この魔術師に祝福を!   作:妖精絶対許さんマン

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この魔術師に機動要塞を!   〜青い機械を添えて〜

「ねえ、ウィズ。頭から煙が上がってるけど大丈夫?」

 

「だ、大丈夫ですよ。これはその、この良く晴れた天気の中、長時間お日様の下にさらされているので・・・・・・」

 

「それ全然大丈夫じゃないよね?」

 

デストロイヤー迎撃地点で僕はウィズとアクアと一緒にいる。ウィズが頭から煙を出していて、干からびないか心配しながら、地面に木の棒で絵を描いているアクアに声をかける。

 

「アクアは緊張とかしてないの?かなりの大役だけど?」

 

「ふっ、馬鹿ねぇシュウは。女神である私がこれぐらいで緊張するわけ無いじゃない!」

 

「そういうわりには持ってる棒が小刻みに震えて絵が描けてないけど?」

 

「えっ、嘘っ!?」

 

実際、アクアの描いている絵はミミズが這ったような感じで何を描いていたのか分からない。・・・・・・アクアも強がってるけど緊張してるんだ。

 

「アクア。普段通りでいいよ」

 

「えっ、シュ、シュウ・・・・・・?」

 

僕はアクアの手を握って、眼を合わせる。

 

「あとの事とか、失敗した時の事とか何も気にする必要は無いよ。ただ、今は目の前のことだけに集中して。アクアなら必ず成功するって信じてるからさ」

 

「・・・・・・っ!ま、任せて!絶対に成功させてみせるから!・・・・・・だから、私のこと、ちゃんと見ててね?」

 

「もちろん。だから、頑張って」

 

アクアが走っていったのを見送って、ウィズの方に振り向くと、ウィズは微笑んでいた。

 

「ふふっ、シュウさんとアクア様は仲が良いんですね」

 

「・・・・・・それなりに長い付き合いだしね。アクアの扱い方にも慣れたよ」

 

ホント・・・・・・こんなにカズマ達と長く一緒にいるなんて思わなかったよ。

 

「誰かと冒険するという事はとても素晴らしいことですよ。私も昔は冒険者としていろいろな所を仲間と冒険しましたから」

 

「へー。そういえばウィズの冒険者時代の話は聞いたこと無いよね?どんな感じだったの?」

 

ウィズの冒険者時代ことが気になって聞いてみたら、何故か眼を逸らされた。

 

「そ、それはまたの機会にということで・・・・・・」

 

・・・・・・気になる。すごく気になる。そんなに人に言えない事なんだろうか。じーっとウィズを見つめていると、ウィズも目だけじゃなくて顔ごと逸らし始めた。

 

『冒険者の皆さん、そろそろ機動要塞デストロイヤーが見えてきます!街の住人の皆さんは、直ちに街の外に遠く離れてください!それでは、冒険者の各員は、戦闘準備をお願いします!』

 

――――――丘の向こうから土煙を舞い上げながら、六脚で大地を震動させながら移動している建物が見えてきた。

 

「何あれでけぇ・・・・・・」

 

誰かがぽつりと呟いた。確かにデカい。めぐみんの爆裂魔法の威力は知ってるけど・・・・・・破壊できるか不安になってきた。

 

『アクア!今だ、やれっ!』

 

ギルドの職員から渡された拡声器のような魔道具を使って、カズマが指示を出した。

 

「シュウ!しっかり私の活躍を見てなさいよ!『セイクリッド・ブレイクスペル』ッ!」

 

アクアの周囲に魔方陣が浮かび上がり、アクアの手には白い光の玉が浮かんでいる。アクアは光の玉をデストロイヤーめがけて撃ち出した。デストロイヤーの結界とアクアの魔法がぶつかり合い、一瞬の拮抗の後、デストロイヤーの結界はパリンッ!という音とともに砕け散った。

 

「ウィズ!」

 

「はいっ!」

 

カズマとめぐみんの方は何やらひと悶着あったようだが、めぐみんの目が紅く光っていることから、カズマが何か発破をかけたのか挑発したんだろう。

 

「「『エクスプロージョン』ッッ!!」」

 

全く同じタイミングで、めぐみんとウィズの爆裂魔法はデストロイヤーの全ての脚を消し飛ばした。全ての脚を失ったデストロイヤーは底部を地面に引きづりながら街の方に迫ってくる。デストロイヤーは街の前のバリケードより前、最前線に立ち塞がってるダクネスの目と鼻の先で停止した。

 

「やりました!成功しましたよ、シュウさん!」

 

「うん、お疲れさまウィズ」

 

ウィズと両手でハイタッチする。めぐみんの爆裂魔法の威力は知っていたけど、ウィズの爆裂魔法も凄い威力だ。流石は元は凄腕のアークウィザード。デストロイヤーの脚を瓦礫一つ残さず破壊している。

 

「やったわ!何よ、機動要塞デストロイヤーなんて大げさな名前をしておいて、期待外れもいいところだわ。さあ、帰ってお酒でも飲みましょうか!なんたって一国を滅ぼす原因になった賞金首よ、報酬は、一体お幾らかしらね!!」

 

「このバカッ、なんでお前はそうお約束が好きなんだよ!そんなこと口走ったら・・・・・・!」

 

なぜかカズマが必死にアクアを止めようとしていると、デストロイヤーを震源に大地が震えだした。

 

「・・・・・・?な、なんでしょうか、この地響きは・・・・・・」

 

「良くない事が起きようとしてるのは確かだね・・・・・・」

 

『この機体は、機動を停止致しました。この機体は、機動を停止致しました。排熱、及び機動エネルギーの消費ができなくなっています。搭乗員は速やかに、この機体から離れ、避難してください。この機体は・・・・・・』

 

デストロイヤーから何度も繰り返し流れる避難命令にカズマが冒険者達を集めて何かを話している。集まった冒険者達の顔は引きつっている。

 

「あ、あの、シュウさん。この放送は一体・・・・・・?」

 

「排熱が出来ないって言ってるから、たぶんデストロイヤーの動力源の何かの熱がデストロイヤー内部に溜まって辺り一面を巻き込んでこう・・・・・・ボンッて」

 

左手を握り拳にしてから開く。デストロイヤーを動かす程の動力源が爆発するとなるとアクセルの街どころかこの周囲一体を吹き飛ばしかねない威力だ。

 

「そ、そんな・・・・・・!み、店が・・・・・・このまま街が被害にあったら、お店が、お店が無くなっちゃう・・・・・・」

 

ウィズが泣きそうな顔で声を震わせながらそう言った。

 

「ふぅ・・・・・・」

 

この街にも多くの知り合いが出来て、愛着も持ち始めてきた。馬小屋ではなく、ちゃんとした住居もできた。なら、この街の冒険者としてやるべき事をしよう。

 

「カズマ」

 

「お、秋!ちょうどいい!俺たちはデストロイヤーに乗り込むつもりなんだ。秋もついてきて来れ!」

 

「・・・・・・うん、任せて」

 

普段ならアクアと一緒に逃げ出そうと言いそうなカズマがデストロイヤーに乗り込むと聞いて少し面食らったが、カズマもこの街を大切に思ってくれてるみたいで嬉しい。

 

「それじゃあ野郎ども!!」

 

「「「「「「乗り込めー!」」」」」」

 

カズマの掛け声に冒険者達が声を上げてデストロイヤーに乗り込んで行く。アーチャー達がフック付きロープをデストロイヤーに向かって打ち上げて、それを使ってデストロイヤーに乗り込む。甲板に上がると先に上っていた冒険者達が入り口を前に立ち止まっていた。

 

「おい、お前ら。なに立ち止まってるんだよ?」

 

「いや、なんか奥から音が聞こえてくるんだよ」

 

「・・・・・・確かに」

 

近くにいたダストが言うように入り口の奥からガチャンガチャという鎧が動くときの音が聞こえてくる。

 

「おいおい・・・・・・誰だよあんなの作ったやつは!!」

 

入り口から出て来たのは単眼の頭部にブルーメタルの胴体、右手にサーベルを持ち、左手はボウガンと一体化した人型の機械が単眼を赤く輝かせながら、無数に同じ機体を引き連れて現れた!

 

「キラ◯マシンじゃねーか!!」

 

「カズマさんカズマさん!!それじゃ隠せて無いわ!!」

 

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