––––––キラ◯マシン。
それは日本人なら誰もが知っている某国民的RPGの終盤辺りから登場する機械系のモンスター。キラ◯マシンには多くの派生先があり、青い胴体のキラ◯マシンは元祖キラ◯マシンと言っていい。
「囲め囲めっ!厳つい見た目してるくせにこのゴーレム、たいしたことないぞっ!」
「シュウが引き付けてる間に扉を壊せーっ!」
「シュウばっかりにいい格好させるなーっ!!」
「「「おおーーーーーーッ!!!!!」」」
駆け出しの冒険者の街なのにやたらと高レベルの冒険者達に囲まれて袋叩きにされているキラ◯マシンの群れのさらに先、真っ先にキラ◯マシンの群れに突撃した秋はというと––––––
「はっ!」
––––––大勢のキラ◯マシン相手に大立回りしていた。それはもうキラ◯マシンが可哀想になるほどだ。単眼に白い短剣を突き刺して、そのまま後ろから斬りかかろうとしていたキラ◯マシンの盾にして防いだりしている。
「あいかわらずシュウは強いわねー」
「あそこまで強いと俺たちいるのかってたまに思う時があるよなー」
本当に俺と同じ日本出身なのか疑わしい。外に出てきていたキラ◯マシンは冒険者達が、デストロイヤー内部は秋がほとんど倒して、キラ◯マシンが立ち塞がっていた先の大きな扉は冒険者達が槌で破壊している。
「開いたぞーっ!」
開いたっていうか破壊したが正しい気がするが、部屋に雪崩れ込む冒険者達に続いて俺たちも入る。部屋の中央には玉座みたいに大きな椅子に白衣を着た骸骨が腰掛けていた。
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デストロイヤー内部から溢れるように出て来たブルーメタルのゴーレムを粗方破壊し終えて、みんなが入って行った部屋に入ると玉座みたいな椅子に骸骨が座っていた。
「すでに成仏してるわね。アンデッド化どころか、未練の欠片もないぐらいにそれはもうスッキリと」
どうも椅子に座っている骸骨がこの迷惑な要塞を造った張本人らしい。アクアが机の上に雑に積まれていた書類に埋もれていた手記を手に取って読み始めた。ーーーーーー曰く、
この骸骨は国の偉い人から低予算で機動要塞を造れと命じられ、『こんな低予算でやってられっか!』と研究所をあの手この手で辞めようとしたが辞めれず、報酬の前金を全て酒に消えて返せず、提出期限が近づいて来た時に紙に落ちて来た蜘蛛にビックリして叩き潰して、そのまま提出。それが通った結果がこのデストロイヤーが完成した。動力炉は永遠に燃え続けるコロナタイトという伝説級の鉱石で、よりによって酔った勢いでそんな鉱石に根性焼きをするという暴挙に出て、結果デストロイヤーは暴走。国は滅亡。気分はスカッと。
「・・・・・・お、終わり」
「「「「「「なめんな!!」」」」」
アクアとウィズ以外が綺麗にハモった。
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「これがコロナタイトか。ってか、これどうやって取るんだよ」
デストロイヤーの中枢部に僕とカズマ、アクアとウィズは移動した。他の冒険者達は僕らに任せて先にデストロイヤーから降りている。部屋の中央には鉄格子に囲まれて、赤々と輝く鉱石が設置されている。
「鉄格子を斬ろうにもここまで熱が届いてるから、近づこうに近づけないね」
「おい、鉄格子を斬らなくても、こうすりゃいいんじゃないのか?格子なんて関係ない。この距離なら・・・・・・『スティール』ッ!」
「ちょ、カズマストップ!?」
「ああっ!カ、カズマさんっ!?」
僕とウィズの制止は間に合わず、コロナタイトは鉄格子をすり抜けてカズマの手に収まった。––––––––––––真っ赤に輝きながら。
「ああああああああづああああ!!」
「『フリーズ』!『フリーズ』!」
「『ヒール』!『ヒール』!・・・・・・ねえ、バカなの?カズマって、普段は結構知恵が働くって思ってたんだけれど、実はバカなの?」
カズマが悔しそうにアクアを睨むが今回は完全にカズマか悪い。見てわかるぐらい赤くなってるのに素手で触るのはどうかしてると思う。
「どうする、これ?そろそろ臨界点を超えてボンッていきそうだよ?」
転がってきたコロナタイトから離れて、カズマ達の側に近寄る。冷やされていたコロナタイトはすぐに熱を取り戻して赤く輝く。
「おいアクア、お前これを封印とかってできないか?良くあるだろ、女神が悪しき力を封印するとか何とか!」
「良くあるけど!それはゲームの話でしょ!?ちょっとウィズ、あんた何とかできないの!?」
「できない事はないですが・・・・・・それには魔力が足りません。あの、シュウさん、お願いが!」
「え、この状況をどうにか出来るなら良いけど・・・・・・」
ウィズは切羽詰まった様子で聞いてきたから思わず了承してしまった。実際、この場だとウィズしかどうにか出来る人が居ないからウィズに頼るしか無いけど。ただ、ウィズの目が獲物を見つけた捕食者みたいになってる。
「ありがとうございます!それではその・・・・・・吸わしてもらいますねっ!」
ウィズは僕の頬を両手で挟んで、親指が唇の両端を触る。ウィズの両手が紫色に淡く輝いた。その光は最近カズマが習得したリッチーのスキルの色だ。
「それではいきますっ!『ドレインタッチ』っ!!」
「吸わしてもらうって魔力の事だよねっ!?生気とかじゃあああああぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!?!?」
急激に体から魔力が抜けていく。ここまで一気に魔力を消費する事がそうそう無いか魔術回路に異常が起きないか不安だ。
「ちょ、ちょっとウィズっ!?シュウが干からびちゃうからいい加減止めなさいよ!」
アクアが制止に入ってくれた事でようやくウィズが手を離してくれた。ま、魔力を吸われ過ぎてクラクラする・・・・・・。まっすぐ立つ事が出来ずにバランスを崩して倒れそうになる僕をウィズが引っ張って抱き寄せる。
「ありがとうございます、シュウさん。これでテレポートを使う事が出来ます」
「ああ・・・・・・うん、それなら良かった。でも、こうなるまで魔力を吸い取る必要ってあった?」
「それは・・・・・・シュウさんの魔力が私好みの味でして、思わず吸い過ぎちゃいました♪」
ウィズの胸に抱き寄せられたままウィズの顔を見ると、頬が赤くなって目が少しだけトロンっとしてる。まるで酒に酔っているみたいだ。
「ですから・・・・・・また、吸わせてくださいね?」
僕の耳許に顔を近づけたウィズに囁かれた。え、ウィズってリッチーだよね?今のウィズはどっちかって言ったらサキュバスみたいなんだけど?また魔力吸われるの、僕?
「ウィズ!いつまでもシュウを抱きしめてないであれをどうにかしなさいよっ!あんた浄化するわよ!?」
アクアの脅しにウィズが渋々と抱きしめるのを止めると今度はアクアに抱き寄せられた。ウィズが優しく抱きしめるのとは逆にアクアは子供が自分の玩具を奪われないように力いっぱい抱きしめる感じだ。簡単にいうと、普段なら問題ないかも知れないけど魔力を吸われてフラフラの状態でアクアのステータスでそんなことされるとすごく痛い。
「ア、アクア・・・・・・痛い、痛いから離してほしいんだけど・・・・・・」
「やだ」
「やだって・・・・・・」
「お前らもイチャついてんじゃねーよっ!?ウィズっ!魔力は十分なんだよな!?」
別にイチャついてなんか無いんだけど・・・・・・。
「十分足りるどころかお釣りが来るぐらい吸わしてもらいました!テレポート先なんですが、問題は転送先です。私のテレポートの転送先は、アクセルの街と王都とダンジョンなんです。どうしましょう・・・・・・」
「その、ダンジョンとやらに送ればいいんじゃないか?」
「そ、それが・・・・・・。私が転送先に登録しているそのダンジョンは、魔法の素材集めにちょくちょく利用していた世界最大のダンジョンで・・・・・・。今では、ダンジョンを名物にした一大観光街ができていまして・・・・・・」
「なんて迷惑な話なんだよ!おい、ヤバイぞ!石が赤を通り越して、白く輝きだしてるんだけど!」
「一応、一つだけ手があります!ランダムテレポートと呼ばれる物で、転送先を指定しないで飛ばす物です!ただ、これは本当にどこに転送されるか分からないので、転送先が海や山なら良いのですが、下手をすれば人が密集している場所に送られる事も・・・・・・!」
「大丈夫だ!世の中ってのは広いんだ!人のいる場所に転送されるよりも、無人の場所に送られる可能性の方が、ずっと確率は高いはずだ!大丈夫、全責任は俺が取る!こう見えて、俺は運が良いらしいぞ!」
ウィズは頷いで、声高に魔法を唱えた––––––。
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結果だけをいうとデストロイヤーは無事に破壊された。動力炉を取り除かれたデストロイヤーは内部の熱を放出出来ずに暴走、爆発寸前に陥った。魔力切れのめぐみんをカズマのドレインタッチでアクアから魔力を送ることで、二度目の爆裂魔法でデストロイヤーを破壊することが出来た。そして、デストロイヤーを討伐したことで国から褒賞がでるということで僕らは冒険者ギルドに呼び出された。ギルドにはデストロイヤー討伐に参加した冒険者達とギルドの職員、そして鎧を着た騎士2人を従えた黒髪の女性がいた。
「冒険者、サトウカズマ!貴様には現在、国家転覆罪の容疑が掛けられている!自分と共に来てもらおうか!」
オマケ
「なあ、秋。デストロイヤーの内部でウィズとアクアに抱きしめられてたけど、どんな感じだったんだ?」
「・・・・・・どんな感じも無かったよ」
「はい嘘ー!そんなわけないだろ?ウィズは美人だし、アクアは中身と言動はともかく紛れもなく美少女だ。そんな2人に抱きしめられて何も感じ無いはずないだろ!」
「そ、そりゃあ僕だって男だからウィズとアクアに抱きしめられてドキドキしたけど、下心なんて無いからね!?」
(あ、秋にも抱きしめられてドキドキするって感情があるんだ)
実は秋には性欲とか無いと思ってたカズマだった。