【完結】魔法少女リリカルなのは ーThe Ace Chronicleー 作:春風駘蕩
カラカラカラカラ…!と、搬送台に乗せられたアインが、アースラ内部の医務室に運ばれていく。
四肢を一部欠損し、体表のほとんどを焼き焦がされた女騎士は、ほとんど聞こえないようなか細い呼吸を繰り返し、虚ろな目で天井を見つめる。搬送台が揺れるたびに、彼女の焦げた皮膚がカサカサと崩れ落ちていた。
「アインさん! 返事をして…アインさん!」
猛スピードで運ばれていく搬送台にすがりつき、涙目で声をかけるなのは。その声が届いた容姿はなく、黒く染められたアインは沈黙したままだ。
通常の人間ならば即死しているような重傷。しかしそんな目を覆いたくなるような酷い状態になってなお、アインの肉体は腐敗しておらず、端から微々たる速度だが再生を始めている。
だが、再生した端から皮膚が崩れ、元の燦々たる状態に戻ってしまう。まるで死に続ける事を強要される拷問のような呪いに、医療スタッフは顔を真っ青にして絶句していた。
「いつもより損傷の回復が遅い…! 同じアンデッドにやられたからか⁉︎ いや、復元が間に合わないほどに損傷が大きすぎるのか⁉︎」
「アルデブラント陸士! 聞こえますか、意識を保ってください!」
光を失った目をしたアインに、医療スタッフは必死に呼びかける。全くと言っていいほど反応がなくとも、呼吸以外完全に死人のような有様になっていようとも、職務を全うしようとする。
その理由がアイン自身を案じてのことだけではなく、かの異形とまともに戦える数少ない戦力を損失するわけにはいかないという、打算的なものが混じっていても。
この場において、本心からアインのことを心配しているのは、悲しいことに約4名のみ。
泣きじゃくるなのはとフェイト、呆然と立ち尽くすユーノとアルフだけが、痛々しい姿のまま治療室に運ばれていくアインを凝視していた。
「そんな…そんな…! 私を……私をかばってアインさんは…私のせいで……!」
「アイン…アイン!」
「離れて!」
ガラガラガラッ、と搬送台ごとアインが緊急治療室に運び込まれ、払いのけられたなのはが尻餅をつく。
医療の力を持たない彼女達は、そして知人をやられて大きな精神的負荷を負っている彼女達にできることは何もなく、閉じられた治療室の前でへたり込むのみ。
誰も何も、口にできない。
誰より強く、無敵とさえ思えていた女騎士に降りかかった惨劇に、彼女を慕っていたなのははもちろん、恩義を感じるフェイトも暗い表情で俯く。
そんな、空気そのものが冷え込んだかのような空気の中、座り込み棒立ちになる少女達を見つめていた二人の男が、顔を上げて踵を返した。
「…行くか」
「ええ…それ以外にないでしょうね」
小さくうなずき合い、歩き出す男達―――サクソとムーヴに気づき、アルフがはっと顔を上げて振り向く。
二人の男達は通路の奥を、アースラの出入り口に通じるその道の先を見やり、迷うことなく歩を進める。まるでもう二度と振り向きはしないと決意しているかのように、颯爽と歩いていく。
死、そのものに向かって突き進もうとしているように見える二人の男達に、また呆然となっていたアルフは、我に返ると慌てて声を張り上げた。
「ま…待ちなよ! あんた達まさか…あの化け物と戦うつもりなのかい⁉︎」
「それが俺達の任務だ」
「バカ言うんじゃないよ! アインがこんな目に遭うようなやつなんだよ⁉︎ 勝てるわけないじゃないか!」
「だからといって、見過ごすわけにはいかない」
「殺されるだけだ! 何の意味もないよ!」
彼らとは、そう深い仲ではない。
話をした機会どころか、戦う姿を見たことも片手で数える程でしかない。
しかし、アルフの魔狼としての本能が語る、彼らの実力の高さは、アインよりも下にある。それだけははっきりとわかり、アルフは必死に首を横に降る。
最強と謳われる騎士が、手も足も出せずに墜とされるような存在を相手にして、無事ですむはずがないと、アルフは最悪の未来を想像していた。
だが、サクソもムーヴも、アルフの説得に振り向く様子はない。
それどころか、老いた騎士達のその背には、さらなる覚悟が積み重ねられたかのようにも見えた。
「意味がない……そうかもしれんな。俺は……俺達はかつて、何一つ救うことができず、たった一人の共に全ての責任を押し付けた弱者だ。あれに対して、どれだけ傷を負わせられるかなど、考えるまでもない」
「…!」
悲痛な後悔をにじませるつぶやきに、なのはもフェイトもひゅっと息を飲む。重く、感情の全てを押し殺している声に、背筋にゾッと寒気が走る。
誰よりも近くで、女騎士の孤独で悲惨な戦いを見届け、全てが終わってなお苦しみ続ける彼女を見ていることしかできなかった彼ら。
彼らは、少女達にも想像がつかないほどの後悔を抱き続けてきた。
揺るがぬ意志で戦い続けてきた彼女をも下した怪物、そんなものを相手にしようとするサクソ達は、やはり無謀としか思えなかった。
「だ…だったら!」
「なればこそ! 俺達はもう逃げられない……逃げてはいけないのだ!」
だが、どれだけ事実を突きつけられようと、サクソ達は退く様子を見せない。より一層の覚悟と闘志を見せ、前を見据えて声を奮わせる。
拳が震えるのは、怯えではなく自分への怒りからか。死を目前にして、それでも臆すことなく立ち向かおうとしている男達に、なのはは悲痛な眼差しを向け、声を震わせ呼び止める。
「だめ…ダメだよ、サクソさん…ムーヴさん…!」
「俺は…俺達は一度逃げた臆病者だ。一度は立ち上がる素振りを見せておいて、結局また無様を晒したろくでなしだ。今更失うものなど……何もない」
「だからせめて…あの人が守ろうとしたものだけでも、君達だけでもここから逃がしたいんだ…!」
サクソとムーヴは、懐から長年使い続けている鉄の箱を―――ギャレンバックルとレンゲルバックルを取り出す。
自分たちに激しく辛い戦いの運命を背負わせた一因にして、彼らを守ってきた鎧と武器を与えてきたデバイス。血と汗と涙を流させてきた原因にして、使用者の命を守ってきた装備という、皮肉な在り方をした愛機。
抜き出したカテゴリーAのラウズカードを、二人はそれぞれのバックルに挿入し、勢いよく腰に押し当て、ベルトを巻きつける。
「見ていろ、高町なのは。これが…俺達の最後の戦いだ! 変身!」
「変身!」
【TURN UP】
【OPEN UP】
聞きなれた機会音声とともにデバイスが変形し、中心から二つの半透明のスクリーンが出現し、サクソとムーヴはそれに顔から突っ込み肉体に纏わせる。
一瞬にして生み出された鎧に身を包み、ダイヤの銃士とクラブの槍使いが再びその姿をあらわにする。
さらに高まる闘志を胸に宿し、戦いの運命を受け入れた二人の男達は、仮面の裏側でキッと鋭い表情に変わる。
「三頭狼はもういない……ならば最後の城壁は、我々しかいない!出動だ!」
「了解!」
雄叫びとともに、二人の戦士が邪神と異形のもとに向かって走り出す。勝算も何もない、ただ己の全力を持って立ち向かうことだけを決めた彼らは、一切の迷いも躊躇いもなく、武器を手に戦場へと舞い戻る。
覚悟を決めたその二つの背中は、数秒前よりも少しだけ、大きく見えた気がした。
遠く去って行く背中を、取り残されたなのはとフェイト、ユーノとアルフが無言で見送る。
止めることもできず、ただみっともなく泣き叫ぶことしかできなかった少女達は、何も掴めずに終わった手を見下ろし、言葉もなく項垂れ続けていた。
「なのは…」
「フェイト…」
沈黙し固まってしまった少女達を見つめ、少年と使い魔は心配そうな目を向け、結局何も告げられず黙り込む。
彼女達と同じく……いや、彼女達以上に何もできず、死地へと向かった戦士達を呆然と見送ることしかできなかった彼らは、なのは達の苦しみや悔しさを思い、きつく唇を噛みしめるばかりだ。
「…逃げちゃダメ、か…それなら……私もだよ」
そんな、重く鉛の様にのしかかる様な空気の中、ずっと黙り込んでいたなのはが、自嘲気味に呟く。
虚ろな表情のまま、ぼんやりとなのはの方を見やるフェイト。その目が、徐々に驚愕で大きく見開かれていく。
なのはは、笑っていた。
悔しさと不甲斐なさで顔をきつく歪め、眉間に深いしわを刻み、拳をきつく握りしめ、それでも感情を抑え込もうとする様に、無理矢理笑みを作る。
まるで、次々と降りかかる不幸を前に、心だけでも屈しない姿を保とうとしているかの様な、痛々しいまでの虚勢の姿だった。
「ずっとずっと守ってもらって、助けてもらったのに…あの人が苦しんでるのを横目に、逃げるなんて……できない。いやだよ、そんなのは」
「……それは、私もだよ」
胸元に伸びた手が、愛機の赤い宝石をきつく握りしめる。最悪の敵の圧倒的な力を見た恐怖がまだ残っているのだろう、その手は震えたまま、一向に落ち着いてくれない。
だがそれでも、なのははゆっくりと立ち上がった。子鹿の様に震える足に叱咤し、恐ろしい敵のいる方に、確固たる決意を宿した眼差しを向ける。
その姿は、へし折れそうな心を奮い立たせるまさに不屈の心。
小さくも、強く眩しい力強さを見せるその姿に、フェイトもいつしか、同じ決意の表情で立ち上がっていた。
「……立ち止まってちゃ、ダメだよね」
「うん…今までずっと、守られてたんだから」
互いに顔を見合わせ、肯き合うなのはとフェイト。
恐れはまだある。本音を言えば、今すぐにこの場から逃げて、誰も入ってこられない様な場所に閉じこもってしまいたいくらい、震えが止まらない。
だがそれでも、退くことはできなかった。
「行こう! フェイトちゃん!」
強く頷き合った二人の少女が、先に向かった騎士達の後を追い走り出す。
残されたユーノとアルフも、ほんの一瞬迷う素振りを見せたものの、すぐに表情を引き締め、振動で揺れる通路を駆け出していった。
びりびりと空間そのものが振動し、どこからともなく軋む音が響いてくる。
ブリッジにまで伝わってくる凄まじい衝撃をどうにか耐えながら、リンディは庭園の奥に現れた邪神がいる方を睨みつけた。
「次元震動、現在も拡大中!」
「ジュエルシードの規模をはるかに上回っています! このままでは…」
部下から上がる報告の声に、ぎりっときつく歯をくいしばる。想定外の敵の出現に、辺境の管理外世界だからとろくな準備をしてこれなかった不甲斐なさが強くなる。
所詮はどうなろうと損のない、文化的にも科学水準的にも優先順位の低い世界と日和見を決めていた上層部の尻の重さを恨みつつ、リンディはキッと鋭い表情で顔を上げる。
「元凶を叩く他にないようね……砲撃用意! 何としてでも、あの怪物にこれ以上活動させてはなりません!」
「了解!」
迷う事なく、アースラに搭載されている魔力砲を起動させる。できれば使う機会がこないで欲しかった代物だが、今は頼もしいどころか心許ない。
そしてドンッ!と。
轟音とともに砲弾を発射し、時の庭園の奥に炸裂し大爆発を起こす。ちょっとやそっと硬い程度の対象ならば簡単に木っ端微塵にできる威力のそれが、何十発と叩き込まれていく。
が、観測される魔力の反応に変動は見当たらない。
それどころか、破壊された庭園の屋根をべきばきと押しのけ、見覚えのある巨体が見え、聞き覚えのある声が耳に届けられた。
『あはっ、あはははは! そんなものが効くわけないでしょうが! 悲しいですねぇ……非力というのは‼︎』
姿を現したのは、邪神フォーティーンーーーその胸の中心に融合している、上半身だけをあらわにしたアルビノジョーカーだった。
邪神と一体化した彼女は、高揚した声でアースラを、その中でどよめいているリンディ達をあざ笑う。
邪神の近くに、クロノの姿は見当たらない。最後に少女達を守り、殿を努めた青年は、影も形も見当たらなかった。
それが意味する残酷な事実に、リンディは血が流れるほどに歯を食い縛る。痛々しく顔をしかめながらも、提督の地位を有する彼女は必死に表情を取り繕う。泣き出したくなるほど胸が痛くなるが、無理矢理押し殺し敵を見据えた。
「…! 何とでも言いなさい……非力な人間でもね、友達や子供達を逃がす時間ぐらいは作ってあげられるわ。見くびらないことね、怪物さん」
必死に虚勢を張り、不敵に笑うリンディ。
アースラクルー達も同じく恐怖心を隠し、決して力に屈しない姿勢を見せる。
少女達が戦場に混じることを認めてしまった罪を償うつもりで、誰一人持ち場から逃げ出す事なく、職務に向き合おうとする。
『……馬鹿ですねぇ』
だが、その去勢はわずか数秒で崩れていく。
フォーティーンが体を出す、庭園に開けられた穴。その中からわらわらと、白い異形の蟲兵達が這い出してくる姿が見えたからだ。
何度も見てきた、魔法の宝石を求めて現れた無数の蟲兵。
彼らが再び現れた事で、アースラメンバーは皆呆然と、リンディは目を見開き絶句してから、やがて納得したように皮肉げな笑みを浮かべ始めた。
「アルビローチ……! ああ、そういうこと…あいつらが現れたのは!」
『お察しの通り……僕の生み出した手駒です。もっとも、さして言うことを聞いてくれるわけではありませんがね。彼らは好き勝手に暴れるだけです』
ギチギチと音を鳴らし、庭園を自身の色で真っ白に染め上げていく白い蟲兵ーーーアルビローチ。
不気味に嗤い、牙と爪を鳴らして増えていく彼らの軍勢を操りながら、アルビノジョーカーはくすくすと肩を揺らして告げる。まるで、自慢のおもちゃを他人に見せつける子供のような態度で。
『ですが彼らは彼らで実に有能です……いずれ全ての人間を管理するためには、人ではいくらあっても足りませんからね。いい抑止力になってくれるでしょう』
返答はなく、代わりにグッと唇を噛むような音が聞こえてくる。
法の番人達が見せる、怒りと悔しさを抱きながらも何もできない無念さを現したその音に、アルビノジョーカーはひたすらに愉しげな声を上げていた。
『圧倒的な力に圧倒的な軍勢……これでもまだ、抗う気がおありですか?』
沈黙するアースラに向けて、アルビノジョーカーはゆっくりと片腕を上げる。それに従い、フォーティーンも自身の体を庭園の中から脱けだし、四本の巨大な腕を掲げていく。
途端に迸る、炎や風や雷や氷、四人の騎士達が使っていた四大元素の力が、凶悪な凶器として発生し、膨れ上がっていく。
それを止める手段は、今のアースラには残っていない。
たった一瞬で全てを破壊するであろう凄まじき力の奔流を前に、最後と覚悟したリンディ達が、悔しさをあらわに目を逸らす。
だが、それを阻む一筋の赤い閃光があった。
【ABSORB QUEEN, FUSION JACK】
「おおおおおおお‼︎」
【FIRE, BULLET, RAPID, BURNING SHOT】
孔雀の翼を背にまとい、刃を備えた銃を手にしたサクソが、邪神に向けて炎の弾丸を連射する。
着弾した弾丸は無数の小爆発を起こし、邪神の手に集まっていたエネルギーにも炸裂し、放たれるより前に暴発させる。邪神自体には全く傷が入ることはなかったが、わずかに動きが鈍くなっていた。
サクソはアースラの前に飛翔し、リンディ達を背にかばう様にフォーティーンを睨みつける。
しかし、邪神に対抗するにはあまりに小さく頼りない背中に、リンディは安堵ではなくさらなる不安を煽られた。
『マンダリン陸尉…!』
「あのデカブツは俺達がやる……ザコの掃除を頼みたい。腰が抜けた陸の連中も、時の庭園で初っぱなからぶっ倒された連中も、全員叩き起こして向かわせてくれ、以上だ」
『ま、待ってください! あなた達だけでアレを相手にするなんて―――』
止めようと声を上げるリンディだが、それにサクソが応じる様子はない。
ジャキン、と銃を構え直し、銃口をフォーティーンの眉間、アルビノジョーカーが融合した部分に向けながら、鋭い覇気を放つ。
その背後から、槍を振り回したムーヴが、雄叫びとともに飛びかかった。
「でぇやああああああ‼︎」
【BLLIZZARD, POISON, STAB, RUSH, BLLIZZARD GENOCIDE.】
鋭い突きとともに放たれる、毒と吹雪の力を宿した槍の穂先。
渾身の力で振るわれたそれは、フォーティーンの蝿でも払うかの様な動作であっけなく弾かれ、ムーヴは大きく吹き飛ばされる。
しかし空間内で宙返りをし、ムーヴはアースラの外壁に着地し体勢を立て直す。
即座に槍を構え直すムーヴに横目を向けてから、サクソは翼を羽ばたかせ、フォーティーンに向かって勢いよく飛翔した。
「行くぞ、化け物。俺の元部下を散々痛めつけてくれた礼を返してやる」
『無駄な事を……!』
仮面の奥から向けられる怒りの感情に、アルビノジョーカーは本気で呆れ、嘲りの声をあげて迎撃に向かう。
鋭い突貫で迫るサクソに、先程不発に終わった四大元素の砲撃をもう一度準備し、照準を合わせていく。集められた濃密なエネルギーが空間を揺らがせ、ダイヤの銃士を跡形もなく消し飛ばそうとする。
「ディバイン…バスタ―――‼︎」
「サンダー…スマッシャ――‼︎」
しかしその砲撃もまた、別方向から飛来した二色の砲撃に貫かれ、爆発四散し衝撃波をまき散らした。
フォーティーンは苛立たしげに、逆にサクソとムーヴは驚愕の表情で目を見開き、桜色と金色の砲撃が飛んできた方向に振り向く。
予想通り、頭上にいたのはなのはとフェイトだった。砲撃形態へと変形させた相棒達をそれぞれで手にし、それぞれの仲間を連れてサクソを見下ろしてきていたのだ。
「お前達…!」
「私達も……戦います!」
「無謀だ! 退け! お前達がここにいても状況は…」
「わかってます!」
まさか、この状況で加勢しあの邪神を相手にするつもりなのか。
危険すぎる、無謀極まりない戦いに臨もうとしている少女達に、サクソとムーヴは当然止めようと鋭い目を向ける。
だが、制止の声を遮り、なのはは確固たる決意の眼差しをサクソ達に向けて、レイジングハートを構えた。
「だけど……ここで逃げたら、私達はもうあの人に顔向けできません! 頼るだけ頼って…甘えて、最後に全部押し付けたりしたら、もう二度と自分を許せなくなります!」
なのはに続く様に、フェイトもバルディッシュの黄金の刃を振りかざし、フォーティーンに鋭い目を向ける。
その後ろに、ユーノとアルフもややこわばった表情ながら並び立ち、魔法の光を手のひらに灯す。勝てるという見込みはほとんどない、しかし退くことは決してできないのだと、覚悟を決めた目を向ける。
「大切なことを……たくさん…! たくさん教えてくれた! 守ってくれた! 今度は私達が……あの人を助ける!」
その雄々しく、いっそ美しくも見える少女達の宣戦布告に。
サクソもムーヴも何も言えなくなり、その姿を凝視するだけになってしまっていた。