最近は、気づいたら一日が終わってるただのニートです。
ではどうぞ。(R11)
「僕、早く大人になりたい」
「それは...」
どういう意味なのかと、聞こうとしたが、その言葉の意味するところを察して閉口してしまう。
戸塚は戸惑いの表情を浮かべる俺を見て、
「なんてね」
ぼそり、と呟いた。
「あの、八幡。そろそろ下着が...」
戸塚に言われ意識を左手に戻すと、確かに最初触れたとき時よりも温かくなっていた気がした。
「すすすすすすすいませんごめんなさい調子乗りすぎました許してくださいなんでもするんで通報だけは...」
即座に手を離し土下座をすると、戸塚は赤らめた顔のままふふっと笑う。
「なんでもするんだ」
「いやなんでもっていっても出来る範囲で...」
上半身を起こして少しの間考える素振りを見せると、
「ここお風呂あるかな?」
「ああ、めっちゃでかいのがついてる」
ここの風呂はラブホなだけあってか妙に広い。そういえば、ここがラブホってこと戸塚はまだ知らないんだよな。
「少し汗かいちゃったし、汚れ、ちゃったし、お風呂入ろうよ」
「ん、そうか。んじゃ俺は待ってる」
「...はちまんも」
「...............俺も!?」
*
風呂は嫌いじゃない。むしろ人よりも好きなほうだ。
家で入ってる時なんかもついテンションが上がって独り言をもらしながらヒトリゴト歌ったりするし。そ、そんな名前の歌しらないっ!
それはホテルの風呂でも同じことだ。いつもと違う光景で入るのも新鮮だし、見たことのないシャンプーや見たことのない泡風呂が目の前で完成されていたとしても同じ、では決してなかった。
因みに俺の視線はそんな泡風呂よりも、泡風呂を完成させた本人であるバスタオルに身を包んだ戸塚にしか目が行っていない。
「すごいよ八幡!お湯が真っ白!」
こちらを振り返りながら言う戸塚から即座に視線を逸らし、適当な返事をする。
「そ、そうだなー」
適当な返事をしながらシャワーの蛇口を捻ると、強くも弱くもない圧の水が髪の毛を濡らす。
「こういうのってやっぱり、お互いの背中流したりするのかな?」
「いや、わからん...」
見ないようにはしているが、それでも視界には白いバスタオルが入ってしまう。
「八幡?なんで目瞑ってるの?」
「いや、見えそうだし...」
「大丈夫だよ、タオル巻いてるし」
それでも見えそうなものは見えそうなんです!!
しかし、この方法にはある欠点があった。
「シャンプーどこだ...」
性欲を抑えることには成功したが、そのせいでシャンプーのボトルの位置がわからない。
手を伸ばして探っていると、頭をがしっと手のようなものに捕まれる。
「じっとしてて、僕が洗ってあげるから」
「...助かる」
「それじゃあ次は体、だね」
「いやそれはさすがに自分で!」
「...僕に、やらせて」
何故かそれを受け入れてしまったわけだが...
「な、なんで素手なんですかね戸塚さん...」
「え、体って手で洗うものじゃないの?」
「確かにそういう人もいるけど...」
戸塚はどうやらそのタイプらしい。肌キレイだもんね。いやそういう事じゃなくてね。
何故か呼吸をすることが出来ず、戸塚が俺の体を洗い終えるまでの約2分間息を止めた。
「それじゃ俺は先に湯船に...」
後ろから「むぅ」と可愛らしい声が聞こえた気もするが、それを無視して戸塚の完成させた泡風呂へと入る。
うお、すげえなこれ。
ここのホテルの風呂は、オレンジ色の照明が壁に反射し、やけに高級感を漂わせていた。
しかも、浴槽の前に2段だけ階段になってるんだけどこれ何の意味あるの?
やがて戸塚も頭やら体やらを洗い終えたのか、ぺたぺたと後ろから足音が聞こえる。
「ぼ、僕も入るね」
「ん?ってちょっとまて。上がるから。俺上がるから」
ここまできて何をヘタレてるんだ俺は...
「僕とはいるの、嫌?」
「.........どうぞ」
そのお願いの仕方はずるいんじゃないんですかね。
うちの生徒会長がやればただあざといだけなのに、なんでこうも違うのか...
「それじゃあ...」
ちゃぽん、という音が聞こえると、白い泡がゆらゆらと揺れる。
出来るだけ端に寄ったはずなのに、背中に柔らかい肌が触れる。
.....柔らかい、背中...?
横を向いてみれば、そこにはかなりの水分を含んでいるだろう白いバスタオルがたたんで置いてあった。
「戸塚さん、一応聞くけどタオルは?」
「...」
戸塚は、無言という名の肯定をした。
「八幡、温泉に入るときはタオルをとるのがマナーなんだよ」
「ここ、温泉じゃないんですけど...」
「八幡だけずるい」
「えぇ...」
横暴すぎる...
しかし、戸塚もバスタオルを巻いてないとはいえ、泡風呂のおかげで何も見えていない、と思う。背中向けてるからわからんけど。
まあ見えないならいいかと、無言のまま腰に巻いたタオルの結び目を解いて浴槽の外に置く。
「しかし、今日は朝からいろんなことがあったな...」
「八幡、昨日のこと思い出せた?」
今日の朝、何故か起きたのがベッドではなく机の下だった。
昨日は12月31日の大晦日。例年通り家族で飯食ってガキ使みて、そしてそのあと...
「親父と酒飲んでた気がする...」
そうだ、小町が寝床に入った後、一人で酒を飲んでいた親父が半べそかきながら「俺と飲んでくれ」なんて情けないことを言うから同情して飲んだのだ。
なにやら小町に怒られたのが原因らしいが。
それで親父が酔いつぶれた後俺もおぼつかない足取りで部屋に戻ったがベッドまでたどり着けず御就寝って訳だ。解決。
「二日酔いとか大丈夫なの?」
未成年であることは触れないでくれるんですね。
「ああ、不思議と頭はすっきりしてたな」
もしかしてお酒が強いのかしら。しかしお酒が強い人はむしろ二日酔いになるって聞くが、未成年の俺が知る必要もないだろう。
「にしても、戸塚がまさか甘酒で酔うなんてな...」
「あはは、でも寝たらすっきりしたよ。それに」
「?」
「そのおかげで、今こうしていられるんだし」
恐らくここが風呂じゃなければ聞こえなかったその小さな声は、この硬質そうな浴槽の壁をよく反射し、俺の鼓膜までちゃんと響いてくれた。
そして、バシャリという音が響き渡ると同時に、背中に喪失感を覚える。
「八幡、こっち向いて」
「...」
無言のまま体ごと振り返ると、思っていたよりも近い距離にいた戸塚は、きっと湯あたりのせいではない他の理由で染めた顔を少しだけ俯かせていた。
足が触れ合う。お互いの視線は交わらない。
「僕、これでも結構恥ずかしいんだよ?」
気づけば、戸塚は俺に抱き着いていた。
首に腕を回し、加えて足は完全に絡み合っていた。
しかし俺の意識が集中していたのはそこではなく、胸にあたる慎ましやかな双丘だった。
それはお世辞にも大きいとは言えないが、それでも触れてみると、確かな柔らかさがあった。
「戸塚...俺やば――」
言おうとしたことは、唇を重ねた戸塚によって阻まれた。
そして、
「んん、んんんぅ...」
くちゅ、という音がしたのは、お互いの舌が絡み合っているからだ。
それは戸塚からしたものでもないが、かといって俺からしたわけでもない。
自然と、という言葉がしっくりくる。
「んん...んはぁ...」
酸素を求めて唇を離すが、今度は戸塚を求めて唇を押し付ける。
硬質な浴室には、その音がよく響いた。
ごめんなさい、最近玉縄がインフルエンザで会議に出れてないんですよね。
会議主催者の彼がいなければ始まりませんしね。
※今のところ健全です。