難産とかじゃなくてこの更新速度が実力なんです(泣)
『全身に電気が走る』
そんな表現が世の中にある。
もちろん比喩的表現であり、実際は体調不良による神経過敏や人間の思考の中の閃きや驚愕の瞬間などに使われる喩えだ……そう、所詮喩えであり『全身に電気が走る』ような事はまず起こることはない。
しかし実際に『全身に電気が走る』そんなことが事が己に身に起こったのであれば運が無い事だ……。
さて、何故こんな話をしているのかと言うと────―――――
「
ネプチューンマン――――身長240cm、210kgの巨体から繰り出される一撃は人型で在りながら人間のそれとは大きく掛け離れたパワーを……まあ、奴さんはホラーだから見た目とか大きさとかあんまり当てにはならんがそれにしたって――――
その迫る豪腕をバカ正直に受け止めたのは明らかな間違いだった。
「――――――――────ッッッガァァ!?───」
ソレを魔戒剣で受けた俺はその瞬間、大砲から打ち出された弾の様に後方の金属製の保管場所の扉ごと通路の突き当たりまで吹き飛ばされた。
不幸中の幸いと云うべきか左手に持った魔戒剣の刀身に右腕を押し当て十字の形で受けて耐え切れずに……扉まわりの金具が老朽化が進んで脆くなっていたおかげでクッションとなったが―――――暗転する視界と痺れる両腕、激しく打った背中の痛み肺から一気に吐き出される空気、そして震える脚―――頭は打っていないためか思考は思いのほかクリアだ。
ガクガクと震える膝を痺れの残る手で持った魔戒剣を杖替わりに立ち上がる(魔戒剣を手放さなかった自分を褒めたい)
この威力は『電気』なんて表現が陳腐に思える…所詮プロレス技のラリアットと舐めていた……否、舐めていなくてもネプチューンマンの『
吹き飛ばしてくれたおかげで距離が大きく開き、何とか体勢を立て直した俺は前方の遥か先の扉が無くなった保管場所から出てくるネプチューンマンが視界に入る…しかしヤツはホラーである筈だから呼称としてはホラー・ネプチューンマンの方が正しいだろうか―――――などと暢気な考えが一瞬よぎるがヤツはレスラーの低空タックルよろしく中腰の体勢のまま距離を縮めてくる。
ありゃちょっとした重機だ……それが時速100キロオーバーで迫ってきているのだからもう笑えないが、まだ目で追える――――正面からその動きに合わせて刃を当てて―――――迫るホラー・ネプチューンマンの身体がブレて一瞬姿を見失う――――――その瞬間背後から筋肉質な手足が俺の身体を締め上げる!
───ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、イケナイ、コノ、ワザヲキメサセテハイケナイ!───
俺の身体を締め上げるこの技はネプチューンマンの代表的な
「
―――――
故に俺は一刻でも早くこの技から抜けなければならないため―――
「サ、サルパーーーー!!!」
ただでさえ数が少ない『手札』を一枚切ることにした…。
「―――やれやれ、しかたがない――――」
俺の左腕に巻かれた時計型魔導具であるサルパから魔導火が漏れ出て時計で言う所の時針、分針、秒針を魔導火で摸して炎の刃が回転し、ホラー・ネプチューンマンの身体を切り裂いた。
切り裂かれたホラー・ネプチューンマンは身体から力が抜けるように膝を折、直に消滅した。
あとに残るのは上半身の部分が傷だらけの『ネプチューンマン』のキン消しが転がっていた。
キン消しを取り込んでその『キャラクター』になる、もしくは真似るホラーってところか…。
「うわー、考えれば考えるだけ恐ろしいホラーだったな……『ネプチューンマン』ならあとマグネットパワー使って来られていたら負け確だったが…ふう―――」
撃破したホラーの能力に戦慄し、安堵し、何気なく保管場所の方に視点を向ける…そこから出てくる『キン消しホラー』が嫌でも目に入った…まだ終わっていなかった(泣)
「―――――いま一息ついている所、残念なお知らせがある――――」「うん、しってる!」
ゾロゾロゾロゾロゾロゾロっと…出てきやがって…イメージは素体ホラー千体撃破に似てきた。
「さっきのヤツと比べれば一体一体は大したことはないだろうが、消耗したお前じゃあこの数はかなり骨が折れるぞ!マサヒロ」
俺はそのセリフに答えるように魔導火ライターの火力を
ちょっと前に黄金騎士の真似事で魔導火を自在に操り纏う『烈火炎装』をしてみたら―――全身を魔導火に巻かれて
――――――うわ、俺の知ってる烈火炎装より魔導火の出が大きすぎてかなり燃費が悪い上にカッコ悪い人間キャンプファイヤーみたいで……ヤバい、これじゃあ名前は───
「『劣化炎装 魔導──火達磨!!』」
出来れば使いたくなかったよ。この場で最も撃破効率の良い手段ではあるがデミリットが存在する―――
―――――知ってるか?炎って燃料が無いと燃え続けないんだぜ……―――――
昔、魔導火を多様する魔戒騎士の先輩が当たり前の事を言っていたが、その表情はどこか影が有ったな……今なら分かるその意味が!魔導火もタダじゃないってことをな!(先輩は後に『炎上騎士』って称号をもらっていたと思う)
そして、俺自身が一つの炎の刃となって『キン消しホラー』達を切り捨てた、一体五千円を超える買取価格を持つキン消しのホラーであろうと……。
―――――一つ剣を振れば八千跳び、二つ剣を振れば二万跳び……これ、麻雀の点棒じゃないんだぜ……俺のボーナスがリアルに消し飛ぶんだぞ!!!!!!! クソたれー!!!!!!!
―――進むも地獄退くも地獄―――この時のマサヒロは正にこの言葉が当てはまる不幸に見舞われるのであった。
この場に居るのはマサヒロでは無い。鬼の形相に血の涙を流す憐れな一匹の男である(合掌)
その場に残るキン消しホラー達は覚悟を決め、地獄の餓鬼の如く俺に殺到する。
────今こそ、立て! 修羅の如く!────byマサヒロ。
そこから先の事はあんまり覚えてない……無心かつ無我の集中でひたすら魔戒剣を振るったからな……途中ぷりぷりマンとかキン骨マンとかマイナー枠が出てきた気が……うゥ、頭が。
俺が正気を取り戻す頃には辺り一面の足元には切り裂かれた無数のキン消しの転がっていた…さながらキン消しの墓場か地獄が出来上がっていた。
時は既に次の日の朝をむかえて、日が高く昇っている。
「ハア……うまく売れば五百万のオーバーのボーナスが入ったかもしれないのに、結局手元に残ったのは『コイツ』だけか……でもホラーが『コイツ』に変化しなくて良かった──」
俺は頭を垂れながら懐の内ポケットから今回唯一の『戦利品』を取り出した『戦利品』のキン消しのキャラクターの名前は『マンモスマン』
キン肉マンに登場した超人の中で語弊があるかもしれないがライバル系敵キャラ以外で唯一『最強』の候補に挙げられる恐るべき超人でこのキン消しは高価で取引される事がある代物だ。
偶然にも予備知識で知っていた俺は『マンモスマン』を仕分けを始めて早々に見つけてそそくさっとチョッパ……否、いち早く回収したためにホラー化の難を逃れたキン消しである。
『マンモスマン』を片手に帰路に着く……報告なんて後でイイ、今は睡眠が欲しい、休みたい。
過度の戦闘で重くなった心と身体に鞭を打ち、脚を動かすマサヒロであった。
今回、ボーナスどころか骨折り損の草臥れ儲けってな具合の主人公 マサヒロ。
次回以降に彼に幸福が有らんことを…。