という訳で本編です、どうぞ
鶫 誠士郎との決闘から早二日。二日前の決闘も何だかんだで丸く収まった様子で楽と鶫は仲良く・・・はして無いけど、まぁ普通の学生生活が少しずつ戻ってきた。
今日は天気も良かったので久々にバイクに跨って学校に向かう。駐輪場にバイクを止めた後に集と会ったので一緒に教室まで雑談しながら向かう事に
「そう言えば・・・」
「ん?どうした?テツ」
雑談中にふと思い出した事がありそれを集に聞いてみる
「鶫が転校してきた日によ鶫に対して何か変な反応してたよな。アレって何だったんだ?」
「ん、あれか?噂の美男子が女だったらそりゃ驚くだろ?美男子だと思ったら美少女だったなんて」
「それを楽に伝えなかったのは面白そうだったからとかか」
「そゆこと」
ニヤニヤと集は徹の方を向く。
「おぬしもワルよのう」
「冴島様ほどではございませぬよ」
集がヘッヘッなんて笑い方をしたりして時代劇ごっこをしていると
「話は聞かせてもらった!」
「何奴!?」
と振り返ると楽が背後に楽が走りながらこっちに向かってくる
「集、テツ。話は聞かせてもらった!今の話詳しく聞かせてもらおう」
という感じに楽に見つかりお縄につくことに。楽も合流し一緒に教室に向かう。集が先に扉を開け
「おはよー桐崎さん。今日もかわいいねー!」
「うーっす。おはよー」
いつもの調子で集が女子に積極的にアピールしていく。俺も集に続いて教室に入ると鶫が集に向けてハンドガンを押し付けている。ふと鶫と目が合う
「おはよう鶫。そんな物騒な物を一般人相手に向けちゃいかんだろ」
鶫が集に向けていたハンドガンを取り上げる
今日も平凡、平穏に授業が終わっていく。ここ最近は探偵事務所の方の仕事もこれだけで落ち着いた生活が送られてる。然し、平穏すぎるが故に何か刺激が欲しくなってくる。刺激を求める為に楽が担当している飼育係に向かう
「おーっす、暇だから手伝いに来たわ」
「おぉ、テツ。珍しいな、いっつもさっさと帰るお前がこんなところに来るなんて」
「丁度暇してたところだったんだよ。何かやる事ねぇか?」
「あぁ、それならクラッシャー加藤とサイクロプス・ゲンガー朱雀の餌やり手伝ってくれよ」
「クラッカー佐藤とサイクルブス・ゲンガー朱雀?」
「違う違う、クラッシャー加藤とサイクロプス・ゲンガー朱雀だ、そこに居るだろ」
楽が指さす先に鶏となんの鳥かは分からんけど鳥が居た
「楽ってよ、壊滅的なセンスしてるよな」
「え?」
「いや、何でもない。自覚して無いならそのまま気付かない方がいい」
次から次へと出てくる奇天烈な名前に翻弄されながらも餌やりをしていく。犬猫鳥までは飼ってる学校も見た事はあるけどもワニなんて飼ってる学校初めて見たわ。ワニって飼育になんかの許可証が必要とか聞いたけどあれってどうやって取ったのか
思っていた刺激とはかけ離れた物だったが普通に生活してたら巡り合わないような刺激に受けながら作業を進めていく
「そうだ、ハニーよぉ。先生が飼育係の餌買って来いってよー」
「えぇ?そーゆーのって普通、業者さんに頼んで持って来てもらうものじゃないの?」
「うちは珍しい動物が多いからな、近くのペットショップで直接買うしかねぇんだよ」
確かにワニとか飼ってるのうちの学校くらいだしな
「お待ちください、お嬢!」
鶫がバッと二人の間の茂みから出てくる
「お嬢!そのような買い物ならば私が!お嬢にその様な雑事をさせる訳には参りません!」
「あ、俺も手伝うわ。動物の餌のメモくれればそれで買ってくるから」
「おう、じゃあ頼むかな」
楽からのメモ書きを受け取る。そして鶫より先にバイクを取りに駐車場まで向かう。バイクを取り出し校門まで走らせる。校門まで到着しメットを外し鶫を探す
「こっちだ、冴島徹」
鶫の声に反応して振り向く
「おぉ・・・これは」
口笛を一つ吹き鳴らしバイクを持って迎えにいく
「よう、よく似合ってるじゃねぇか。可愛いぜ」
バイクを持って鶫の元へ行くとフリルの付いた洋服にミニスカート、元々高い身長がさらに強調されるように高いヒールの靴という姿の鶫が恥ずかしそうに立っている
集っぽくなるが口説き文句を言ってみる
「なっ・・・バッ!馬鹿にしてるのか貴様ァ!!」
口では結構きつい事を言われたが顔を赤く染めている辺り照れ隠しっぽく見える。つい面白くて何度か鶫をからかいながらバイクの準備をしていく
「んじゃ、行きますか。裏道通るからちょっと遠回りになるけどいいか?」
「あ、あぁ。大丈夫だ」
交番が近くに無いルートを通りながらペットショップまで向かう。メモは俺が持っているので俺が店主からメモの餌を受け取る。その間に鶫は産まれたての犬を眺めている
「可愛いな」
鶫の斜め後ろから話しかける
「あぁ、可愛いな」
「いや、可愛いってのは鶫の方だぜ」
「なぁ!?冴島徹!またお前はそうやって・・・」
鶫が振り返ろうとする。しかしヒールに慣れてなかったのか足元からぐらりと転ぶ。丁度俺の方に倒れかけたので抱き抱える
「大丈夫だったか?」
「うわっ!は、放せバカ者!殺されたいのか!?」
鶫が離れようと体をくねらせるも俺は鶫を持ち上げ椅子の方まで移動する
「え?うわぁ!?」
「そんなに暴れるなよ、もう少しの辛抱だから」
椅子まで到着し鶫を下ろし捻った方の足からヒールを脱がせる
「おー、結構な靴擦れだな。これは歩かんほうが良いな」
「大丈夫だ、これくらい」
立ち上がり歩こうとするも捻った時の痛みと靴擦れの痛みで上手く歩けてない
「無理は禁物。学校に着くまで暴れんなよ」
「え?なにを?・・・って。うひゃあ!!?」
椅子に座っている鶫の腰を左手で持ち上げ胸元まで寄せる。鶫は思いっきり暴れてくる
「ちょっ、だから暴れんなって。落ちる落ちる!」
数分経ち鶫も観念したのか落ちないように俺の首元に手を巻いてくる
餌をバイク座席に固定し右手で運んでいく
「冴島徹、一つだけ聞いて良いか?」
鶫が顔を見ながら質問をしてくる
「どうぞ」
「お前は本当にお嬢や一条楽のボディガードなのか?私にはそれがどうにも引っかかっていてな・・・」
流石一流のヒットマン。洞察力も優れてるみたいだ
「あぁ、ボディガードみたいな事をしてるよ」
「本当か?私には貴様が何か隠しているように感じる。私がお嬢や一条楽に踏み込んだ質問をしようとする度に邪魔されている気がしてならないのだが」
「鶫が踏み込んだ質問をしてる時にたまたま俺が会話に入っただけかもよ」
「そうか。ならば質問を変えよう。冴島徹、お前はボスに何を依頼された。私にはどうもお嬢と一条楽が付き合っているとは思えない、第一にお嬢にあんな男は似合わない!!」
「楽が桐崎さんに似合わないかは知らんが、依頼に関してはうちの事務所にも守秘義務ってもんがあるしな。幾ら依頼主の部下であろうとそう易々と依頼内容は話せない。知りたいなら自分のボスに直談判しな」
「冴島探偵事務所・・・。決闘時には知らなかったが冴島徹、貴様は
「あー、それなんだけどさ。
「関わってるも何も・・・我々の業界では知らない者は居ない程の人物だ。かく言ううちも冴島遼介に関わりがある。まぁ、一言で言えばエージェントと言う奴だ」
「うちの親父がエージェントねぇ・・・」
「冴島遼介は謎に満ちている男だ。冴島遼介にこんなに息子がいた事も冴島徹、お前に会うまで知らかった事だ」
「前々から裏の仕事をしてたって言う親父の知り合いに会ってたからなんとなーくそんな感じはしてたけどまさかエージェントと来るか」
「まさか冴島遼介が探偵事務所を開いていたとは・・・もうエージェントは辞めてしまったのか?」
「そこら辺は俺にも分らん。親がエージェントだった事すら知らんかったからな。後、みんな流石冴島遼介の息子なんて呼ぶけどよ、俺は普通の高校生だから。裏の社会にのめり込む気も無いし、何なら本当はヤクザやギャングと関わる気もないからな」
「では何故ボディガードを引き受けたのだ?」
「そりゃぁ・・・生活の為だよ。まぁでも1日3食、学校にもちゃんと通える。毎月収入が入る。こんないい条件そうそうないぜ」
この後も色々と鶫に質問を受けていると学校に到着する。バイクから餌を下ろし鶫をお姫様抱っこする
「ほら、着いたぜ」
動物達のゲージを前に鶫を下ろす
「すまない、助かった」
鶫は頬を染めながら礼を言う
「イイってことよ」
鶫を庇いながら隣に立ち歩く
「なぁ鶫」
俺が声をかけたのに反応しこちらを向く
「さっき俺はギャングやヤクザと関わる気は無いって言ったけどよ・・・」
目の前には楽や桐崎さんがこちらに気づいてやって来る。俺は鶫の方に顔を向け
「楽や桐崎さん、そして鶫。お前らは良い奴だ、俺はそう思ってる。そんな奴らをヤクザだギャングだって色眼鏡付けて見れねぇしよ。
だからよ、お前らは別だと思ってる」
鶫の肩を支えながらゆっくりと二人の元へ向かう
少しずつ冴島父の正体が判明してきましたが、今の所は本編に絡まないと思います。でも、この結構重要人物なので頭の片隅に留めて貰えれば幸いです
次回は8月に出せたらいいなぁ・・・
また次回お会いしましょう