豊饒の女主人に住んでいたのは間違っているだろうか?   作:コトコト

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あらすじの通り書きたくなって書きました、なので亀更新です。




その少女との出会い

『ダンジョン』、それは得体も知れないモノ共(モンスター)が巣食う、正しく魑魅魍魎跋扈を表したかのような場所だ。普通ならばその危険性から誰も近寄らず、ましてや挑むものさえいないだろう。

だがしかし、やはり危険(ハイリスク)にはそれ相応の利益(リターン)があるものだ。

『魔石』それはモンスターにとっての生命力の核、つまり心臓でありそれを砕かれるとモンスターは絶命する。それには魔力が込められており様々な加工が施され防具や武器などになる。これこそがダンジョンの危険に見合う利益でありそれを稼ぎ換金することで生計を立てる者たち、冒険者が存在する。

 

そしてこの物語の主人公である赤目白髪のウサギのような少年、『ベル・クラネル』もその若さながら命をかけダンジョンに入る。冒険者なのだ。

 

「あれ?エイナさんいないな」

 

ここは『ギルド』、先ほど説明したダンジョンの管理や冒険者が取ってきた魔石の換金、そして冒険者のアドバイザーなどを仕事とする機関だ。

いつもならダンジョンへ向かう冒険者やそれを手伝うサポーターなどで賑わっているが今は太陽はまだ上がっておらず人影は少なく静まり返っている。

ベルは今、ダンジョンから上がってきたばかりであり取ってきた魔石を換金しようとギルドの受付を訪れていた。人がいないのはギルドでも同じ事で、人が集中する時にギルド側も職員を集中させるためこのような人がいない時間帯はギルド側の職員も少ない。

 

「魔石の換金をお願いします」

 

気だるそうながらも綺麗な笑みを保つ受付嬢に魔石を渡し『ヴァリス』を受け取る、そのまま受付嬢に礼を言い昇り始めた日が差し込む出口へと歩き出す。

少年が去りまた一段と静けさに包まれたギルド内

 

「ん〜、眠い。にしてもさっきの子、確かエイナの...」

 

先ほどの少年冒険者の顔を思い出しながら同僚であり友人である知り合いを思い浮かびながら気になったことを口にする、すると

 

「私がどうかしたの?ミィシャ」

 

先ほど思い浮かび上がったばかりの友人がそこにいた、整った顔に知的を覚えるメガネ、そして特徴的な耳。自分の昔からの付き合いである友人だ。

 

「エイナ、そういえばさっきエイナの担当のあの子が出てったよ。」

 

面倒見のいいエイナの性格を理解している彼女はエイナを安心させるためにそう言った、そのはずなのだが。

 

「えっ!ベル君が!ちょっとそれって今!?」

 

それを聞くと同時に焦りや少しの怒りを現すエイナをなだめる。

 

「まぁまぁエイナ、そろそろ冒険者がたくさん来るし。その子にもすぐ会えるでしょ」

 

「すぐ会えたらいいんだけどねぇ」

 

「ずいぶん乙女っぽいこと言っちゃって...まさか!ついに仕事人間のエイナにも恋の予感が」

 

「ち、違うって。私はただベル君が危なっかしいから気にかけてるだけで...ってそうじゃない」

 

ため息をつきながら自分の持ち場へ戻る友人。その姿は正しく看板娘ならぬ看板受付嬢だ、流石ハーフエルフといったところだろう。

 

「彼全然ダンジョンに来ないのよ」

 

「やっぱ恋する乙女じゃん!」

 

「だから違うって。ベル君田舎からはるばる1人で来たみたいなの、それなのにダンジョンにも全然入らないし、しっかり生活できてるのかなぁ〜って思って」

 

普段エイナに褒められようと必死にアピールしている冒険者から見たら正しく羨ましい言葉の連続だろう。それほどにベルという冒険者はエイナの保護欲をそそるのだろう。

しかし自分達は受付嬢、仕事についてはしっかりと見切りをつけるべきだと思い彼女は友人に言った。

 

「別にいいじゃん、私たちの仕事はダンジョン関係の冒険者のサポートでしょ、ダンジョンの外の事まで面倒見てられないっての。エイナはお節介過ぎだって」

 

そう言ってもエイナの顔は曇ったままであり続けて言った。

 

「問題は別にもあるのよ」

 

「別にも?それってどんな?」

 

「・・・ってないのよ」

 

エイナは確かにそう言った、聞こえるはずなのに彼女はその言葉を受けきれず。

 

「え?」

 

そう返した。そしてエイナははっきりと言った。

 

「ベル君ね、ファミリアに入ってないのよ」

 

 

___________________________________________________________________

 

 

「いやぁ〜、やっぱダンジョン帰りの日の出は格段に綺麗だな〜」

 

僕、ベル・クラネルは冒険者だ。今はその仕事帰り、つまりダンジョンから自宅に帰るところだ。

 

先ほどいった僕の職業、冒険者はダンジョンという魔物がいっぱいいるところに行ってその魔物から命からがら魔石というヴァリスに換金できる物とか稀に魔物が落とすドロップアイテムとかを集める仕事だ。

このダンジョンという迷宮の上にあるオラリオではたくさんの冒険者がいる。だけど僕はその他の冒険者とは少し違うかもしれない。

 

まず1つは僕がダンジョンから戻る時間帯だ、大体の冒険者が早朝にダンジョンへ向かい昼間や夜などに帰ってくる。だけど僕の場合は少し違う、僕の場合は必ず早朝に帰るようにしている。

理由は様々だけど一番の理由はある程度の自由があるからだろう、いくらダンジョン内のモンスターが無限に近いと言っても同業者がいればやりにくい、他の冒険者がいなければ好きなだけ狩れるしこうして日の出を見たり誰もいない街を散策するなどの楽しみがあるからだ。

2つ目は僕には神様がいないという事、この神様というのは人の名前とかそういう役柄ではなく本当の神様だ。

1000年前にこの地上に降り立った不変不滅の超越存在(デウスデア)。詳しい事は省くが冒険者は基本的にこの神様から神の恩恵(ファルナ)などを得てダンジョンで戦っている、僕はいないのでわからないが神の恩恵のおかげでスキル?とかが使えるようになるらしい、そうした者たちが神の眷属となりそれらで構成された組織がファミリアだ。

僕のアドバイザーのエイナさんは早く神様を探して眷属にしてもらえっていうけれど、実際今でも結構やれてるしこのまま5階層らへんで稼ぎ続けてもいいと思うんだけど...

 

まぁ以上が僕が他の冒険者と少し違う理由だ。まぁたくさんいる冒険者の中で僕みたいなのも1人いてもあまり影響がないからこのスタイルを変えるつもりもないしこれはこれでいい事もある。さっきの日の出だったり...

 

「この匂いは...」

 

まだ人影の少ない街から漂ってくる香ばしい匂い、ダンジョンからの帰りでヴァリスには随分と余裕がある、僕は豪勢な住宅が立ち並ぶ北メインスリートへと向かった。

北メインスリートはギルドの関係者や高級住宅街が隣接し、僕が知る限り富裕層が住んでいる地域のイメージがある。何より目立つのは少し遠くに見える大きな城のような建物だ、噂によればどこかのファミリアの拠点らしい。

その他にも商店街としても活気付いており服飾関係ではオラリオの中でも有名なところで僕の友達もそこで働いている。しかし今僕がここに来たのはそれらの事とは一切関係なく、僕はそれを得るために北メインスリートの脇へと入った。

 

「おはようございま〜す」

 

「おぉベル。今日は早かったな」

 

北メインスリートの脇にある小さな露天、もう顔馴染みとなっている店主のおじさんに挨拶をする。僕はここに来た理由はこの露天に売ってる商品、『じゃが丸君』を食べるためだ。

じゃが丸君はジャガイモから作られた食べ物だ、外見から見たら鮮やかさもないただのジャガイモ料理だがこれがなんとも美味しい、カリッとした食感に香ばしい味わい。今ではこうしてダンジョン帰りに出来たて一番のじゃが丸君を食べるのが日課となっている。

 

「ん〜!美味しい」

 

僕はこうしてじゃが丸君の美味しさを堪能しながら帰路に着く、帰る場所はこの北メインスリートからそれほど遠くない場所、西のメインスリート、その中でも一段と大きな作りをした酒場。

 

その名も『豊饒の女主人』

 

 

・・・・・

 

 

僕はじゃが丸君を完食した後変えるために西のメインスリートへの最短距離、つまり路地裏を進んでいるわけだがそこで予想外の事態に遭遇した。

 

「女の子が...倒れてる」

 

その女の子は長く綺麗な黒髪を粗末なゴムで2つに結び、見たことない白い服をきている。見たところ目立った怪我もなければただの行倒れに見える。この辺りでこの服装は見かけないため王国とかから来たのかな?そして何よりも

 

「かわいいな」

 

その顔には愛嬌があった、人を見た目で判断するのはいけないけれど。

 

「え〜っと...大丈夫ですか?」

 

「・・・」

 

返事がない、どうやら寝てしまったようだ、さてどうするか。

恥ずかしいことに今の僕はあまり裕福というわけではない、言うなれば一般より少し貧乏だ、今はなんとか住み込みで働かせてもらってるがそれもいつまでもつかわからない。はっきり言ってこの子を拾ったとしても今の状況がいい方向に進む可能性は低いだろう。ここは見なかった事に...

 

『あなた、ここに住んでるんですか?』

 

『よければ、私と一緒に働いてくれませんか?』

 

教会の隠し部屋で細々と暮らしていた僕に手を差し出してくれた彼女を思い出す。

あの時彼女に会えなかったら、僕はこの子のようになってたかもしれない。

 

「仕方ないか」

 

ミアさんには何とか頼むとして僕ももう少しダンジョンに入る頻度を多くすれば何とかなるだろう。僕はそう考えながらその少女を背負い豊饒の女主人へと向かった。

この時僕は思いもしなかっただろう、この女の子がどんな存在で、そして自分の大切な家族になるとは。

 




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