彼らの青春には確かに夕日があった   作:桶狭間

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(……ラーメン食べる描写あんまり無いな。これじゃあタイトル詐欺だべ)


12話「ラーメン食べるだけの回」

テスト4日目の2限目は現代文。これが終われば勉強という呪縛から解放され、俺たちは自由を手に入れるんだ!なんて思っている奴らが大半である。勿論、俺も例に漏れずその内の1人。

キーンコーン。最後のテストの終わりを告げるチャイムが鉛筆のカリカリ音を塗り潰し、列の最後尾の人が答案を回収する。試験監督の先生が枚数を確認して、学級委員に号令を促した。

 

「っしゃー!終わったー‼︎」

 

号令後のクラスは歓喜の声が湧いたが、その中でも一際大きいのはレイジの声だった。テンションが異様に高いのは出来が良かったのか、それとも単に部活が久々に出来るからか。

俺は席を立ち、レイジの所へ向かう。

 

「お疲れさんレイジ。提出物持ってってやるから部活に行って来いよ」

「おっ!サンキューカズ!」

 

ノートとワークを鞄から出して俺に投げ渡したら風のように去って行った。相変わらず元気な奴だ。

次に俺は士郎の席に向かおうとしたが、既に士郎がこちらに来ていた。

 

「和人。現文は出来たか?」

「ああ、完璧だ。文系科目は自信しかない」

「おお、ならいい勝負が期待出来そうだな」

 

俺と士郎は今回のテストで賭けをしている。数学ⅠA(200点)、現代文、古典、英表、コミュ英、理科基礎2科目の計700点満点で勝負している。理系が苦手な俺には割と不利だが、今更賭けを取り消すのは格好が付かない。因みに賭けているのはメシを一度奢るだけ。

賭博内容を振り返っていると、士郎が新たな話をする。

 

「それより何か食べて帰らないか?帰って昼ご飯作る元気が無くてな」

「別に構わないけど、そんなに勉強に根を詰めたのか?」

「まあそんな所。それより今日まで学食閉じてるんだよな?」

 

テスト中は午前中に終わる為食堂は一時的に閉じているのだ。部活に所属している生徒からすれば、「なんで今日までなんだ」と嘆いているだろう。

鞄を持って俺たちは相談を続けながら教室を後にした。足は課題を出す為、職員室を目指している。

 

「なら何を食べに行く?俺は士郎に合わせるけど」

「そうだな……。ガッツリいきたいし、ラーメンにしよう」

「別に良いぞ。この辺りで良い店とか知ってるのか?」

「全く知らないな。だから詳しい奴を呼ぶけどいいか?」

 

俺の知らない奴を呼んだら、人見知りしちゃいますよ?なんて思ったが、士郎の友人なら無碍には出来ないという結論に至り、士郎に頷いた。

すると士郎は俺の了承を得て直ぐにスマホに指を滑らせ、誰かにメッセージを送った。

すると1分もかからず、その人物がやって来たようだ。

 

「悪いな宇田川。テスト終わって直ぐなのに」

「いいって!アタシもラーメン食べたいと思ってたんだよ」

 

士郎に呼ばれて来た女子生徒を、俺は知っている。こいつは美竹蘭の幼馴染の1人だ。

俺は思わす竹刀を構える。実際、竹刀を持ってはいないので、素手で宇田川という者に勝てるだろうか。ロロノア・ゾロみたいに無刀流が使えればいいのに。因みに無刀流は実在しているが、それは精神を鍛える的なアレでゾロのとは別物だ。

 

「おお!和人じゃん!お前もラーメン行くのか?」

 

あれ?割とフレンドリーだ。警戒してるのは俺の方だけの様だ。ネクタイの色は自分と同じ緑色なので、同級生と認識する。あの時は年上にしか見えなかった。

 

「いや、俺とちゃんとした面識ないよな?……ですよね?」

 

なんか、本能的に負けてしまった。俺よりも圧倒的に強そうだから、敗北を認めてしまった。

 

「別に敬語じゃなくていいって!あたしは宇田川巴。よろしくな蘭の従兄弟の深山和人」

 

そう言いながら右手を差し出して来た。しかし宇田川さんはとんでもない爆弾を投下した。そんなに大きな声でも無いので周りには聴こえてない。士郎を除いて。

 

「ん?美竹の従兄弟?和人が?」

「あれっ?もしかしてこれって言っちゃいけなかった感じか?」

 

宇田川さんは俺に尋ねた。勿論、言ってはいけない。美竹は君達幼馴染にも知られたく無い事なのに他の人に話せる訳も無い。まあ、従兄弟ってのも俺の捏造なんだけど!本当は婚約関係なんだけど!

俺は諦め、士郎に従兄弟の事を言う決心をする。

 

「悪い宇田川さん。蘭を呼んでくれないか?」

「えっ?わかった」

 

宇田川さんはスマホに指を滑らす。この光景、さっきの士郎と同じ描写になるな。

間も無く美竹蘭が現れた。俺の顔を見るなら苦虫を噛んだ様な表情になる。簡単に言うと、嫌な顔された。

 

「何の用?」

「士郎に従兄弟だってバレた」

 

小さくため息をつき呆れられた。一様弁明だけはしておこう。

 

「今回は宇田川さんの所為でもある」

「いや〜、アッハハー……」

 

こんな元気の無い笑い声は初めてだ。宇田川さんはあれだな。気持ち隠すのが下手なタイプだ。

 

「と言うわけで殴るな」

「いつも殴ってるみたいな言い方しないでよ!」

「確かにそんな殴られても無いけど、謝られた記憶も無い!」

「あんたがいつも悪いんでしょ!」

「す、ストップストップ!ここで喧嘩を始めないでくれ」

 

仲裁に宇田川さんが入ってくれる。誰かが仲を取り持ってくれると割と平和な解決になるが、少し消化不良な所もあったりする。

 

「話が全く見えてこないんだが。……取り敢えず場所変えないか?」

 

何も理解してない士郎がそう提案する。俺たちはその案に乗っかる事にした。

俺たちが学校を出て向かう先は、当然ラーメン屋だった。

 

 

 

 

 

ラーメンの湯気が目の前に広がっている。伸びてしまうのが嫌なので俺たちは食べながら話を続行する。

 

「さて、どういう事か説明して貰おうか」

「どうもこうも宇田川さんの言葉の通りだよ」

「そうそう。蘭と和人は従兄弟なんだよ。それを最初アタシは知らずに、和人を威嚇したっけ」

 

なんかこう凄く距離感が近いですよね宇田川さん。と言うか、美竹の幼馴染はコミュ力高い人が多過ぎじゃないですか?

 

「じゃあ、一緒の家に住んでるのか?」

「うっぷ!……も、勿論だとも!従兄弟だからな!」

「クラスメイトの女子と1つ屋根の下?」

「そ、そうだ!何か悪いか?」

「いや悪いとかじゃなくて、何も起きないのかなって」

「ブッ!」

 

今ラーメンを口の中に含めてたら間違いなく士郎の顔面に吐き散らしていた。宇田川さんはラーメンに夢中になっている。あんたが口を滑らせた所為なのに!まあ、元々ちゃんと口止め出来てなかった俺と美竹に責任があるのだが。

その美竹と言えば、彼女も黙々とラーメンを口に運んでいた。お前も説明しろよな。何のためにお前を呼んだと思っているのやら。

しかし士郎の発言で彼女も少し噎せた様に思えたが、俺の気の所為だろう。

 

「士郎!そんな間違いが起きる訳無いだろ!」

「そっか。それで、なんで皆に隠す必要があるんだ?」

「それはアレだよ。同じ家に住んでるって知られたら変な勘違いされるだろ、今の士郎みたいに」

「そうだけどさ、そんなの言わせて置けば良くないか?従兄弟なのは先生達も分かってる訳だし、何か法的な問題になる恐れは無いだろ」

 

こいつ本当に鋭い奴だな。青葉さんに続いて敵に回したくない人物ランキングのランカーになれるぞ。

 

「美竹との噂をされるのが嫌なんだよ。他の女子となら良いけど、相手が美竹ってのが不服なんだよ」

「それはこっちの台詞」

 

美竹、さっきから妙に大人しいな。俺が煽った発言してもあんまり乗ってこない。

 

「つーかさ、士郎にも事情がバレた訳だし、もう名前で呼べばいいんじゃないか?」

「えっ?普段は名前で呼び合ってるのか?」

 

宇田川さん、あなたはずっとラーメンに夢中にになってれば良かったのに、何で余計なことを言うんだ!士郎が興味持っちゃったから!と思ったらもうラーメンを食べ終わったんですね。これは一本取られた。

 

「そうだよ名前で呼んでるよ。なあ、蘭?」

「……ん。和人」

 

本当に照れるのだけはやめて下さい。それで何?ちょっと間を開けてるの何?俺まで恥ずかしくなりますから!美竹、何か今日切れ味が悪いぞ!もっといつも見たいに刺々しくて良いんだ!

 

「蘭、調子悪いのか?」

「いや、そんな事ないから」

 

俺が問い掛けてもこの有り様である。おかしい、さては偽物の美竹蘭だな。なんて馬鹿な妄想はやめ、俺は1つの答えを導き出した。

美竹蘭は緊張している?

普段話す事の無い士郎がいるから人見知りを発動しているのか?クラスメイトなのに?

……確かめみるか。

 

「蘭。お前さ、今人見知りしてるだろ?」

「っ!な、なんで分かったの!」

「やっぱりか。初めは説明を俺に押し付けて楽しようとしてるのかと思ったが、そうなら俺に対してもっと棘があるはずだからな」

 

なんか、自分で言ってて少し悲しくなるよね。全部俺の被害妄想だけど、実際に有り得そうな話だから怖い。

 

「べ、別に人見知りなんてしてないし!」

「いやお前、今「何で分かったの?」って言ったろ」

「うっさい!余計なこと言わないでよ!」

「余計とはなんだ!こっちは1人で士郎に説明したんだぞ!」

「そんな長ったらしい説明じゃ無いでしょ!」

「長いか短いかの問題じゃないんだよ!平等かどうかなんだよ!」

「2人共、店の中ではやめとけ。な?」

 

再び宇田川さんの仲裁のおかげで俺たちは止まる事が出来た。

 

「教室でも偶に言い合いしてたから仲良いと思ってたけど、俺の想像以上に仲良いんだな。和人と美竹は」

 

士郎は孫でも見つめるかの様な穏やかな目で俺と美竹の口喧嘩を見守っていた。

 

「「仲良くない‼︎」」




桶「記念すべき令和1発目はラーメン食べて駄弁る回!」

蘭「そんなにラーメン食べてる描写無いけど」

桶「それは前書きで言ったので勘弁を!」

和人「それより、今回少し苦労した事があると」

桶「よくぞ聴いてくれました!それは喋り方です!」

蘭「喋り方?」

桶「宇田川巴の喋り方が難しい!描いてると和人くん、士郎くんの2人とごっちゃになってた!」

和人「そう言えば士郎と宇田川さんはどう言った知り合いなんです?」

桶「ああ。それはですね、美竹蘭除くAfterglow4人と姫柊士郎、明石レイジが中3の頃に同じクラスだったんです」

和人「成る程」

蘭「話戻すけどさ」

桶「何です?」

蘭「喋り方が難しいって言ってたじゃん?」

桶「はい」

蘭「後書きの桶狭間さんが一番喋り方が毎回変わってるよね?」

和人&桶「「…………」」
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