彼らの青春には確かに夕日があった   作:桶狭間

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※もうめんどくさいんで『桶』で表記します。

桶「いやー、この時期に林間学校かー。普通は臨海学校だろっ!てねー」

和人「まあ、誰のせいかは明らかですけどね」

蘭「それにしてもようやく3日目だね」

桶「今回の話は自分も途中から迷い始めて、無茶苦茶になったかも……」

和人「まあ、そういう日もありますよ」

蘭「むしろ、そういう日しか無い気がするんだけど…」

桶「あっ!お二方が無茶苦茶(意味深)するってわけではないですよ!その辺は誤解しないで!」←後で腹パン


6話「林間学校3日目」

 蘭side

 

 昨日の一件があってから、少しは深山のことを見直したつもりだった。基本的にはムカつく奴でも、悪い所ばかりではないとわかったのだ。好感度がマイナス1億からマイナス10万に変わった。それでも大きな変化だった。

 

 なのに、あたしは今目の当たりにしている光景のせいで深山に対する好感度がマイナス1億をも下回っていた。今は朝食なので、まだ目が冴え切っていないのかもしれないと何度も目をこすったが、やはり現実だった。ああ、好感度ってこんな簡単に下がるんだ。

 

 その光景とは、

 

「はい和人、口開けて」

 

「……」

 

 そう促されて黙って口を開く彼。先も言ったが、今は朝食時。つまり、彼は俗に言う『あーん』をされている。傍から見れば林間学校で浮かれているバカップルなのだが、問題は別にある。

 

「……士郎、もうやめてくれ。男子にあーんしてもらうという羞恥と屈辱もあるが、それ以上に俺に食べさせてくれる女子がいないという現実に耐えられなくなる」

 

 そう、問題は男子同士だということ。深山と姫柊は美形の部類に属しているらしいので、女子達からはこの状況を写メを撮られてキャーキャー言われている。あたしにはそういう趣味はないので、ドン引きし吐きそうになる。

 

「あれ?そういえばひまりは?」

 

「ああ、ひまりならあの撮影会に参加してるぞ」

 

 巴の言葉を聞いて、幼馴染が腐女子だったという事実を知り、とても惨めに思えた。

 

「そういえば、蘭ちゃんは今日の肝試しに参加するの?」

 

「肝試し?そんなのしおりに書いてあった?」

 

「毎年やってるイベントなんだって。生徒主催だから参加は自由だけどほとんどの生徒が参加するらしいよ」

 

 つぐみの説明を聞いて、なるほどと理解した。

 

「ちなみに〜。男子ペアだからね、蘭〜」

 

 モカの一言に身が凍りついた、いや石化した。ただでさえ、ホラーは苦手なのに全く話したことない男子と夜の森を歩くなんて絶対無理。深山とペアになったら、とうとう何されるかわかんないし。

 

 

 

 

 

 朝食の時間が終わり、今日の活動の移動を始める。今日の午前は選択式だ。ディスクゴルフ、釣り、等々。

 

 しかし、午前・午後のアクティビティはあっという間に終わり、もう夕食と入浴も済ませてしまった。今から肝試しが始まるらしい。

 

「いよいよこの後だな、肝試し!」

 

 なんだか巴がやけに楽しみにしている。あれ?巴も怖いのが苦手じゃなかったっけ。だとしたら、巴はお化け側なのかな。

 

「てゆうか、みんなは参加するんだ」

 

「そ〜だよ〜。蘭はいかないの?」

 

「いや、あたしは別にいいかなって」

 

「えー。もしかして怖いの〜?」

 

「ち、違うし!別に怖くなんかないし!ただ男子とペアなら行っても意味ないって思っただけだし!」

 

「じゃあ、あの従兄弟の男の子は?」

 

 今度はモカではなくつぐみが聞いてくる。そういえば、深山とは従兄弟設定だったんだ。

 

「そういえばいたな、そんな奴。名前はなんていったっけ?」

 

「深山和人くんでしょー!巴ったらしっかりしてよー!蘭の従兄弟なんだから覚えてあげなきゃ!」

 

「いやでも、まともに話したことないしな。初めて会った時は思いっ切り威嚇しちゃったし」

 

「あはは、確かにあの時の友達ちゃんはちょっと怖かったかな」

 

 深山のことで話が盛り上がるのはこれが初めてだった。

 

「と、とにかく!あたしは参加しないから!」

 

 と言って、4人を見送った。

 

 部屋に戻ろうと思い、体の向きを変えると、そこに()()のだ。

 

 

 

 

 

 和人side

 

「ホントに行かねーのか?カズ」

 

「ああ。何度も言わせるなよ。昨日の今日でハプニングが起きるとは思えないが、何かしら起きそうなイベントに自分から参加する気は無い」

 

 もうね。男女ペアの肝試しって絶対恋が芽生える人達いるよね。何組かカップルが製造されちゃうよね。別にリア充爆発しろとは思ってないけど、なんか成立したばかりのカップルとかの空気はあまり好きではない。それは俺が中学の頃から好んでいないのだ。

 

「まあまあレイジ、自由参加なんだから好きにさせてやれよ」

 

 ナイスフォロー士郎。さっき士郎から聞いたのだが、レイジはお化け役をして、道行く人を失禁させる気満々らしい。そんなのには絶対行くもんか!

 

「わーったよ。あ!それとカズ、もう一つ言うことがあったわ」

 

「ん?なんだ?」

 

「今夜はクラスの男子全員で大部屋使って相撲大会だからな!これは自由ではなく義務参加だ!」

 

「はあ?」

 

 今のは疑問と同時に呆れのため息を含めた、全力でお断りしたい時に使う「はあ?」だ。

 

「その後はおそらく枕投げになる」

 

 男子だけで枕投げは地獄絵図でしかないな。

 

「だから、あとで迎えに行くから部屋で待ってろよー」

 

 めんどくせ。相撲しようにも、俺手首捻ってるんだよな。今日、気づいたら痛みは引いてたんだけど。とにかく、地獄には行きたくない。いや、男子同士で『あーん』の方が地獄絵図なのはわかってるんだけど。

 

 それでも、断れそうにもないので、

 

「わかったよ。ほら早く行かないと遅れるぞ」

 

 2人を見送り小さくため息をついた。さて、相撲まで何をして待っていようか。こういう類の施設にはテレビとかパソコンは設備されてないからな。本を持ってきているので、それで時間を潰そう。

 

 そう思い方向変換をすると、前方には美竹がいたのだ。向こうの反応も鑑みると、どうやら気づいたのはほぼ同時に思われる。

 

 俺はこの時点で、なんかもう察してしまった。なので複雑な表情になってしまう。昨日の事で、まだ気持ちの整理が終わってないんだよな。いや、彼女は大丈夫なんだろうけど。

 

 だけど、もう目が合ってしまったので。

 

「美竹、お前も参加しないのか?」

 

「『も』っことはあんたもなんだね、深山」

 

「まあな」

 

 さて!部屋に戻ろう!そう思って足を動かし始める。

 

「ねえ」

 

 なんだよ、部屋に行かせてくれよ。と思ってしまい、呼ばれてから立ち止まるのに少しのタイムラグが生まれた。

 

 わかったぞ。なんか適当に因縁を吹っかけて喧嘩しようという魂胆だな。無駄な争いはしたくないのだが、仕方がない。やったりますか。

 

「あんたの部屋に行ってもいい?」

 

「えっ」

 

 ……どうやら俺は何もわかっていなかったらしい。

 

 というか、なんでこいつは真顔でそんな台詞を言えたんだよ!そういうのはさ、もっとこう顔を赤らめたり、モジモジしたりするものじゃないのか?たまたま見つけた小説にはそんなシーンがあったぞ。

 

 どうやら、照れているのは俺だけのようだ。

 

 だがしかし、これはチャンスでもある。気になっていた事をこの機会に聞いてみるとしよう。

 

 

 

 

 

 蘭side

 

『勢い』というものは怖い。引き止めるつもりは無かったのに、なぜか声が出てしまった。それも何の躊躇いもなく。

 

 その結果が、

 

「お、お茶飲むか?」

 

「あっ。うん。ありがと」

 

 と、部屋にお邪魔している。座布団に座り向き合っているこの状況は何なのだろう。なぜ深山も了承したのかは気になるが、今は置いておく。

 

 話したい事が無い、というわけではない。でも、なんでこのタイミングで声をかけてしまったのだろう。

 

「ねえ、深山」

 

「うん?」

 

 ここまで来たら、行くしかない!

 

「その、……昨日あたしを助けた本当の理由ってなんなの?」

 

「だから昨日も言った様に……」

 

 深山はそこで区切ってあたしの顔を見た。そして、

 

「いや、嘘言ってもバレるよなぁ。わかった。言うよ」

 

「ありがと」

 

 深山は一度深呼吸をして、だが、すぐには口を開かない。あたしの方を見ていた顔の向きを変えると、顔を赤らめてモジモジし始めた。そんなに照れる理由なの?

 

 そして、顔をこちらに再び向け、決心した顔で、

 

「その……体が勝手に動いたんだよ」

 

「……」

 

 思わず、あたしは絶句してしまう。

 

「なんだよ悪いかよ!正直言って、自分のこと、もっと冷静だと思ってたんだよ!でも、気付いたら自分の身体が飛び出してたから……」

 

「あんたって、そんな漫画の主人公みたいなことを言うんだね」

 

「俺も予想外だ。フィクションのキャラみたいな臭い台詞だけは吐きたく無かったのに……」

 

 なんでそんなに主人公を嫌がるのかはまたの機会に聞こう。まあ、あたしの印象はそこまで主人公っぽいとは思ってないんだけど。どちらかというと……。

 

「でもあたしを助けてくれた」

 

「そうだけどさ。俺は今回の件で自分に失望したんだぞ?昨日は『助かったから良し!』なんて言ったけどさ、それはあくまで結果論。リスクリターンを度外視してた。自分の無能さに呆れた」

 

「でも、それってあんたは下が川じゃなくて地面だと思ってたんだしょ?」

 

「あ、ああ」

 

「あたしを包み込むように抱き締めたのは、あんた自身が死ぬリスクであたしが生きるリターンを選んだってことなんじゃないの?」

 

「包み込むとか、抱き締めるってハッキリ言うなよ。……死にたくなる」

 

 指摘されてあたしも顔が熱くなるのがわかった。

 

「馬鹿っ!今は真面目な話してるんだけど!変態!」

 

 あたしは気を取り直し、

 

「だからさ、そういうリスクリターンも考えた上であたしを助けてくれたんでしょ?」

 

「……確かに。今思えば空中ではやけに落ち着いてた気がする。無意識に冷静だったんだな。……って、今のは語彙がおかしいな」

 

「だからさ、……その」

 

 一区切り置いて、

 

 

 

「ありがとう」

 

 

 

 あたしはこの時笑顔だった。こいつに笑顔を向けるのは無理だと思っていたが、全然そんなことはなかった。

 

「昨日も言ったけど、借りを返すまで死なないでよね」

 

「ああ、わかってるよ。もう当分死を考えるのも嫌だしな」

 

「それとさ、深山はそこまで主人公っぽくないよ」

 

「ほ、本当か⁉︎」

 

 なんで主人公らしくないって言われて喜ぶの?あたしは別にどうとも思わないんだけど。

 

「だってあんた、さっきからずっとヒロインみたいに照れてばっかじゃん」

 

「は、はあぁぁぁぁ⁉︎照れてねーし!というか、お前はもう少し照れても良かったと思うぞ!」

 

「だから、あたしは真面目な話をしてたつもりなのに、あんたの頭の中は無駄なもので詰まってたんだね」

 

「よし、喧嘩売ってるんだな。受けて立つ」

 

 と、いつもみたいな言い合いが始まったのだ。

 

 

 

 

 

 そして、しばらくしてお互い落ち着いた頃、

 

「じゃあ、次は俺の質問に答えて欲しい」

 

「……いいけど」

 

 深山があたしに聞きたいこと?なんのことだろう。身に覚えがない。

 

「林間学校が始まる前日。お前の幼馴染と会った時にさ、お前はなんで終始ずっと黙ってたんだ?そして、その後のあの表情はいったいなんだったんだ?」

 

 




桶「いやー、自分理系なんで、国語苦手なんすよ。文章力ないというか」

和人「言い訳がテンプレすぎますよ」

蘭「なんか、ここでメタ発言したら本編の空気を思いっきり壊してるような気が」

桶「やだなー。そんなの今更じゃないですかー」

アナウンス『さ〜て、来週のサ○エさんは?』

桶「あ、次回予告お願いします」

蘭「こういうシステムなんだ」

和人『和人です。……林間学校もいよいよ大詰めですね。この後の展開どう見ますか?』

蘭『そうですね。やっぱりここは何もイベントは無いのがいいんじゃないの?』

和人『それじゃあつまらないですね。後、敬語を使うんなら最後まで使えよな』

蘭『あんただって、今違ったじゃん』

和人『お前に大して言ったからいいんだよ』

蘭『はあ?なにそれ?見下さないでくれる?』

アナウンス『の三本です』


桶「来週もあるかはわかりません。誠に申し訳ありません。(土下座)」
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