「他人との触れ合いやぶつかり合いがあってこそ、人は成長していくのよ!」
くりむちゃんがいつものように小さな胸を張ってなにかの本の受け売りを語っていた。
「なんですか、それ?」
杉崎さんが質問するとくりむちゃんはホワイトボードに議題を書いて「これよ!」とバンッとボードを叩いていた。
「「「「「ラジオ放送?」」」」」
ホワイトボードにはしっかりそう書かれていた。
くりむちゃんは一人、胸を張ったままで話を続けている。
「そう、これから生徒会でラジオ放送をやろうと思うの!」
「ら、ラジオって……」
気弱で引っ込み思案の真冬ちゃんが、嫌な予感でもしたのか、少し怯えていた。
「あの……ラジオですか?。音楽かけたり、喋ったりする……」
「そうよ。その、ラジオ」
「え、でもそういうのって普通は放送部の仕事なんじゃ」
真冬ちゃんの意見にも一理ある。
でも、くりむちゃんはというと。
「何を言ってるの。生徒会って生徒をまとめる立場にある組織よ。政見放送みたいなことをたまにはしないといけないわ!」
常識が欠けていた。
「それにしてもアカちゃん。政見放送なんてよく知ってたわね。いい子いい子」
すると紅葉さんがくりむちゃんの頭を撫でていた。
くりむちゃんは気持ち良さそうな顔をしている。
僕がちょっと羨ましそうに見ていると紅葉さんが手招きするので真冬ちゃんの膝の上に座らせて貰うと、僕の頭も撫でてもらった。
時間にして1分位経った頃、くりむちゃんは気がついたようで。
「政見放送ぐらい知ってるよ!。子供扱いしないで」
「そうね、ごめんなさいね、アカちゃん」
「わ、分かればいいのよ」
因に僕は、数秒前に自分の席へと戻っている。
「でも、紅葉さん。昨日のクイズ番組で政見放送のクイズが出てた覚えがあるんですけど」
「あら、ラブちゃんも。奇遇ね」
くりむちゃんを除く全員の目がくりむちゃんに集中する。
「………。……、とにかく!、政見放送よ」
どうやら図星らしい。
「でも、政見放送なら映像の方が良いんじゃないのか?」
先輩が嘆息混じりに発言していた。
「多分、放送部の人達が「渡せる機材は今のところこれだけ」って感じで渡されたんじゃないですか?」
「そうなのよ。私の姿がテレビで見れるってのにさ。失礼な話だよね」
そう言いながら、くりむちゃんはてきぱきと準備を開始している。
一応僕も手伝いながら、くりむちゃんに話しかける。
「映像撮影用の機材って結構するらしいからね。それこそ、くりむちゃんが昔、僕の家に遊びに来たときに台無しにした掛け軸くらい高いものだしね」
「……」
黙り込むくりむちゃんだけど、それは肯定したものと一緒だと思う。
「なぁ、愛。因にそれってどのくらいするんだ?」
「そうですね、僕たちが生活してるアパートだと家賃にしても2~3ヶ月分じゃないですか」
「マジか」
「
「いや、ルビの振り方が逆になってる気がするんだが、まぁ良いか」
そんな話をしているとくりむちゃんが全員の席の前にマイクスタンドを設置したので僕も席に戻る。
「ほ、本当に準備されちゃいました」
真冬ちゃんが元気をなくしていた。
まぁ元々こういう目立つ事が好きじゃないタイプだし、フォローしておくか。
「大丈夫だよ。いざとなったら僕がフォローしてあげるから」
「はい、ありがとうです」
僕が真冬ちゃんを励ますと同時に。
「それじゃあ、始めるよ」
とくりむちゃんが言い、スイッチを入れると音楽が流れ出した。