こうしてたまーに更新していきますので、気長に待っていただけると……(^_^;)
カーペンタリアへと戻ったシリウェルは、艦を降りるとすぐに本部へと向かった。
地球圏の情報はこちらの方が入ってきやすい。各地に情報提供者がいるからだ。既に情報を集めるようにと指示は出してあった。シリウェルが本部へ入れば、中は慌ただしく現在進行形で情報確認中だった。
「閣下!」
「手を休めなくていい。情報整理を優先してくれ」
「「はっ」」
シリウェルの姿に立ち上がろうとした彼らを制止すると、シリウェルは一番信頼している部下の下へと足を向ける。ここで情報を集約しているのが彼だ。
「ギース、どうなっている?」
「はい。被害状況は現在、ここまで判明しております」
画面を見れば、各地の被害情報が乱雑な文章で入ってきているところだ。だがまだ全体把握するには情報が足りない。
ローマ、上海、ゴビ砂漠……フィラデルフィア。たくさんの被害情報が読み取れる。まだあちらも確認中であり、死者負傷者の数は出てきていない。津波の被害も多数。これらの被害状況が出てくるのは今しばらくかかりそうだ。
「クソッ……」
「ファンヴァルト閣下」
「声明を出すのは、俺より議長の方がいいだろうな」
何にしてもこの状況だ。これ以上の被害があると考えて動いた方がいい。今回の件はプラント側の責任だ。だが、そこをコーディネーターへの悪意につなげられるわけにはいかない。ブルーコスモスよりも早く動かなければならないのだ。
「支援物資の手配をする。あと、小隊を救援活動として被災地へ送る」
「はっ」
議長であるウルスレイも早急に動いた。世界へと声明を発信すると同時に、救援活動の報告を行う。ザフト軍もそれに協力するという形だ。
地球での対応はウルスレイに任せることとし、シリウェルは直ぐに本国へと戻った。救いだったのは、プラント側の対応が迅速だったことで、非難の声がそれほど沸かなかったことだ。だが、それはあくまで民衆たちの話。大西洋連邦では不穏な動きがあるという報告が上がっていた。
国防本部でシリウェルは錯綜している情報に頭を抱える。
元ザフト軍が起こしたことだという情報がどこからか漏れたらしい。そのことについて、ザフト軍のトップであるシリウェルへと責任を取ってその座を降りるようにと圧力をかけてきたのである。尤も、これについてはこちらも考えがあるため突っぱねるつもりだ。無論、あちらも飲み込んでもらえるとは考えていないだろう。
これはある種の牽制だろう。プラントに対して、敵対行動を行うという意思をこちらに示したに過ぎない。地球圏に被害が出たことにより、中立国へも圧力をかけるに違いない。スカンジナビアも、もちろんオーブに対しても。
オーブの現在の体制は、あまり芳しくない。カガリを代表首長とはしているものの、その裏ではセイラン家を中心とした反コーディネーター、つまりはブルーコスモスよりの首長たちが舵を取っている。シリウェルと既知である首長には声をかけてはいるものの、彼らも露骨にそれを示すことは出来ない。シリウェルも、万が一の場合を除き下手な行動はしないようにと告げている。何よりも守るべきなのは、国民たちなのだから。
現在、オーブにはミネルバが寄港している。カガリを無事に送り届けたという報告は聞いているが、ザフト軍所属の艦であるミネルバがいつまでオーブに居られるか。
「……⁉ これは」
「閣下、どうかされましたか?」
傍にいたマリクがシリウェルの上げた声に反応する。
「ミネルバに、直ぐ出港するように伝えろ。カーペンタリアへ急ぐように。MSの出撃準備をしながらな」
「隊長、それは」
「急げ!」
「はっ」
マリクにしては動揺していたのか、シリウェルへの呼称が隊長に戻っていた。それよりもことは急を要する。何よりも、オーブはシリウェルの故郷でもある場所。そこから脱出せよと告げているのだから、想定以上のことが起きたことは理解しているはずだ。
本部も慌ただしく動く中、シリウェルはオーブに残した彼らのことを思った。
「……無事でいてくれ、ラクス。キラ」
コーディネーターである彼らは、今のオーブにいてはよくない。これを機にラクスを連れ戻すべきか。キラはともかくとして、それにアスランが同意するだろうか。カガリを連れることは出来ない。カガリは首長なのだから。これを連れて行けば、下手をすれば誘拐扱いだ。
「隊長、ミネルバに通達しました。……悪い予感は当たったようです」
「そうか」
オーブの領海には、既に大西洋連邦が待機していた。ミネルバにはルーキーが多い。撃ち落される可能性もゼロではないだろう。こればかりは、彼らを信じるほかない。ここで撃たれるようでは、この先戦闘など行うことはできないだろう。これは彼らに与えられた試練のようなものなのか。
「レイ、シン……頼む」
「隊長……」
国防委員長としてではなく、彼らの保護者として願う。どうか無事にこの境地を抜け出せることを。
★☆★☆★
同じ頃、オーブに寄港していたミネルバよりも先にカーペンタリアへと来ていたウルスレイは、現在の状況報告を受けて笑みを浮かべていた。
「彼らは本当に想像を裏切らないですね」
「ですが、議長。本当によろしいのですか? これはファンヴァルト閣下の意に反することでは?」
秘書である男性の表情は不安そのものだ。だが、当のウルスレイは笑みを消さない。
「シリウェル様はこの先必要なお方。でも、その足を引っ張る存在がいる。そのようなこと許せますか? このセ世界のためには必要なことなのです。シリウェル様もいずれ理解されることでしょう」
「……議長がそうおっしゃるならば」
「ブルーコスモスが動いた今、私たちも動き始めねばなりません。手始めに、不要となった歌姫には退場していただきましょう」
「はっ」
ウルスレイの言葉に敬礼をすると、男性は足早にその場を去る。残されたのはウルスレイ一人。
「これから、世界が動きます。どうか、見守っていてください」