ノーゲームノーライフ ゲーマー兄妹と姉妹は魔法少女の世界に迷い込むそうです 作:スタンチッカ
いえ、これが言い訳だって分かってますっ!はいっ!
黙って書きます!
すいませんでしたぁぁああああ!
勝手にハードル上げてただけですぅ!
すいませんでしたぁああああ!
一手、ニ手と積み重ねて行く兄の対戦を、興味なさそうに。
いや、眠そうに。船を漕ぐように、かくん、かくんと眺めている白。
がー 五手、十手と重ねたところで。
五分の四閉じられていた白の目が開かれ、画面を凝視していた。
「……え? あれ、こいつ」
と、空が違和感を覚えると同時、白が立ち上がり、言う。
「……にぃ、交代………」
一切の反論なく、素直に椅子を明け渡す兄。
それは妹が兄の手に負えないと判断したということ。
つまり、
世界最高峰のチェスプレイヤーが相手にするに足ると判断したということ。
入れ替わった妹が手番を重ねて行く。
ーチェスは『二人零和有限確定完全情報ゲーム』である。
『運』という、偶然が差し挟む余地のないこのゲームにおいて。
理論上、必勝法は明確に存在はしているが、
それはあくまで理論の話。
十の百二十乗という膨大な局面を把握出来た場合の話である。
つまり、事実上はないに等しい。
ーが、それを「ある」と断言するのが白。
つまり、十の百二十乗の盤面を読めばいいだけの話と断言し。
事実、世界最高のチェスプログラムに対し二十連勝した。
チェスは最善手を打ち続ければ先手が勝ち、後手は引き分けることしか出来ない。
理論上はそうなっている。
そのチェスにおいて、一秒に二億局面を見通すプログラム相手に。
先手後手入れ替えて二十連勝し、プログラムの不完全性を証明した、その妹が。
「……うそ」
驚愕に目を開く。
ーだが、一方兄はその打ち方に違和感を覚えていた。
「落ち着け、これ、相手は人間だ」
「ーえ?」
「プログラムは、常に最善手を打つ。集中力も切らさないが、既存の戦術通りの動きしかしない。だからこそ、お前は勝てる。がーこいつは」
画面を指差して兄。
「あえて悪手をとって誘ってる。それを相手プログラムのミスと判断したお前のミスだ。」
「………うぅ」
兄の言葉に、しかし妹は反論しない。
確かにチェスの技量において、いや、ほとんどのゲームにおいて。
まさしくー天才ゲーマー。
だがこと駆け引き、読み合い、揺さぶりあいなど「相手の感情」という
不確定要素を見抜く事にかけてはー兄は常人離れして上手かった。
故にこそ『空白』ー二人だからこそのー無敗。
「いいから落ち着け、相手がプログラムじゃないなら、なおのこそお前が負ける要素はない。相手の挑発にのるな。相手のひっかけや戦術は俺が指摘するから、冷静になれ」
「……りょーかい……がんば、る」
コレが。
数多のゲームで世界ランキングのトップを独走するゲーマーのからくりだった。
ー…………
待ち時間制ではないその勝負は、六時間以上に及んだ。
徹夜五日目ということを、脳から出るアドレナリンやドーパミンが忘れさせ、
疲労をも吹き飛ばし、二人の集中力を極限まで引き上げていく。
六時間ーだが、実際には数日にも感じられたその対局に。
そして、決着の瞬間が訪れる。
スピーカーから響く、無感動な音。
『チェックメイト』
兄妹のー勝ちだった。
ふいー、そこそこ原作と表現が違っています。
分かるかな……?
誤字訂正しました。