この魔術師に祝福を!   作:妖精絶対許さんマン

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私はグレムリンという映画は見たことはないです。


この魔術師にダンジョン探索を!

「アクアぁっ!!!!」

 

「ひゃふっ!?」

 

アクアを追い掛けると、すぐに見つかった。ダンジョンの入り口から降りる階段の中程で、何故かカズマ相手に胸を張っていた。僕の方を振り向いたアクアは悪事がバレた子供みたいな顔をしていた。

 

「戻るよ、アクア。もともと今回はカズマ一人で潜る予定だったんだから邪魔しちゃダメだ」

 

「じゃ、邪魔なんかしないわよ!地上に降りて力が弱まったけど、神様らしい力の一つや二つ残ってるのよ?全てを見通すなんてことは出来ないけど、闇を見通すぐらいチョロいわよ!それにシュウも心配し過ぎなのよ!アンデットなんて女神の私の相手になんてならないわ!」

 

・・・・・・とりあえず、一度気絶させてロープか何かで縛って連れて帰ろうか。僕とアクアがお互いに睨みあっているとカズマが間に入ってきた。

 

「ストップストープ!!お前ら落ち着けって!!時間が勿体ないし、こうなったら三人でこのまま潜るぞ。ただし、秋は本当に危ないと思った時だけ助けてくれ」

 

「・・・・・・カズマがそれで良いなら構わないよ」

 

「好きにしなさいよ」

 

「よし、ならさっさと降りようぜ」

 

カズマを先頭にカズマ、アクア、僕の順番で階段を降りていく。

 

「ねえ、カズマ。暗視はちゃんとできてる? 私の曇りなき眼は、この暗闇の中でもカズマがおどおどしながらおっかなびっくり階段降りてく姿がばっちり見えてるけど。暗視がイマイチなら言いなさいよ」

 

「見えてるよ。お前が、物音する度に、いちいちビクついてる情けない姿がちゃんと見えてる。お前こそ、頼むからすっ転んで階段から転げ落ちるなよ。てか、秋もこの暗闇の中でも見えてるのか?」

 

「うん、見えてる。僕の場合は魔力で視力を強化してるから、目の前を歩いてる二人ぐらいなら問題なく見えてるよ」

 

「へー、それって俺でも出来るのか?」

 

何て無茶な事を言い出すんだこの男は。

 

「・・・・・・出来ると思うけどおすすめはしないよ」

 

「えっ?何でだよ?魔力で視力を強化して暗闇の中でも問題なく動けるとかカッコいいじゃん」

 

「・・・・・・真っ暗な丑三つ時に、視界が悪い森の中でどこから飛んでくるかも分からない死にはしないけど当たったものすごく痛い攻撃が視力の強化が出来るまで永遠と続いても?」

 

「あっ、結構です」

 

真顔で断られた。僕だってカズマ相手にそんな事をするのは心苦しい。やらないとダメならやるけど。しばらく階段を降りていると前の方からカランっという音が聞こえた。

 

「ん?なんどぅわぁ――――――っ!?」

 

カズマの足下にはこのダンジョンで力尽きたのか、軽鎧を着た白骨死体が横たわっていた。

 

「・・・・・・アンデットに成りかけてるわね。カズマ、シュウ、ちょっと待っててね」

 

アクアは死体の前に膝をつくと何かを呟いた。すると、死体は淡い光に包まれた。迷える魂を成仏させてアンデットになるのを防いだのだろう。それを見届けて、僕は死体の前にしゃがんで両手をあわせる。カズマとアクアも両手をあわせていた。

 

「よし、行くか」

 

「・・・・・・そうねっ!さっさと奥まで潜ってお宝を見つけましょ!」

 

「何度も潜られてるからお宝なんて残って無いと思うけどね」

 

このダンジョンが見つかって、一番に潜っていたらお宝を見つけることが出来ただろうけど探索され尽くしている。何か見つかることは無いだろう。

 

「でも、どぅわぁ――――――っ!?はないわよ、一人でダンジョンに潜るって強がってた人が。どぅわぁ―っ!?は。プークスクス!」

 

・・・・・・あとでカズマに泣かされるな、アクア。先頭を歩いていたカズマが動きを止めた。カズマは無言で通路を指さし、通路とは逆の方、さっきまで歩いていた方を親指を向ける。・・・・・・逃げるってことでいいのかな?

 

「なになに?変な動きして。この私に指芸披露?ちょっと灯りをつけなさいよ。影でキツネやウサギなんて温いのじゃなく、機動要塞デストロイヤーをみせてあげるわ」

 

「違うわ!だから、デストロイヤーってのは何なんだよ!敵が来てるから向こうに逃げようってジェスチャーしたんだ!くそ、見つかった!おい、アクア手伝え!!」

 

カズマ達に暗闇からモンスターが襲い掛かってきた!

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「・・・・・・ふう、何だったんだこいつは暗視じゃ形は分かっても、物の色が見えないから流石に正体までは分からないぞ。お前、これが何だったか分かるか?」

 

「グレムリンっていう下級の悪魔ね。ダンジョンは地上よりも魔力が濃いから、弱い悪魔がたまに湧くのよ」

 

「へぇ、これがグレムリンなんだ」

 

昔、先生がどこからか持ってきたビデオにグレムリンを題材にした映画を見た気がする。当時は今ごろビデオテープとか、と見くびっていたら案外面白かった。魔術世界的にはグレムリンも幻想種の中でも最下位、ゴブリンと同等な扱いだ。一説にはゴブリンの遠縁なんて言う魔術師もいたりする。本物なんて西暦に入った今の地球じゃ見つけることなんて出来ないだろう。・・・・・・ホルマリン漬けにして持って帰れないかな。

 

「なあ、ちょっといいか?お前って、暗闇の中でもかなりしっかり見えちゃう?」

 

「昼間と変わらないぐらいには、はっきりくっきり見えるわよ?それがどうかした?」

 

「馬小屋で一緒に寝てる時、夜中、何か見たか?」

 

「何も見てないわよ。ゴソゴソ音がしたら、反対側向いて寝るようにしてたから」

 

「・・・・・・秋も普段、暗闇でも見えるようにしてるのか?」

 

「・・・・・・んっ?」

 

グレムリンの死体をどうするか悩んでいると、カズマが聞いてきた。

 

「・・・・・・ああ。夜中、カズマが一応女の子のアクアが同じ空間で寝てるのに一人自慰こ――――――」

 

「そこまで言うんじゃねーよ!?見えてたのか!?見えてなかったのか!?どっちなんだよ!?」

 

「そんなに怒鳴らくてもいいじゃないか。別に恥ずかしいことじゃないんだから。思春期男子なら当たり前だと思うけど・・・・・・。僕もカズマがゴソゴソしはじめたら音を立てないように外に出てたよ」

 

「・・・・・・ありがとうございますアクア様、秋様」

 

カズマが何とも面白い顔で礼を言ってきた。

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「この暗く冷たいダンジョンで、さ迷い続ける魂達よ。さあ、安らかに眠りなさい。ターンアンデッド!」

 

・・・・・・アクアが女神らしいことをしてる!?アクアは普段では考えられないような活躍をしている。今のアクアならどこに出しても恥ずかしくない。・・・・・・ちょっと感動した。

 

「ご苦労さん、いや助かったよ、俺一人で来てたら危ない所だった」

 

「あら?私の評価がようやく真っ当になってきた?・・・・・・それにしても、お宝はどこかしら。まあ荒らされ尽くしたダンジョンだし、あんまり期待してないけどね」

 

・・・・・・話ながらアクアがチラチラ僕を見てくる。なに、褒めろってこと?

 

「・・・・・・アクアもやれば出来るんだね」

 

「っ!当たり前じゃない!私は出来る子なのよ!普段はだらけてる様に見えるかもしれないけど、こういう時のために力を蓄えてるの!」

 

胸を張ってドヤ顔で誇らしそうにするアクア。・・・・・・どうしてかアクアの頭と腰辺りに犬の耳と尻尾が見えた気がする。それも凄い勢いで振っている尻尾を。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「???どうして私の頭撫でるの?」

 

「・・・・・・何となく?」

 

飼い犬を撫でる気分ってこんな感じなのかな?愛らしいというか何というか。

 

「おいそこ二人。なんだ、非リアに喧嘩売ってるのか?暗いダンジョンでイチャイチャしてんじゃねーよバーカ!!」

 

「「イチャイチャなんてしてない(してないわよ)!!」」

 

アクアと二人でとんでもない事を言い出したカズマに掴み掛かる。

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