獣物語   作:火炎放射機

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サーバルみんみ 4

 

「もうちょっとでゲートだよ、ここのひらたいのが目印なんだー」

 

 

カバのお姉さんと別れてからしばし、その先には案内板らしき物があった

 

いや、なんというか、こう・・・ " おっちょこちょい" らしきサーバルちゃんなら、「あれー?どっちだったかなー?」とか「迷っちゃったー!」みたいな迷子イベントがもしかしたら発生するんじゃないか、というのを予想してたんだけどそんなことは無かったようだ

 

 

「へぇ、ほんとに詳しいんだなサーバルちゃん」

 

 

「えっへん!」

 

 

なにかと自信たっぷりな仕草が似合うサーバルちゃん、うん、実に愛らしい

 

 

「あ!もうさばんなちほーの出口がみえてくるよー」

 

 

「え、そうなのか?」

 

どうやらサバンナ地方の出口に差し掛かったようだ、それにしても中々に長い道のりだったなぁ、それはもう第4話まで掛かってしまうくらいには・・・流石は回りくどいモノローグやエピローグを語る僕の所業なだけはある、おいそれとトントン拍子で話を進ませやしない

 

 

まぁあれだ、サーバルちゃんの「すぐ近くだよー」はサーバルちゃん自身のバイタリティ基準のものなのだろう

 

 

 

さて、その案内板には箱が取り付けられていて中に紙が入っていたので、僕はそこから紙を取りだして広げてみた

 

 

どうやらガイドマップのようである

 

「あ、なにこれ?ちほーのばしょがわかるの?」

 

 

「みたいだな、あれ?もしかしてサーバルちゃんはこれを見たことはないのかい?」

 

 

「うん、ないない!」

 

 

どうしたことだろう?この案内板があるのを知っていて地図の存在を知らなかったなんて、まぁ、何処かにいくにしても迷うことがないなら必要もなく、見る機会も無かったのだろうか

 

 

「いまはさばんなちほーで、となりがじゃんぐるちほーだからぁ いまここかぁ」

 

 

ジャングル地方?ジャパリパークにはサバンナとジャングルが隣接しているのか、なんだか凄いなと思う

 

 

「いいなーこれ!どこにあったの?」

 

 

「ここにあったんだけど」

 

 

地図が入っていた箱を指差してみるとサーバルちゃんがそれに気付く

 

 

「えぇー?ぜんぜんしらなかったー!どうやって出したのー」

 

 

なにやら箱をカリカリしているサーバルちゃん、開け方が分からないのだろうか?その仕草もまるで猫みたいである

 

 

これはもしかしたら、開け方を教えてあげるだけで「すっごーい!」ってなるのではないのか?

 

 

 

なんて、そう考えた時 ───

 

 

 

 

「ーーァァーーーーっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

      [ 悲鳴 ]

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

──叫び声?どこからだ?わからない僕はサーバルちゃんを見る

 

 

サーバルちゃんの表情には少し真剣味があった、女の子の悲鳴、サーバルちゃんのこの表情、僕は何事かおよそ目星が付いた、さきほどの僕自身の接近遭遇、カバのお姉さんから聞いた言葉

 

 

「またセルリアンか!?」

 

 

サーバルちゃんが声がしたほうに駆け出した、僕もこうしちゃいられない

 

 

 

 

駆けつけた先──

 

 

そこには巨大な怪異──まるで蜘蛛が巣を張ったようなやつが居た

 

 

「こいつも・・セルリアンなのか?」

 

 

ここまで来る道中で出くわしたセルリアンとは余りにも違う形と大きさだった、だが、あの"1つ目"だけは共通している

 

 

「さっきのあの声、誰か食べられちゃってるかも知れない!」

 

 

「食べられ・・?なんだって!?」

 

 

よく見ると怪異の中には女の子が漂っている

 

 

怪異──セルリアンに取り込まれていた、なんてことだ、まさかフレンズを溶かしたりして食べるのか?まずは器用に服だけ溶かしちゃったりして、この世界 "ジャパリパーク" に似つかわしくないような場面になっちゃったりするのか!?

 

 

 

駄目だ、それは!!

 

 

 

「今すぐ助けよう!」

 

 

まさか、こいつらセルリアンというこの怪異──のような物体、怪異だという確信は無いが、フレンズを食べるというのか?なら見過ごしてはいられない

 

 

 

 

「うぅおぉぉぉーー!!」ダダダダダダダ

 

 

 

「こよみおにいちゃん!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     【 疾 】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特になんの策も無いまま、僕はセルリアンへ・・・というより、セルリアンに取り込まれたフレンズへと走った

 

 

 

──!

 

 

 

途中伸ばされてきた触手のようなものを避けて、取り込まれた女の子へと目掛けてセルリアンの中へ─

 

 

 

未知なる領域へと僕は飛び込んだ

 

 

 

何故だかすんなりと入り込めてから、そのままの勢いで怪異に取り込まれた女の子を抱きしめて抜け出そうとするが──

 

 

 

「・・っうぅ・・・あれ・・?」

 

 

なんだろうか?脱力感・・力が抜けていくような、まるで目眩のような感覚に襲われてしまって思うように動けない

 

 

 

「こよみおにいちゃん!」 バッ!

 

 

 

──!

 

 

 

「うみゃ!?・・みゃ?・・・うみゃ?」

 

 

 

 

「えー?石がないよー!こんなのはじめてだよー・・」

 

 

 

サーバルちゃんが何とかしてくれようとしているのか、だが一筋縄ではいかないようである、かく言う僕もこのままだとこいつに喰われてしまうのだろうか───

 

 

 

 

 

 

  「ちょえぇぇーーーーー!!」

 

 

 

 

      ドンッ!

 

 

 

 

 

 

「うわあぁぁあーー!?」

 

 

 

 

 

 

端的に言うと、僕は蹴り飛ばされた

 

 

 

 

忍に蹴り抜かれて大きく傾いだその巨大なセルリアンは、ゲートから触手を離してフワフワと浮遊し、今は僕の前に立つ忍へと目を向けている

 

 

 

──どうしても戦うときは──

 

 

カバのお姉さんが別れ際に言っていた事を思い出す、サーバルちゃんと居た所から真っ直ぐ向かって、ゲートの真向かい側へと蹴り飛ばされ、セルリアンから飛び出した時に見えた石、あれか

 

 

こっちを向いている、ならば背面には

 

 

 

「今だ!サーバルちゃん!」

 

 

僕の行動と、思いもよらぬ闖入者──忍の乱入にあっけに取られていたサーバルちゃんが僕の声に素早く反応し、素早く駆ける──

 

 

 

「うみゃあーーーーーっ!!」

 

 

 

水の一滴(ひとしずく)が見えていそうな、サーバルちゃんの腕が光って唸る

 

 

「えぇーーい!」

 

 

サーバルちゃんの爪がセルリアンの背面にあった石に炸裂し、文字通りセルリアンは炸裂して消えた

 

 

その時、セルリアンを倒したサーバルちゃんよりもその向こうに、カバのお姉さんの後ろ姿があった

 

 

「変わった子ね・・・でも、見ず知らずのフレンズを助けようとしたのね」

 

 

すぐに姿を消したが、もしかしたらカバのお姉さんはここにセルリアンが居るのを知っていて、近くまで付いて来てくれていたのかもしれない、やはり良い人だろう・・いや、良いフレンズなんだろうな

 

 

 

 

~~~~~~~~~

 

 

それにしても、セルリアンに取り込まれていたフレンズは僕が抱き抱えていたので大丈夫だったが、僕はちょっと痛かったぞ忍

 

 

 

でも、助かって、助けれて良かった

 

 

 

「助かったよ、忍」

 

 

 

「っふん!・・全くじゃ!喰われればどんなことになる怪異かも分からぬのに馬鹿正直に飛び込みおって!」

 

 

「あぁ、感謝してるぞ」

 

 

ただ僕は、すぐになんとかしたかった

 

 

あの状況で、なにもできないまま見ているだけでいたら、僕はきっと後悔するんじゃないかと、それを思い出したときにもまた後悔するかもしれないだろうなと、ここに来てからサーバルちゃんに助けられっぱなしな僕だからこそ、フレンズを助けたかった

 

 

「大馬鹿者もいいところじゃぞ、お前様よ」

 

 

「悪かった、でも忍、お前が居るならって思ったからな」

 

 

ああ、僕は大馬鹿だ

 

 

助けたら自分が死ぬんじゃないかって思うくらいに怯えながら、死にかけているお前を助けるくらいには──

 

 

 

 

「・・あれ?どうしたんだサーバルちゃん」

 

 

 

なにやら俯いて、サーバルちゃんが無言でこちらへと歩いてくる、どうしたんだろう、ちょっと恐怖だぞ?

 

もしかしたらサーバルちゃんも僕の無茶な行動にお咎めの1つや2つあるのだろうか

 

 

まずいぞ・・! "なんでそんな危ない事するの!"とか "二人とも食べられちゃってたらどうするのー!"とか、 もしサーバルちゃんにそんなことを涙ながらに言われてしまったら、僕の繊細な硝子の少年の如きハートに大きな破片が刺さってしばらく立ち直れなくなってしまう──!!

 

 

 

「・・・・すっっごーーい!!」

 

 

 

 

どうやら、忍のほうだった

 

 

 

「さっきのあれなにー!?ヒューって飛んでいってバーン!ってセルリアンを通りぬけたわざ!すごいわざだね!ねぇどこから来たのー?君はなんのフレンズなの~~!!?」

 

 

忍の両肩を掴んではガックンガックン揺らしては質問しまくるサーバルちゃんだった

 

さて両者初対面・・・と思ったが、忍はもしかしたら僕の中に居る時からこの子を見てたかもしれないか

 

 

 

「んぁあぁぁあぁぁあぁ~~!やめんかぁー!!」 ビシィィーーッ!

 

 

サーバルちゃんにチョップをかましているのであった

 

 

「いったぁーい!もー!なにするのー!?」

 

 

「全く、なんじゃこやつは、やかましい小娘じゃのう」

 

 

「おい駄目じゃないか忍、優しくしてやれよ」

 

 

 

「そうだよー おともだちになろーよ!」

 

 

 

とても懐の深いサーバルちゃんは打撃を浴びせられたにも関わらずめげずに歩み寄っているが、忍は「ふん!」とつまらなさそうにして僕の影の中へと消えてしまった

 

 

 

「えぇーーー!?もぐっちゃったー??あれー?でも穴があいてないよー?」

 

僕の影の、忍が消えた所をペシペシ叩いているサーバルちゃん

 

 

「うみゃ~??どうなってるのー?」

 

 

「あいつは今僕の中に居て、名前は忍っていうんだ」

 

 

「えぇーーー!?こよみおにいちゃんの中にいるのー!?そうなんだーうぅわぁぁあ~ふっしぎー!よろしくね 、しのぶちゃん!」

 

 

とても興味津々といった感じで僕の影に対して挨拶をし、周りをピョンピョン跳ね回っているサーバルちゃんである、もしかして僕の影の中に入ろうとしているのだろうか

 

 

さて、それよりも、先ほどセルリアンに囚われていたフレンズの女の子が無事か確かめなくては

 

 

ポニーテールで、ショートパンツか?ホットパンツだろうか?を履いている、白と黒のツートンカラーが映えるこのフレンズの女の子

 

そうだ、もしかしたらまださっきのセルリアンに取り憑かれているかもしれない、ここは隅々まで確認を──

 

 

「どうやら、気を失って眠っているだけみたいだな」

 

 

だなんてことはしない、相手が八九寺ではないし、今ここにはサーバルちゃんも居る、なんとも分別のできる紳士な僕である

 

 

 

「よかった、たすかったみたいで!」

 

 

とりあえず眠っているみたいなので、またセルリアンに襲われないように茂みの中にそのフレンズを隠しておいてあげよう

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

そんなこんなでサバンナの出口であるゲートを越えてからしばし、もう日も暮れていたのでそろそろ休むことにした

 

 

 

「ねっ あしたどこ通っていこっかー?じゃんぐるちほーっておおきい川があるらしいよ!」

 

 

明かりの射す案内板の側で休もうと座りこんだところで、サーバルちゃんはというと「たのしみだなー!」とピョンピョン跳ね回っているいる

 

 

「サーバルちゃんは元気だな」

 

 

「やこーせーだからね!」

 

 

何故かグッと親指を立てるサーバルちゃんだった

 

今日は色々あって疲れているのだが、まぁなんというか、この子を見ていると心が癒される

 

 

「じゃんぐるちほーもフレンズがたくさんいるんだって!」

 

 

「それは楽しみだな」

 

 

「うん!おもしろいことがいっぱいありそうだね!」

 

 

灯りから逸れて、なにやら暗い所で爪研ぎをし始めるサーバルちゃん

 

 

「あまりそっちへ行くと危なくないか?」

 

 

「だいじょうぶ!やこーせーだから!・・みゃああああー!?」 ドシーン!

 

 

「え・・サーバルちゃん!?」

 

 

爪研ぎで木を倒してしまうとは、困ったニャンコである

 

「びっくりしたー」

 

 

「大丈夫みたいだな・・・」

 

 

 

───ん?

 

 

なんだかピコピコと音が聞こえたような、そして、サーバルちゃんの隣の奥で光る何か

 

 

「サーバルちゃん後ろ!」

 

 

セルリアンだろうか!?

 

 

「またか・・?」

 

 

身構えるサーバルちゃんと僕だったが─

 

 

 

そのピコピコと音を鳴らして現れた小さな物体──生き物なのか?なんだろう?僕はその物体を屈んで凝視した

 

 

つぶらな目、大きな耳、謎のベルトに謎の・・・レンズか?そして尻尾、まさにマスコット的な風貌の、青と黄緑と白の爽やかな3色ボディをした─

 

 

「・・・ボス!」

 

 

「え?」

 

 

「だいじょうぶ、しりあいだよ」

 

ボス、この小さな・・・ロボット?の名前だろうか、サーバルちゃんが話し掛けているし害は無さそうである

 

 

「ボス、こよみおにいちゃん何のどーぶつかわかんないんだって!住んでるところまで一緒にあんない・・」

 

そのボスとやらはサーバルちゃんに話し掛けられているにも関わらず、不思議な電子音の足音を鳴らして僕に近付いてきた

 

 

 

「ハジメマシテ ボクハ ラッキービーストダヨ ヨロシクネ」

 

 

「えっ・・と?阿良々木暦だ、よろしく」

 

 

どうやらこの小さなロボット?はボスという名前ではなく、ラッキービーストというらしい、そしてやや電子音気味だが喋れるみたいだ、なんだかとてもアニメっぽい存在である

 

 

「・・・!・・!」

 

 

「どうしたんだサーバルちゃん?!なんだか面白い動きしてるぞ!」

 

 

何やら驚いてワナワナプルプルしながらラッキービーストを見ているサーバルちゃん、どうしたんだろう

 

 

 

「うぅーわぁあーー!しゃべったぁぁああーー!!」

 

 

 

パパ~パパッパ~~

 

 

 

なんだか頭の中で、良い感じの音が鳴ったような気がした

 

 

 

 

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