ギャルゲー主人公Wが教える模範解答   作:井口 海斗

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セーブ5.オリバーソースじゃあまり人に伝わらない

「羨まし過ぎる!あの謎の転校生の千ヶ滝さんの案内役になるなんて」

 

 

「それもお前絶対女子の案内役やらないと思ったけど、さすがにあのルックスならお前も男の本能に従えなかったか」

 

 

「それな!俺も思った。クラスの女子ともまともにしゃべられないのに一回ぶつかっただけの美少女の案内役になるとは思わなかったよ」

 

 

「お前ら滅茶苦茶に言いすぎだろ!…当の本人が一番驚いてんだよ」

 

 

 だがすべて言っていることは正しい。僕もギャルゲーの事が無かったらこんなことできねーよ。

 

 1時間目も終わり、いつもの僕達は4人メンバーで集まっていた。

 

 そしてもうひとつの集団がクラスに出来ていた。集団というかもう一つの中隊である。

 

 僕達はあっちのグループをチラチラと横目で見ながら話していた。

 

 1年生の全員がもう彼女の虜だ。情報が早すぎだろ!どうみても他のクラスの奴らまで来ている。

 

 

「どこから来たの?」

 

 

「なんで引っ越してきたの?」

 

 

「好きな食べ物は?」

 

 

 質問はベターなものから

 

 

「前は何部だったの?私たちと一緒にてっぺん取りましょう!」

 

 

 部活の勧誘まで様々だ。

 

 

「はぁ、はぁ。君の異性の好きなタイプは?どこの家?君のすべてを知りたいんだな……」

 

 

 ちょっと待て!最後の奴マジだよ!ちょっと目覚めかけてる!この質問攻めでさりげなくお前の個人情報を聞こうとしている奴がいる。答えちゃあ駄目だぞ!

 

 もうこういうやばい奴、どの世界でもいるんだな。

 

 

「京都の北の方から」

 

 

 へえ~僕の親の実家も京都北部だな。もしかしたら僕の実家に近いかも。

 

 

「親の都合でここまで来たの」

 

 

「女の子っぽくないけど、ラーメンが一番好きなの!」

 

 

 まじか!あんな子でも僕と一緒でラーメンが一番好きなんだな。

 

 ラーメンという聖なる食べ物の素晴らしさを改めて再認識する暁であった。

 

 

「えっと中学の時は何の部活にも入ってなくて、まあ高校では何部に入るかはまだ考え中かな…」

 

 

 そして質問にはすべて答える

 

 

「す、好きなタイプはまだ好きになった人がいないからわからないけど、しいて言うなら優しい人かな。住んでるところはこの学校の近くで、えと…私の全ては好きな人にしか言わないって決めたので、言えません!ごめんなさい!」

 

 

 最後の質問にも答えるのか。完璧なヒロインかよ!

 

 その丁寧に全ての質問を返す健気な彼女は好印象を1年生に与えてあっという間に1年生の“プリンセス“と言う称号を朝に転校してきて1時間目終わりにもう手に入れてしまっていた。

 

 

「「「ふごぉ~椿たんまじかわゆすー!」」」

 

 

 危ない質問した奴1人なのになんか増えてる!

 

 この数分で千ヶ滝は男女から人気になった。その証拠に後日「付き合いたいランキング女部門最新版」で1位のくそビッチ(澪)を抜いてぶっちぎりで1位となったらしい。ざまあ。

 

 そう。案外くそビッチ(澪)はモテる。それを抜く千ヶ滝はそれだけすごいということだ。性格よしルックスよし。マジでギャルゲーのヒロインみたいだな。

 

 

「俺が案内しようか?千ヶ滝さん」

 

 

「すいません。もう案内役は岩野君に頼んであるんです」

 

 

「岩野?誰だ?」

 

 

「あれだろ2次元にしか興味が無くて女とまともにしゃべれないと言う有名な」

 

 

「聞いたことがあるぞ。この宮橋高校の宮橋四天王の一人だよな」

 

 

「そいつか!それなら俺も知ってるぞ!」

 

 

 僕ってなんか有名人だったの!というか何⁉宮橋四天王ってなんだよ!他のあと3人誰だよ!てか怖い個人情報とかそういう概念はこの高校にはないのかよ!

 

 やったー僕超有名人。 

 

 皆の千ヶ滝の話題から一気に僕に変わった。だが変わったのは話題だけじゃなかった。

 

 

「女とまともにしゃべれない奴がなんで案内役がちゃんと務まるのかよ…………」

 

 

 椿に向けられていた正の感情に対して僕に向けられるのは負の感情だった。

 

 

「「「岩野…岩に野で岩野…覚えたぞ…住所は…」」」

 

 

 ひぃ~~~⁉俺の情報が、個人情報が特定されていく!帰ったらア〇ソックに入らなきゃ。僕の命が危ない。助けて吉田さん。

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 今後安全に暮らせていくかを不安になりながらもこの殺伐とした空気を晴らす聖なる鐘、人はこれを予鈴と言う。2時間目の授業を知らせるチャイムが学校中に鳴り響いた。まだ皆は質問し足りない、どこか不服そうな顔をしながらも自分の席に戻っていた。

 

 何とか僕に対しての負の感情が途切れ、僕は安堵した。

 

 そうしていつもならすぐに過ぎていくはずの1時間目終わりの最初の休み時間は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 あっという間に4時間授業は終わりそのうちの3回ある休み時間は全て余すことなく

 

 転校生の質問タイムに使われた。

 

 そして、とうとう僕史上、人生一世一代の大イベントが始まる。

 

 皆も空気を読んでか転校生質問タイムは無い。クラスの皆は椿と僕に視線が集中している。僕から言いに行くべきか。どうしようかな。

 

 そう思っていると

 

 

「あの、忙しくなかったらさ、今空いてるかな?」

 

 

 椿の方から話しかけてきてくれた。そっちから話しかけてくれるとはありがたい。僕から話しかけるか迷っていたところだった。

 

 というか話しかけられなかっただけなのだが。

 

 

「いやこっちも話しかけようと思ったんだけど昼ご飯大丈夫かなと思って」

 

 

「そうなんだ。おなかすいてないし、それじゃあ今からお願いします!」

 

 

 僕達はみんなの視線を浴びながら教室を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれが噂の転校生?かわいい!」

 

 

「だよね!それに性格も良いし」

 

 

「ああ、俺も千ヶ滝さんと仲良くなりてぇ~」

 

 

「「………」」

 

 

 ああ視線が痛い。僕の人生でこんなに視線を集めた瞬間はあっただろうか。早く案内してギャルゲーの事を聞きださないと、こんな視線耐えられん。ああ気まずい。あんな声がでかいと全部千ヶ滝や僕に聞こえてるっつーの。

 

 

「あ、あの!案内役になってもらってありがとう。初対面の人よりかはまだ一度話したことがある人の方が良いと思ったんだけど、ごめんなさい」

 

 

「い、いや僕も初対面の人よりも一度は話したことがある人の方が僕も案内してもらおうと…思うし。そ、それよりもよく僕の顔を一度ぶつかっただけなのによくこんな地味でとりえのない顔をした僕を覚えてたね」

 

 

「でも昨日の事だよ。流石に昨日のことぐらい覚えてるに決まってるじゃん」

 

 

 逆に2日たてば忘れてしまうってことですね良かった良かった椿様の記憶力バンザイ。

 

 

「それにものを拾った時岩野君の読んでる本が私の好きなラノベだったからそれですごく心に残ってたの!」

 

 

「ほ、本当に!僕以外で読んでる人初めて見たよ」

 

 

「私も!あっちにいた時はこんな話ができる人はいなかったから初めてだよ!」

 

 

「そうなの!それは悲しいな。で!一番好きなキャラは?…………ってよく考えたら僕は案内役なのに全く案内出来てない!」

 

 

「そういえば全く案内されてない!」

 

 

 しまった!いろんな視線を浴びていてギャルゲーの事ばかり考えていたけど、忘れていた。もう昼休みもすべて案内出来ないぐらいの微妙な時間になっていた。

 

 

「あの良かったら放課後にもう一度案内してもらってもいいかな?」

 

 

「ごめん。テンションが上がっちゃって、僕からも放課後もう一度案内させてくれ」

 

 

「うん!じゃあ放課後にお願い」

 

 

「わかった」

 

 

「それと」

 

 

「何?」

 

 

「私のことは椿って呼んで。それで岩野君の事下の名前で呼んで良いかな?」

 

 

 それは僕的にはハードルが高すぎるな。生まれてこのかた自分は澪、いろは以外一度も女の子を下の名前で呼んだことがない。僕の名前は別に何でも呼んでもらっていいんだけどな。

 

 

「ダメ?…」

 

 

 やめて!目を潤ませてこっちを見ないで!何でも期待に応えたくなるから……

 

 

「ダメ?…」

 

 

 ら…

 

 

「ダメ??…」

 

 

 らめ…

 

 

「ダメ???…」

 

 

 らめ~~~!!

 

 

「…こちらこそ、暁でオリバーソース!!」

 

 

「それって「お願いします!」に聞こえるオリバーソースだ!現実で使っている人初めて見たよ!」

 

 

「えっ!」

 

 

 その「えっ!」は僕の焦ってふいに出た「え!僕今お願いしいますじゃなくて、オリバーソースって言っちゃってたの!」恥ずかしい、「え!伝わった!うれしい、すごいこれもすぐにわかるなんて……」すごいなあ。などいろんな感情が混ざった「えっ!」だった。

 

 

「あるゲームで一回しか出なかったネタなんだけどな、よくわかったな!」

 

 

「うん!私結構ゲームもするの!」

 

 

「そ、そうなんだ!」

 

 

 放課後に案内することになった事で何も気にすることがなくなった僕達はずっと趣味の事について話し合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ!楽しかった~!こんなにも気が合う人なんていなかったから感激だよ~!」

 

 

 気付いたら、時間は昼休みが終わる5分前。こんなに僕達はしゃべってたのか。

 

 

「私達って本当に気が合ってる(・・・・・・・・・)よね!」

 

 

「あ、ああ」

 

 

 なんかそう言われると恥ずかしいな。確かにそう言われると僕たち気が合っている…のか?

 

 ここまでアニメ、ゲームとさらに同じラノベを好んで読んでいたり、それにふと気づいたが僕は椿に普通に男子と同じ接し方を途中からできている。気が合っているからと言えば当たり前なのかもしれないのだが何故か、何故だかわからないが僕は椿と気が合っていると言い切れない自分がいる。なんだ、この煮え切らない感じは。

 

 

「じゃあ私先に教室戻ってるね!じゃあね暁!」

 

 

「あ、ああ僕はもうちょっとしてから戻るわ」

 

 

 美少女に呼び捨てされるのはすごく照れるな。早くなれないとこんなのでいちいち照れているところを美少女に見せたくないんだよな。まあとにかく仲良くはなったし、椿がオタクってこともわかったしこれでギャルゲーのこと引かれずに椿の物か今日の放課後には堂々と聞けるだろう。今回の案内役イベントはなかなかいい感じじゃないか。ただ一つ

 

 

「「「あの千ヶ滝さんのことを呼び捨てで呼んで良いと言ってもらえるなんて…岩野ぉ~!」」」

 

 

「「「気が合うなんて噓…岩野…許さない。俺千ヶ滝さん……守る‼」」」

 

 

「「「岩野ぉ~!僕たちは椿たんのことを呼び捨てで呼ぶのは許さないんだな!」」」

 

 

 椿信者に僕はすごく恨まれてしまったこと。ああ四面楚歌…納得できん。なんで

「椿たん」は良くて「椿」は駄目なんだよ!僕だったら暁たんの方が嫌だわ!

 

 そんなことよりここから早くここから逃げよう。

 

 そして昼休みイベントは今のところは周りの男子の好感度以外は良い結果で終わることができた。

 

 出だしは好調なスタートを切れた。

 

 放課後も締まっていこう。

 

 




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