彼らの青春には確かに夕日があった   作:桶狭間

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和人「いやー、それにしても、何度言っても更新頻度が変わりませんね」

蘭「それどころか遅くなってるし。6月なんて一話も投稿してないし」

桶狭間「しょうがないじゃないですか。リアルで忙しかったんですから」

和人&蘭「二ヶ月も」

桶狭間「だってGW終わったらすぐにテスト週間に入って。それが終わったら6月中旬にある文化祭の準備で忙しくて。その後は、1学期末テストがあって……」

和人「……ご、ご苦労様です」

蘭「桶狭間さんって学生だったの?」


5話「林間学校2日目」

 さて、林間学校2日目に突入したわけたが、もう既に昼食時。野外炊飯をし、班でカレーライスを作っている。しかし、俺を含む生徒一同は午前中の川下りでクタクタなのであった。

 

 俺の班での係は、自ら率先してお米を炊く係になった。正直、炊飯に関しては俺を上回る者がこの中にいるとは思えない。

 

 カレーの方も難なく調理が進んでいる。士郎と女子2人で材料を切り、もう1人の女子がその材料を炒めている。レイジは全く料理ができないとの事なので、大人しく食器をテーブルに並べている。

 

 そして、残った美竹はと言うと、

 

「なあ、黙って火を眺めるのやめてくれないか?病んでるみたいだぞ」

 

 俺と炊飯係に任命されていた。それなりに手伝ってくれていたが、俺からしたら手伝ってくれない方が助かった。なぜなら、すっごく気不味いから。

 

「うっさい」

 

「……はい」

 

 うん、すっごい気不味いな。出来る事ならこの場から今すぐに立ち去りたい。というか、昨日や一昨日の事で色々と考えてるのは俺だけなのか?

 

「というかお前、俺のこと嫌いなんだろ。なら手伝わなかったらいいだろ。なのに、なんで俺の側にいるんだ?」

 

「あんたの事は嫌いだけど、班の女子とは話せないし。あんた以外に話せる相手いないし」

 

「……悪い」

 

 幼馴染達とは普通に話せているのだから、きっかけさえあれば友達も作れるのだろう。ただ、自分から話しかけるのは怖いよなぁ。俺も入学式の日は心臓バックバクだったしな。

 

「そういう事なら、仕方ないな」

 

「それでもやっぱり、あんたとは話すつもりは無いけど」

 

「はいはい。じゃあ黙っとくよ」

 

 うーん、扱いが酷いな。まあでも、どうせこのまま話しても喧嘩に発展するから大人しく黙ってることにする。

 

 一息つけると思った矢先。

 

 パリーン。

 

 という音がレイジの方から聞こえ、俺はため息を漏らしながら、彼のところへ向かう。全く、俺の仕事を増やすなよ。

 

 

 

 

 

 午後からハイキング……というほど大層なのではないが、一様そういう名目の森の散策だ。班に地図が配られそれを見ながらゴールを目指す。頂上を目指すわけでもないので危険も少なく。足を滑らせらのが少し怖いぐらいだ。

 

 そんな事を考えていると、学年主任の先生の長ったるい話が終わった。

 

 俺達の班が出発する番が回ってきた。

 

「よし、行くか」

 

 立ち上がると、レイジが地図を受け取り、歩き出す。

 

 さて、早速トラブルが発生した。

 

「明石ー、ウチらに地図貸してみー」

 

「は?なんで?」

 

「あんた、こーゆーのニガテそーだし、ウチらに任せなって」

 

 班のメンバーの女子1が明石に促した。もう2人の女子はニヤニヤとしている。うーわ、性格のクズさが滲み出てるよ。

 

「いやでも、班長は俺だし」

 

「いーからいーから、ウダウダ言ってる男ってキモいから」

 

「まあ、俺に任せとけって」

 

 そうだレイジ。俺はお前に命を預けたんだ!だから最後までお前を信じてるぞ!

 

「いやいやー、あんたってこーゆーのゼッタイダメっしょ!」

 

 いや、ボキャブラリーからして、お前絶対頭悪いじゃん。お前に地図託したら、この森で遭難しちゃうよ。

 

 この間、士郎は「はぁ」とため息をついている。美竹は「誰でもいいから、さっさと進みたいんだけど」という顔をしている。

 

「あーったよ。お前らに渡すよ。その代わり、迷ったら土下座な」

 

「わかってるってー!」

 

 別に班長が地図を絶対持っておかないといけないというルールはないので構わないのだが、どうも嫌な予感がする。

 

 

 

 

 

 それから、どんなに歩いてもゴールは見えて来ず、レイジや士郎が度々「こっちで合ってるのか?」と聞いていた。この際、士郎とレイジの対応の差は気の所為にしておくが。

 

 俺はもう関わるのすら面倒臭かった。美竹蘭はただただ苛立ちを募らせるばかりだった。

 

「あれっ?え〜〜っと、ここがこうでぇ、こうぅでこうなってるから……」

 

「アレがソレでナニだから……」

 

「あっちが…………南?」

 

 美竹除く女子が何やら試行錯誤をしている。はあぁぁぁぁい!もうこれは確定演出ですねぇ!ヌルフフフフフ。

 

 そして、レイジから無理矢理地図を奪った女子が禁断の言葉を発する。

 

「ゴメ、まよっちゃたわー」

 

 うん、だと思った。取り敢えずキレようと思ったが、

 

「はあぁ⁉︎テメェふざけんなよ!お前が渡せっていうから渡したのによ!」

 

 俺の分も怒ってくれているようなので冷静になった。

 

 結局、レイジと女子達との口論が繰り広げられ、士郎が仲裁に入った事でなんとか場はもった。その際の、士郎の目は笑っていなかった。

 

「美竹、その、あからさまな怒ってるオーラは抑えてくれ。後ろの俺からしたら結構怖い」

 

「怒ってないし。ただ疲れただけだし」

 

 うん、疲れたってことはストレスが溜まりやすいってことですね。だから怖いんですかね?

 

 

 

 

 

 もう迷ってから大分時間が経った。若干日が暮れ始めている。

 

「なあ美竹、大丈夫か?顔色悪いぞ」

 

「あんたに心配されるなんて屈辱なんだけど」

 

 流石。どんな時でもブレないな。足はブレッブレだけど。

 

「お前、もう足疲れたろ?おぶってやろうか」

 

「は⁉︎子供扱いしないで」

 

 と、若干俺から距離を取る。しかし、今は道幅の狭いところを通っており、左側に避ければ落ちしまう。だが美竹もそこは理解していたようで、適度な間隔だったのだが。

 

「きゃっ‼︎」

 

 その短い悲鳴は、美竹蘭のものだ。彼女が通った瞬間にその足場が崩れたのだ。

 

「っ‼︎美竹っ!」

 

 最も恐れていた事が起きてしまった。俺はリュックを投げ捨て、飛び出す。

 

 宙に舞っていた美竹の身体を抱き締め、なるべく彼女を傷付けないように己の身体で包み込んだ。その時の思考はやけに冷静だった。

 

 バシャーン!

 

 鼓膜を突き破りそうな音が、水に叩きつけられた衝撃と共に俺を襲って来る。ん?水?

 

 あたりを見渡すと、そこは川だと理解した。

 

「はぁ、なんだよ。マジで焦ったんだけど」

 

「ん…………あれ……。生きて……る?」

 

 美竹は落ちた恐怖でギュッとつむっていた目を開いた。

 

「おお、生きてるぞー。怪我は……無さそうだな」

 

 美竹が自分の状況を把握してきた。すると、涙を流し出す。

 

「えーっと、なんでお泣きになられてるのですか?」

 

 彼女は泣き止むそぶりは見せず。

 

「だ、だって、もう死んだって、……思ったからっ」

 

「全くだよ。俺も死んだと思った。下が川で大丈夫だったな」

 

 そう言って、今度は落ちた場所に視線を向ける。

 

 うわー、俺らあそこから落ちたの?学校の校舎の4階の高さはあるぞ。下がコンクリートとか土だったら、今見てる景色は森の中じゃなくて冥土だったな。

 

 そう思うと、自分の顔が青ざめたのがわかった。

 

「まあ、あれだ。助かったから良し!」

 

 こういう時の声のかけ方知らねーよ。死にかける経験なんて無いからわかんねーよ。だから、とにかく明るくする方針にした。

 

 俺は水を沢山吸っだジャージの重力を振り切り立ち上がる。肩凝りそうだな。

 

 すると、

 

「おーーーい!カズ、美竹、大丈夫かー!」

 

 俺達が落ちた場所からレイジの声が響いた。

 

「ああ大丈夫だ!怪我はないから!そっちでゴール見つけたら先生に言っておいてくれ!こっちでもゴール探すから!」

 

 少しの時間差があり。

 

「わかった!兎に角無事で良かった!あんまり無茶するなよ!」

 

 今度は士郎の声がした。

 

 まあ、これでなんとかなるだろう。川さえ下ればいつかは橋があるはずだ。すなわち、それはちゃんとした道に出られるという事だ。そこを辿ればひらけた場所に出れるはずだ。

 

「さて、そういう事だから美竹、動くぞ」

 

 既に泣き止んでいた美竹蘭に促した。

 

「……し…」

 

「ん?何か言ったか?」

 

「……して」

 

 うーん、聞こえて無い俺が悪いんだけど、「して」だけだとちょっと問題ありそうですよ。

 

「すまん、もう一回言ってくれ」

 

 すると、彼女は赤面させて、

 

「手貸してって言ってんの!」

 

「は、はいっ!」

 

 俺は即座に右手を差しのべる。美竹はその手に手を重ねるので、俺はゆっくり彼女の細い腕を引き上げた。

 

 立ち上がると俺同様にジャージが重いようで、ジャージ(上)を脱ぎ始めた。下には体操服を着てるし大丈……夫……。

 

 俺は目線を逸らして、

 

「その……美竹さん……」

 

「な、なに?」

 

「お前……黒しか持ってないの?」

 

 そう、透けていたのだ。まさか体操服もここまでビチャビチャになっているとはな。さっきの手を差し伸べたときからせきめは治ってなかったが、今は耳まで真っ赤にしている美竹であった。

 

 さあ、殴れよ!俺は歯を食いしばった。

 

「べ、別に!」

 

「……?」

 

 急に声を大きくした彼女だった。美竹はジャージで前を隠して、

 

「別に今のはあんた悪くないし。不可抗力だから許してあげる…」

 

「お前、本当に美竹蘭か?顔が赤いのって熱があるからじゃないのか?」

 

 キッと睨まれた。うおー、喜怒哀楽が激しいな。

 

「と、兎に角っ!川を下ろう!」

 

 彼女はそれには同意をしてくれた。「こっちを向かないで」と言ってジャージを着たようで、ようやく歩き始めることができた。

 

 だが、すぐに沈黙になってしまった。何も言わずに俺の袖を掴んで来てからは美竹は何も言わず、俺も何と言えばいいのか分からず終い。

 

 その静寂も破られる時がきた。それは美竹からだった。

 

「ねえ深山」

 

「な、なんだ?」

 

 やばい、声が若干裏返っちゃったよ。気づいてないよな?よし、気づいてないな。

 

「なんで……なんで助けてくれたの?」

 

「ヴッ。そ、それを聞きますか」

 

 もうね、ほんとにこれだけは言いたくない。これ言っちゃったら俺恥ずかしくて死んじゃうよ。この川で溺死するよ。

 

「それは……お前に何かあった親父さんに殺されるからな」

 

 無理のある……というか、無理しか無い言い訳だな。

 

「仮にそうだとしても、あんた自身が死んだら意味ないじゃん」

 

 うん、「仮に」って言われた。バレバレなんだな。

 

「そーだな。でも、お前からしたらそれは好都合だろ」

 

 だってこいつは俺の事を嫌っている。それと同時に俺もこいつを嫌っている。ならば、何故助けたのか。

 

「あたしのせいであんたが死んだら、後味悪いし」

 

「なら、お前の関係ないとこで死んだらいいのか?」

 

「それも……ダメ」

 

「……なんでだ?」

 

 俺は死ぬ気なんてサラサラ無いが、こいつが弱っている今、弱音を握りたいと同時に、本音を聴いてみたいと思った俺がいた。

 

「あんたに借りを作ったから、それを返すまで死ぬなバカ」

 

「は…………」

 

「っ!ちょっと!なんで顔赤くしてんのよ!」

 

 そう、俺は不覚にも照れてしまっていた。本当に今日はイレギュラーな事が多い。

 

「じゃあ、俺は今日、命を懸けたわけだから、だいぶ貸しは大きいぞ」

 

 俺は紅潮が治らないまま、言葉を出した。

 

 つーか!なんで⁉︎なんで俺が照れてんの⁉︎なんで美竹なんかにときめいてんの⁉︎なんで助けた側が照れてんの⁉︎

 

 心の中で思う存分叫んでいると、

 

「あっ!アレ!」

 

 美竹蘭が指を指した。俺はそちらに視線を移すと。

 

「おっ!橋がある!これで帰れるな!」

 

 そこからは早かった気がする。何か会話をしていたが、それはいつもの調子に戻っていた。

 

 気づけば森を抜け、施設にまで帰っていた。どうやら士郎やレイジ達は戻ってきていた。

 

 俺達が戻ってきたのはちょうど夕日が地平線に落ちた頃だったのだ。

 

 

 

 

 

「全く、迷った上に危ない道を通って落ちてしまうとは……」

 

 只今、医務室で検査が終わり、担任と保健室の先生から軽くお説教を受けていた。

 

「まあ、今回は明石君から地図を半ば無理矢理奪った彼女らにも非があるから、なんとも言えないのだけれどね」

 

「それに深山、君が飛び出す必要もなかった。下が川なら美竹1人でも助かってた可能性が大きい」

 

 美人な保健室の先生は優しいが、アラサーの担任教師には厳しかった。まあ、正論なんだけど。

 

「……でも、あたし1人だったら水を飲んで死んでいたと思います」

 

 予想外に美竹が庇ってくれた。

 

「そうか。ならば、一概に深山を責めることもできない。全く、冷静なんだかどうだか」

 

「でも、深山君は美竹さんを守るために飛び降りたのよね?」

 

 保健室の先生が顔を近づけた。別に照れたりはしない。ただ、とてもいい匂いがする。

 

「は、はい。後からこいつの幼馴染とかにリンチにされたくなかったんで」

 

「そう。なら、下が土だったら死んでたわよね?それって本末転倒じゃないかしら?」

 

「うぐっ」

 

 そんなの、俺の本当の理由を聞けば理解してもらえるかもしれない。だけど、本当に美竹の前では言いたくない。恥ずか死する。

 

「まあ、それぐらいにしときましょう先生」

 

 と、担任が言った。

 

「なんであれ、深山の行動は素晴らしいものだ。ただ、教師としては自分の身の事も考えて欲しかったが。兎に角、無事で何よりだよ」

 

 うちの担任教師が珍しく先生らしいことを言った。だけどね、

 

「いや、俺の右手首が無事じゃないです」

 

 そう、捻ってしまったのだ。まあ、これくらいなら今後の予定に差し支えはないけど。

 

「そんなの誤差の範囲じゃないか」

 

「いや、酷くないですか⁉︎なんか俺に冷たい!」

 

「検査が終わったらすぐに食堂に行くんだぞ。班員達が心配していたからな」

 

「「はい」」

 

 

 

 

 

 俺と美竹は検査が終わって医務室から出た。すると、今までの疲労が一気に襲ってきて、そして腹の虫も鳴った。

 

「いやー、腹減ったな」

 

「ねえ、深山」

 

「ん?」

 

「その……手首ごめん」

 

「あ、これは気にすんなよ。先生の行った通り、誤差の範囲だろ。むしろこれだけで済んで凄くないか?」

 

 彼女は少し間を開けると、

 

「いつか、助けた本当の理由を教えてよね」

 

 と言い残し、彼女は去って行った。

 

 本当の理由か。

 

「言える訳ないだろ。体が勝手に動いた、なんて」

 

 こう言えば先生達も渋々理解してくれていただろう。

 

 だけど美竹蘭に教えるのは恥ずかしかった。こんな理由と知られたら、バカにされていたはずだ。

 

「はぁ、本当にバカだよなぁ」

 

 そう呟いて、俺も食堂に向かった。




桶狭間「はい、それではね、今回からは後書きでは次回予告をやっていきたいと思います」

蘭「いきなりすぎるでしょ」

桶狭間「2人とも、アドリブで今から30秒お願いします!」

和人&蘭「はあ⁉︎」

桶狭間「ハイ、3、2、1……」

和人『え、えーっと。……み、深山和人!16歳!』

蘭「なんて自己紹介してんの…」

和人『次回は林間学校3日目です。サイクリングをしていたらなんと!イノシシに遭遇⁉︎(ないです)』

和人「美竹!あとは頼んだ!」

蘭「は?えっ、ちょっ!」

蘭『えっと、そのイノシシを飼い慣らして深山が他の生徒をごぼう抜き(ないです)⁉︎次回「今年度有馬記念優勝候補のイノシシ!その名は……」』

桶狭間「…………」

和人「(うわー)」

蘭「…………」

桶狭間「あ……え、えっと。あの、和人さん……。最後にこれを」

和人「あ、はい。カンペですか(この人、明らかに美竹を頼るのを嫌がったよな。まあ、アドリブにしてもアレは酷い。俺のパスも無茶振り過ぎたな)」

蘭「…………」

桶狭間「あっ……じゃあ、お願いします」

和人『ええっと、次回の更新日は未定です。繰り返します。次回の……』

桶狭間「ああっ!原稿破かないで!次回も使うのに!」

和人「(この人、次の次も未定なのか)」

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