ノーゲームノーライフ ゲーマー兄妹と姉妹は魔法少女の世界に迷い込むそうです 作:スタンチッカ
楽しんでいただけたら幸いです。
悠と玲が住まう高層マンションの隣のバス停のすぐ裏にある
ビジネスビル第七ビル。
その屋上で少女が一人、考え事をしていた。
着物をモチーフとしていながら露出度は水着さながら、
高下駄に手裏剣型髪留めという装いは、服装というよりコスチュームという方が
適切で、現在のN市においてこの様な格好をする者は魔法少女しか居ない
「これ……本当?」
画面が切り替わった。魔法の端末のハート型に切り抜かれた画面から光が放たれ、その上につるっとした…タイルの様な質感を持つ球体が、湖畔を背景に浮遊していた。立体映像だ。
右半身が黒、左半身が白という落ち着かない配色の球体からは、一枚のみ片羽が生え、
その蝶のような羽を繰り返しはためかせ、羽が動くたびにキラキラとリンプンが散っている。
スマイルマークのように記号的な顔が描かれているが、
表情は固定されていて動かない。
声は子供のように甲高い。
名前はファブ。いわいるマスコットキャラクターだ。
「ガセかも知れないぽん。マジかも知れないぽん」
球体はその場で宙返りをきめ、あたりは多量のリンプンできらめいた。
少女は眩しそうに目をすがめた。
「カラミティ・メアリならそのくらいやってのけるぽん。あの娘ってば無法者キャラ気取ってるからけっこうな無茶やらかすことがあるぽん」
「カラミティ・メアリ」は、N市城南地区を縄張りとする魔法少女である。
魔法少女は自分が守護するよう命じられた地域を「担当地域」「ホーム」等と称したが、彼女の場合は縄張りという呼び方が何よりもしっくりきた。
彼女の行状をいい表す良くない言葉は事欠かない。
マスコットキャラクターにまで無法者とこき下ろされていた。
「ということは本当……?」
「そんなのファブの口からいえるわけないぽん。他の魔法少女がなにしましたーなんてこと、いちいち報告してたらチクリ屋ぽん。チクリ屋は妖精の世界では嫌われるぽん。」
「じゃあこっちは……?」
画面を指で一撫ですると別ページに飛んだ。
「白い魔法少女」は、他の全魔法少女を合計したよりも、
目撃情報が多く、単独で特設コーナーが設けられている。
「目撃情報、多すぎると思うんだけど……」
「ああ、「スノーホワイト」のページね。彼女はいっちばん働いてるぽん。こんなのは氷山の一角ぽん。この倍も三倍も世の為人の為に活躍してるぽん。」
有機物である蝶の羽を持つ、無機物にしか見えない白黒の球体は、さらに
二回転錐揉みを加えて花の上に着地した。
「リップル、前もそのページ見てなかったぽん?」
「そう……?」
「ライバル意識とかあったりするぽん?」
「べつに…よくこれだけ働けるなって思っただけ」
「ライバル意識は推奨ぽん。みんなで競い合うことは素晴らしいことぽん」
「ふぅん……」
少女…リップルは魔法の端末から目を離し、遊ばせていた足を揃え、
腰掛けていた屋上の縁から飛び降りた。
少女は二十メートルの落下を経て、音もなく着地した。
「なんで急に飛び降りるぽん?」
「鬱陶しいのが来たから目につかない場所に行こうと思っただけ…」
「鬱陶しいぽん?」
リップルは迫り来る魔法少女…トップスピードが来ているのを確認し、
もう、三ヶ月も会っていない従姉妹の
♢♢♢
「あー…、そろそろ昼ごはんの時間ッスね〜」
「そうだな。」
「あ、細波さん、元気にしてるッスかねぇ〜」
「どうだろうな…学校に行く必要があると思われるぞ」
「ですよねぇ…学校…うーん…」
「お食事の用意が出来ましたよ。悠お嬢様。玲お嬢様。」
「仕事早いッスね!セーブ確認よーし。ドロップアイテム確認よーし」
「お!オムライスか…美味しそうだな。」
この姉妹は魔法少女なぞどこ吹く風。
今日も呑気に食事をし、ゲームに勤しむのであった。
投稿遅れて申し訳ないです。
これからもよろしくお願いします!