

戦い始めてどれくらい経ったかよく覚えていない。怒りで我を忘れ、力任せに暴れていた。

だから今になって思う。

 

(選択を誤ってしまった・・・)

 

僕が対峙しているあのアグレッサーは驚異的な自己修復能力を有する個体だと言うことを忘れ、無駄なエネルギーを消費してしまった。そのせいで唯一の対処法を潰してしまう事態に陥ってしまった・・・

 

(エネルギーの残量は52%、せめてあと30%あればこのアグレッサーを倒せるというのに!!)

 

とぼやいても後の祭りだ。今はどうやってこの状況を打開するか考えなければいけない。

考えてる間にもアグレッサーは殆んどの傷を治してゆく、戦いが長引けばこちらが不利になるだけだ。

 

「生物でも機械でも必ずウィークポイントがある、動力源たる〈コア〉さえ砕けば戦いは終わる。ならば!」

 

スラスターを吹かし一気にアグレッサーの懐に飛び込む、今までとは比べ物にならない程の加速をし、残像すら残るほどだ。クラウンに搭載されているマルチアビリティ『常時加速』。重装甲かつ重量のあるメイスを振るうクラウンはかなりのウエイトがある、機体のオーバーアシストや重量中和システムによりそれらの問題は解決できているがより速く動けるように一時的に機体の重量をゼロにし常に加速状態にする機能がこの『常時加速』だ。

任意に発動し約5秒間だけ2~3倍の速度を出し敵を圧倒できる利点があるが速過ぎる分常に意識を集中させないと制御不能の激突や距離感を見失い攻撃を外してしまうことがある。昔はよくあったが今では自分のものに出来ている。

 

「せいッ!!」

 

アグレッサーの腹部にメイスを叩きつけ、すぐさま背中、左肩、右足と素早く位置を変えてメイスを叩き込み続ける。

 

「!!!??!‘@#!?!!」

 

今まで声を発しなかったアグレッサーが耳障りな鳴き声をあげ、暴れる。

 

「今の感触は・・・」

 

胸部を攻撃した時、明らかに他の部位とは違う感触がしたと思ったらアグレッサーが奇声を上げた。

もしやと思い胸部を確認すると、胸の装甲の奥に大きな紫色の水晶玉みたいのが存在しそこを起点にエネルギーが流れているのが見えた。恐らくあれがコアだ、アレさえ叩けば奴の動きは止まる!!

 

「ならば!!」

 

ティアマオーグをアグレッサーに掲げ、持ち手部分を右にひねる。するとメイスの平らな先端部分にある六つハッチが開き、中からミサイルが顔を出す、マルチロックシステムを導入した多連装ミサイル、牽制用ではあるがそれでも破壊力は恐ろしい物だ。ターゲットを全部頭に設定しミサイルのトリガーを引く。

六つミサイルが別々の方向からアグレッサーの頭に命中し爆煙を発生させる。相手には大したダメージはないだろうけど、一瞬でもこちらを見失えばそれで充分。その一瞬の隙を突き「常時加速」でコアに近づく。

 

「これで・・・・終わりだ!!」

 

コアにメイスを突き出す。勢いよく放ったメイスがコアにめり込み粉砕する。それを見て僕は勝ちを確信していた・・・・が。

 

「ゴフッ!?」

 

お腹から体全体に伝わる衝撃と圧迫感、気づいた時には僕は吹き飛ばされていた。どうやら殴られたようだ。

だが考える暇もなく僕の目の前にアグレッサーの口から放たれたエネルギー弾が目の前まで迫っていた。

まるで時間が止まっているかのようなゆっくりと進んで見えた。だが非常にも回避する間など無く、光弾が直撃し爆発した。

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

焼けるような熱と痛みが全身に伝わるのを堪えながら体勢を立て直しアグレッサーを見据える。

コアは確実に砕いたはずなのに何故動けるのか、その疑問は見ればすぐ理解できた。

アグレッサーのコアが凄まじい速度で元の形に戻っていっていく。

 

(そういうことか・・・!!)

 

ようやく奴の特性を理解した。同時に絶望した。あのアグレッサーの修復能力はコアによるものでなく、アグレッサー自身のモノだ。コアは動力源であり、当然失えば死ぬ。だがカケラが一つでも残っていればそこから瞬時に修復し、新たなコアとして復活する。つまりカケラも残さない「高火力かつ広範囲な攻撃」をしなければ奴を倒しきることは出来ない。

となればなおのこと唯一の対処法を潰してしまったことが悔やまれる。

 

(逃げようにも僅かなエネルギーで逃げ切れるはずはない、戦うにも切り札が使えない・・・・・ここまでか)

 

全身から力が抜けていく、もう抗う気力すら失せていた。皆の想いに応えることすら出来ない自分が本当に嫌になる。何も守れず、失ってばかり・・・悔しくて涙が出てしまう。

そんな僕の様子を察したのかアグレッサーは口を大きく開き、砲撃のチャージを開始する。

 

「皆、ごめん・・・・僕はやっぱり・・・」

 

愚かな王だ・・・

 

何もかも諦め、静かに目を閉じ、死を覚悟しようとしたその時だった。

 

「え?」

 

臨界に達しビームを放とうとしたアグレッサーの砲口を僕の後ろから飛んで来た大きな砲弾が襲ったのだ。砲弾は咆口の中に入りチャージしたエネルギーを巻き込んで大爆発を起こす。当然頭が吹き飛んだがグニョグニョと生々しい肉が湧き出て自己修復を始めていた。

何が起きたのか解らない僕は暫く呆然としていたが、僕の後ろ方角からやって来た鎧に似た物を纏った少女たちが現れ驚いてしまった。

 

 

                       ◇

 

レールカノンの再装填を終えたドイツ代表候補生のラウラのは顔色を悪くしていた、いや他の専用機持ちも同じ表情だった。化け物の頭が木っ端微塵に吹き飛んだというのに首から肉が湧き出て元の形に治り始めているからである。

 

「ちょ、あんなゲテモノを今から相手するわけ!?」

「頭が無くなったのに生きてるなんて、どうやって倒せばいいだろう?」

 

中国代表候補生の鈴とフランス代表候補生シャルロットの言うことも無理はなく、普通頭が吹き飛んで生きてる生物はいない。だが目の前の生き物はその常識の外にいるのだ、「倒すことが出来るのか?」その疑問が皆の頭をよぎる。

 

「だとしても戦うしかないだろ!あの白い奴だって今助けないと絶対危険だ!」

「うん、一夏の言う通り。さっきの攻撃でかなり疲弊してるみたい」

「だとしてもどうすんだ?頭を吹き飛ばしてもまた生えてくるんだぞ?」

 

確かに箒の言う通り、倒す手段が無い事に一夏と簪は返す言葉も出なかった。

 

「ではまず先にあの方を救出し、それから全員で敵の弱点を探るというのはどうでしょう?」

 

ヴィシュヌの提案に皆賛同し、各々の役割分担を考え、一夏を筆頭にセシリアとシャルロットが陽動、ラウラと簪が情報収集、鈴と乱、箒が切り込みを担当することになった。ヴィシュヌは皆が化け物を相手している間に少年を保護する役目がある。

 

「よし!皆行くぞ!!」

「「「オォ―――!!」」」

 

                      ◇

 

僕は目の前の状況に驚いていた、とても不謹慎なことだがこの星の文明レベルは異常だ。

建造物のレベルはC-なのに対し今目の前でアグレッサーと戦っている彼らの装備はAランクを誇るほど大きく飛躍している。

 

「大丈夫ですか?お怪我などはしておりませんか?」

 

彼等の戦闘を眺めている間に僕に声を掛ける人がいた、濃い緑色のショートヘアーに薄紫色の瞳が特徴の綺麗な方だった、そんな彼女も彼らと同じ鎧に似た物を纏っている。

 

「えっと、貴方たちは?」

 

言語が通じることに安心と驚きがあったが、彼らは僕を保護するといい戦い、助けてくれている。

 

「はぁ!!」

「てやぁ!!」

 

紅い方が二本の曲剣みたいなもので右腕を切りつけ、ピンクの方が幅の広い曲剣で左腕に切りかかる。

しかしどちらも大したダメージは与えられず、すぐキズが修復されてしまう。

他にも青い方がビットを使って四方八方から射撃したり、オレンジの方が銃を素早く切り替えながら撃ったり、

黒い方が大きな大砲を放ったりするがどれもかすり傷を付ける程度であった。

 

「駄目だ!全然効果がない!!」

 

白い剣士の男性がそういうのも無理はないです。彼らの武装では勝てない、だから逃がさなければ。

 

「無駄ですよ。アレを倒すにはコアを欠片も残さず吹き飛ばすしか方法はありません。」

「コアは何処にあるんですか?」

「あの胸部に見える紫色の水晶です」

 

先程僕を救助して今肩を貸していただいているギャラクシーさんの質問に答える。もうどうする事も出来ないが。

 

「あんなデカいのを破壊するのかよ!?しかも跡形もなく!?」

 

彼が驚くのは当然だろう、恐らく彼らの文明でもアレを吹き飛ばす大型のレーザー兵器はないだろう。

(在ります)

 

「何か方法は無いのですか?」

 

ギャラクシーさんの質問を聞いて僕は右手に持っているティアマオーグに目を向ける。

 

「僕なら・・・僕ならアレを倒すことは出来ます。ですが、もうエネルギーが・・・」

「エネルギー?エネルギーがあればやれるんだな!!」

「え?」

 

白い方が紅い方を呼びつけ紅い方が嫌々な顔で僕の左手を握る。するとどうだろう!紅い方の鎧がまばゆい光を放ち、クラウンのエネルギーを回復させたのだ。このような特殊機能を持っている機体は初めて見た!!

 

「信じられない!これなら行けます!!」

 

エネルギーが戻り、各機能が正常に働きだしたのを確認しギャラクシーさんから離れる。

紅い方が白い方に何か言っているようでしたが恐らく僕を信用していいかと言うものでしょう。見ず知らずの人に警戒心を持つのは当然です。ですが今はそれを無視してでも終わらせなければいけません!

 

「皆さん!今からアグレッサーに対し攻撃を仕掛けます!!危険ですので僕の後方に避難してください!!」

 

皆さんに聞こえるように大声を上げ、後方に退避させる。全員が僕より後ろに移動したのを確認しティアマオーグを両手で持ち構える。

 

「王の名において命じる。宝剣よ、真の姿を現し、リンドヴルムの威光を示せ!!」

『・・・・承認。』

 

音声認証を確認すると同時に体の奥から何かが持って行かれる感覚がする。正直この感覚は好きではありませんがそんなことを言ってられませんね。認証が終わるとティアマオーグの持ち手から先が分離し量子分解される。

持ち手だけ残ったティアマオーグにクラウンの全エネルギーが注がれてゆき先端から少しづつエネルギーが漏れ始めてくる。それを上空に向けて掲げた時、ティアマオーグに隠されていたリンドヴルムの秘宝は姿を現した。

凄まじい程の勢いで噴射される黄緑色のエネルギーブレードが空を裂くかの如く天へと伸び続けていく。

【宝剣コール・ブランド】リンドヴルム王家に伝わる秘宝、その刃がクラウンの全エネルギーにより膨張したのが今の状態である。

かなりの勢いで放射されるエネルギーの余波で宝剣握る手を放してしまいそうになる。思えばこれを開放するのは4度目になる、経験が足りないと言うことですかね?

余計な考えを振り払って握る手に力を籠める。

 

「これで・・・終わりだぁぁぁぁぁぁ!!」

 

掲げていた宝剣を振り下ろすと宝剣は鞭のようにしなりながらアグレッサーのもとへ落ちてゆく。

 

「‘@#$%##&・:*%!!!!!!!!!!!!」

 

身の危険を感じたのかアグレッサーは周囲の空間を歪め、見えない障壁を作ったが宝剣はそれをあっさりと砕き、首筋に勢いよく食い込む。往生際が悪いらしく、損傷した部分を急速に再生させ助かろうとしている。だが宝剣の出力の方がアグレッサーの再生能力を上回っておりじわじわと削られていきコアに差し掛かったところで最後の抵抗とばかりに再生能力を増していく。再生と破壊の持久戦、どちらかの集中力が切れた時、勝敗は決するだろう。だから止める訳にはいかない、あと少しなんだ!宝剣を握る力を一層強め、下へ下へ押しやる。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

「&#%$&・?:*‘;2#’!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピシッ・・・・・

 

 

 

 

何かが割れる、そんな音がしたような気がした。そう思ったとたんアグレッサーの再生活動が無くなり、コアを焼き切ってゆく。いや、溶かしてゆく。

コアが亡くなったのか押し返す力が無くなり宝剣はアグレッサーを両断した。断面部分が真っ赤に溶解し、バチバチと火花を放ち、最終的に大爆発を起こして破壊を確認した。

 

「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」

「すっげぇ・・・・・・」

 

後ろにいた誰かがつぶやいていたが疲労感などが押し寄せてきていて誰が言ったのか解らなかった。

 

注がれたエネルギーが無くなり宝剣の刃は消え、再び外装を纏ったティアマオーグへと戻る。それを確認した所で僕の意識は途絶えた。

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