この魔術師に祝福を!   作:妖精絶対許さんマン

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この魔術師に出会いを!

「唐揚げありがとうございます!あの・・・・・・お金の方は・・・・・・」

 

「別にいいですよ。残り物ですし」

 

僕は店内の棚に並んでいる商品を見ていく。液体が入った小瓶、水晶玉、幾何学模様が彫られた手鏡など変わった商品が置いてある。僕は幾何学模様が彫られた手鏡を手に取る。

 

「あ、それは未来を見れる手鏡ですね」

 

「なにそれ凄い」

 

未来視系の魔眼より便利じゃないか。魔眼は所有者しか視れないけど、この手鏡なら他人にも見せられる訳か。

 

「ただ、その手鏡には欠点があって――――――」

 

僕の顔を写していた鏡に黒い渦巻きが現れると――――――。

「――――――死後しか視れないんです」

 

――――――鏡に写っていた僕の顔は骸骨になっていた。

 

「・・・・・・・・・・」

 

僕は無言で手鏡を置いてあった場所に戻す。死後しか視れないことはもっと早くに言ってほしかった。

 

「あの・・・・・・他に何かありません?普通の魔道具っていうのをみたいんですけど」

 

「ふ、普通の魔道具ですか?ええっと・・・・・・ならこれなんてどうでしょう?」

 

女性はレジの後ろの棚からやたら毒々しい色をした液体が入った小瓶をカウンターに置いた。おい、小瓶にドクロのシールが貼ってるぞ。

 

「これはモンスター呼びのポーションです。蓋を開けたら近くにいるモンスターが臭いに釣られて呼び寄せる事ができるんです」

 

「へぇ、それは便利だね」

 

短期間でレベルを上げる事が目的なら多少値が張っても買うべきだね。

 

「欠点としてはレベル差関係なく強力なモンスターも呼び寄せてしまうことですね」

 

「それただの自殺道具じゃん」

 

わかった。この店には録な商品が置いてない。絶対に他の道具にも欠点があるに違いない。

 

「・・・・・・これは?」

 

レジの横にあった骨付き肉を手に取る。

 

「それはカエル殺しというアイテムです。ジャイアントトードの餌に似せることで、食べた瞬間に炸裂魔法が発動するようになってるんですよ!」

 

「これ、いくらですか?」

 

佐藤君達に買って帰ろう。これからもカエルと戦う事があるだろうし、もしもの時に役立つはずだ。

 

「一個二十万エリスになります!」

 

値段の方が欠点だったか・・・・・・!

 

「――――――と、言うのは冗談です。それは無料で差し上げます。唐揚げを貰ってお礼です。それに、これからも贔屓にしてもらう為のサンプルだと思ってください」

 

この店主、ちゃっかりしてるね。

 

「わかりました。また、来させてもらいます」

 

「はい!いつでもいらっしゃってください!」

 

そういえば・・・・・・まだ女性の名前を聞いてなかった。

 

「名前・・・・・・教えてもらっていいですか?」

 

「あっ、まだ自己紹介をしてませんでしたね!私はウィズと言います」

 

「僕は蒼崎秋。それじゃあまた」

 

面白い店も見つけたし、時間があったらまた来よう。

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

「見捨てないでください!もうどこのパーティーも拾ってくれないのです!ダンジョン探索の際には荷物持ちでも何でもします!お願いです、私を捨てないでください!」

 

街の入り口に粘液まみれのアクアと同じく粘液まみれで佐藤君に背負われてるめぐみん、そしてめぐみんを背負っている佐藤君が何か騒いでいた。

 

「・・・・・・先に宿に戻ってよう」

 

僕は三人に気づかれない内に宿に戻ろうとする。あの絵面はマズイ。粘液まみれの美少女二人。知らない人が見たら佐藤君は美少女二人を粘液まみれの危ないプレイをした変態だと思われる。僕も巻き込まれない内に逃げよう。

 

「あっ!シュウじゃない!」

 

気づかれた!しかも、よりによってアクアにだし!

 

「どんなプレイでも大丈夫ですから!先程の、カエルを使ったヌルヌルプレイだって耐えてみせ」

 

「よーし分かった!めぐみん、これからよろしくな!」

 

どうやら、めぐみんの脅しに佐藤君は屈したようだ。

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

「そういえばシュウの職業は何なのですか?」

 

粘液を落としたアクアとめぐみんを連れて、僕は酒場で晩御飯を食べている。佐藤君はクエスト達成の報告とカエルの買い取りに行っている。僕は二人が何かをしないよう見張りを頼まれた。

 

「僕の職業はルーンナイトだよ」

 

「ルーンナイトですか。シュウも私と共に爆裂魔法の道を歩みませんか?ルーンナイトは魔法も使える職業ですし、爆裂魔法を覚えて損はないと思うのですが!」

 

この子の爆裂魔法への思いはどこから湧いてくるのだろうか。

 

「い、いや、遠慮するよ。聞いた話だとめぐみんの方が爆裂魔法の威力は強いみたいだし、めぐみん一人でいいよ、爆裂魔法を使うのは」

 

「当然です!我が必殺の爆裂魔法はあらゆるものを粉砕しますからね!」

 

めぐみんが胸を張って自慢気に言う。・・・・・・一回見てみたいな、爆裂魔法。

 

「あー、もうホントなんなんだよ」

疲れた顔した佐藤君が報酬が入った革袋を手に戻ってきた。

 

「疲れた顔してるね。買い取りで何か揉めたのかい?」

 

「買い取りはスムーズに終わったんだよ。ただ、その後に変な奴に絡まれたんだよ」

 

「変な奴って・・・・・・あの人?」

 

僕は柱の影に隠れて僕たちの方を見ている金髪鎧の女性を指す。 ・・・・・・顔が赤いし鼻息が荒いんだけど。

 

「うげっ・・・・・・ついてきてたのかよ」

 

佐藤君が嫌そうな顔する。

 

「あいつにパーティーに入れてくれってせがまれたんだよ」

 

「入ってもらえば?装備の感じからして前衛職だろうし、パーティーに入ってくれたらかなり安定すると思うんだけど?」

 

僕も前衛で戦えるけど、今はこの世界の魔法を研究したい。だからあまり前衛で戦いたくない。

 

「・・・・・・アクアやめぐみんに通じる何かを感じたんだよ」

 

「・・・・・・一癖あったんだね」

めぐみんはよくわからないけど、アクアに通じるものがあるなら絶対に何かある。金遣いが荒いとか、我が儘とか、自堕落とか。

 

「・・・・・・前衛職で耐久力と力はあるのに攻撃が当たらないそうだ」

 

「前衛職としては致命的だね、それ」

 

不器用すぎだよ。もう前衛職やめて後衛職とかに転職した方が良いよ。

 

「ホントに秋がいてくれて助かるよ・・・・・・お前がいなかったら今頃俺たちは・・・・・・っ!」

 

何を想像したのか佐藤君が涙を流しながら僕の両手を力強く握って来た。

 

「頼むぞ、秋・・・・・・このまま俺たちとパーティーでいてくれて!じゃないと俺たちは・・・・・・俺は、俺は・・・・・・っ!!」

 

「うん、分かったからとりあえず手を離して。アクアとめぐみんが凄い目で見てるから」

 

佐藤君は顔を二人の方に向ける。

 

「「・・・・・・・・・・」」

 

アクアはゴミを見るような目で、めぐみんは不思議なものを見たような目で見ている。

 

「カズマ。私は同性同士の恋愛を否定するつもりはないけど、そういうのは二人きっりの時にしてくれないかしら?私とめぐみんまでそっち系の人と思われたら困るんですけど?」

 

「ちっげーよ!!俺は懇願してんの!お前分かってんのか!?今秋に見捨てられたら俺たち終わりだぞ!?秋が抜けたら最弱職の俺になんちゃって女神のお前、爆裂魔法撃ったら動けないめぐみんしかいないんだぞ!?」

 

「おい、それじゃあまるで私がお荷物みたいじゃないか。そこら辺のこと詳しく聞かせてもらおうか!」

 

「なによ!少なくともカズマより私の方が役にたってるわよ!私はアークプリーストにして女神よ!そこにいるだけで癒しになるのよ!ねえ、シュウ!?」

 

「言ってやれ、秋!」

 

ここで僕に振るか。・・・・・・実際、めぐみんの魔法は一発しか撃てない代わりに威力は高いらしい。佐藤君も冒険者の職業だから将来有望だろし。アクアは・・・・・・あれ?活躍してるとこ見たことないね。強いて言うならゴッドブローを出したぐらい?

 

「アクアって・・・・・・何かした?」

 

「なんでよ―!?ほ、ほら秋、女神の隣に座れて癒されるでしょ?ね?ね?」

 

「癒しっていうか、小さい子供の世話をしてる感じなんだけど?ほら、今も口元に食べ滓ついてるし」

 

ナプキンでアクアの口元についている食べ滓を拭き取る。

 

「・・・・・・ぐすっ」

 

ぐすっ?

 

「シュウが・・・・・・シュウが私のこと子供扱いしたあぁぁぁぁぁぁ!!私子供じゃないもん!!女神だもん!!うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」

 

・・・・・・この女神めんどくせぇ。ジョッキ片手に号泣するアクアをあやす。

 

「あー、もう泣かないでよアクア。ほら、ネロイド奢ってあげるから」

 

「ぐすっ・・・・・・ホント?」

 

「ホントホント。だから泣き止んで」

 

「・・・・・・カエルの唐揚げも」

 

・・・・・・この女神調子に乗り始めたな。寝てるときに耳元で大声出してやる。

 

「・・・・・・良いよ。唐揚げも頼んでいいよ」

 

「やった!すいませーん!シュワシュワとカエルの唐揚げ大盛ください!!」

 

コロリと態度を変えて料理の注文をするアクア。しかも唐揚げ大盛で注文しやがった。

 

「・・・・・・たまにはこういうのも悪くないかな」

 

運ばれてきたネロイド片手に唐揚げをバクバク食べているアクアを見て、ちょっとだけそう思った。

 

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