シンフォギアにオリーシュをぶち込んで最低系小説にする 作:逆に天才
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4TH MOV.:NEO ZEON (機動戦士ガンダムUC)
「どうした錬金術師、顔色が悪いが。体調不良なら早く帰宅し睡眠することを推奨するよ」
「ごあいにくさま、人形遣い。お前のそのブサイクな面を見たせいで気持ち悪くなっただけさ。さっさと消えてくれれば体調も自然と良くなるよ」
ポタリポタリと血が滴る。先程抉られた脇腹から出血してるのだ。その傷は浅いものではなく、地面に小さくない血溜まりを作っていた。後ろには保護すべき対象である雪音クリス。彼女だけでも逃したいが、奴らの目的は彼女でありこちらは友軍と連絡不能であるため難しいだろう。前方にはキリキリと不気味な音を立てる2M程の人型の人形と、それを操る人形遣い。こちらを油断なく見つめており、隙きを晒せば今度は脇腹ではなく頸をもがれるであろうと推測できる。
そして、最悪なことに、そのさらに後ろに腰まで届く金髪を携さえサングラスを掛けた女がこちらを感情の読めない表情でこちらを見ていた。不思議なことに一切の手出しをせず観察に準じているようだ。そして、その手には見知らぬ何かが握られていた。
なぜこの事態に陥ったのか。それは1時間前まで遡る。
―1時間前―
「辺り一面森ばかり。本当にこんな所で目撃されたのか?」
二課所属のエージェントの情報を元に僕は雪音クリスが目撃された場所へと来ていた。彼らの話によると森の奥にある放置された別荘地の一つに彼女の姿が確認されたようだ。しかし、気にかかる点がある。果たして誰がこのような場所へ足を踏み入れたのか。なおかつ、一体誰が彼女の姿を見たと報告したのか。
前者は血気盛んな若者が足を踏み入れたと言われればそれまでだ。だが、一般人を拘束したという報告はされていないはずだ。もしもされていれば、風鳴弦十郎から何か忠告のようなものがあるはずだが、それもなかった。
そして気になる点二つ目。報告に関してだ。雪音クリスは何らかの異端技術を利用して誘拐されたというのが通説である。それを有しているものがみすみす目撃者を生きて帰すだろうか。また、異端技術を使えば彼女の身を隠すことなど造作も無いことである。
つまるところこれは。
「罠ということか。だがまあ、罠とわかっていればやりようはある」
不気味にうごめく森へとゆっくりと足を進めて行く。その先にたとえどのようなものが待っていたとしても乗り越えると心に決めながら。
十分ほど歩いただろうか。森のなかにぽつんと朽ちかけの洋館が現れた。その外観はところどころ崩れかけていて、苔や蔦などが無秩序に絡まっていた。まさに廃墟にふさわしい外観をしていた。
近づくと鼻につく匂いがしているのに気がつく。匂いからして野生動物の糞尿だろうか。つまるところ、野生動物が住処にするほどここには人間が近づいていないということになる。
「こんな見え透いた罠を見逃すほど二課のエージェントが無能なのは考えにくい。つまり、情報を意図的にリークされてそれを拒否できなかった?」
出処は不明だが無視するには真偽の程がわからない。しかし、裏取りをする時間もなかったため自由に動かせなおかつ切り捨てても懐が傷まない人材を派遣しなければならない。つまりは、遠回しなマッチポンプに近いのではないか。
裏に潜む黒幕の思考を読み取ろうと四苦八苦しているとふと気づく。地面にいくつか乱雑に靴跡が残っていた。大体の靴跡は風化が著しいため判別はつかない。しかし、ごく最近できたものと判別できるものが二つ。一つ目は、女物の靴を履いた靴跡。これは恐らく雪音クリスのものだろう。もう一つは、男物の靴跡。この足跡の主が異端技術を扱い雪音クリスを攫った人間だと断定して間違いはないだろう。
(だが男は兎も角女の方も歩幅の乱れは見えない。これは無理やり歩かされたものじゃない。これじゃあまるで)
その時、館の中で何か人影が動いたのが見えた。こちらが反応したのに対し人影は逃げて行ったが、身を翻す、際美しい銀髪が中へ踊るのが見えた。
「待て、雪音クリス! 僕は君を。ああ、くそッ!」
彼女の姿を追って洋館の中へと足を踏み入れる。ただその時僕のことをジッと見つめている視線に気づかなかったのはあまりにも不用心すぎたのだ。
―30分前―
ゆっくりと2階から1階へと続く階段をギシリギシリと床板を軋ませながら降りる。この館は以外にも小さく、部屋自体が崩壊している事もあったので見るべき場所は実際そんなに多くはなかった。しかし、すべての部屋を回っても雪音クリスの影も形もなくまるで最初から幻を見ていたような気分に陥った。
彼女がいない理由を考えると幾つか思いつくが、恐らく異端技術は使用されてないだろう。流石に、未熟な錬金術師とは言え使用領域内に足を踏み入れれば違和感に気づくからだ。
ならば、もっと原始的な方法で姿をくらませたのであろう。しかし、素人がこちらの目を掻い潜って逃走することは非常に難しいと言える。となると、この館で何か見落としている事があるということだ。
(一体何を見落としている? 隠し扉の類いは見つからなかった。科学的なものならば、もっと痕跡が残るはずだ)
そんなことを考えていると、階段の床板をバキリと音を立て踏み抜いてしまった。慌てて足を抜くと大きな穴が空いているのがわかった。恐る恐るその穴を覗き込むと、その先には深い闇がその身を寝そべらしていた。しかし、ヒューヒューという音がすることからどこか空気を換気するための穴があるだろうと予測できた。
ふと、脳内にひらめきが走る。階段下は倉庫であった。しかし、今しがた開けた穴は先程見た倉庫の風景とはまったくその催しが違ったのだ。
もしやと考え階段を飛ぶように駆け下りる。1階に着いた瞬間、階段横の倉庫へと飛び込む。そして、倉庫内のガラクタをどかすと先程開けた穴と大体同じ位置の壁に向かって注意を向ける。
(僕の考えが正しければ大体この辺りに。あった!)
床とのすぐ近く、壁に不自然なくぼみがあった。それに手を掛け上へと思いっきりかちあげる。すると、先程まで壁だった部分が地下へとつながる階段がその姿を表した。
その不気味さに無意識の内に息を呑んでいた。どのような事態にも対応するために警戒心をさらに引き上げることにした。
「なんてことも思ったりもしたが、こうまで何もないとは驚きだ」
先程、地下に続く階段を降りたが、廊下は一本道であった。なおかつ、危惧したトラップなどは一切あらず侵入者が来ることなど想定していない造りであった。
そんなこともあり、現在は廊下の突き当たりにある一枚の扉の前に来ていた。その扉はジメジメとした地下の空気にまったくあっていなかった。
優しさを感じる木目が高級感を醸し出しており、打ちっぱなしのコンクリート製の壁とまったくのアンマッチさを感じさせた。
ゆっくりと扉を開くとそこはショールームのような部屋であった。白を基調とした家具でインテリアがまとまっており、清潔さとシンプルながらセンスの良さを嫌味にならない程度に表していた。
その部屋の隅に異常な存在感を出している天蓋付きの巨大なベッドに誰かが寝ているようだった。ゆっくりと近づき寝ている人間を視界に収める。
そこにはクマのぬいぐるみを抱きながら気持ちよさそうに寝ている雪音クリスがいた。
(まるで眠り姫みたいだ)
その姿は絵画に描かれる一場面のようだったが、ゆっくり見ている時間はないので少々乱暴に起こす。
ネコのような声を上げ布団を跳ね飛ばし目を覚ます。僕の姿を視認した瞬間、跳び上がるようにベッドの向こう側へ行ってしまった。そのままベッドの影に隠れながらこちらの様子を伺ってきた。
「安心してください。雪音クリスさん。僕は日本政府から派遣されたエージェントであなたの身柄奪還の任務を受けたものです」
「あんたが本物だっていう証明はあるのか?」
「証明するのは無理ですが、信じてください。僕にはそれしか言えません」
「そうか…。どこへでも連れて行きな」
やけに物分りがいいなと思いながら彼女の手を引きながら部屋から出る。かつて保護された際の会話ログを見た限りかなり扱いが難しい娘だと思い、連れ出すのも難儀すると思っていたが、想定の範囲外に予想を裏切られた。
そのまま特に何も起こらず館から出た僕らは二課のエージェントとの合流地点を目指して森へと足を進めたのであった。
―10分前―
僕と雪音クリスは森の中を延々と歩き続けていた。先程から僕と彼女は一言も発しずに黙々と道なき道を進んでいた。しかしながら、雪音クリスをつれている以上、来たときよりも時間がかかるのは納得がいく。だが、異常に時間がかかり過ぎているのだ。
体内時計ではすでに合流場所に着いていてもおかしくはない。しかし、現状ついていないのだから恐らく何かの罠にかかったのであろう。
「おい、まだつかねえのかよ。一体いつまで歩かせる気だ?」
「もう少しの辛抱を。あと少しで着きますので」
彼女は何気なく言葉を発するが、顔が軽くニヤけていることからこの事態を予見していたのだろう。いや、彼女自身がこの策を考えついたのかもしれない。
そうこうしている内に、森の終わりが見えた。しかし、そこは合流地点ではなく先程の洋館がある場所だったのだ。
「おいおい、とんだ方向音痴だな。もしかして、まっすぐ歩くこともできないのか」
「…、静かにお願いします」
彼女が訝しげな表情でこちらを見てくるが、正直それを気にする余裕はない。先程の風景に確実に分かる異物が混入していたからだ。
年の頃は二十歳ほどであろうか、すまし顔をした金髪の青年がパラソルのした優雅にお茶を嗜んでいた。それならばまだ絵になるであろうが、彼の座っている椅子の横、そこに非常に大きなスーツケースが鎮座していた。
そして、そこには全身黒ずくめのサングラスを掛けた金髪の女も座っていた。一見和やかに見えるそのお茶会もよくよく見てみれば、何か緊迫した空気が漂っている異様な空間であった。
「で、どちらがこの空間を作った異端技術を使用する人間なんですか」
「ああ、それは私の方だよ」
青年がゆっくりと立ち上がる。立ち姿におかしなところはないものの一種異様な迫力が彼を包んでいた。その彼はゆっくりとスーツケースに手を伸ばし取っ手を軽く撫でる。
「見た所、君は雪音クリスを奪還しに来たと考えてもいいかな」
「ええ、そうですが。だとしたらどうします」
「それは困る、だから。死んではくれないかい」
彼はそういうとスーツケースの鍵を解錠する。すると、人型の2M程はある人形がその姿を表した。キリキリと不気味な音を立てながらこちらを睨みつけてくる姿は言葉にできない気色悪さを感じさせる。
もうひとりの女の方は相変わらず動きを見せない。しかし、こちらの動きをジッと見つめていいることから観察に徹しているだけだと予測がつく。
「君がこないならこちらからいかせてもらうよ。錬金術師」
「やっぱり情報漏れてるじゃん!」
その大きさに見合わず俊敏な動きで襲いかかってくる人形の手刀を紙一重で避ける。雪音クリスはいつの間にか少し離れた地点でこちらを伺っているようだ。なかなか都合がいい。
人形の攻撃を何度か躱し、ある程度のパターンを掴む。そして、カウンター気味に水の基礎術を霧状に展開しヤツの視界を奪う。
人形を遣う戦い方はいずれにしろ本体が弱点になる。つまり、視界が確保できず相手の動きが掴めなければ人形は自然と本体の護衛に回るのだ。
奴が人形を防御に回そうと自らの近くに寄せると同時に地面を踏み込む。奴が防御するよりも早く間合いを詰め左拳でヤツの腹を打つ。そう、ここまでは良かったのだ。ただ、唯一の誤算として、後ろの女が動かないことを前提に戦いを進めていたことが間違いであった。
渾身の拳は、空中に突如現れた紫色のバリアに受け止められていた。やつまでわずか十数センチのところでだ。
一瞬その光景に唖然とし動きを止めてしまった。戦闘において一瞬の隙きが命取りとよく聞くが、それは真理であろう。元に、後ろから迫っていた人形に脇腹を抉られ投げ飛ばされたからだ。
―現在―
「それくらいでいいわパラケルスス。彼ももう限界でしょう」
「別に殺してもいいが…。ああ、わかったよフィーネ。ここまでにしておくよ」
パラケルススと呼ばれた青年はその顔にありありと不快感を浮かべながら人形をしまう。女がフィーネと呼ばれたことも驚きだが、自らをここで始末しないことも驚きである。
そんなフィーネがこちらを睨みつける。正確には、後ろにいる雪音クリスをだ。
「ごめんなさいねクリス。手間を掛けさせてしまって。でも、お姫様気分で悪くなかったでしょう」
「ふん。別になんとも思わなかったさ」
雪音クリスが僕の前に出て一瞥をくれたかと思うと、そのままフィーネの方へ歩き出す。僕は彼女を引き留めようと言葉を紡ぐが、それは赤い鮮血となって吐き出されるばかりであった。
彼女がフィーネの隣に立った時、フィーネの手に握られた謎の物体から光が射出されると思うとノイズが召喚された。不思議なことにそのノイズは僕を襲わず周りに立ちすくんでいるだけであった。
「このノイズの反応を検知して助けが来ると思うわ。それまでせいぜい生き延びることね」
フィーネはそう言い捨てると、他二人と一緒に森の中へと消えていった。それを見送った僕はゆっくりと意識を落としていく。胸に多大なる悔恨の念を抱えながら。
原作まであと一話挟みます。(予定)
筆が滑ったらすいません。