いまさら、一人称がかぶっていて分かりにくいことに気づきました。本当にすまない。
あと、感想を頂きました。メッッッッッッチャ嬉しいです!!
でも、もっといっぱいほしいです(傲慢)
感想には可能な限り返信させていただきますので、どんどん書き込んでください!
「.....あなたは、マスターになって戦うこともできるし.......マスター権を放棄して、教会に保護してもらえば.....戦いがおわったら、今までと変わらない生活を送ることもできるわ......」
家に着き、私の部屋で一通りの説明を聞いて、自分の置かれている状況を鑑みる。
わたしの部屋は二回に上がって一番手前、6帖の小さい部屋だ。淡いピンクを基調とした空間にパソコン、ベッド、全面鏡にクローゼット、壁の半分を占める背の低い本棚と、所狭しと家具が並んでいる。
テーブルは部屋の真ん中にあるが、ベッドと本棚の間にあるので、座るとなかなかに圧迫感がある。そして、今は床に座って、夜食のうどんを食べながらテーブルを挟んで向かい合っている。
ズルズルッとうどんをすする。正直、こんな夜中にうどんは駄目だって思った。思ったんだけど、わたしが冷凍庫開けて小声で「うどん......」って呟いたら、千景さんが「...うどん....!?」って少し目を輝かせて予想外に凄い勢いで反応したから、半ば仕方なくうどんにしたのでした。まる。
一通り説明をしてくれた千景さんは対面で満足そうにうどんをすすっている。最も、表情があまり変わらないから正確には分からないのだが。わたしは人の表情を見分けるのは得意な方だが、表情の変化が乏しい人の気持ちは顔を見ただけではよく分からない。千景さんはそういう"わたしにはよく分からない"人だった。
それはそれとして、今はこれからどうするかを考えなくては。ゆっくりと、今までの千景さんの言葉を整理する。
"聖杯戦争"。万物の願いを叶える"聖杯"を奪い合う儀式。7人のマスターと7騎のサーヴァントがその覇権を競い合う。最後に残った一組だけが"聖杯"を手にし、願いを叶えることができる。勝利のためにはサーヴァントかマスターを倒すか、令呪を無効化しなくてはならない。また、サーヴァントを失ったマスターとマスターを失ったサーヴァントが再契約することも可能だという。
だから、一組を脱落させるには実質マスターとサーヴァントの両方を倒さなくてはならない。しかも、令呪を無効化する方法は令呪を3画すべて使わせるか、体から切り離すしかない。
「つまり、デスゲームなのよね。これって」
「デスゲーム....。ええ、とても的を射てると思うわ」
いつの間にかうどんを食べ終わっていた千景さんが続ける。
「あなたには、聖杯に託す願いはあるの...?」
「うー―――ん」
アゴに手を当てて考え込む。考えるときのわたしの癖だ。色々欲しいものは浮かんできても、特段、万能の願望機に願う程の事でもない。ただ、一つだけ―――聖杯でなくては叶えられないだろう願いがあるにはある。だが果たしてこの願いを叶えることに意味はあるのだろうか。たとえ、願いが叶ったとしてもそれは―――――。
「あなたにも...願いはないの?」
その声で現実に引き戻される。どうにも考え始めると自分の世界に入って行ってしまうらしい。
「ん?"にも"ってことは千景さんには願いはないの?」
「ええ...私はあなたの声を聞いて、飛び出してきただけだから」
「そっか...。あのさ」
そこで、私は話を聞いた時から気になっていたことを問いかけた。
「千景さんもサーヴァントってことは、もう....」
死んじゃってるんだよね、とは口にできなかった。しかし、千景さんは、
「ええ、もう死んでるわ」
ただ事実を告げるだけの淡々とした回答。のように聞こえたが何かが少し違う気がした。
「...生き返ろうとは、思わないの?」
「生き返るのというのは....何か、違う気がするわ。それに、この世界で生き返っても意味はないもの」
「...そう。うん。やっぱり、私にも願いはないや」
わたしはそう言葉にすることで余計な思いを断ち切った。きっとそれはしてはいけないことだから。
「それじゃ...あなたは戦わないの...?」
そう言われて思い出す。願いの事に夢中で完全に頭から抜けていた。
「千景さんはどうなの?戦いたいの?」
「私はあなたの意志に従うわ」
判断はすべて私に委ねられた。願いを持たず、願いを叶える戦いに参加するのか。
――もしこの戦いに勝てたなら。
「わたしは―――」
"殺し合い"。この儀式は間違いなく殺し合いなのだ。だが私も異端ながら魔術師だ。人を殺す覚悟くらいは持っている。
だから、これは確認だ。さっきは恐怖のあま逃げ出したが、この儀式に参加するならば、あの"鴉"にリベンジできる。自分の意志を曲げられたのは悔しい。そもそも私には"生きる理由"が無いのだ。ならばこの命を落とすことになっても未練はない。
「戦うよ」
そう、千景さんの目を見て言った。
「....死ぬことになるかもしれないのよ?」
「わたしは、それでも構わない」
「....分かったわ。マスターとしてよろしくね。真崎さん」
此処に契約は完了した。
「改めてよろしく。千景さん。あ、それとわたしのことは結奈でいいよ」
「...じゃあ。私のことも...千景でいいわ....」
そう言って千景は頬を赤らめる。
「うん。千景!」
後ろの窓から、朝の光が差し込んでくる。なんだか嬉しくて、いつの間にか笑顔になっていた。
対して千景はいつか無くして、ずっと探していたものを見つけたような顔をしている。
「どうしたの?」
気になって尋ねると千景はハッとして、
「ええと...うどん、伸びてるわよ」
「ええっ!あーー!私のうどんがっーーー!」
めちゃくちゃに伸びていた。
「...ふふっ」
「アハハッ」
なんだかおかしくって笑いあう。
今はまだ現実感がないけれど、これから確かに何かが変わっていく予感がした。
本当であって嘘なのです