「今更警察が何の用ですか!?」
警察が声を掛けた途端陵は声を荒げた。管轄外だといって全く取り合わなかった連中が、今になってどういうつもりだ・・・
「お子さんの捜索のための協力をしたいんです。ひとまず中で話ましょう」
しぶしぶ警察の男2人を中に入れ、リビングの方に案内した。他人に見せられるような状態ではなかったが、気を使うつもりもなかったし、その気力もなかった。
「失礼ですが奥さんは・・・」
「もう出ていきましたよ。どこにいるかなんて知らないですよわたしは。あとせめてもの礼儀として自己紹介ぐらいしてほしいものですね」
「すいません。私たちはこういうものです」
手帳によると、2人とも警備局の外事課所属とのことだった。小太りで無精髭をはやした男の方は唐崎、少し細身で眼鏡をかけた男は白神という名前だった。
「前に娘の捜索をはねつけたところとは所属が違いますね」
「学園都市は独自の自治権が強く、本来我々が手を出せる場所ではないんです。しかし今回ばかりは我々としても見過ごせない事態が起こりました」
「霧香の失踪・・・ということではないですね」
「おっしゃるとおりです。あなたのように学園都市でお子さんが行方不明になり、警察に相談するケースは多くあります。そのほとんどは全く手を打たれないまま放置されていました」
「じゃあどうして・・・」
「実は半年前学園都市で潜入捜査していた我々の捜査官が死んだのですが、霧香さんと接触していたことが今になってようやくわかったのです」
眼鏡の男、白神は話を続けた。刑事の死体や身に着けていたものは全てアンチスキルに回収され、事故死として処理された。学園都市に潜り込んでいる他の刑事に調べさせたが、目ぼしいものはほとんどなかった。
数日前死亡した捜査官のかつての活動拠点、武装無能力集団(スキルアウト)が溜まっているビルを仲間の捜査官が通りかかったところ、かつての子飼いのスキルアウトの1人がいた。そのスキルアウトも捜査官が死亡した後、姿をくらましていた。
『紳士的』に問いただすと、刑事が死亡したとわかった2、3日前に少女が訪ねてきて「霧香です。『警察』の方はいますか?」と聞かれたという。
「それからあいつが死んじまって・・・俺も巻き込まれるんじゃないかって隠れてたんだよ」
霧香とその刑事は待ち合わせをしていたらしく、渡すものがあるそうだが本人にしか渡してはいけないということを言っていたらしい。ずっと待っても姿を現さなかったので、霧香は家に帰ったという。
「失礼。スキルアウトというのは・・・」
「ああ、用はレベル0の不良集団ですよ」
「そんな連中を使ってるなんてとんでもないところですね、日本の警察は」
「手段を選んでられないことがよくあるんですよ、我々の仕事は」
小太りの男の方がぶっきらぼうに答えた。
「死亡した刑事は重要な任務に就いてました。しかし捜査対象となった研究施設ももぬけの殻で、もう違うところに移されているでしょう。我々に残されている手がかりは霧香さんだけなんです」
霧香が警察にとって重要な人物だということはわかった。しかしなぜこんな重要なことを私に話したのだろうか?陵はまだ疑問をぬぐえなかった。
「そこで往見陵さん。あなたに学園都市に潜入してもらいたいのです」
「そ、それはどういうことですか?」
「実は今回の事件のおかげで、潜入していた刑事の大半が引き上げることになりました。これ以上無用な人員、予算を割くわけにはいかないってね。今残っている刑事は他の案件で手がいっぱいです。するともう娘さんが関わっていた事件に手を出せなくなります。そこであなたには我々とのパイプ役になってほしいのです」
「パイプ役といっても大半の刑事はもういないんじゃ・・・」
「協力者はスキルアウトだけではありません。我々の影響下にある組織は他にもあります。彼らの力を駆使してのあなたの協力が必要です」
今だに霧香の保護者ということで、学園都市には公的に入れることになっている。それを利用することで自分も捜査に加わるということだ。
少し考え込んだ後、陵は提案を受け入れた。一通りの銃の扱い方のレクチャーや、協力組織との連携の取り方などを一日かけて教えられ、学園都市に行くことになった。
「向こうに行けば我々の子飼いの者があなたに付くようになっています。大抵のことは彼に任せれば大丈夫だと思います。しかし学園都市と我々の間を自由に行き来できるのはあなただけです。くれぐれもご注意ください」
こうして、陵は学園都市へ潜入することになった。
「いいのか?あそこまで喋っても」
唐崎が顔をしかめて言った。
「まあ大丈夫だろう。俺たちが協力したっていう証拠がない限りは警察まで手は出せないよ。少なくても公的にはな。それに向こうのお偉いさんの何人かは俺たちとずぶずぶの関係だからな。協力組織がなくなることはないよ」
「あんなど素人にまかせて大丈夫なのか?下手したら裏切ることだって・・・」
「だからあいつを付かせたんだろ。手段は選ばない奴だが腕は確かだ。こちらが契約を守れば裏切ることは絶対にないしな。ある意味同じ刑事よりも信用できる。あの中年の代わりだっていくらでもいる。いざとなれば見捨てようが殺そうが好きにすればいいさ」
やっと見出しのとこまで書けた・・・