織斑一夏[感性 A+]   作:卯月ゆう

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その22

 7月に入り、衣替えも終えて制服の生地が薄くなり、男の子的に美味しい季節。

 それは我がハーレム(周りに茶化されすぎて開き直ることにした)の女子ズも同じこと。とはいえジャケットタイプにあることは変わりないから、中学校の頃のようにサマーベストで体のラインがクッキリ、なんてことはない。

 さて、朝からこんな煩悩まみれのことを考える理由は臨海学校が迫っているからに他ならない。おかげで水着を買いに行くから付き合え、というお誘い(脅迫)が5件立て続けに入り、俺のキャパシティは表面張力でギリギリを保っている。

 

 

「ねぇ、どういうつもり?」

「納得できる理由を」

「ご説明願いますわ」

「どうして朝から」

「全員揃っている……」

 

 そして俺が取った策はコレ。一人ひとりに付き合っていたらキリがないし、俺の心も持たないのでブーイング覚悟で5人を一気に連れ出すことにした。

 というわけで学園最寄りの繁華街にほど近い駅に集合したは良いが、案の定女子ズは納得行かないらしい。

 

 

「簡単なことだ。いちいち付き合っていたらキリがない、それに俺のいろいろも持たない!」

「はぁ……」

「だから、こうして一気に買い物に行き、女子会の雰囲気で楽しんでもらって俺はその間に――」

「はいはーい、最後まで付き合ってもらうわよ」

「誘っておいてほったらかしは無いよね」

 

 ぐぅ、これは……

 

 やばかった。

 眼の前では女子ズがきゃいきゃいと水着をお互いに選び合っている。俺? もちろん売り場で「似合ってるぞ」って言うだけのペッパー君だ。

 いや、マジで素材が良すぎるだけに、よほどのものじゃない限り本当に似合うからソレ以外に言うことがないのだが、どうやらそれがご不満らしく、一夏を落とす水着選び大作戦の幕が上がった。作戦指揮はシャルロットだ。

 

 

「こういうの、どうかな?」

「おう、明るい色がいいな」

「わたくしのはいかがでしょう?」

「白より青のほうが俺は好みだぞ」

「一夏、どう?」

「お前にビキニは早っ―― 何しやがる!」

「い、一夏、これはどうだ?」

「Oh...」

「私の選択に間違いは無いだろう?」

「はいはーい、シャルロットに選んでもらってねー」

 

 眼福以外の何者でもない。眼の前でSランクの美少女が水着姿を見せてくれるんだぜ? これなんてエロゲ? だがしかし、そんなことを言っている間に数周すると、各々水着を決めたらしく、会計に向かうと紙袋を持ってニコニコとしていた。

 それからワイワイと飯を食い、ウィンドウショッピングを楽しんでいるあいだに朝のギスギス感はどこへやら。俺の財布が幾分軽くなったが、幸いにもIS操縦者というのは目玉飛び出るほどの給料ももらってるから、なんとかなる。

 まぁ、その給料も来月から怪しくなるわけだが。

 

 

「今後のIS開発は防衛省の外局である防衛装備庁で行うことになったのは既に話したと思う」

「ええ、そう伺っています。なので代表候補生とはまた違う扱いだとも」

 

 ハーレムのご機嫌をまとめて取ったのはこの予定があったから、というのもある。

 日曜になれないスーツを着て、いかにも高そうなホテルに入ればこうして俺より幾分スーツなれしてそうなオッサン達を相手にお話だ。

 

 

「ああ、そのとおりだ。文官だから階級はない、といったがね」

「え?」

「いや、処遇は変わりないんだが、織斑くんの主な職場は立川になりそうだ」

「立川、ですか」

「遠くてすまないが、そんなに来てもらうこともないと思うけれどね」

 

 相手は防衛省の役人と、"旧"倉持技研の役人、技術者。

 一応倉持技研専属の操縦者という扱いだった俺は、VTシステムの一件で世界的大バッシングを浴びて解体された倉持技研から手放されて宙ぶらりん。とは行かず、来月から公務員になる。扱いとしては国家公務員と同じ。防衛装備庁のIS操縦者だ。

 今回は何度めかのお話会。正直、最初の面談で待遇面の話など、一通りは終わっていたが、今日は詰めと飯をおごってもらうような感じ。

 

 

「わかりました。倉持よりは近いので大丈夫です」

「そうか、織斑くんはまだ15だったね。バイク通勤でも構わなかったが」

「免許も取りたいですけど、立場が立場なので、どうなることやら」

「車は掛け合うこともできたかもしれないけれど、バイクは難しいね」

 

 と、こんなふうにおじさんとおしゃべりするだけで高いディナーがいただける。倉持の人? 飾りだよ。俺に誠意を見せるつもりだったらしいが、誠意は金で見せろ、とゲスいこと言ったら本当にお金出してくれたすごい人。だが、ソレっきりだ。

 

 

「それじゃ、次は市ヶ谷で会おう。制服は近い内に送れると思う」

「はい、お願いします」

 

 そんでもって夜の街へ消えるオッサンを見送ると、俺もまたタクシーで学園へと帰るのだった。

 で、終わらないのが今回の話。

 

 

「相乗りタクシーに乗った覚えは無いんですが、生徒会長」

「あら、覚えててくれたの?」




すごく短い
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