ガンダムSEED 天(そら)の英雄    作:加賀りょう

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第67話 面倒事

 ミネルバから報告を受けているシリウェルは、腕を組み眉を寄せていた。今シリウェルは艦内の自室に一人でいる。モニター画面には、タリアとウルスレイが対称的な面持ちで映っていた。

 

『報告が遅れ、申し訳ありません』

「……グラディスのせいじゃない。それに……ウルスレイ、あんたは一体何をしているんだ……」

『すみません、シリウェル様。こちらな方が安全でしたので』

 

 謝ってはいるが、その顔には笑みを浮かべている。全く悪いとは思っていないのだろう。思わずため息を吐く。

 

「まぁいい。それと、オーブか……面倒をかけた。すまないグラディス」

『いえ。あの状況では、致し方ないと思われます。ただ今後ですが』

「わかっている。悪いが、ミネルバにはオーブまで送還を頼む。例のボギーワンを追うついでで構わない」

『はっ』

 

 カガリがプラントと交渉に来ていたことは極秘扱いだ。このままアプリリウスに戻り、移送するよりはこのまま保護という形でオーブへ戻した方が外聞がいい。だが、このまま何の説明もなしにはいられないだろう。カガリは、ある意味では潔癖なところがある。今回目撃したことについて、言いたいこともあるはずだ。それをどうにかしなければならない。

 

「あとで、そちらに顔を出す」

『閣下が、ですか?』

「……こっちの事情だ」

『……わかりました。通達しておきます』

「頼む。ウルスレイ、詳しい話はその時に聞く」

『はい』

 

 それだけ伝えるとシリウェルは通信を切る。背もたれに身体を預けると、目を閉じた。

 カガリと話をするのは、実はかなり久しぶりだった。オーブへ降り、ラクスらと話をした時が最後に顔を突き合わせた日。それから、お互いに忙しいのもあり話をすることはなかった。

 尤も、シリウェルはオーブがどういう状況にあるかは知っている。アスハの影を通じて、情報を得ているからだ。無論、カガリには知らせていない。まだ早いと判断したためだが、カガリは完全に政に染まっておらず嘘を嫌う。腹芸が出来ないカガリに、話をすることは出来なかった。

 今回のことも、多くの思惑が絡んだ結果だ。カガリには理解できない部分も多い。だが、ここまで来ておいて何も言わずに別れることも出来ない。

 シリウェルは通信をブリッジへとつなぐ。

 

『隊長、何かありましたか?』

「あぁ。これからミネルバへ向かう。ミーアを格納庫までよこしてくれ」

『……わかりました。気分の方は大丈夫なんですね?』

「問題ない。少しの間、艦を任せた」

『はっ』

 

 格納庫には、シリウェルの機体がある。飛行艇で向かってもいいが、何があるかわからない以上は機体の方がいい。

 ふと、胸元に手を当てる。先ほど感じたものは、今は無くなっている。また同じようなことがあるとも限らない。

 調べたいこともあるが、今はミネルバに向かうのが先だ。

 立ち上がり、シリウェルは部屋を出て行った。

 

 

 格納庫には、既にミーアの姿がある。ここに呼ばれたということで、予想はしていたのかシリウェルの機体の前で待っていた。

 

「呼び出してすまない」

「いえ、それで何をするのですか?」

「……所用が出来た。ミネルバへ向かう。この機体でな」

 

 見上げれば、白を基調とした機体がある。最新型のシリウェル専用機。ZGMF-101Aレイフェザー・フォース。

 

「えっと……私も、ですか?」

「広くはないが、一人くらいなら問題はない。多少、負荷はかかるが……ミネルバまでの距離を考えれば大したことはないだろう」

「……は、はい」

 

 戸惑っているミーアの手を引き、地面を蹴るとそのまま機体のコックピットへ移動する。軍人ではないミーアは、無論乗ったことなどない。開いたコックピットシリウェル自身が入ると、ミーアを抱え込むように中に招き入れた。

 

「キツいか?」

「い、いえっ大丈夫ですけど、その……このまま、ですか?」

「初めてだからな……衝撃もある以上はその方がいいと思うが、どうする?」

 

 シリウェルなりに考えた結果だ。初心者が立っていられるとは思えない。怪我でもされると面倒というのもあるが、この方が手っ取り早い。

 しかし、ミーアは顔を真っ赤にしたまま何も言えずにいた。だが、意を決したように顔を上げた。

 

「ミーア?」

「その、この状態はユリシアさんに申し訳ないですっ! ……嬉しい、ですけど……」

「ユリシア? ……気を使ってくれてるのか。プライベートならともかく、これは任務だ。それ以上の意図はない」

「そ、そういうことでは、なくて……私が居たたまれないというか……」

「何を言ってるんだ?」

 

 ミーアの困惑を理解できていないシリウェルは、モゴモゴとしているその姿に首をかしげる。だが、ここはそんな問答をしている場合ではない。

 

「まぁいい。行くぞ」

「ふぇ?」

「しっかり捕まっていろ」

「え、ちょっと待ってください! 心の準備がっ!?」

 

 機体を起動し、シリウェルはそのまま動かす。振動が伝わり揺れる機体に、思わずミーアはシリウェルへとしがみつくのだった。

 

 

 

 

 

 

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