「あんたが往見陵?」
学園都市で陵を待っていたのは中学生か高校生ぐらいの少年だった。顔つきは少し幼い感じで、小柄な体型をしていた。
(この少年が警察が言ってた子飼いの奴か・・・)
「ああ、そうだ。君とは少し長い付き合いになるかもしれんな。よろしく」
「ケイって呼ばれてる。他の協力者の間でもそれで通ってる。今日のところはあんたのねぐらの案内と協力組織の顔合わせってところだ。本格的な活動は明日からになる。何か聞きたいことは?」
「不躾で悪いんだけど、君はスキルアウトっていうやつなのか?」
「違うよ、レベル0だけど。俺は警察に雇われてるだけだ、ずっと前から」
能力開発を受けていたのか・・・
「そうか。変なことを聞いて済まなかった」
「別にいいよ。まずは顔合わせからだ。早く行こう」
ケイという少年に連れられて、警察の協力者たちと顔合わせをした。スキルアウトや民間会社の社員、研究者、果てにはアンチスキルやジャッジメントの人間までいた。
スキルアウトやアンチスキル、ジャッジメントとの関係は、非常時のときに役に立つので重要だという。
協力者のスキルアウトが銃火器を売買する空きビルで、ケイと陵はある人物と待ち合わせしていた。ケイ曰く頼りになるときは力強いが、一番信用できない奴らしい。
「アンチスキルやジャッジメントの人間をどうやって抱き込んだんだ?」
「大方買収したり不祥事をもみ消すのを手伝ったり、あと弱みとか。所詮有志のボランティア程度の連中だ。そういうところの脇は甘いんだよ」
「ずいぶんと人脈が広いんだな」
「そりゃもともとここは日本だし。学園都市設立当初から関係は深いよ。他にもいるがあんたが使える人脈はこれくらいだ。ああ、銃の扱い方わかる?」
「一通りレクチャーは受けたが・・・」
「これ持ってて」
渡されたのは拳銃とマガジン2本、スタングレネード2つだった。拳銃はUSPというモデルの派生らしい。学園都市が開発した拳銃を各国が採用し始め、お払い箱になったものが世界に大量に出回っているという。
「骨董品で悪いが足が付かないものの中じゃあ一番いい。反動も少ないよ」
「常に持って歩くのか?もしアンチスキルやジャッジメントに・・・」
「ばれないように注意すりゃいい。いざとなれば相手が誰であろうとためらうな。半年前の誰かさんみたいに犬死したかないだろ?」
本当に自分は撃てるんだろうか・・・元々穏やかな性格であった陵は人殺しはもちろん喧嘩したこともほとんどなかった。それなりの覚悟で臨んでここまで来たが、頭で考えるほど簡単なことではないだろう。今はできるのはそういう状況にならないよう努力することだけだ。
「わかった。でもそっちだってそういうことがないよう努めてくれよ。それが君の仕事なんだから」
「出来る限りはな。それとあんた、ここに来る前警察のやつらから死んだ刑事の捜査の内容は聞いているのか?」
「いいや、ああ、そうだ。なんでこんなことを言わなかったんだろう。どんな捜査をやっていたかわからなかったらパイプ役としても支障があるだろうに」
「あんたも娘さんのことで頭がいっぱいだったんだろうな。警察の連中もあえて言わなかったんだよ。俺も大まかにしか知らん。厚生省との癒着が強かった施設の捜査ってことぐらいだ」
それから陵はケイからスタングレネードの使い方を教わり、待ち合わせの相手が来るまですることもないので、顔合わせした協力者との今後の段取りを頭の中で反芻していた。ケイの方は何やらスキルアウトの1人と話し込んでいた。
陵はここに来る前のスキルアウトのイメージが、今実際見ている様子と全然違うことに気付いた。ただのレベル0の不良集団かと思っていたが、こうして見ているとかなり組織的に動いているようだ。派手な格好をしている奴は少なく、皆坦々と仕事をこなしている。
スキルアウトの1人がケイの名前を呼んだ。どうやら待ち合わせの相手が来たらしい。
「一応あんたにも顔は合わせる。あんまり俺たちのことはしゃべってくれるな」
「わかってるよ」
空きビルの個室にさっきケイを呼んだスキルアウトの1人が案内した。
個室には陵が目にしていたスキルアウトよりも遥かに目立つ外見をした男がいた。アロハシャツ1枚に短パン、金髪にグラサンといった誰もが目を引くファッションだ。
「久しぶりだな、ケイ」
「久しぶり、土御門」
2人は目も合わせずにそう言葉を交わした。
ようやく原作キャラだすことが出来ました。
次かその次くらいは中年のオッサンの日常(?)パートに入るかもしれません。(誰得)