博麗の妹   作:ガムラピッド

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皆さんものすごくお久しぶりです。
こうしてやっと投稿することができました。いるかわかりませんが待っててくれた人は申し訳ありません。
ではどうぞ  


吸血鬼と妖怪の話

 此処は紅い館のある一部屋、部屋の中は見た限り、どの家具も一級品ばかりでこの館のこだわりがわかるだろう。しかし、この部屋は少し違う。裁縫ミシンはまだいいだろう。きっとこの部屋の主の趣味だろうが、これはそうは行かない。何と部屋の端に置いてある作業台だ。ペンチやドライバーなどが置いてある作業台など明らかにこの部屋にミスマッチだろう。更には、その台の隣には何処から掻き集めたのかガラクタの山が築いてある。箱に入っているとはいえ明らかにこの部屋とは合わない。

 

 ・・・・モゾ

 

 すると突然ベットの上掛けが動いた。どうやらこの部屋の主はどうやら睡眠中のようだったらしい。

 

 「・・・・・」

 

 ゆっくりとベットから顔を上げ、その顔を出した。薄い茶色の長い髪、綺麗に整った顔立ち、背中には鰐の口のような羽とも言えない大きな物、そう、あの時あの地下の図書館で“ミリア”と呼ばれていた者だった。ミリアはベットから降りるとクローゼットから白いワイシャツ、黒い制服風の服を取り出すとそれに着替えていると、

 

 コンコンコンコン

 

 「ミリア様、失礼します」

 

 そう言って入ってきたのは白いワイシャツに青のフリル、三つ編みをした髪にカチューシャをした姿、それはまさにメイドそのものだった。しかし、その姿はコスプレなどではなく、まさに瀟洒という言葉が相応しかった。

 

 「おはよう、咲夜」

 

 彼女は十六夜咲夜、この館で唯一の人間であり、この紅魔館のメイド長でもあるのだ。

 

 

 「おはようございます」

 

 咲夜はその言葉に軽く一礼をした。その姿でさえとても様になっている。

 

 「····ところでミリア様?」

 

 「ん?何?」

 

 着替え途中のミリアは咲夜の問い掛けに後ろを向きながら聞き返した。

 

 「昨日は何時にお寝になられたのですか?」

 

 「・・・・・・」

 

 その言葉に思わず着替えている手を止めてしまった。

 

 「まさか、()()ですか?」

 

 「ち、違うんのよ」

 

 咲夜は少し呆れた反応であり、そんなミリアにあわてて弁解した。

 

 「本当は早めに寝ようとしてたのよ。でも、あれが後もう少しで直りそうだったからつい·····」

 

 チラッと作業台を見たので咲夜も見てみると、確かに作業台の上には小さな置き時計が秒針を小さく音をたてながら進めていた。どうやら時計を直す為に徹夜をしたらしい。さらに、咲夜の反応をみるとこれが初めてでは無いらしい。

 

 「ミリア様、前にも言いましたが、ご趣味であらせられるお分かりになりますがあまり度を越えてはいけないとお嬢様にも言われたではありませんか」

 

 「いやいや、決して度を越えてるほどはしてないよ?決して徹夜した訳じゃ無いんだし、ちょっーと時計の針が12時を越えて差してたぐらいだし」

 

 「それでも充分遅い位です!」

 

 「あっ!そういえばどうなの?こっちにやって来たの、博麗の巫女って」

 

 「ミリア様・・・はぁ。」

 

 

 ああ言えばこう言い返すミリアに咲夜はため息をつきながら、またこのパターンか、などと心の中で呟いていた。前にもミリアにこの件で注意した事があるのだが、その時にものらりくらりと流され、はぐらかせられるので曖昧になってしまった。

 

 (本当、この方はこういう時には口が上手いですね)

 

 まぁ、それがこの人の凄いところですけど、なんて思っていることをおくびにも出さず咲夜は聞かれた事に答えた。

 

 「はい、どうやら博麗の巫女はようやく動き出したようです。もうすぐ門前まで到着するようです」 

 

 「あっ、やっと来たの?ずいぶんと遅い到着だね、紅い霧出したのいつだっけ?」

 

 「丁度、3日前だったと思われます」

 

 「ようやく博麗の巫女も重い腰を上げたって感じだね。やっぱり咲夜も戦うの?」

 

 「時と場合によってはそうなります」

 

 「そうだよね。まっ、本当の殺しあいなんかじゃなくて弾幕でだけどね。どおなの?自信の方は」

 

 

 「そうですね····、パチュリー様などにも色々と手伝っていただきましたからには全力を尽くす所存です」

 

 「ウンウン、気合いは充分そうだね」

 

 すでに着替え終えたミリアは満足はそうにうなずいた。

 

 「あぁ、楽しみだわ。幻想郷に新しく出来た決闘法「スペルカード・ルール」、そのルールを使った初めての異変が私達だのも楽しまなくちゃ」

 

 ミリアは踊るようにクルクルと回りながら咲夜に背を向けていた。彼女の言葉はは嫌みでも何でも無い、本当に楽しみにしているのだ。これから始まる新しい決闘法を、ミリアの姉レミリアは、妖怪の賢者八雲紫に利用されるみたいで不機嫌そうである。しかし、ミリアにとってはそんな事は関係無い。彼女は新しい物が大好きだ。だからこそ、これから始まる「スペルカード·ルール」を誰よりも楽しみにしている。咲夜はこんなにも楽しそうにしているミリアを見るのは久しぶりだった。だからこそこんなにも楽しみにしている人がいるからこそ、頑張らないといけない。咲夜は改めてそう思い直した。しかし、

 

 「・・・・・ところで」

 

 その時、ミリアの気配が変わった。

 

 「姉さんはなんて言ってた?」

 

 背を向けていたミリアはゆっくりと咲夜を見た。

 

 「・・・・ッ!!」

 

 咲夜は思わず怯みそうになってしまった。ミリアの顔は先ほどの新しいオモチャにはしゃぐ子供のような顔ではなく、無機質な冷たい瞳をした顔になっていたのだ。その瞳は暗く深いものであった。

 

 「今回もそれでこの私の部屋に来たのでしょ?」

 

 そうだ。確かにそのとうりだ。咲夜はミリアの姉であるレミリアにある伝言を頼まれた。今回の異変、それに纏わるものだ。

 

 「はい、確かにお嬢様からミリア様へ伝言を預かっております」

 

 「・・・・・」

 

 ミリアは咲夜の次の言葉を待っていた。その顔はある種の期待、そして、諦めの色が見えていた。そして咲夜はゆっくりと伝言を伝えた。

 

 「・・・ミリア様はこの異変には関わらず、部屋で待機しているように、だとの事です」

 

 それが姉、レミリアからの伝言であった。それを聞いたミリアはフラフラとベッドに座りこみ俯きながら

 

 「・・・そう」

 

 たったこの一言だけであった。いや、むしろ最初から知っていたかのような落ち着きようだった。先楽しそうであった表情は消え失せ、完全に諦めたような様子であった。

 

 「そうよね、なんとなく分かってた。姉さんだもの、そんな事を言うなんて最初から分かってた。相手は人間だもの、私達と同じような人外ではない。そうよ、私自身は楽しんじゃいけないのよ、私って力加減が不器用なんだからもしかしたら・・・・」

 

 ぶつぶつと俯きながら呟いていたミリアは顔を上げ、咲夜を見て、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「殺しちゃうかもしれないもの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言う彼女の顔は明らかに嗤っていた。咲夜はその顔に何も言わなかった。いや、言えなかった。ミリアの嗤っていた表情に釘ずけになり思わず固まってしまった。

 

 「・・・・アッ!ごめんなさい、なんか変な雰囲気になったわね」

 

 ハッとしたミリアの気を取り直しての言葉に咲夜も正気に戻った。

 

 「い、いえ、そんな事はありません」

 

 「そう?まぁ待機、ていうのは残念だけど、私も陰ながら応援させてもらうわ」

 

 「はい、その声援に答えられるように頑張ります」

 

 「フフッ、そうね頑張ってちょうだい。メイド長さん♪」

 

 「・・・はい」

 

 ミリアの先の雰囲気はなくなり、最初の柔らかい雰囲気に戻っていた。咲夜もささやかな声援に少しだけ微笑んでいた。

 

 「では私はこれで失礼します」

 

 「あら、もうなのね。それじゃあ頑張ってちょうだいね、咲夜」

 

 「はい、ミリア様」

 

 そうして咲夜は部屋を後にした。

 

 ・・・・ガチャ、

 

 ドアを閉めた後、部屋に居るのはミリア一人だけ、

 

 「・・・・・・・・」

 

 静かになったミリアの部屋は直した置き時計の秒針の針の小さな音だけがなり響き、ミリアはその置き時計をじっと見つめていた。

 

 その顔は咲夜と話していた時の笑っていた面影などなく、ただ表情そのものが剥がれ落ちたようなものであった。

 

 カチ、カチ、カチ、カチ

 

 ただただ秒針の針がなり響き、ミリアはそれを見つめるだけであった。

 

■◆■◆■◆■◆

 

一一霧の湖

 

 

 ここは霧の湖周辺の森、この森は霧に覆われ、普通ならば濃い霧のせいで先を見通しが悪く、さらに鬱蒼とした森なので一度中に入ってしまえば迷って餓死するのは確定だ。

・・・・のはずなのだが

 

 「なるほど、小さい頃に重い病に掛かった影響で霊力が極めて少なくなり、病弱になってしまったと・・・・難儀な体ですねー」

 

 「確かにそうかもしれないですけど私自身はその事に関してはあんまり気にはしていません」

 

 「ほほう?その理由は?」

 

 「確かにこの体は不自由で仕方ないですがどうしようがこの体と付き合っていかなければならいからです。どれだけ怨み言を吐こうとも元に戻る訳じゃありませんから、だから私は気にはしません」

 

 「・・・・ずいぶんサッパリとした考え方ですね。こんな幼い子が言う事では無いですよ。まぁそこが良いんですがね」

 

 などと話をしながら霧の中を進む一行、夢命とバジルだ。先ほど出会った二人は夢命を本のモデルにして良いかというものを思わず大丈夫ですがと答えてしまった。そのお礼に紅魔館まで案内してくれるとの事で今はこうして歩いているのだ。その間にもバジルから様々な質問をされた。これまでにどんな出来事があったか、姉との仲はどうか、など洗いざらい言わされた。

 

 「・・・・・・」

 

 夢命は足を止め、メモ帳に書き込んでいるバジルを見るとゆっくりと口を開いた

 

 「・・・バジルさんは」

 

 「はい?」

 

 「何故、物書きなど始めようと思ったのですか」

 

 前々から聞きたかったことだ。本を書く妖精、この時点であり得ないことだ。バジルは夢命の姉、霊夢にも会ったと言った。つまり、この異変の解決に来た人達にこうしてネタ探しの為に話回っているというのだ。はっきり言って異常だ。自然から生まれる妖精が本を書き、こうして様々な情報を聞いてくる。あまりに妖精らしからぬ行動は人間に近いものであった。

 

 だからこそ夢命は気になるのだ。この妖精バジルは何故本を書くのか、その理由を知りたいのだ。

 

 「ンー・・・本を書く理由ですか」

 

 バジルはメモ帳から目を離し、ペンを顎に当て考え込んでいる。その姿を夢命はその回答を待っている。その回答は

 

 「何でしたかね、もう忘れちゃいましたよ。何せ、もうこうやって物書きを始めたのも何年も前ですから」

 

 というものだった。

 

 「・・・・忘れちゃったんですか?」

 

 「ええ、忘れちゃいました。確かに物書きを始めた理由はありましたがその理由がなんだったかは覚えていませんよ」

 

 「そう・・・なんですか」

 

 「はい、そうですね。まぁここまでやって来たのも単なる趣味だからこそでもありますが」

 

 「・・・・・」

 

 〈忘れた〉まさかそんな答えがかえってくるとは思いもしなかった。妖精というのは見た目と違ってとても長寿なのだ。もしこの妖精、バジルがとても古くから物書きを始めたというのならば確かに忘れるといのにも納得ができる。

 

 無言でいた夢命の様子を見ていたバジルは何か察したらしく

 

 「アー・・・もしかして、私がこれ(物書き)を始めた理由が何か凄い理由があるのでは・・・・、なんて思ったりしてました?でしたらもし訳ありませんねご期待に答えられず」

 

 「・・・・・ッ!!」

 

 図星だ。まさにその通りの事をバジルに期待していた。そこまでではないが、期待していたのはたしかだ。夢命は自分の頬が熱くなるのを感じながら話題を反らす為に、もうひとつ気になる事をバジルに聞いた。

 

 「バ、バジルさん!」

 

 「はいはい、なんですかな?」

 

 「バジルさんはこの異変の首謀者をどう思いますか?」

 

 「どうして私にそんなこと聞くんです?私はただの妖精ですよ?」

 

 「私の家、博霊神社には初代から先代までの歴代の巫女、その生涯を綴った本がおいてあるのです」

 

 「歴代の巫女の生涯を書いた本ですかこれはまた魅力的な物があるもんですね」

 

 「その本は昔から巫女の生涯、その時代の巫女の役を降り、亡くなるまでが書かれいつの間にか本棚に置かれています。私の母、先代の巫女に一回聞いてみたのですが自分にもわからないそうでした」

 

 「へー、ですがその本が私に聞く事と何の関係性があるんですか?」

 

 「・・・・その本の一つ、先代がまだ博霊の巫女であった頃の時代です。その頃ある怪物が結界の外からやって来ました」

 

 「・・・・・吸血鬼ですか」

 

 「そうです。その吸血鬼は自分以外の眷族を連れ、自身の屋敷ごと転移してきたそうです。その吸血鬼はただ幻想郷に移住しに来たのではなく、侵略し支配を目的としていました。それを察知して妖怪の賢者である八雲紫と博霊の巫女は首謀者の吸血鬼を打ち倒し、目論見を阻止しました。この出来事は本の中ではこう記されていました」

 

 《吸血鬼異変》と

 

 「吸血鬼異変ですか・・・なかなか良いネーミングじゃないですか」

 

 「前置きが長くなりましたね。では、バジルさんに聞きいた理由は次からです」

 

 「お、ようやくですか」

 

 「改めて聞きます。バジルさんはこの異変の首謀者を物書きである観点からはどうお考えになりますか」

 

 物書きという観点から異変の首謀者は誰か、もし同じ吸血鬼だというのなら、前の異変で倒されたはずだ。ならばこの異変の首謀者は誰なのか?情報が少ない、私にはわからない事が多すぎる。

 

 「物書きとして・・・・ですか、実は私も、もうすでにある程度の予想はつけています」

 

 バジルは森の中のある方向を見つめた

 

 「・・・・・」

 

 夢命にはこれから進む方向だというのに気がついた。

 

 「この方向を真っ直ぐ進むとこの紅い霧が出る場所、首謀者の本拠地です。しかし、」

 

 バジルはゆっくりと語り出す。自分の考えを

 

 「その場所は先代の巫女にやって来た吸血鬼の屋敷でもあります」

 

 「!!」

 

 目を見開いた。やはりこの紅い霧は吸血鬼の仕業だというのか、でも

 

 「はい、夢命さんが思っているとうり、その吸血鬼は前の異変で倒されました。では今回は誰か?ここからは私自身(物書き)としての考えです」

 

 バジルはそう言いながら夢命にゆっくりと向き合った。

 

 「もし、私がこの話をストーリーとして出すのなら、改めて前の吸血鬼を復活させ、復讐するために異変をおこす。あるいは・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「その吸血鬼の血縁関係にある誰かですかね~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「!?」」

 

 突然と森に響く女の声、夢命とバジルは警戒し周囲を見回すが鬱蒼と生い茂る森が見えるだけだ。

 

 「こっちですよ、こっち、上を見てください」

 

 また声がする。夢命は言われる通り、ゆっくりと上を見上げ、そこにいたのは

 

 嬉しそうに笑いながら手を振る眼鏡をかけた少女が木の枝に座っていた。

 

 「ッ!!」

 

 即座に夢命は神社から持ってきた札を懐から出そうとした。突然現れた得体のしれない妖怪に効くかどうかは不明だが逃げられる時間は稼げるだろう。

 

 「あー、ストップ、ストップ、私は話をしに来ただけですよ、だからそれを仕舞ってください」

 

 しかし、それを察したのか止めに入る、当然夢命はそんな事では構えを解くつもりはない。それを察したか妖怪は面倒そうに頭をかきながら

 

 「そう簡単に警戒を解くつもりはないですか、まぁ当たり前ですよね。ですが安心してください、私はあなた方を襲うつもりもありませんし、むしろ貴女にとってメリットしかありません。だから話だけでも聞いてくれませんか?」

 

 ・・・どうする?ああは言っているが、正直言って胡散臭い、臭すぎる。やはりここは逃げるか、などと考え札を投げつけようとしたその時、

 

 「話だけでも聞いたらどうです?」

 

 バジルは夢命の耳元で小さく声を掛けた。夢命はバジルを横目で見ながら今の言葉を聞き返した。

 

 「・・・本気で言ってます?」

 

 「ええ、私は本気ですよ」

 

 「あの妖怪、正直言って胡散臭いです。何か油断させて襲うのでは」

 

 「大丈夫ですよ、その時は私がなんとかしますから」

 

 なんとかする。妖精であるバジルにどこからそんな自信が出てくるのか、そんな事を問いただしてみたいが、今はその自信に賭けて警戒を解くことにした。

 

 「・・・・わかりました。話だけでも聞きましょう」

 

 「おお!わかってくれましたか、嬉しい限りです」

 

 妖精は大げさに手を合わせて喜んだ。

 

 「待ってくださいね、今そちらに降りるので」

 

 妖怪はよっ、と木の枝から飛び降りると宙をゆっくりと下へ降り地に足を着けた。

 

 「ご理解いただき、ありがとうございます。あっ、自己紹介がまだでしたね」

 

 妖怪は夢命と目を合わせ、なんとも怪しい笑みを浮かべながら

 

 「私の名前は青蓮、貴女達にとってとっても良い話ですよ」

 

 




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