ファイト終了後、自分で淹れたコーヒーを飲みながら休憩していた私とアマリリスの元に火野さんがやって来た。
「マスターさんは強いね。強気に攻めるデッキなのに、一度も優勢に立てなかったよ。――完敗でした」
「プロの人に手ほどきを受けたせいか、当時より上手くなっているんじゃないかな」
「へぇ~、バディファイトのプロっているんだ。初めて聞いた。……いや、あの人たちがそうなのかな?」
火野さんが何やら呻っている様子。いつの間に厨房に戻ったのか、もう一杯のコーヒーを持ってアマリリスが戻って来た。
「お店からのサービスですっ」
差し出されたコーヒーを火野さんが受け取り、口に含んだ。ふぅと、小さくため息をつく。
「ありがとう、アマリリス。まさかとは思ったけど、アマリリスってモンスターだったんだね。周りにつられたけど、いきなりモンスターが出てくるし。もうびっくり」
本当に驚いた様子で、火野さんが話している。少し、彼女の言い方に引っかかりを覚えたので、彼女に訊ねてみる。
「火野さんはモンスターが身近にいない世界から来たんだね」
「世界? どういうこと?」
火野さんが首を傾げたので、簡単に説明をすることにした。
「何故だか分からないけれど、このカフェは様々な近親界と繋がっているみたいでね。ワールドのモンスターどころか、誰かが言ってたけど並行世界の人達が訪れるらしい。……だから、私達が見たこともないモンスターや人が来るからバディファイター同士の交流が盛んなんだよ。この場所は」
「へぇ~。よく分かんないんだけど、私ってきても大丈夫なの?」
「誰彼構わず言わなければ大丈夫ですよ。今度は友達も連れてきてね、真火炉ちゃん。私、楽しみにしてますっ」
この場所が何故複数の世界と繋がっているのかは知らないし、知る必要もない。それがこの店に客が訪れる理由にもなっているのだから、原因を修正する必要もないだろう。幸いにも、どの世界も日本であるなら通貨が通用するみたいだし、問題は無いのだ。
少し談笑した後、コーヒーを飲み終わった火野さんが立ち上がって軽く頭を下げた。
「分かった! ……今日はありがとう、マスター、アマリリス。また来るね」
そう言って、火野さんは元の世界に帰っていった。
「相当驚いていたけど、動じてはいなかった辺り火野さんは大物かもしれないな、アマリリス。さて、夜の部の支度でもするか」
「ええ、手伝いますっ。マスター!」
他のバディファイター達がバディファイトを楽しむ中、私達はアルバイトと交代して夜の部の支度を始める。
ここは、バディカフェ“ゴールデンフリース”。またの御来客を楽しみにしています――。
次回はゴールデンフリース夜の部。恐らくカタナW VS ヒーローW。