ノーゲームノーライフ ゲーマー兄妹と姉妹は魔法少女の世界に迷い込むそうです 作:スタンチッカ
リップルside
先輩魔法少女「トップスピード」に対する第一印象は「馬鹿っぽい」だった。
魔女のとんがり帽子。魔法の箒、魔女のワンピース。典型的な魔女タイプのキャラクターで、顔もリップルに比べてバタ臭く、いかにも魔法少女という大きな青い瞳をくりくりと忙しげに動かし、黄金色の髪を二房の三つ編みにまとめてたなびかせていた。
丈の長い紫地のコートと首から下げたお守り袋のみが、魔女のアーキタイプに反していた。
リップルは、コートの背中に大きく金字で「御意見無用」と刺繍してあるのを認めた。
空飛ぶ箒にはバイクのような風防やハンドル、マフラーやブースターがゴテゴテと盛られ、
「ああ。バカなんだな」と思い、想定していたトップスピードのランクを一段階下げた。
待ち合わせ場所である第七産光ビルの屋上に降り立ったトップスピードは、
満面の笑みとともに親指を立てた右手を突き出した。
「はじめまして!俺はトップスピード、よろしく!」
「……よろしく……」
「元気ねえな!飯食ってるか!ハハハ!」
一人称が俺。馬鹿笑い。リップルの中でトップスピードのランクがさらに下がった。
トップスピードはひらりとビルの鉄柵に腰を下ろした。
リップルにも座るように促したが、隣に座るのは嫌で、見下ろされるのも気に入らなかったため、
この方が楽だからと壁に寄りかかって立ったままでいた。
トップスピードは話し始めた。
魔法少女がなすべき事。魔法の力を使って、人々の生活を手助けするような善行をつみ、
それによってマジカルキャンディーを増やすのだ。
「善行……?」
「ゲーム内じゃ敵を倒して増やすってことになってるけどさ。現実世界にそうそう敵なんていねえっつうのな。こういう浮世離れした稼業だって地道にやっていくのが一番って事なんだろ」
訳知り顔で語るトップスピードに対し、リップルは心の中で舌打ちをした。
他には、魔法少女しか扱うことの出来ない「魔法の端末」の操作方法を教えられた。
魔法少女しか扱うことの出来ない。などと大仰な物言いだったのにも関わらず、
教えてもらった操作方法は、スマートフォンと何ら変わらなかった。
それを特別なあつらえ物であるかのように話す、トップスピードに対してさらに苛立ちを募らせたが、
それを面に出す事もなく、やはり心の中で舌打ちをした。
リップルは教わった操作方法でパーソナルデータを呼び出した。
身長、体重、身体のサイズが書かれている。
男性の平均よりも三センチ背が高く、ガッチリとした華乃の体格は、
リップルに変身する事で、身長体重体格全てが女性らしくなっていた。
「性格」の欄には「人間嫌いで暴力的」と正しく把握されてる事に腹が立ち
「手裏剣を投げれば百発百中だよ」と記された「魔法」の欄を見て、心の中でなく実際に舌打ちをした。
♢♢♢
幽霊side
「うお………」
「すげぇッス………」
悠と玲はお互いの姿を見て声をあげた。
先ほどまで身を包んでいたパジャマが消えて
「魔法少女育成計画」のゲームアバターの姿になっていたからだ。
「これが…魔法少女…。」
「未知ッスね……」
二人の姉妹は魔法の端末を使い、
パーソナルデータを呼び出した。
玲の性格の欄には
「社交的でチャラい」と書かれてある。
悠の性格の欄には
「優しくて気がきく」と書かれてある。
「合ってるから余計怖いな」
「どこで見てたんスかね…」
玲は一つの項目で目が止まる。
「これ、私の魔法ッスか…?」
そこには……
「感情のコントロールが出来るよ」
それを見て玲は目を見開いた。