ガンダムSEED 天(そら)の英雄    作:加賀りょう

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短めです。


第27話 反乱の狼煙

 痛みと共に目を覚ませば、そこは本部の執務室にある仮眠室だった。身を起こそうと動けば、腹部に痛みが走り思わず声が出る。すると、隣からガタガタと音がして複数の足音が仮眠室へと入ってきた。

 

「隊長っ!」

「シリウェル様っ」

 

 レンブラント、ナンナが声をあげながら駆け寄り、マリクがゆっくりと歩み寄ってきた。状況が把握できずに、時間を確認すると既に4時間は過ぎている。ラウに襲われてから、ここに運ばれたのだろうか。それとも……。

 

「……クルーゼ隊長が貴方を運んできたんです」

「マリク?」

「応急処置はこちらで済ませました。医療班を呼んだので問題ないと思います」

 

 淡々と説明はしているが、どこか怒りを含んでいる。怪我をしたシリウェルに対してか、それともラウに対してなのか。

 

「シリウェル様、一体何があったのですか!?」

「……ラウは何か言っていたか?」

「……いえ、何も」

「そうか……」

 

 何も言っていないといいつつ、ナンナの表情は優れない。確実に何かを話していったのだろう。己が傷つけたと白状したとは思えないが、決していいことではなさそうだ。

 治療は住んでいるということならば、黙って寝ている暇はない。シリウェルはベッドから動こうとすると、レンブラントが手で身体を抑えてきた。

 

「……?」

「隊長……今日はここで休まれてください」

「……そんな暇はない。俺は──―」

「そんな体で何をすると言うんですか? ……わかっていますか、隊長。貴方の体は、治癒力が低下している状態なのですよ。そんな体で動けば、治るものも治りません」

 

 レンブラントが言っていることは正しい。だが、どれだけ正しくとも聞くわけにはいかない。ラウが動いた以上、こちらも手を考えなければ世界は終わる。何としても、避けなければならない。

 

「治らなくても構わない。それよりも大事なことがある。レンブラント、艦を動かす準備をしておけ。ナンナは──―」

「隊長っ!! 話を聞いているんですかっ!」

「……レンブラント、命令だ」

「っ……」

 

 低い声色で告げた。説教を聞いている時間はないのだ。シリウェルは、異論は認めないという意志をレンブラントに伝える。いつ、プラントに核が向けられるかわからない。動けないと言われようが、シリウェルは出撃するつもりでいるのだ。

 

「……隊長、何をなさるつもりですか?」

「このままでは、世界は終わる。俺の勘に過ぎないが……パトリックはヤキンに上がっているはずだ。核はザフトも保持している。打ち合いになれば、全て終わる」

「っ……」

「な……まさか、議長がそのようなことっ!」

「……パトリックは、ナチュラルを滅ぼすことを目標にしている。地球軍は、コーディネーターを。ならば、どうなるかは想像できる」

 

 どちらかが滅ぶまで、戦いは終わらないということだ。そんな未来は望んでいない。

 

「……穏健派の議員が捕らえられている。まずは、拘束を解く。カナーバがいれば、話がしたい」

「……承知しました。艦長、私は先に動きます。マイロード、隊長を頼みました」

「は、はい」

「わかった。……仕方ありません。私も準備に向かいます」

「すまないが頼む」

「……無茶だけはしないでください」

 

 最後に念押しをすると、マリク、レンブラントの二人は部屋を出て行った。

 

「ナンナ」

「……はい」

「ラウは何と言っていた」

「あ……その……」

「……何も言わないはずがないからな」

 

 隠しても無駄だということだ。ナンナは、視線をさ迷わせているが、ようやく決意したのか口を開く。

 

「……シリウェル様を死なせたくないのならば、ここから動かすな。……と言っていました」

「俺を動かすな、か……モノはいいようだな」

「本気の言葉だったのです。……怪我をしているシリウェル様を見て、私は息が止まりそうでした。レンブラント艦長が、必死だったのはそのためだと思います」

「……そうか」

 

 心配ばかりかけている部下に、シリウェルは感謝しかなかった。引くわけにはいかないが、彼らのためにも負けるわけにはいかない。可能ならば、ラクスらとも連絡を取りたいが無理を言ってもいられないだろう。

 できることをしていかなければ、いけない。

 

 そうこうしているうちに、軍内に警報が響いた。ヤキンの防衛網に地球軍艦隊が引っ掛かったのだ。数は今までで一番多いようだ。恐らくは核攻撃部隊もいるだろう。

 慌ててシリウェルは立ち上がろうとするが、痛みに顔を顰め崩れ落ちそうになる。

 

「シリウェル様っ!」

「っ……助かる、ナンナ」

「……カナーバ様の元へ向かうのですね。お供します」

「あぁ……頼む」

 

 マリクのことだ。予めある程度の予想はついているだろう。パトリックたちの目は完全に地球軍へと向いている。この時が、隙を付ける好機だった。ヤキンを除いた本部を掌握する。

 時間は刻々と迫ってきていた。

 

 

 

 

 

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