とある能力の代償   作:きんぴら大根

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更新ずいぶん遅くなってすいません。なんとか続けられるかな、たぶん・・・


8話 潜入

「こっちでも大騒ぎになってるぞ、ケイ。ネットじゃあ今も炎上中だ」

 

「へえ、そりゃすごいな」

 

「ずいぶんかき回してくれたもんだな」

 

「今更何言ってんだよ、白神のおっさん。ていうかいいのか?携帯でしゃべってて。盗聴されてるかもよ」

 

「最低限の注意ぐらいしてるさ。とにかくこっちはお前がやらかしたことの尻拭いでいっぱいだ。しばらくは学園都市外での接触は無しだ。往見陵にもそう伝えておけ」

 

「はいはい、わかったよ」

 

スキルアウトを大勢使ってのネット工作が思う以上に反響が大きくなり、学園都市内外のネット掲示板には次々とスレッドが更新されていた。なにより情報をリークしたのが大手の週刊誌であったこと、そしてタイミングを見計らってネットへの書込みを一斉に行ったことが事態をさらに大きくした。

 

ケイと陵の2人は今アパートで研究機関への潜入の準備をしている。場所は第10学区、原子力関連の研究所や『実験動物 』の廃棄場などがある場所だ。

「まあ人間も『動物』の仲間だよな」とケイは冗談交じりに軽口を叩いた。陵からすれば全く笑えなかったが。

 

「研究機関まで特定出来たんだから案外早く解決できるかもな」

 

「これから直接乗り込むのか?ケイ」

 

「まあな、警備員買収してセキュリティの解除をあらかじめ要請しといたから俺たちだけで大丈夫なはずだ。上や土御門のやつから特に何も連絡がないってことは統括理事会も今のところ動いてないだろうしな」

 

「でも向こうも丸腰ってわけじゃないんだろ」

 

「だから今こうやって準備してるんだよ。銃はちゃんと手入れ出来てるか?いざってときに暴発したりしたら洒落にならないからな」

 

「君に言われてる通り、毎日かかさずやってるさ」

 

「じゃあ行くか。なるべく早く済ませよう」

 

陵は娘の手がかりを掴む確かな一歩を踏み出すのだと自分の心に言い聞かせた。ひょっとしたら自分の手が汚れることがあるかもしれない。だがケイの言う通り綺麗事で動いてるわけじゃない。それなりのリスクは承知の上で乗り込んで来たつもりだ。少し震える手で黒い金属を強く握りしめた。

 

 

 

 

買収した警備員から陵は制服を借りてケイと共に施設に潜入している。ケイは実験の被験者、陵は警備員という形で堂々と施設の中を歩いている。

陵は自分の緊張を和らげるかのようにケイに話かけた。

 

「この分じゃあ武装する必要はなかったんじゃないのか?むしろ銃を持ってるところ見られたらまずいだろ?」

 

「何があるかわからないっていつも言ってるだろ?それに今回はちょっと派手に行動しすぎたからな。ひょっとしたらもうばれてる可能性もある」

 

「じゃあこの施設自体がブラフだってことも・・・」

 

「たぶんそれはないよ。事前に実験担当責任者のリストを仕入れておいた。そいつらが今ここにいるってことは全くのはずれじゃないってことだ。まあ手がかりになるものが処分されてたら仕切り直しだけどな」

 

陵はケイとの潜入の準備の際、もし手がかりとなるものが他の実験施設に移されてた場合、後日リストに載っている人物を片っ端から拉致して情報を引き出す算段だ。

ここ最近急に物騒な方向にいってるなと陵は今更ながら思った。

 

 

目当ての研究フロアにたどり着いた。セキュリティが他のところよりもかなり厳重になっている。

2人は警備員からあらかじめ渡されたパスを使って中へ入った。電力は入っているみたいだが、ずいぶんと静かで見渡しても人が誰1人としていない。通気口から流れる空気の音が空間を満たしている。

ケイは今自分たちがいる場所が危険だとすぐに察した。

 

「まずい。今すぐ引き返せ、早く!」

 

そうケイが言った瞬間、2人が先ほど通った通用口が爆風に包まれた。

 

「さーて、お待ちかね!アイテムの出番って訳よ!」

 

「ネズミ2匹か、さっさと終わらせるわよ」

 

「超了解しました」

 

「・・・・・・」

 

 

 

「げほっ、一体なんだこれは」

 

「出口が塞がれたか。どうやら待ち伏せされてたみたいだな、俺たち。とりあえずあんたはここに隠れてろ。状況を確認する。何かあったら無線機で連絡しろ」

 

「わかった」

 

ケイは建造物に身を隠しながら周りの様子を注意深く観察している。そこら中トラップだらけだで中々身動きがとり辛い。

 

「面倒くせーな、ったく」

 

そうつぶやくとケイは爆発物となるトラップを次々に拳銃で破壊していった。トラップの工作、察知、破壊はケイが幼い頃仕込まれた技術のひとつだ。そのたびに爆発が起こり、辺りは火で包まれていく。

 

「超滅茶苦茶ですね、あいつ」

 

「ていうかマジ?あいつ私のトラップの場所全部わかっちゃってる訳?」

 

「私たちも出るわよ。フレンダ、あんたは後方支援、滝壺は体晶の準備よ」

 

「わかったよ、麦野」

 

「それと絹旗、もう一匹のネズミを狩り出してちょうだい。逃げられると厄介よ」

 

「わかりました。超殺しちゃっても構わないんですよね?」

 

 

 

ケイは爆風で相手の注意をそらして索敵しながら前進していった。しかしなぜばれた?工作自体は問題なかったはずだ。少なくとも向こうは完全に準備していたわけではない。研究施設の責任者はここにいたのは確かだ。それに完全に罠にはめるつもりならあれほどの研究機器がそのままになっているはずがない。おそらく誰かが潜入されることに山を張ったのだろう。だとすればここに研究機器が半端に撤去された跡があることに納得がいく。あのおっさんに早く逃げるよう言った方がいいだろうか?

 

 

人の気配がする方へようやくたどり着いたケイは、体を壁の方に寄せつつ、壁一枚隔てた先にあるフロアの方を覗き見た。女性3人、いやまてよ、こいつらは・・・

 

「うわーアイテムかよ、レベル5まで来てるし。俺死んだかもな」

 

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