最低限途中で投げることはせず、完結させたいとおもいます。
「そこのおじさんが日本の刑事さんなのか?」
土御門という男がケイにそう話しかけた。
「刑事じゃないよ。『協力者』だ」
「へえ。でも今になって他のやつと俺を合わせる気になったとはどういう風の吹き回しかにゃー?俺との関係は余り知られたくないんじゃなかったのか?」
「なりふりか構ってられなくなったんだよ。今回の捜査は暗部の人間を動かせるほどの人脈は使えないんだ。お前はそのへんの事情に詳しいからな」
「で、何をしろと?」
「暗部に何か動きがあったら俺たちに伝えてくれ。それとそいつらとの衝突の際のサポートだ」
「おいおい、サポートって言っても限界があるぜよ。俺にあいつらを使う権限なんてないぜい」
「そこは出来る限りでいい。それとこの人は往見陵っていうんだが、俺と共に行動することになる。もしなんらかのトラブルでこの人が1人で行動することになったら、そっちのサポートを優先してくれ」
「了解したぜい」
話が一通りすむと、陵は土御門と連絡先を交換した。陵はケイの忠告した通り、自分に何か探りを入れてくるんじゃないかと警戒していたが、話は事務的に終わり、特にこれといった質問をしてくることもなかった。土御門もケイとの間にも緊張した空気は流れていない。一番信用できないとケイに言っていたが、ケイとはそこそこの信頼関係にあるようにあるように見えたので、どうして強い警戒心を持たせるようなことを言ったのか不思議に思った。
「ああ、それと往見陵さんだっかかにゃー。少し席を外してもらえないか?こいつと2人で話したいことがある」
「わかった。部屋の外で待ってる。ケイ、それでいいか?」
「ああ」
陵が部屋を出た後、土御門は先ほどの様子と打って変わって険しい表情になり、ケイに向き直った。
「今度はまた何をやらかすつもりだ、ケイ。あんな素人を連れてきて」
「俺はただ上から来た仕事をこなすだけだ。上の連中の目的なんて知ったこっちゃないね。似たような業種だろ、俺たちは。お前の手助けだってずいぶんしてきたんだ。持ちず持たれずの関係なんだから仲良くしようよ」
「は、仲良くか。笑わせるな。以前いったいどれだけお前が無用な被害を出したか忘れたわけじゃないだろうな。周りをぐちゃぐちゃにした挙句・・・」
「んな建前じゃなくて本音を言えよ。用は俺が愛しい義妹を使ってお前に『忠告』したことが気に食わないんだろ?未だに」
「貴様!」
土御門は思わずケイの服に掴みかかった。今にも殴りかかりそうな形相でケイを睨んでいたが、ケイの方は気だるそうな表情を浮かべるだけだった。
「とにかく話は終わりか?まだ仕事が残ってるんだ。あんまり待たせるわけにもいかないしな」
ケイはそう言うと土御門の手を払いのけ、部屋を出ようとドアの方へ向かった。ドアを開けようと取っ手を掴んだとき、土御門はケイを呼び止めた。
「ケイ。俺もお前も裏で生きる悪党だ。だから忘れるな。今度もし俺の大切なものに指一本触れてみろ。そのときはお前を殺す」
土御門の放った警告に対し、ケイは少し笑ってこう答えた。
「俺が悪党?まさか」
陵とケイは一通り顔合わせも終わったので、2人は陵の宿泊先へとむかっていた。場所は第19学区の西側、第4学区の境界近くの場所だ。第19学区は最先端の研究から取り残された地区で、人通りは余りなく静かで比較的安全な場所だ。もう日は沈んで外は暗く人も少ない。2人はほとんど人のいないモノレールに乗って、19学区へと移動していた。
「さっきあの男が一番信用できないと言っていたがどういう意味なんだ?君もそこまで警戒した様子はなかったが」
「あいつはよく嘘をつく。要はそういうことだ」
あまりこのことについては話してくれる様子もなかったので、陵は違う話題を振った。
「さっきの空きビルでスキルアウトたちを見ていたんだが、思ってたのとずいぶん違うな。不良集団と聞いていたんだが」
「そういう奴らも当然いるけどな。けどその認識は古すぎる。まあ今後の活動で色々見えてくるよ。にしてもあんたずいぶんしゃべるんだな」
「私もけっこう不安なんだ。こういうことは今までやったことはないんでね。そういう君も私の会話に合わせてくれているじゃないか」
「忙しくないからな、今は。それに仕事上最低限のコミュニケーション能力はいるし、俺は別に無口な訳じゃないよ」
部屋は2LDKのアパートだった。学園都市の最先端の建物という訳ではないが、セキュリティはそれなりにしっかりしているらしく、大の男が住むにも十分な広さだ。
「ああ、言い忘れてたが俺もここに住むことになるから」
「え、そうなのか?」
「ベットはあんたが使っていい。知らない野郎と2人で同じ屋根の下に寝たくはないだろうが少し我慢してくれ」
「ああ、別に構わないよ」
「明日は早いんだ。あんたも早く寝た方がいい」
ベットに陵、リビングがあった場所にケイが布団を敷いて寝ることになった。全く知らない世界に飛び込んだ不安は大きく、学園都市に来てからというものずっと気を張り詰めていたので、陵はその疲れですぐに眠りに落ちた。
外は静かで人っ子一人おらず、時たま車の通る音が聞こえてくるだけだった。
すいません。中年のおっさんの日常パートは次からです。
ケイの外伝とか書きたいなー。いくらなんでも気が早すぎるか・・・