そして、フェス限蘭も出ました!
あの後、俺は「用事があるから」と言って真っ直ぐ家に帰宅した。青葉さんは一体どこに違和感を感じ、従兄弟では無いと見破ったのだろうか。もう一度青葉さんと話してみてその理由を是非教えて貰いたいが、話しかけてみるのが怖い。
すると、廊下から足音がする。それは俺の部屋の前で止まり、次に扉がノックされる。
「はい?」
「あたし」
どうやら扉の向こうにいるのは美竹蘭のようだ。帰ってくるまでにもう少しかかると思っていたのだが。
「成る程、オレオレ詐欺みたいなものか。家まで上がってくるなんて恐ろしいな」
「ウザ。本当に詐欺に引っかかればいいのに」
「物騒な事言うなよ。で、なんだよ?」
こいつが俺の部屋に来るなんて珍しい。だからといって部屋に入れるつもりは一切ない。
「入ってもいい?」
「駄目に決まってる」
しかし、彼女は諦めずに部屋の前で喋り始めた。
「……モカに『本当に従兄弟なの?』って言われた」
それを聞いた瞬間に俺はドアを開けていた。
「それ本当か⁉︎」
「本当だよ。ひまりは『何言ってんのモカ』って笑ってたから大丈夫だと思うよ」
取り敢えず、俺と美竹の関係を疑っているのは青葉さんだけか。
「そうか……。実は俺も青葉さんに同じ事言われたんだ」
「えっ⁉︎あんた、それでさっさと帰ったの?」
「そうだよ。何かボロ出したと思って逃げた」
そもそも、ボロ出したつもりは全く無いんだけど。
「ねえ、モカにはなんて言うの?」
「俺は何も言わないよ」
「はあ⁉︎」
「青葉さんが聞きたいのはお前の言葉だろ?」
そうだ俺の言葉なんて望んじゃいない。幼馴染みであり、親友である美竹からちゃんと言って欲しいに決まってる。
「……わかった。でも、あんたも一緒にいてよ」
「いいぞ、それぐらいなら。それで、お前は本当の事を言うのか?それとも嘘を続けるのか?」
美竹はもう答えは決まっているようで、即答した。
「あたしは、モカに全部話すよ」
翌日の放課後、ついにその時がやって来た。俺は昨日と同様に士郎には「一緒に帰れない」と伝え、速やかに教室を美竹と共に出た。クラス中から視線が集まっていたが、気付かなかったことにしよう。
「で、青葉さんをどこに呼び出したんだ?」
「屋上」
「わざわざ学校内で話するのはリスク高くないか?」
うっかり誰かに聞かれたら、婚約関係が一気に広まってしまうかもしれない。美竹はバンドをやっているため、学園内での知名度は高い。ファンも多いらしく、俺が闇討ちに遭う可能性が出て来るので、聞かれてはマズイ。
「大丈夫だよ。放課後に屋上来る人って案外少ないし」
「それもそうだな」
放課後に屋上来る暇があるのなら部活行ったり、さっさと帰宅なりするだろう。
すると、美竹のポケットから携帯のバイブ音が鳴る。彼女はスマホを取り出して画面を見る。
「あ、モカからだ。……モカはもう屋上にいるって」
「なら急ぐか」
俺がそう言う前に、美竹の足は既に速くなっていた。どうやら俺の意見はどうでもいいようだ。俺に一緒にいろと言ったくせにこの扱いは如何なものか。
しかし、ここで文句を言って美竹がキレても面倒なので大人しく着いて行く。廊下を真っ直ぐ行き、階段を上る。一番上まで辿り着き、今、屋上の扉が目の前にある。
美竹が扉を開くと夕焼けが眩しく、俺は思わず目を細める。その光にもすぐに慣れると、ようやく屋上にいる1人の生徒を視認できた。
「もー、蘭ったら遅いよー」
「しょうがないでしょ、先生の話が長いんだから」
「しょうがないなー。で、何の話ー?」
青葉さんはとぼけた。どうせ内容はわかってるだろ?と口を挟みたくなったが、今日の俺は本気で黙っているのが仕事だ。
「モカが昨日あたしに言ってきた事なんだけど。実は、ーー」
美竹はそれから洗いざらい全てを話した。
彼女と俺が従兄弟の関係では無く、親が勝手に決めた婚約関係であること。そして俺達自身にはその気が無いこと。
更には俺の苗字、『深山』のこともわざわざスマホで検索したのを見せていた。それは俺の家の事なので一々言わないでもいいだろ……。
そして最後には、
「隠しててごめん。……嘘をついてて、ごめん」
と言った。美竹の話が終わると、青葉さんは全てを見透かしていたかのようなニヤつきを見せて、
「蘭があたしに隠し事するなんてなー。モカちゃん悲しいよー。でも、正直に話してくれたから、気にしないけどー」
今の発言で1つ確信が持てた。青葉さんは本当に美竹蘭のことが大好きなのだろう。
「もう話終わったんなら俺はもう口を出していいか?」
「何、深山」
青葉さんには婚約関係がバレてしまったが、その分美竹を苗字呼びしても良くなるのか。
「青葉さんはなんで俺と美竹の従兄弟の設定を疑ったんだ?それがどうしても腑に落ちないんだ」
俺がずっと気になっていた事だ。俺は丸24時間考えていたが、未だに迷宮の中だ。
しかし、青葉さんは驚くべき。というか有り得ない理由を述べた。
「んー。そんなのただの直感だよー?」
「「……」」
俺と美竹は思わず口をポカーンとさせる。そんな事で俺達の秘密がバレたなんて。
だが、青葉さんの口撃はまだ終わらない。
「それで、蘭と和人はどこまでいったのー?」
「「ブッ‼︎」」
俺と美竹は同じタイミングでむせる。俺に至っては名前で呼ばれたが、そんな事はどうでもいいぐらいの発言だった。
「モカ!あたしはこいつとそう言う関係じゃ無いって言ったじゃん!」
「そ、そうだ!君は一体何を書いてたんだよ!」
「またまたー。2人して照れちゃってー」
青葉さんは冗談でからかっているだけなのは理解しているが、それでも反論はしておきたい!
「な、なんでそうなるの⁉︎あたしは深山のことが嫌いなんだから!」
「俺だってお前なんか御免だよ!」
美竹は顔を真っ赤にしているが、俺も負けていないのだろう。そんな光景を見られたら照れ隠しに見えるかもしれない。
「いやー、2人は面白いですなー」
と呑気に笑う。俺と美竹をおもちゃとして扱っているのは明白だ。
そして、やっぱり青葉さんは俺の天敵だ。
桶「あらすじに引き続き私ごとですが、今年は忙しい1年でした。中々更新できなかったのに、この作品の事を応援したくださいありがとうございます」
和人「どうしたんですか?急に改まって」
蘭「1年を振り返りたくても、この作品、1年間で大して更新してないからあたしたちは何とも言えないよね」
桶「読者の皆さま、そして和人君と蘭さんが、2019年が2018年よりも良い年になりますように」
和人「そういう風に言われると……」
蘭「恥ずかしいんだけど……」
桶「スミマセン。それでは気を取り直して、」
和人&蘭「「HAPPY NEW YEAR!」」