豊饒の女主人に住んでいたのは間違っているだろうか?   作:コトコト

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追加する他作品のキャラをまだ決めてない。

・・・どうしよ


その少女、女神につき

僕の住ませてもらっている豊饒の女主人は西のメインストリートにある大きな酒場だ、一見してみればおしゃれなカフェにも見えるが冒険者などにも常連が多い人気の酒場だ。人気の理由として外せないのは従業員だろう。

 

従業員は皆女性でヒューマンやエルフ、獣人など様々な種族が働いている。そして何よりも皆可愛いということだろう。実際従業員を見るために来る客も多く、それが人気の理由の1つにもなっている。だがしかし、やはり酒場なので酔っ払った客などが従業員にいかがわしいことをするのも珍しくない、だがそこも心配はいらない。

なぜなら豊饒の女主人の従業員は強いからだ、どのくらいかといえばそこら辺の冒険者なら簡単に倒せるほどで何よりも女将であるミアさんはたいていの荒事は一喝で収めることができるほどだ。

 

ちなみに僕はここで住み込みで働かせてもらっているが従業員ではない(僕男の子だしね)、僕のやることといったらただの裏方、それもミアさんの手伝いくらいだ。

豊饒の女主人の開店時間は冒険者が帰る時間帯、つまり昼頃だ、なので今はいつもならば開け放たれたままの扉は閉まっており準備中と書かれた札が吊るされている、そのため今店内には客はいない。そのためわざわざ裏口から入らずともこうやって正面から入ってこれるわけだ。

 

「まだ起きてはないか...」

 

今も背中に背負っている少女はすっかり眠ってしまっている。この子が誰だかわからないけどここまで連れてきてしまったら後戻りはできない。僕はもう一度覚悟を決め我が家の戸を開けた。

 

 

・・・・・

 

 

店の中はまだ暗く、椅子が丁寧に机の上に置かれていた、まだ少し汚れが目立つ。どうやら掃除を始めたばかりのようだ。

 

「ただいま準備中にゃ...ふにゃ〜」

 

欠伸をしながらそう言ったのは緑と白を基準とした可愛らしい服装、つまりこの店の服を着た従業員(ウェイトレス)の1人、名前は『アーニャ・フローメル』茶色の毛をした猫人(キャットピープル)、僕や他の従業員と同じく住み込みでここで働いている。

 

「おはようアーニャ。眠そうだね、昨日は眠れなかったの?」

 

「んにゃ?なんにゃベルかにゃ、ダンジョン帰りかにゃ?」

 

入ってきたのが僕とわかるとアーニャは手に持った箒を止める。ちなみにアーニャも含めこの店で働く全員僕より年上だ、そのため僕も最初はみんなに敬語を使ってたけれど結局この店独特の雰囲気に影響されて今では敬語を使うことが少なくなってきている。

 

「そうそう、久しぶりだったから少し長く居てね、ところで他のみんなは?」

 

「クロエとルノアは買い出し、リューは厨房」

 

「あれ?シルは?」

 

僕は名前を呼ばれていない1人について聞いた、するとアーニャは深くため息をつき遠い目をする。

僕は思いつく限りの予想を言った。

 

「もしかしてまだ寝てる?」

 

「ご名答にゃ、まったく随分と気持ちよさそうな寝顔だったにゃ。私はこんなに眠い中掃除してるのに」

 

恨めしそうに言うアーニャ、眠さからかその目はどこか虚ろだ。

 

「ははっ、用事が済んだら手伝うよ。ミア母さんは?」

 

「自室で今日の予約を確認して...るにゃ...」

 

そう言いかけアーニャは口を小さく開いたまま唖然として僕を見ていた。

 

「ん?どうかした」

 

「にゃっ...にゃ!にゃ!にゃっ」

 

そう口で発しながらアーニャは立ち尽くしたままだ、持っていた箒は手から離れ床に「バタンッ」と音を立てて落ちる。だがそれを気にせずにアーニャはずっとあるところを一点に見つめていた。僕の背中にいる少女を...

 

「あ、アーニャこの子はダンジョンの帰「ニャァァァーー!!」

 

説明しようとするも時すでに遅し、僕の声はアーニャの絶叫に飲み込まれて消えた。

 

「ベルが!ベルがダンジョンで女の子を攫ってきたニャァァァーー!!」

 

「えぇーーー!!」

 

これについては僕も予想外だった。この女の子を見られたら何かしら騒がれると思ってたけどまさか「攫ってきた」と騒がれるとは思いもしなかった。

そしてアーニャがそう騒いで数秒。

 

ドカッ!

 

店の奥の階段、その上は住み込みで働く従業員などの居住スペースからその音は聞こえてくるその音は段々と近づいて...少しよろめきながらその音の主は現れる。

現れたのはこれまたかわいい女性、種族は僕と同じヒューマンで豊饒の女主人の看板娘『シル・フローヴァ』、銀髪で愛嬌のある顔はこの店に来る客にも人気だ。

性格ははっきり言ってドジっ子だ、先ほどの寝坊などはよくあることで忘れ物もよくする。まぁそこがシルのかわいいところであり親しまれる理由の1つとも言える。

 

「アーニャ!ベルが女の子に攫われたって本当!」

 

案の定こういった聞き間違いをしてしまったらしい、僕もあまりダンジョンには行ってないにしろ女の子に攫われるほど弱くはないつもりだけど。高Lv.の女性冒険者は別として。

 

「だから違うって...」

 

「そうにゃ!違うにゃ!ベルが!攫ってきたんにゃーーー!!」

 

「それも違うって」

 

「久しぶりにダンジョンに行ったと思ったら女の子を攫ってくるなんて、私ベルをそんな子にした覚えはありませんよ!」

 

「だからしっかり僕の話を聞いて、この子は道端に倒れてて。ーーーってシルはなんでそんなお母さんっぽいことを」

 

「え、やだお母さんだなんて、ベルは気が早いですよ///」

 

「こうなったら私の手で引導を渡してやるにゃ。フシャァーーー!!」

 

突然照れ始めるシルになぜか戦う気満々のアーニャ、あぁどうしようこれ。正直言ってこの状況はかなりまずい、同僚に追い詰められるというまさに酒場の笑い話みたいな話だけどここの(豊饒の女主人)の場合だと笑えない、シルは大丈夫だとしてアーニャは無理だ、というかシルでもある意味危ないだろう。先ほどシルが「僕が誘拐された」って騒いでて僕は自分を攫われるほど弱くないって言ったけどよく考えたらここの従業員全員が僕を攫える能力を持ってる、アーニャはもちろん今買い出しに行ってるクロエやルノアは普通に戦っても負けるし逃げられない、ミアさんとリューに至っては反抗したほうが怖いので素直についていくだろう、シルの場合は「ついてきてください」って言われただけでついていってしまう気がする。だって可愛いんだもん。

つまりいつもだらけてふざけているけどはっきり言って今の僕ではアーニャの相手にもならない。マジでなんとかしなければ...

 

「アーニャ、シル、少し騒がしい。何かあったのですか?」

 

そう言いながら厨房から現れたのは僕が今この状況で一番遭遇したくない人物、今もなぜか照れているシルと仲が良く今僕が最も警戒している人物、『リュー・リオン』だった。

その姿はまるで深窓の令嬢を体現したかのように静かで華麗であり冒険者が騒ぎ立てるこの酒場でもその雰囲気を崩さずに仕事を完璧に、その姿はまるで絵本から出てきたかのようだ。そして何よりも特徴的なのは整った顔に特徴的な耳、それは彼女が純粋なエルフであることを証明していた。

エルフ、それは森の賢者とも言われるほどの知識と其れ相応の技術を持った種族。何よりもプライドが高く少なくても酒場で働いたりする姿など想像すらできない種族だ。そして腕っ節も強く彼女の美しい容姿や珍しさから手を出そうとする客や彼女と仲の良いシルに手を出そうとした客などが彼女の手によって何人痛い目にあっているか。僕は良くアーニャたちから聞かされている。

 

「リュー!ベルがダンジョンから女の子を攫ってきて!私が、私がお母さんに」

 

「そーにゃ!そーにゃ!」

 

シルとアーニャの説明を聞きそのまっすぐな目で僕を見るとシルとアーニャを交互に見た。

 

「なるほど、状況は理解しました。シル、アーニャ。まずは落ち着いてください。」

 

その目はまさに冷静であり並みの冒険者でも少しばかりの怖いと感想を持つだろう。日々あってる俺からしたら怖いってもんじゃない。

 

「まずその少女、傷はついてなく服装も戦闘向きとは言い難い。つまりその少女が迷宮にいるとは考え難いーーー」

 

そうそう、ダンジョンにこんなに少女がいるわけない。

冷静な推理、さすがリューさんだ。これたらこの騒ぎの解決もーーー

 

「ーーーつまりその少女は、ベルが迷宮帰りに攫った可能性があります。」

 

リューさん違うよそこじゃない!あってるけどまだ間違ってる!

 

「はっ!まさかベル」 「にゃっ!まさかベル」

 

リューさんの言葉を聞くやいなや再び身構えるアーニャと少し笑みを浮かべるシル。あれ?これってシルもう気づいてんじゃない?

 

「だから違いますって!攫ってません」

 

僕の必死の弁明も聞かずアーニャが僕に飛びかかろうとしたその時。

 

「まったく、うるさいったらありゃしない。少しは静かしろ!」

 

突如として響いた怒声に店内は静まり返る、そしてコツコツという音とともに階段から一回り大きい女性が降りてくる。

 

「ミアさん!助かりました!」

 

その女性は『ミア・グランド』、僕をここに住まわしてくれている感謝してもしきれない、豊饒の女主人の女将である。

 

「ん?なんだいベル、帰ってきたのかい。おかえり。その背中の子はーーー」

 

色々と予想外なことは起こったけれど、ここからが本番だ。

 

「ミアさん!話があります!」

 

ミアさんは僕と周りを少し見て状況を察したのか

 

「わかった、ついてきな。お前たち、私が戻ってくる前に掃除を終わらしとくんだよ」

 

ミアさんはそれだけを言い階段を上がっていった、僕は背中に女の子を背負ったままその後をついていった。

 

 

____________________________________________________

 

 

ベルはミアに案内されるまま部屋へ通される。

背負っていた少女はベットに寝かされており今ベルはミアにすべて正直に話した。ダンジョン帰りに女の子を拾ったこと、自分で面倒を見ようと決めたこと。そんなベルにミアは先ほどから頑なに沈黙を貫いていた。

 

「お願いします!」

 

懇願するベルにミアは呆れた様子でその光景を見ている。

 

「わがままを言ってるのは十分承知です。今まで以上にあの子の分まで働きますし面倒も見ます!もし都合が悪くなったら追い出してもらっても構いません!お願いします」

 

頭を床にこすりつけて懇願する、ミアは変わらずそんなベルを見つめ口を開けた。

 

「まずは顔をあげな、頭を下げられたままじゃ話もできやしないよ」

 

ミアがそう言うとベルはゆっくりと顔を上げる、その顔にはすでに揺るがぬ思いが現れていた。そしてミアは少しため息を吐くと話しだす。

 

「なぁベル、あんた私の店(豊饒の女主人)に来てどんぐらいだ?」

 

「えーっと、ちょうど半年ってところです」

 

「あの子たちとはどうだい?うまくやれてるかい?」

 

「最初は色々と大変でしたけど。今はなんとかやれてます」

 

それを聞くとミアはまるで母のような笑みを浮かべ

 

「そうかい、ならよかった」

 

と言った。

そして続けて言った。

 

「あんたがまだ私たちに負い目のようなものを感じてるとしたらそれはお門違いってやつだよ。その子のことについてもね」

 

「え?」

 

「そもそもあんたをここに連れてきたのはシルだ、あの子はたまにサボるし寝坊もする。だけどね、人を見る目がある(・・・・・・・・)。そのシルが選んだんだ、疑いはしないし責めもしない。あんたは鈍感だから気づいてないけどここの奴らはもうあんたのことを家族のように気に入ってんだよ」

 

予想もしなかった優しい言葉、ベルは込み上げてきた涙をこらえながら言った。

 

「ーーーっ!じゃ、じゃああの子は!」

 

「好きにしな、だけどいざという時は私たちを頼るんだよ」

 

「っ!あじばどうございます、ミアさーーーん!」

 

そう言いながらベルは泣きじゃくりながらミアに抱きつこうとするが。

 

「こらこら、男が簡単に泣くんじゃないよ」

 

ハンカチを持ったミアに涙を吹かれながら片手で止められていた。

 

「ああそれとベル、あんたが拾ってきたその子のことだけどーーー」

 

ミアがそう言いかけた時、今までの騒ぎのせいか後ろの布団で寝ている少女に動きが見られた。

 

「ん...あれっ?ここはーーー」

 

起きて周りを見回す少女はまだ完全に目が覚めてるわけではないようで、ベッドから転げ落ちそうになる。僕はすかさず少女を片手で支えて座らせる。

 

「ふぇっ?なにがどうなって...君は誰だい?」

 

まだ寝ぼけてるらしく状況が理解できてないためかこまめに瞬きをしながら部屋を見回していた。

 

「僕はベル!ベル・クラネルです!」

 

「そうかい、ならベル君とやら。ここは一体どこなんだ?僕はヘファイストスに追い出されてジャガ丸君の海を泳いでたはずなんだが...」

 

「ここは豊饒の女主人という酒場です。道端で倒れてたのを僕が連れてきました」

 

夢と現実が混同しているらしく曖昧なことを言い出す少女に生真面目に説明をするベル。

その様子を見ていたミアがふと言った。

 

「なぁあんた、神様だろ?」

 

「えっミアさん...それ本当ですか?」

 

「私も長いこと冒険者やってたからね、それくらいはわかるさ。で?どうなんだい?さっき言ってた『ヘファイストス』って名前にも心当たりがある。で?どうなんだい」

 

すると少女、女神はやっと事態を飲み込めたのか、少女は少し落ち着いき、こうなった経緯を2人に語り出した。

 

 

・・・

 

 

その女神は正直に自分のことを話した、後悔からか随分落ち込んでいる。

ミアはそんな女神を見ながら話を整理する。

 

「そうかい、つまりあんたは下界に降りたけれどヘファイストスっていう友人の元で自堕落な生活をしてたから追い出されたと」

 

「うぅ、その通りだ」

 

率直な意見を言うミアに素直にそれを肯定する女神。そして女神は何かを決心したようその話題を切り出した、

 

「先ほど彼からここが酒場だと聞いた!どんな雑用でもやるからここで働かせーーー」

 

女神がそういうのを遮るようにミアがが言った。

 

「なに言ってんだい、ベルがあんたを連れてきた時からそのつもりだよ。そろそろうちの店の手伝いを理由に冒険者としての仕事をサボられるのも我慢できなくなってきたところだしね」

 

「そこを突かれると申し訳ないです」

 

ミアの言葉に申し訳なさそうに苦笑するベル、そんなベルを見て女神はふと気になることを言った。

 

「ベル君は冒険者なのかい?」

 

そう聞かれるとベルは先ほどのミアの言葉を気にしているからか少し照れくさそうに答えた。

 

「まぁはい、神様もいませんしあまりダンジョンにはもぐんなーーー」

 

そこまで言った瞬間、突然女神に手を握られる。いくら女性に囲まれた職場で少し慣れがあるとしても突然のことだったためかベルは反応に困り小さなパニック状態となっていた。しかし当の女神はそんな彼にお構いなしに話し始める。

 

「なら是非僕のファミリアにぃ」

 

そう言いかけた時、女神は力なく伸びそして

 

ぐうぅぅぅ〜

 

その音が部屋に響いた。

その音を聞いたミアは呆れながらも言った。

 

「混み入った話は後にして飯にしようか、あんたのことみんなにも紹介しないといけないしね」

 

そう言い部屋を後にするミア、部屋にはベルと未だ力なく伸びきってる女神が残された。ベルもミアに続いて部屋を出ようとするが女神の様子を見ると、立ち止まる。

 

「えーっと神様?動けます?」

 

そう言ってしばらくの沈黙、そしてうめき声に似た声で返答が返ってくる。

 

「む、無理」

 

それを聞くとベルは軽く笑みを浮かべ女神に近づいていき

 

「それじゃあ僕が背負っていきますよ、だからご飯食べたら元気出してください」

 

そういう時た時と同じように女神を背負った。

 

「う、うぅ。ごめんよ、ごめんよベル君...迷惑ばかりかけて」

 

ベルの背中に顔を埋め、そう謝る女神にベルは言った。

 

「僕は元々神様の面倒を全部自分で見る覚悟で連れてきたんですから、これからもじゃんじゃん頼ってください。大したことはできませんけど、やれることは精一杯やりますから」

 

それを聞くと女神はプルプルと震えながら静かになる。

 

「ん?どうしました?神様」

 

そしてポタポタとベルは背中に生暖かい水滴が落ちてきているのに気づく、その異変に気付きそう言った途端

 

「ゔえぇぇぇ!!、ベルぐぅぅん!!」

 

先ほどよりも力強く抱きつきながら女神が大号泣していた。

この状況にベルはまたしてもパニックに陥る。

その後途中から事情を知らない買い出しに行っていた2人、クロエとルノアが駆けつけ「ベルが女の子を泣かしたと騒ぎそこへアーニャやシルも乱入、最終的にミアが喝を入れる数分まで騒ぎっぱなしとなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




出して欲しい他作品のキャラがありましたら感想などとともに書いてください。


注意:他作品のキャラについては出せてもうまく行かせるどころか出せるか自体まだわかりません、そのあたりよろしくお願いいたします。m(_ _)m



-追記-
4月12日
他作品キャラの要望を締め切りにさしていただきます。
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