この魔術師に祝福を!   作:妖精絶対許さんマン

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今回はウィズとのデート回前半です。


この魔術師とリッチーにデートを!

「「「「「誰かに見られてる?」」」」」

 

デストロイヤー討伐から数日。僕らのパーティーはウィズの店に訪れていた。

 

「そうなんです・・・・・・。デストロイヤーを討伐して一週間程過ぎてから、外出するとどこからか視線を感じるようになったんです・・・・・・」

 

「ウィズの気のせいと言うことは無いのか?ウィズはもともと凄腕のアークウィザードだった訳だし、デストロイヤー討伐の時の活躍を見た冒険者の追っかけが出来たとか」

 

「むっ、それは聞き捨てなりませんねダクネス!私だって大・活・躍しましたよ!一度目の爆裂魔法ではウィズに後れを取りましたが、二度目の爆裂魔法はデストロイヤーを木っ端微塵にしたのですから!それなら私にも追っかけの十人や二十人がいても良いはずでわないですか!」

 

リッチーでアークウィザードとしての経歴のウィズとめぐみんだと威力に差が出るのはしょうがないと思うけど。

 

「それでウィズ?具体的にどんな被害が出てるんだ?」

 

「具体的な被害と言っても本当に見られてるだけなんです。ただ・・・・・・私が冒険者をしていた頃によく感じた粘着質な視線なんです」

 

確かにウィズは商才はともかく見た目は美人だ。日本ならモデルや女優なんかで稼げるだろう。冒険者時代ならウィズの名前はもっと知れ渡ってファンやストーカーの類がいたんだろう。

 

「それってストーカーってやつじゃないかしら?リッチーのウィズをストーキングするなんて特殊な性癖をしてる人間がいるものなのね。ちょー面白いんですけど!ぷーくすくす!」

 

「そ、そんな酷いですアクア様ぁ!」

 

「そうだよアクア。ウィズだって困ってるんだしそんな風に言っちゃダメだよ」

 

「シュウたらわかってないわね。リッチーっていうのは岩の裏にくっついてるじめっとしたナメクジと大差ない存在なのよ?」

 

「何それ?さすがに怒るよ、アクア?」

 

「なに?やる気?」

 

「お、落ち着けってお前ら!ここで2人が喧嘩しても何の意味もないだろ!?ウィズ、警察には通報したのか?」

 

僕とアクアの不穏な空気を感じ取ったカズマが間に入ったことで止まられた。

 

「はい。でも、物理的な被害が無いのでどうする事も出来ないと言われてしまい・・・・・・」

 

「まあ、警察が捕まえたとしてストーカーにその場に居ただけ、偶然だって言われたらそれでお終いだしね」

 

「いっそのこと、そのストーカーに直接会って止めるように言うのはどうでしょうか?相手が何かしてくるようなら取り押さえて警察に突き出せばいいですし」

 

僕とカズマ、ウィズがストーカーの対処法に頭を悩ませているダクネスを襲撃していためぐみんがスッキリとした顔で話に入ってきた。

 

「確かにそれもありだな。でも、どうやってストーカーを誘き寄せるんだよ?まさか、ウィズに囮になれって言うのか?」

 

「それなら僕は反対。わざわざウィズに危険な役目をしてもらう必要も無いでしょ?・・・・・・何かあってもウィズが負ける所は想像出来ないけどさ」

 

「カズマもシュウも紅魔族の頭脳を侮ってもらっては困りますね!確かにウィズには囮になってもらう事になります。ウィズには誰かとデートをしてもらうのです!」

 

「ほえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?デ、デートですかっ!?」

 

めぐみんのデートという言葉にウィズがすごい反応をした。

 

「ウィズが誰かとデートをする事でストーカーを誘き寄せて止めるように警告する。もしくは、ウィズが誰かとデートしているのを見せつける事で諦めさせるのです!」

 

「でもね、めぐみん。ウィズを誰とデートさせるつもり?ウィズとよっぽど親しくなかったらストーカーに怪しまれるよ?」

 

「居るではないですか。ウィズと特別親しくて、一緒に出かけてもデートだと思われる相手が目の前に」

 

めぐみんとカズマは僕の方を見て、ウィズは顔を真っ赤にして僕のことをチラチラ見てくる。えっと・・・・・・もしかして。

 

「僕・・・・・・?」

 

「シュウしかいないではないですか。他の男性冒険者に頼む訳にはいきませんし、カズマでは役不足なのですから」

 

「おい待て。俺が役不足ってどういう意味だロリっ娘」

 

「誰がロリっ娘ですか!?もし、ウィズとのデートをストーカーに見せつけて逆上して襲いかかってきたとしましょう。その時、カズマはウィズを守れますか?」

 

「・・・・・・頼んだぜ、秋!」

 

カズマは僕の肩に手を置いて親指を上げてサムズアップして来た。変わり身が早いよ。

 

「か、仮に僕がウィズとデートするとして、ウィズ本人の意思はちゃんと確認しないと。ウィズに心に決めた相手とかいたりしたら––––––」

 

––––––迷惑だし。そう言おうとした時、服の袖を軽く引っ張られた。引っ張られた方を見ると、これでもかという程、首まで真っ赤にしたウィズが親指と人差し指で服の袖を握っていた。

 

「––––––シュウさんがいいです。シュウさんじゃないと・・・・・・嫌です」

 

それは、すごく小さな声で、物音一つで書き消えてしまいそうな細い声でウィズが小さく呟いた。

 

「ウィズからの了承も得ましたし、あとはシュウがどうするかですよ?もちろん、強制はしませんが」

 

こ、このロリっ娘・・・・・・!カズマのことを姑息だ何だという癖にめぐみんも大概だ。ここで僕が断れば他の冒険者かカズマがウィズのデート相手になるし、何よりウィズは僕が良いと言ったのを断れば無碍にする事になる。

 

「・・・・・・分かったよ。僕がウィズとデートする」

 

「決まりですね!ならば、詳しい作戦を考えましょう!」

 

めぐみんに丸め込まれる形になってしまった。いつか必ず、めぐみんにこの借りは返させてもらう。

 

「アクア、どうかしたのか?」

 

「・・・・・・別に。なんでもないわよ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

僕とウィズの囮デート?偽装デート?の当日。デートらしさを出すために待ち合わせ場所に別々に集まることにした。待ち合わせ場所は街の入り口近くの木の下。僕の方が先に到着したみたいでウィズの姿は見当たらない。この囮デートの内容はめぐみんとカズマがほとんど決めて、その場その場でデートしている僕たちが調整する。カズマたちも僕たちを尾行しつつ怪しい人物がいないか確認してくれるそうだ。

 

「お、お待たせしましたっ!」

 

「大丈夫、今来たところだか・・・・・・ら」

 

小走りで近づいて来たウィズを見て思わず止めてしまった。

 

「はぁ、はぁ・・・・・・お、お待たせしてしまってすいません!・・・・・・顔が赤いですけど大丈夫ですか?」

 

「だ、大丈夫だよ。今日は少し暑いからそのせいじゃないかな?」

 

「そうですか?今日は少し涼しいと思いますが・・・・・・?」

 

ウィズの服装はいつものローブではなく、黒のベレー帽をかぶり、白いワンピースに身を包み、いつもの動きやすさを重視したブーツではなくお洒落な黒のサンダルをはいている。ギャップとでも言えば良いのか、いつもと違う服装なのでドキドキしている。

 

「それじゃあ移動しようか」

 

「はい!」

 

予定としては昼まで散策して、カフェで昼食、その後はまた散策するといった流れだ。しかも、今日は王都の方から商隊が来ているそうだから散策場所には困らない。そんな風に考え事をしていたら左手にウィズが指を絡めてきた。いわゆる恋人繋ぎというものだ。

 

「・・・・・・!?」

 

「こ、こうした方が恋人同士に見えると思うんですっ!・・・・・・ど、どうでしょうかっ!?」

 

「う、うん・・・・・・良いと思うよ?」

 

今日のウィズはどうしたんだろうか。やけに積極的な気がする。いろんな意味で心臓に悪い。いろいろとドキドキしながらウィズと手を繋いで商隊が露店を開いている場所に歩いて行く。途中、後ろからバキッ!という何かを壊した音が聞こえてきた。




「おい、見ろよ!あの秋が顔を赤くしてるぞ!」

「本当ですね!シュウはウィズに弱いところがありますからね。よほど今日のウィズの服装を見て動揺してるんでしょう」

「ア、アクア・・・・・・?どうしたんだ?ずっと機嫌が悪そうだが・・・・・・」

「別になんだもないわよ?ただ、どのタイミングでウィズを浄化してやろうか考えてただけだから」

「何でだっ!?」

(カズマカズマ。アクアのあの様子はウィズに嫉妬してるからなのでしょうか?)

(いや、あれは違うな。どっちかって言ったら好きな異性を盗られたって感じより自分のお気に入りのおもちゃを盗られた時の感じだ。数多のギャルゲーヒロインを攻略してきた俺にはわかる)

(ギャルゲーというものが何なのかはわかりませんが、アクアはシュウが自分以外に構っているのが気に入らないってことですね。アクアはシュウに懐いていますし、シュウもアクアに甘いところがありますからってああああああっ!?ウィズが手を、手を握りましたよ!?しかも、自分から!)

(秋の顔が見たこと無いぐらい赤くなってるぞ!?どんだけ初心なんだよ!?)

バキッ!!

「ああっ!?アクアが壁に穴をっ!?」

「ふっ、ふふっ・・・・・・あのリッチーどう料理してやろうかしらッ!それにシュウもウィズ相手にデレデレして・・・・・・ッ!」
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