やっと新しい話が出来上がりました。一回止まると全然進まないで他の作品を漁ってしまう事実、こんな僕を叱ってください。
ではやっと出来た第3話です。ではどうぞ。
霧の湖の森を奥深く進むと、そこには紅い大きな屋敷が建っていた。その屋敷は壁一面が紅いというかどこを見ても紅いのだ。これを建てた屋主はなかなかの悪趣味と言える。そして、その屋敷を上空から見ている二人の影、紅白の巫女服と白黒の服と大きな帽子を被っている少女達、霊夢と魔理沙達だ。
魔理沙は弾幕ごっこで勝った妖怪の情報を、霊夢は自身の直感でここまで来た。合流したのは先程だ。
「しっかし、本当に紅いな。見てると目に悪いぜ」
「本当にね。まさかここまで紅いとは思わなかったわ····まさにあの本の通りね」
“あの本”、その言葉に魔理沙は反応した。
「ん?なんだよ霊夢、お前この屋敷があったの知ってたのかよ」
「ええ、うちの神社にはね、歴代の博麗の巫女の歴史が書いてある書物があるの」
「そんなのあるよかよ、ずいぶんと物好きな奴もいるんだな。しかも、代々と」
「ええ、しかもその一つ一つが何が起こってどう解決したかっていうのも最後まで
「ふ〜ん。でそこにはなんて書いてあったんだよ?」
「確か私の先代巫女の時に外から来た妖怪みたいで吸血鬼みたいよ。その時にも何か揉め事起こしたみたいよ」
「吸血鬼とはまた大層なのがいるんだな。またその吸血鬼が懲りずに異変を起こした訳か?」
その質問に霊夢は首を振った。
「いえ、多分違う」
「違うって、じゃあ今回の件は吸血鬼の仕業じゃ無いって事かよ」
「そうじゃない、吸血鬼の仕業てっのは確か。でも、
「前の····なんでそんなこと分かんだよ」
「····勘よ」
「勘かよ!···まッ、博麗の巫女の勘だ信じさせてもらうか。でだ」
魔理沙は霊夢から目の前の館に視線を移した。
「この悪趣味な館の攻略だが、霊夢お前はどうする?」
「当然、門から入らせてもらうわ。」
「おいおい、正面からかよ」
「当たり前よ、目の前に入り口があるのになんで別の入り口を探さなきゃならないのよ」
その言葉に魔理沙は呆れながらも
「ヘイヘイ、さすが巫女様でございますね。まっ、私はそれでも別の入り口を探すとするか、急がば回れだ」
「ならココからは別行動ね」
「おう!じゃあな霊夢、ボヤボヤしてると本当に私が解決しちまうゼ〜」
こうして魔理沙は違う入り口を探しに行くのだった。それを見送った霊夢は門を見下ろしていた。
「········」
その顔は先程の魔理沙と話をしていた顔では無い。博麗の巫女としての顔が現れていた。
霊夢は上空から降り立つと、門前に降り立った。そこには一人の女性が立っていた。
紅く長い髪、緑の中華服を着て門の前に仁王立ちしていた。霊夢は気配から妖怪だと悟った。
「ようこそ、紅魔館へ。作戦会議は終わりましたか?」
「別に作戦練っていた訳じゃ無いわよ。見たトコあんたが此処の門番てっとこかしら」
「はい、この紅魔館の門番を任せられていられる、紅 美鈴と申します。······あえて聞きますがこんな所に何用で?」
「博麗霊夢よ、決まってるじゃない。この鬱陶しい霧を出すのをやめさせるのよ」
その言葉に美鈴は
「アハハハ······、やっぱりですか。つまり、あなたがこの異変を解決しに来た博麗の巫女、ということでよろしいですね」
そう質問てきた美鈴に霊夢は、此処が異変の本元だと確信した。
「えぇそうよ。どうやら此処が異変の原因なのは、間違いなさそうね。だからそこの門を開けてくれない?」
すぐ門を開けろ、そんな霊夢の言葉に美鈴は
「それはできません」
そう、きっぱりと断言した。
「私はお嬢様から一人も通すなと言われている。それでもこの門を通りたいのなら·····私を倒して通って下さい」
美鈴は構えながらに霊夢を見ていた。
「·····私とやるの?」
「もちろんですとも、コレで、ですけどね」
そう言って懐から数枚のカードを取り出した。
スペルカードだ。霊夢はそれを見て一つの懸念は消えた。
「良かったわ、新しいルールを守らない野蛮な人じゃなくて」
などと言いながら霊夢は精神を研ぎ澄ませ、戦闘態勢に移行しつつ注意していた。ルールで守られていても相手は妖怪。戦闘経験は向こうの方が上だ。そんな戦闘態勢をとる霊夢に美鈴は楽しそうに笑っていた。
「いいですね、この感じ。さすが博麗の巫女という訳ですか」
「あっそ、ありがとう。御託はいいから始めるわよ!」
「では、私から行かせてもらいます!!」
美鈴は自身のスペルカードを掲げ弾幕を出す。霊夢はその弾幕へと突っ込んでいった。
■◆■◆■◆■◆■◆
『弾幕ごっこ』
それは妖怪の賢者、八雲紫が草案した『人間が神様と同等の強さを発揮できる』決闘法である。妖怪との争いで幻想郷の平和を壊さぬよう創られたのだ。
理念は四つ、
一つ、妖怪が異変を起こし易くする
一つ、人間が異変を解決し易くする
一つ、完全な実力主義を否定する
一つ、美しさと思念に勝る物は無し
以上、この四つである。
そして、この弾幕ごっこで重要なスペルカード、このカード自体はなんの変哲の無いただの紙だ。この紙に弾幕の名前とその名の意味を込めることによって、スペルカードとして扱えるのだ。名を込めるのにそれ程の力はいらない。ほんの少しの霊力を名と一緒に込めればいい。たとえそれが魔力や妖力、つまり自身の体の内側に力さえ込めればスペルカードは出来上がる。
しかし、一人例外もいる。
それは誰か?そう、現博麗の巫女、博麗霊夢の妹、博麗夢命だ。彼女は前にも言ったとうり体内の霊力が少ない、だとしてもそれでもせいぜい、スペルカードの数枚少なくなるだけだ。ではなぜか?原因は幼い頃、彼女が病で倒れたことにある。死にかけの彼女の体自身が元々少ない霊力を体の治癒に回したせいなのかもしれない。それが原因で無くても要因であるのは変わりないであろう。それにより彼女の体内の霊力は極限まで少ない。それも、スペルカードを一つも使えないぐらいに。そして、その夢命は今、
「取材····ですか」
「はい!この紅い霧の原因を解決しに来た人達に是非取材をと思いまして」
霧の湖の近くの森の入り口で夢命はある妖精に止められていた。この森の中へと入ろうとした時、「すいませーん!」という大きな声が聞こえ、空を見上げると紅い霧の中にこちらへ飛んでくる物体が見えた。無命はそれは妖精だと察した。この霧の湖には多く妖精がいると聞いたことがある。妖精はいたずら好きで森に入って来た人達にちょっかいをかけることがある。もしも、その妖精から弾幕ごっこでも仕掛けられたらこちらにはスペルカードが無いので問答無用で仕掛けられたら手も足も出ないことはわかっている。なのでこの場をどう切り抜けるか警戒しながら考えていたのだが、
「取材よろしいですかー!」
「·····はい?」
そして、今に至る。
「まぁ、良いですけど···-」
「本当ですか!?ありがとうございます!!」
妖精は夢命からの了承を聞いてそれ程嬉しいのか、辺りを飛び回っていた。その妖精の様子を見ていた無命としては
(私が此処に来たのは、異変を解決しに来たのではなくて、解決していくのを見届ける為ですが。しかし、不思議な妖精です)
夢命は目の前にいる妖精を不思議に思っていた。聞いた話、妖精とは本来、自然が生み出した象徴だ。自然が存在する限り妖精は何度で蘇るだろう。そして、妖精は自由であり、遊びや悪戯が大好きだ。それに妖精の自我というのも薄いものであり、あったとしても幼い子供のように無邪気だろう。
しかし、この妖精は違う。しっかりした自我があり、襲ってくるではなく話し合いを求めてくる。本を書くなど聞いたことが無い。そして何より、この妖精の雰囲気は無邪気な子供などではなく、まるで落ち着きまたを持った大人のようだった。それ故、夢命は不思議だった。何故にこの妖精はこんなにも大人のような雰囲気があるのか?聞いていた話、本に書いてあった印象と全然違うでは無いか。この妖精は一体何なのだ?
夢命は深く考えていた。だが、妖精の次の言葉に反応し、思考の海から引き上げられた。
「しかし、こんなに素直に受けてくれるなんて
「!!」
今この妖精は何と言った。さっきの巫女?巫女なんてこの幻想郷に一人しかいない。
「·····姉さんに会ったんですか?」
「···ほぉ?」
妖精も夢命の「姉さん」という言葉に興味を示した。その顔はまさに、いいネタが出てきたという嬉しそうな顔だった。
「答えて下さい。いつ姉さんに会ったんですか?」
「紅白の巫女服を着ているからもしかしたら、と思っていましたが····まさか」
「はい、当代の博麗の巫女、博麗霊夢は私の姉です」
「アハ、ハハハハハハ!!ああ、私はなんて運が良いんでしょう!?まさか博麗の巫女の関係者と出会えるなんて、しかもその妹!?ああ、今日の私は本当に付いてる!」
夢命は驚いた。私が姉さんの妹と知った途端、この騒ぎようなのだ。もしかしたらさっきの大人びた雰囲気というのは私の勘違いだったのも知れない。一人で騒いでるのもようやく落ち着くと
「フゥ···すいませんね、つい舞い上がってしまいました。で、その博麗の巫女の妹が異変真っ最中に何をしているんですか?」
「私は·····この異変の終わりを見届けたいんです」
「終わり?」
ーそうだ·····私はこの異変を最後まで見届けたいんだ。それが私なりの出来るだと思う。
その言葉にその妖精は目を細めていた。
「見届ける為、ですか·····そうは言いますがあなたは自分の立場がわかって言っているんですか?」
妖精は無命をジッに眺めていた。それはまるで、夢命を見定めるような目だった。そんなことが出来るか?そんな目だった。それに無命は飲み込まれかけた。
「あなたは博麗の巫女である霊夢でしたっけ?その霊夢さんの妹だということを、この異変を見届けたとしてもまた新しい異変が起こってしまう。確かに幻想郷はスペルカードのお陰で人間は解決しやすくなった。しかし、もしこのルールを守らない物が出てきたら?もしあなたを見つけ、あなたを人質に取り、異変解決の妨げになったらどうするですか?博麗の巫女の妹、という立場がわかってますか?」
「····ッ!!」
言葉が詰まる。そうだわかっていた。確かに私は姉さんの妹だ。博麗の妹だ。私自身自覚は無いがその立場がどれだけ危険なのか、しかも私には力がない。もし言われたとうり、人質にも取られたら私は足手まといだろう。そんな私が異変の最後を見届けたいなんてどれだけおこがましい事かも、
「·····それでも」
「?」
「それでも、私は!」
ーそうだ。それでも私は····
「それでも、私はこの異変の結末を見てみたいのです!」
「·······」
「確かに私が見つかれば足手まといになるかもしれない。姉さんになんて言われるか。でも!これは私が決めた事なんだ!私自身がやるべき事だとと決めたんだ。自分自身でこうすると決めたんだ。だから私は最後まで見届けたいんです!!」
ーそうだ。私は見届ける為に此処へ来たんだ。危険な目に合うなんて当たり前じゃないか。
「····もし人質に取られたら?」
「決まってますよ、そんなもの」
ーそんなもの
「舌でも噛み切ってやりますよ」
ー当たり前だ。それくらいしないでどうする。だからこそ私はそれくらいにまで
「『覚悟』した意味がないじゃないですか」
「······す」
「す?」
妖精はいつの間にか俯き、小さく震えていた。
「素晴らしい!!!」
「のわ!?」
そして、一気に顔を上げ、一瞬で夢命のまで接近してきたので思わず尻餅をついて知っまた。
「自分が非力なのを認め、邪魔に生ってしまうのではないか。しかし!それでもなお自分の我を押し等す気の強さ、そして何より、その覚悟!!なんて素敵でしょう」
「は、はぁ」
妖精から出てくる言葉の数々に思わず、呆然としてしまった。
「そうだ!名前を聞いていませんでしたね。あなたのお名前は?」
「は···博麗··夢命です」
「博麗夢命、覚えましたよ。私の名は『バジル』覚えておいてくださいよ。所で無命さん!」
「は、はい!?」
急に大きな声を出したりと夢命はバジルのテンションに追いついて行けていけないようだ。
「私の本の主役になりませんか!」
「ほ、本ですか?」
「はい!私はあなたの成してしてみせようとする心、そして、その覚悟に心打たれました。ですので私はその生き様を本にして書いてみたいのです。どうですか!?」
「えっ、えっと····」
正直言って、自分の人生を本にされるなんて小っ恥ずかしいにも程がある。でも·····
「良いです····よ?」
断る理由もないのだか、でもよくわからなかったので思わず疑問文になってしまったが
「よっしゃー!言質取りましたよ!?ああ、コレでまた執が進みますよー!」
バジルは再び空を飛び回っていた。それは先程よりも本当に嬉しそうに、夢命はバジルのその変わりように呆然しっぱなしであったのであった。
「あ、そういえば夢命さん、姉さんを追っているんですよね?良かったら私が案内しましょうか?」
「!···ほ、本当ですか!?」
無命は案内してくれるという誘いに思わず食いついた。
「もちろんですよ、何より私の本の主役なのですから、行動を起こしてくれないと面白くないじゃないですか」
「あっ、やっぱりですか」
だとは思っていた。でもこれはラッキーだ。まさか道先案内人(この場合だと妖精か?)が出来るかなんて思って見なかった。
「····もちろん、よろしくお願いします」
「えぇ、任せてくださいよ、夢命さん!」
そう言って胸を張るバジルだった。バジルは方向転換をして森の奥へと無命を手招きをする。
「さぁ、行きますよ、夢命さん」
「はい、お願いしますよ、バジルさん」
そして、夢命は森の中へと入る。
夢命とバジル、本来いない筈の二人、この二人····いや、夢命がこれから起こる異変にどんな影響を与えるのか、結末をどう変えて行くのか、最初の紅い霧はそんなことを覆い隠すように幻想郷を包んでいた。
最近、スパロボが新しいのが出るのですが私がPS4とか持っていないのでできません。····チクショウ。(スマホ版は事前登録しましたが)
次回は夢命が靑蓮と出会い、紅魔館に到着します。そして、ミーリアとの接触してしまうのですがどうなるのやら、ちなみに、ミーリアの服装はEXルーミアの服装を思っておいてください。ではまた。