Fate/stay right   作:黒木光月

1 / 7
皆さま初めまして、黒木光月と申します。
右も左も分からない新参者ですが、長い目で見守って戴けると幸いです。

本作はFateシリーズの設定を踏襲しておりますが、ほとんどオリジナルに近い内容になりますので、原作との食い違い等にご注意ください。


序章
第0話「終焉≒開闢(オワリノハジマリ)


 中秋の名月が夜空にぽっかりと穴を穿ち、紅葉(こうよう)に彩られた木々の隙間から幽かに大地を照らしている。

 虫の音が賑やかに響き渡る森の中、道なき道を音もなく駆け抜けていく影法師があった。

 迅速ながらも決して草木を騒がせることなく通り過ぎるその様は、縄張りを自在に闊歩する森の主、或いは人智を超越した魔性を彷彿とさせる。

 だがしかし、人里離れた夜の森が魅せる神秘的な光景も、文明の利器を手にした人々によって、次第にそのベールを剥がされていった。

『一班から四班は追跡を続行し、対象を作戦予定地へと誘導せよ。五班は規定の路線を外れぬよう先行し、慎重に軌道修正を続行せよ。六班、七班は所定の位置に着き臨戦態勢で待機せよ。以上』

『一班了解』

『二班了解』

『三班了解』

『四班了解』

『五班了解』

『六班了解』

『七班了解』

 各班から矢継ぎ早に送られてくる作戦受領報告を聞き届けると、黒い軍服の男は無線を置いて肉声を発した。

「八班は私に追従し、術式の展開準備へと移行せよ。だが、今作戦の対象は非常に狡猾で用心深い。呉々も気取られることのないよう細心の注意を払い作戦を遂行せよ」

「了解であります、隊長!」

 隊長と呼ばれた、黒い軍服を着た理知的で鋭い眼差しをしている男からの指令に、この場で最年長となる壮年の班長が意気揚々と応える。すると、寸分と違わず背後に控えていた全員が一斉に敬礼をした。

 隊員達の一糸乱れぬ動きを当然のものとして受け止め、隊長は誰にとも語りかける訳でもなく呟く。

「さあ、狩の時間だ」

 

 時は西暦一九四二年、第二次世界大戦という未曾有の災厄が世界を席巻していた。

 戦火は留まるところを知らず拡大し、人智の結晶たる建築物、更には文化や自然といった事物までもが、有形無形を問わずに破壊の限りを尽くされる。

 そしてまた、人の命すらも簡単に消費され尽くす、まさに終末と呼ぶに相応しい時代の真っ只中であった。

 これ程までの災厄にも主だった動きを見せなかった魔術世界であったが、欧州でも聖堂教会についで最大規模の勢力を持つ魔術協会、その内の三大部門の一角である時計塔に君臨する十二部門の君主(ロード)が一つ、天文科を司るアニムスフィアからの予言を端に状況は一変する。

 

『この世界は行き止まりへと向かいつつある。此度の戦火を止めなくば、百年と経たず魔術は衰退し、やがて人類は滅亡するであろう』

 

 アニムスフィア家とは数十世代にも及ぶ永きに渡り、人理――人類史の継続――が揺るぎないものであることを観測し、証明し続ける役割を担ってきた一族である。故に、その発言には並々ならぬ信憑性があった。

 この声明に真っ先に反応を示したのは、アニムスフィアの所属する魔術協会ではなく、魔術世界の中でも特に過激派が多く在籍する聖堂教会だった。

 聖堂教会とは神秘の秘匿と「人」の手による保持を旨とする組織であり、その理念に反する者は力尽くで排斥ないし抹殺をしてきた歴史を持つ。

 魔術とは世界の神秘というリソースを消費する行為であり、個人が使用可能なリソースの最大値は、魔術刻印の継承(血脈の連なり)を含めた研鑽、積み重さねによって左右される。

 しかし、神秘とは[それを認識する存在]の数だけ分散する性質を有している為、多数に知られるとリソースの入力自体が弱まってしまう。

 それを未然に防ぎ、神秘という神の奇跡を管理する目的で、聖堂教会は歴史の裏側で暗躍してきた。

 人類史の継続という点は無論のこと、魔術の衰退という点にも大いに関心を寄せた結果、聖堂教会は第二次世界大戦への介入を正式に決定する。

 それに対し、魔術協会は政治的牽制の意を込めて協働を持ちかけ、様々な紆余曲折を経た末に双方の合意へと至った。

 こうして遂に、魔術世界の二大巨頭は刃を突きつけ(手と手を取り)合ったのである。

 幾度にも渡る協議を重ね、両組織は戦争の早期終結を齎らす方法として一つの結論を導き出す。

 聖杯戦争――あらゆる願いを叶える万能の願望器を賭けて執り行われる魔術師同士の闘争による儀式――を世界規模で開催することに決定したのである。

 儀式の公平性を期する為に、両組織は調整と監視役に徹し、自陣営に所属する魔術師の参戦を禁止とした。

 それにより、聖杯戦争の参加者は大戦の主要参戦国である米国・英国・中国・ソ連・日本・独逸・伊太利亜の七ヶ国から代表という形で選出される運びとなる。

 また、儀式の規模から従来(冬木)の仕様とは異なり、一人の魔術師(マスター)につき、七騎の英霊(サーヴァント)を従える方式となっていた。

 優勝国には聖杯を使用する権利が与えられるともあり、各国は半信半疑ながらも泥沼化の様相を呈していた戦争を楽に終着させられる手段の一つとして参戦を決意する。

 

 画して戦いの舞台は整った。それこそが真の破滅を呼び醒ます最後の契機になるとも知らずに――――

 

 

 

  Fate/stay right –end of the world and world end-

 

 

 

 




下手な煽り文を入れると後悔するハメになるのは重々承知しておりますが、それでもせっかくの二次創作小説ということで、思いっきりはっちゃけてみました。

これは「第0話」と銘打っている通り、主人公の登場前と舞台説明に終始してます。
次回から始まる本編はシリアス寄りとなる予定ですので、それでも問題ないという方は末永くお付き合い戴けますよう、心よりお願い申し上げます。



文章力に関しては、書いてる内に上達すればいいのですが・・・。

追記
文章を詰め込みすぎていたので、0~3話で改行を多めに変更しました。
他にも改善点等がありましたら、コメント戴けると嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。