彼らの青春には確かに夕日があった   作:桶狭間

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オリ主紹介
名前:深山和人/みやまかずと
学年:高校1年生
学校:羽丘学園

和人君がどういう人物なのかは読み進めて知っていただけたら幸いです。
※羽丘学園は共学です。





プロローグ「最悪の出会い」

 ガールズバンドーーAfterglowはボーカルの美竹蘭のために作られたようなものだった。

 幼馴染5人は今まで学校もクラスも一緒。しかし、中学2年生の時に彼女だけ別のクラスになったのだ。授業を受けなくなった蘭をどうにかしようと考え、結果、5人が一緒にいられるよう、ガールズバンドを始めたのだ。

 

 でもそれは、蘭1人では何も出来ない事に変わりない。

 

 そんな彼女は高校1年生の春、彼に出会った。相性最悪の少年と。

 

 これは美竹蘭とその少年ーー深山和人の恋物語。

 

 

 

 

 

 side和人

 

 深山流。それは、京都に本家のある日本有数の華道の家元。

 俺はその第十五代目当主の息子である。しかし、俺は3人兄弟の中でも末。だからといって、親から期待されて無いかというと、そんなことはなかった。

 末っ子だろうと本家の血を持っていたら、将来は深山流拡大のために無理矢理結婚させられる運命だ。

 なので俺は、今まで恋をしないように生きてきた。駆け落ちする羽目になるより、何不自由なく暮らせる生活の方がいいに決まってる。

 

 そして今、親父から大事な話があると深山家(うち)に仕えてる女中さんが言いに来た。大事な用なら直ぐに行った方が良いと思い俺は、急いで親父の部屋に向かった(その際、走るなどのはしたないことはしなかった)。

 

 親父が呼び出したのは洋室の書斎だったため、コンコンと遠慮なくノックする。

 

「失礼します」

「おう、来たか。まあかけろ」

 

 と言われたら、このまま立っておく方が失礼なので、ソファに腰を下ろした。

 

「で?話ってなんだよ?」

「ハハハッ!早速本題か!お前は相変わらずせっかちだな!」

「親父がすぐ話題をそらすからだよ。今だってそうだ」

「そうかもな!まあいい!それじゃあ本題なんだが、和人、お前高校は東京に行け」

「わかった。じゃあ俺はこれで……今何て?」

「お前は東京の高校に行くんだ。3人程付いて行かせるから安心しろ」

 

 何言ってんだこの親父は?本気で夢かと思ったが、つねった右頰が痛い。

 

「ちょ待て!四月からは府内トップの高校に行くんだ!それにもうどこも受験できないだろ!」

「別にお前の学力ならどこの高校でも一流大学に行けるだろう?それに、書類試験で東京の高校には受かっているから問題無い」

「いや、問題だらけだっての……。それに、家はどうすんだよ?」

「それこそ心配ない。向こうには美竹流があり、そこの現当主とは古い付き合いでな。お前をそこに行かせるのが一番の目的だ」

 

 この親父、今目的って言ったよな?絶対何か仕組んでるだろ。

 

「……まあ、もう決定事項みたいだから言う事聞くよ。で、俺はいつ行くんだ?もう三月終わるぞ?」

「ああ、それなんだが……」

 

 

 

 

 

「明日だ」

 

 

 

 

 

 side蘭

 

 あたしは今日、バンドの練習があったにもかかわらず憂鬱だ。練習で喧嘩した訳ではない。その後の予定、つまり今からが嫌なのだ。

 

『今日はお客様が来るから早く帰って来なさい』

 

 練習に出る前に父さんが言った。あたしがいてもいなくても、いつもお客さんに会ってるのに、なんで今日は会わせようとしているのかわからない。

 

 ただ、嫌な予感はする。

 

 最近、一層華道を継げってうるさい。だからその事には関係しているはず。

 お見合いとかは今までなかったから多分違う。それなら外出させずに家で準備させたはずだ。と言うか、中学卒業して間もない娘にお見合いさせるとかキモい。

 とにかく、家には入りたくない。でも、モカ達の家に泊めさせてもらったら余計にうるさく言われそうだし。

 

 あたしは腹をくくって玄関の扉を開いた。

 

「見慣れない靴……」

 

 男ものだが、やけに高そう。それもそうか。うちに来るお客さんはそれなりのお金を持っている。

 どうせ後で呼び出されるなら先に会っておこうと決め、あたしは客間に向かう。

 

「父さんただいま」

 

 客間には男性が5人。1人は父さん。もう1人はあたしと同い年くらいだった。その後ろに3人の男性が立っていた。

 

「帰ったか蘭。ちょうど良かった。彼が今日からうちに住むことになる……」

「深山和人です。よろしくお願いします。後ろの3人は気にしないでください」

「み、美竹蘭です。よろしくお願いします」

 

 あまり男子とは喋らないので挙動不審になってしまった。それと、ボディガードみたいな人達を放っておくのも出来ないんだけど。

 

 って、待って。

 

「父さん、今()()って言った?」

「ああ、彼の父親とは高校の同級生でな。この子を東京の学校に行かせたいから住ませてくれと頼まれたんだ。因みに学校はお前と同じで、学年も一緒だ」

「あっ、そうなんですか。なら、敬語は無しにしませんか?」

 

 いきなりタメ口使われるのは腹たつけど、こうやって一々許可取るのも面倒くさく感じた。

 

「……別に、いいけど」

「それと和人君、娘のことは『蘭』と呼ぶ方がいいだろう。でないと、家中美竹だらけになってしまう。蘭、お前も名前で呼ぶんだぞ?」

「!ちょっと!勝手に決めないでよ!呼ぶのも呼ばれるのも嫌なんだけど!」

「俺もそれは難易度が高いですね。今まで特別仲の良い女性はいなかったもので」

「まあ、2人のタイミングで構わない」

 

 父さんは笑いながら言ったが、あたしからしたら全然笑えない。

 

「和人君、部屋は娘の隣にしたから早速案内してもらうといい」

「はあ⁉︎なんであたしがそんな事を!」

「わかった。じゃあ君は部屋に戻っていいよ。俺が勝手に付いて行く」

 

 何この男、どこかあたしを見下してる気がする。

 

 ただ、あたしが部屋に戻らないと父さんが怒るのはわかったので、大人しく部屋に退散した。

 

「はい、ここがあんたの部屋」

「ああ、サンキュ」

 

 お礼の言葉だけ聴いたので、あたしは自分の部屋の扉に手をかけた。

 

「美竹さんから聞いたよ。お前、美竹流継がないんだって?」

 

 チッ。心の中で父に舌打ちする。

 

「馴れ馴れしく話しかけないで。あんたには関係ないし、どうするかはあたしの勝手でしょ」

「そうだけど、お前の選択次第で文化が衰退するかもしれないって自覚あんの?」

「別に美竹流がなくなってもいいし」

「ふーん。俺の実家は日本最有力の流派の本家なんだが、そんな事言ってみろ。ブチ切れられて山に捨てられるぞ」

 

 なんでそんな家の人と父さんが同じ高校だったんだろう。

 

「あんたは親の言いなりでいいんだ?」

「俺は構わないよ。美竹さんはまだお見合いとか考えてないみたいだけど、お前がその調子なら誰かと結婚させられるぞ」

「……その時は家出でもなんでもする。それよりあんた、本気で花道を楽しいとでも思ってんの?」

「ああ、思ってるよ」

 

 こいつの返事に心底イラついた。

 

「あんなの、どこがいいんだか」

 

 この時、ボソッと呟いた。しかし深山和人には聴こえている。

 

「お前今、()()()()って言ったか?」

「言ったからなんなの?」

「俺はこれでも華道には全てを賭けてきたんだ。お前みたいに遊んでいる奴に馬鹿にされる筋合いは無い」

「別に遊んでなんかない!」

「へえ、バンドなんかやってるくせによく言うよ!」

「遊びでバンドをやってるわけじゃない!」

「俺だって真剣に華道をやってんだよ!だから何も知らない奴に馬鹿にされんのはイラつくんだよ!」

「あんただってバンドのこと、何も知らないくせに偉そうな事言わないでよ!あたしはバンドに本気なの!」

 

 そこで深山和人は黙り込んだ。そして部屋の扉を開けて、今度はこちらを見ずに冷ややかな声を発する。

 

「お前がどうしようが俺には関係ない。でも、お前は美竹家の一人娘なんだ。それは忘れるなよ」

 

 そう言って深山は部屋に入っていった。

 

「ちょっと待ちなさいよ!」

 

 しかし部屋からは出てこず、あたしのイライラは行き場を失った。

 

「あーもう!」

 

 あたしも部屋に戻って、勢いよく扉を閉める。

 

 窓から差し込む夕日の光がやけに眩しく感じた。

 

 

 

 

 

 side和人

 

 昨日はその後、夕飯の時にしか美竹蘭とは顔を合わせなかった。しかもあいつ、食事中はずっと黙ってたし。

 

「まあ、喧嘩ふっかけられなかっただけマシか」

 

 そして、今日は朝から美竹さんに呼び出された。俺は寝間着(和服)から私服(洋服)に着替えて昨日と同じ居間に向かおうと、部屋を出る。

 

 ガチャ。

 

 それは隣からも聴こえた。

 

「何?あんたも父さんに呼び出されたの?」

「ああ、そうみたいだ。別に猫を被るつもりは無いけど、美竹さんの前では大人しくしてろよ」

「わかってるし!」

「どうだか」

 

 と、俺は歩きだす。すると美竹蘭が、

 

「あんた歩くの遅すぎ。先行くよ」

 

 俺はここで野生本能が働いた。マケタクナイ。

 

「お前だって大して速くないな」

「別に、あたしの方が速いし!」

「俺の方が速いし!」

「あたしの方が!」

「俺の方が!」

「なんだ2人とも、もう仲良くなったのか?」

「「仲良くなんかない‼︎」」

 

 揃って言ったものだから、美竹蘭とまた睨み合う。

 

「はっ、すみません美竹さん!生意気な口調で!」

 

 たった今、美竹さんに対してタメ語を用いた事を謝る。

 

「ははっ、気にしなくていい。それより2人とも、座りなさい」

「はい」

「はあ」

 

 こいつ今、溜め息つきやがった!

 

「和人君、実は昨日の夜に君のお父さんと電話をしていたんだ」

「はい、それが何か?親父がご無礼でも?」

「いや、そういうわけじゃないんだ。それで、あいつと話している時に決まったんだが」

 

 その時、美竹さんがあまりにも真剣な口調と表情だったので、俺は思わずゴクリと唾を飲み込む。

 

 美竹蘭もどうやら今のところは落ち着いている。

 

 

 

 

 

「蘭、和人君。2人は婚約者になったから、そのつもりでな」

 

 

 

 

 

「「…………はあ⁉︎」」

 

 

 

 

 

 こうして俺ーー深山和人と美竹蘭の波乱の物語が幕を開けた。




和人「なあ、この回の冒頭部分をあらすじにすればいいと思うんだが。なんで俺達の喧嘩が採用されたんだ?」

蘭「それに関しては同意しすぎて草生えるんだけど」

桶狭間「いやいや、内容を知ってもらうにはお2人の口喧嘩の方がわかりやすいと思っただけっすよ」

和人「どういう理由にしろ、次回までには変えといてくださいよ」

蘭「それか、こいつが発狂する回を書いてくれない?」

和人「おい、ナチュラルに俺のキャラ崩壊を求めんなよ!」

蘭「別に崩壊してもいいでしょ!」

和人「よくねーよ!ならお前がヤバさミステリーでハザードランプ点滅させてろ!」

蘭「ちょっと!あたし達の歌を馬鹿にしてない⁉︎」

桶狭間「もう勝手にしてくれ……」
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