【続】艦これ?ありませんよ   作:apride

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駐禁

昼下がりの商店街

鹿児島県庁にて県知事への着任報告を終えた俺は自家用車を運転して帰路についていた。公務なのに自家用車を持ち出した理由…ついに買ったのだ! 憧れていた赤い彗星・・じゃなく赤いスポーツカー! 鹿児島県知事の島津氏は名前から連想する通り薩摩島津家の末裔にあたる所謂ところの『殿様』の血筋である。この殿様、無類の車好きであることから俺の愛車お披露目を兼ねて訪問したのだった。

肝心の愛車であるが…当初予定していたポルシェは莫大な臨時出費(ハルナに買わされた指輪とバッグ)により頓挫。比較的安価に購入出来る国産車となったが、そこは親父の遺産と海軍大佐の俸給もあり…乙産自動車の最新モデルでミッドシップスーパーカーの【乙産MAD4】を手に入れたのだ! フフフ‥怖いか?

※【乙産MAD4諸元】

全長4250mm×全幅1870mm×全高1200mm

車両重量 1470kg

エンジン 3200cc V型6気筒DOHC+TURBO 最高出力350ps/6800rpm 最大トルク40.0kgm/3400rpm

駆動形式 AWD

 

ちなみに最高速は公称250km/hとのことだが、メーターは300km/hまである。赤い車体とリトラクタブルライトをノーズに備えるスタイルからフェラーリに見えなくもない…早く真夜中のハイウェイをブっ放す‥ブッ飛ばしたいものだ!

 

…とまあ、気分よく街中を流して止まった赤信号。ふと横の画廊ショーウインドウに飾られた絵画に目を奪われてしまった。描かれた女性に見覚えがある…

 

 

「ご主人! 表の絵について窺いたい! 」

「ほう、お気に召しましたか? 」

「モデルの女性は何処の誰です? 」

間近で見て確信を得たのだ…

描かれた女性は彼女にそっくり瓜二つなのだ。絵だからこそわかる特徴は…空母の艦娘

 

「困りましたな…モデルさんの素姓を申し上げるのはご容赦ください。というより、私も知らないのです。作者はうちの息子でしてね」

主人が言うことも当然だ。いきなり来店した客に個人情報を与える道理がない。

 

「‥では、彼女は存在するのだな? 実在して絵のモデルになっているんだな? 」

「実在…? ええ、地元の娘さんだそうです」

 

主人の話では去年の正月に美大生の息子が武道館で偶然見掛けた女性にモデルを頼み込んで描いた作品だそうだ。肝心の息子は東京の大学に通っているため不在であり、彼女がどういう経緯でモデルになったかは直接聞きようがない。あまり執拗に尋ねるのも不味いと考え、俺の名刺と連絡先を渡して帰ることにする。

 

「海軍大佐!? まだお若いのに‥大層な御出世ですな。息子には後程連絡をとっておきましょう…ご希望に沿えるかは確約できませんが? 」

「それで結構です。ですが…国難に関係する人物の可能性がありますことを申し上げる! 朗報を期待してますよ… 」

 

主人は俺の言った国難と言う言葉に真顔になった。軍のみならず国にとっての重要人物である可能性を示唆したことは効果的であたようだ。俺は帽子を被り店を後にしたのだった……

 

 

 

 

 

 

画廊の入口は通りから入った路地にある。路地を抜けると大通りに出て先程愛車を停めた場所になるのだが…

慌ててたのでついやってしまったのだ…路駐。

逸る気持ちを抑えるように左右を確認して大通りへ足早に抜ける。

右オッケー! 左オッパーイ! ‥!?

 

「あっ!! 」

 

 

思わず声を上げて驚いた俺の目の前ではパトカーが停まっていた。そして我が愛車の傍らにはオッパ‥婦警さんが棒の先に着けた白チョークで道路に印を書いている。

 

「すみません! すぐどかします! 」

 

駆けつけた俺に振り向いた婦警は毅然とした態度でキッと睨み静かにいい放つ。

 

「もう遅いわ。車両はレッカー移動を手配しました」

 

取りつく島もない様子である…

 

「そこをなんとか… イヤ‥申し訳ない」

俺は言いかけた言葉を飲み込み素直に従うことにした。周りの市民の皆様の視線に気づいたのと、今自分の身なりが軍服姿なのは流石に不味いと判断したからだ。

 

「…軍人のわりには聞き分けの良い方で助かります。あっ! 」

ポーカーフェイスの婦警さんは言葉の最後に何故か軽い叫びをあげた? 見ると猛スピードで横を走り抜けた大型トラックが起こした一陣の風が制帽を飛ばしていた…!!

 

 

「あっ! お前はっ! おぁっ! ‥ぐふっ? 」

 

深めに被っていた帽子の下から現れた顔を見た俺は彼女の肩を掴み息がかかるくらいに急速接近していた! が、その直後に視界が回転しながら身体は宙を舞った。

 

「いきなり何をするのです! 」

 

彼女は掴みかかった俺の手を取ると一瞬にして一本背負いを極めていた。華麗に投げられ地面に組伏せられてしまった… 柔よく剛を制すると言うやつですな?

 

「取り乱してすまない。…君を探していたのだ」

組伏せられたままの姿勢で真っ直ぐに彼女を見つめて吐く台詞は我ながら滑稽である。ちょっと恥ずかしい‥ポッ

「この場で…口説いてるのですか? 」

表情は崩さないが動揺が見てとれるな? 彼女も顔が赤い…

「加賀先輩! 大丈夫ですか? 今のトラック危なかったですね!  」

傍にいた婦警が彼女を呼ぶ名前を聞いて俺の推測が正しいと確証を得た!

 

「やはりそうか! 見つけたぞ! 空母加賀!! 」

《 ガチャ 》

「公務執行妨害と強制猥褻の現行犯で逮捕します」

 

彼女『加賀』は眉ひとつ動かさず手錠を填めると抑揚の無い声で逮捕を告げた。

 

「逮捕しちゃうんですかー!? もしかして怒ってます‥先輩? 」

 

「‥頭にきました」

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

―――――――

 

 

 

――――

 

 

【鹿児島市内の某警察署】

 

ミニパトの狭い後席に乗せられ連行されたのは、郊外に在る所轄の警察署だ。元居た世界では軽自動車のパトカーを見掛けなくなったのと、最近はミニバン型が多いことから狭い車内はむしろ新鮮な景色‥なにより前席に座る見目麗しい婦警二人と密室空間を堪能するのも悪くないものだ。いい匂いがするし…

二人の婦警に促され、名残惜し気に狭苦しい軽自動車(しかも2ドア車)の後席から身を屈めながら外に出る。正面玄関口の方から署長らしき中年男性が険しい顔でやって来るのが見える。婦警さんへの猥褻行為に御立腹なのだろう… 誤解を解かねば面倒な事態になりかねん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

署内の小ぢんまりした署長室に案内され、応接セットのソファに腰掛けている。どうやら署長が怒り心頭になっていたのは加賀という婦警だったようだ。俺と向き合い座る署長の横では加賀が不機嫌そうな顔で立っている。

 

「この度はうちの署員が大変失礼… 」

「私は間違ったことはしておりません」

署長が申し訳なさそうに話す横から加賀は横目に睨みながら口を挟む。

「こらっ! そういうのを失礼と言うのだ! すみません大佐、この通り融通の利かない者でして… 」

「いえ、彼女に落ち度はありません。私の交通違反は明らかですし、その後の行為も行き過ぎでありました。謝罪するのは私の方です」

そう言って二人に頭を下げた。

 

「大佐がそう仰るなら…。ま、ですが公衆の面前で基地司令官殿に恥をかかせたことは行き過ぎた対応です。そうだろ? 」

署長は市民が見ている前で軍高官である俺を組伏せ、剰え手錠を掛けたのはやり過ぎだと加賀に諭し謝罪を促した。

 

「貴方の立場を考えず少々手荒でした。…謝罪します」

相変わらずの堅い表情で加賀はペコリと頭を下げた。…やはり間違いは無さそうな感触である。俺のイメージ通りの一航戦の空母加賀であるな。ここで妖精を思い出す! 何故に奴等は顔を見せていないのだ? いつもは呼びもしないのに勝手にしゃしゃり出てくるお調子者が?

 

「ところで、加賀さんにこいつらを見て貰いたいのだが? おい、出てこい! ご挨拶しな! 」

呼ぶと眠たそうに目を擦りながら、はたまた欠伸をしながら妖精達が俺の肩に現れた。毎度の事だが、今回の艦娘がそのクールな表情をどう崩壊させ驚くか内心ほくそ笑んで期待した… ククク、さあ驚け!

 

 

「……あなたは誰と話を? 」

 

真横に向かって話す俺を見る二人は唖然とした顔になっている。署長が同席している前で不味いと後悔したが、加賀の態度は予想外であるぞ?

 

「え? お前…こいつら見て驚かないのか? 」

 

「そこに何か居ると? …あなた頭大丈夫? 」

 

「…妖精見えない? 見えてない? 」

 

「…妖精? …あなたは警察より病院がお似合いのようね? 署長、救急車を手配します」

「あぁ‥そうし!? ウホン、加賀くん…失礼だぞ」

 

「ま、待て! …病院は困る! 」

 

 

なんという事だ!

確信を以て妖精を召還したというのに、まさか艦娘じゃ無いのか? 肝心の妖精達に問い掛けても判別出来ないと答えた。二人は明らかに俺を危ない人物と認識したようだ…頭に電波がキテる人に思ったのだろう。

このままでは再び病院送りになりかねん空気である!

 

「と、とりあえず鹿屋基地に連絡を…」

 

 

───────────────────

 

 

 

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─────────

 

 

 

「世話焼かせないで下さいよ提督! 」

「…すまんハルナ」

 

警察から基地に連絡が行き、身元引き受けにハルナが血相を変えて迎えに来てくれた。面目無い…

 

「警察から電話で司令官を迎えに来てほしいだなんて言われて驚いたわよ! てっきり、あんな派手な車に乗って事故でも起こしたのかと… いったい何をしたんですか? そもそも基地司令官が一人で外出するのがいけません! 護衛を伴う決まりでしょ? 」

 

迎えにやって来たハルナの一連の言動はまるで腑甲斐無い亭主を健気に支える女房のようである。彼女が言うとおり、提督は外出時には護衛の従兵か艦娘を伴う決まりがある。先日の前提督の自殺も不審な点があるが、実のところはそれ以前にも事故死や失踪した提督がいるそうだ。そして決まって妖精も姿を消してしまっている点が共通しているのだ。偶然にしては母数自体が僅少な提督資質を持つ人物に対する確率が高すぎではないだろうか?

 

「実はな…県庁からの帰り道で艦娘らしき女性を見つけてな」

「えっ! また戦艦発見したの!? あなたの妖精さんて艦娘探知機みたいね? 」

戦艦じゃないけど…

探知機って…見つけたの俺だし、いや‥間違ったけどさ。

 

「残念ながら‥勘違いだった。あの顔と性格は正規空母の加賀に間違いないと確信したのだがな」

画廊で見た肖像画の女性は道着姿ということもあり、ゲーム画面で見知った彼女にそっくりだった。そしてあのクールビューティな佇まい…まさしく加賀だ! と、思ったんだけどな……

 

「変ね? よろしいですか大佐殿‥未発見の艦娘の顔と性格をどうして貴方が知っているの? 」

 

ハルナの俺に問い掛けてくる顔はこれ迄に無い真剣なものだ。あまりの落胆に失言してしまったことを激しく悔やむがもう遅い。

 

「それは… …」

 

「話せないのね… 時々おかしな言動が気になってたけど、まさか…あなた…人間じゃないの? 」

 

人間じゃないって…

艦娘に妖精…更には深海棲艦って存在が居るからだな、そのような考えに行き着くのも仕方がないのかもな?

「はは… 流石に人間ではあるが、今は話せない。すまん… 」

 

 

 

勤務を終えて更衣室で着替えをしている加賀。表情には現れていないが、少し落ち込んでいる様子である。

 

「加賀さん、お疲れ様。元気なさそうだけど? 」

 

「ええ、またやってしまいました… 」

 

加賀は表情には出さないが、少し沈んだ口調から落ち込んだ様子で先程の経緯を語った。

 

「そう、加賀さんは正義感が強いから…。でも、不思議な御方ですね? …空母加賀」

 

「…どうかしたの? …赤木さん? 」

 

 

 

*********

 

 

 

翌日

 

あの後、特務艦隊編成を行った。旗艦となった榛名は僚艦達と慣熟訓練に忙しい。俺はというと…どうしても納得いかない気持ちを抑えることが出来ずに私服姿で彼女を遠巻きに見つめている。勿論、行き先と目的は副官に伝えた。半ば呆れ顔だったな…

勤務を終えて出てきた彼女はヘルメットを手に駐輪場へ歩いて行く。

…バイク通勤か。尾行し難いな…! 

 

「ふぅん、ガンマかぁ‥良い趣味してるわね彼女」

 

「えっ!? ‥!! と、藤堂さん!? 」

 

突然の声に振り返ると、そこには舞鶴鎮守府の藤堂提督が腕組みして立っているではないか…!? 何故‥此処に??

 

「しぃ‥! 気付かれるわよ! 私ね明日付で佐世保に異動になったのよ。そこで寄り道して貴男に挨拶に来たんだけど警察署に張り込みって聞いてね? で、なんでストーカーやってんのよ? 」

 

ちょっと寄り道って…こっから佐世保までどんだけ離れてると! ここ鹿児島っすよ?

 

「あ、いや‥実は‥彼女は艦娘かもしれない… 」

 

そこまで言いかけたときには加賀はバイクに跨がり走りだす。

 

「乗って! モノポストじゃないから‥一応座れるわよ」

 

モノポスト? 一応座れる‥程度らしい。後ろに乗るよう促されるまま藤堂さんを後ろから見下ろす体勢で跨がる…うぁ、なんかスゲェイヤラシイ体勢なんですが?

 

 

青と白のレーシングバイクを追うべく藤堂提督の赤いイタリアンスーパーバイクの後ろに跨がり乗る。…手のやり場に困る…! いや、それもだが…尻の下がやけに熱い。乗る時見たが、申し訳程度に貼られたクッションの下にはマフラーがあったような? バイクは熱いと聞いていたが、それもその筈である。エンジンやマフラーの上に跨がる乗り物など戦闘機と同じではないか! 快適性など完全無視する戦闘マシンのようなバイクだ!

熱い!痛い! 俺の下半身が死ぬ!

 

 

そう悶絶する俺を後ろに乗せたバイクは交差点を左折…すると途端に急加速した! 上半身が後ろへ倒れ…

堪らず藤堂提督の腰にしがみつくつもりが後方への加速に煽られて仰け反った俺の両手は必死に鷲掴んでいた…! 藤堂さんの乳房を…だっ!! 

 

ー や‥柔らけぇ。。ー

 

彼女の身体が一瞬『ビクッ』と硬直した‥ヤベェ!

 

~~~

 

SUZUNO RC-Γ GP500マシンのレプリカ‥確か2スト400ccね? 警官だけに公道では安全運転…か。

 

交差点を左折…するとポウッと白い排気とともに急加速に移る…!

 

「くっ! 気づかれた」

 

左脚爪先がギアダウンし、スロットルを全開にする!

此方も離されまいとフル加速するが…

 

「速い…! まさか500? ヒッ!? こ、こら! ずり下が‥」

 

加速したところ後ろに乗せた瓜生が振り落されまいとしがみつく両手が乳房を鷲摑んでいた!

 

ー ば…バレる! ー

 

渚は乳を鷲摑みされた羞恥心を上回る事態を恐れ狼狽した。

 

 

~~~~

 

 

「ムギュ! 」

 

突然急停止して顔面が藤堂さんの背中にめり込む。

 

「私に何か用? 」

 

俺達のすぐ前にバイクを降りてヘルメットを外した加賀が険しい目つきで睨んでいた。拷問器具同然のバイクから飛び降り駆け寄って俺は加賀に頭を下げた!

 

「加賀さん! 昨日は失礼した」

 

「あなた‥海軍の…まだ私を空母だと? 」

 

 

「加賀‥空母…なるほど。彼女、正規空母の艦娘なのね? 」

横にやってきた藤堂さんがしたり顔で加賀を見つめ頷く…何故か両手はシャツの中に入れてモゾモゾ? 何をしてるのだろう?

 

「…貴女は? カンムスとは? 」

 

「あ‥いやぁ、とりあえず話をさせてもらえないかな? お茶でも飲みながらさ… 」

 

と、なるべく穏便に話を進めるべくお茶に誘ってみるのだった。

 

「あら? どうしたの加賀さん? その方達はお友達かしら? それに‥? 」

 

声に振り返ると…そこにはマイセクレタリー赤城さんが柔らかな微笑を浮かべて歩み寄ってきていた! 何故このタイミングで!?

 

「赤木さん‥ 」

「赤城‥!! 」

「え? …何処かでお会いしました?? 」

思わず叫んでいた…初対面の男から呼び捨てされ驚く赤城と横では加賀がめっちゃ睨みつけていた。現れた赤城は警官の制服ではなかったが、どうやら加賀の同僚らしい。そしてこの場所は警察の独身寮だった。

 

 

 

「お二人とも海軍の提督さんですか。藤堂少将と瓜生大佐……見たところ随分とお若いのに御出世されているのですね…!? 」

 

お茶に誘った筈が何故か中国料理店で回転円卓を囲んでの夕食会の様相の中‥赤城と加賀は並べられた料理をパクつきながら俺の話を聞いている。

この二人相手では財布の中身が心許ないが、藤堂さんの財布をあてにしよう。

 

それにしても、二人とも良い食べっぷりだ。こういうところは原作に忠実なんだな…2人とも数年後に太ったりしないか心配だ。

 

 

「これからお話しすることは国家機密です。お二人とも決して口外しないで下さい」

 

口を開いたのは藤堂さんだった。

 

「藤堂さん!? 」

「察しはついているわ。それに私も…既視感があるのよ。間違いない…二人は艦娘よ! 」

 

~~~~

 

藤堂の回想

 

あれは…入社早々に子会社へ出向となり最初に担当した仕事。

 

「藤堂クン、君にはこの企画を担当してもらう」

課長はそう言うと企画書と1枚のポスターを机に置いた。何やらアニメの美少女キャラクターが商品を手にして各々決めポーズ……え? この制服って!

驚き見上げる視線に課長はニヤリと笑う。

 

「察しの通り、次回のコラボ企画は競合他社から奪い取るんだ! 前回のエヴァはセボンにしてやられたが… 」

 

コンビニ業界に限らず最近は芸能人やアニメとのコラボ企画が流行っているが、集客力の見込めるキャラクターというのは粗方固定化してきている。そのために他業界で実績のあるものだけでなく同業他社から引き抜くといった荒技も珍しくない。

今回私に下されたのは同業のコンビニチェーン『LOBSUN』のドル箱コラボアニメ

 

ー 艦隊これくしょん ー

 

 

ポスターには数人の『艦娘』と呼ばれる美少女がコンビニ店員の姿でおにぎりやサンドイッチを手にして微笑む…ご丁寧にキャラクター名が書かれている。空母赤城 空母加賀 重巡洋艦妙高 重巡洋艦那智 重巡洋艦足柄 重巡洋艦羽黒 

 

残念ながら争奪企画は失敗に終わるのだが、この企画に携わった私は少なからずキャラクターである彼女たちを記憶に留めていた。何故か提督の中で建造成功率が高く、さらには重巡洋艦の建造に関しては全て私が成功した理由が今更だが納得したのだ。

私は彼女たちの名前と姿を知っていた。

 

 

~~~~~~~

 

 

「貴女方二人は艦娘よ。まだ自覚はないのでしょうけどね? 前例があるもの…ね? 瓜生大佐」

 

「は? 前例‥まさか? 」

 

「榛名、それから伊勢と日向の3人の戦艦の話は永倉長官から聞いた。彼女たちは一般人として暮らしてきてある日を境に艦娘として目覚めた…と。勿論‥出来るわよね? ‥やりなさい」

 

佐世保鎮守府へ異動発令と同時に海軍の最重要機密事項を藤堂提督は知ったのだ。そしてこの場で俺に榛名達にやったように赤城と加賀を目覚めさせよと言っている。その目は有無を言わせない様子だ。

 

「…なあ? どうよ? 」

些か動揺した俺は頭の上に寝そべている妖精にお伺いを立ててみる。…警察署で加賀に無反応だったしなあ?

 

スクッと立ち上がったソレは何やら手をかざして放った…!

 

「えっ? 」

赤城の視線が俺の頭へ注がれた‥!? 見えてる!

 

 

瓜生と藤堂は眩い光に一瞬目を細める。次の瞬間…瓜生の顔には回鍋肉が、藤堂の頭には水餃子が落ちてきた。

 

二人の正面に甲板と弓を装備した艤装を展開した空母赤城が呆然とレンゲを片手に座っていた。

 

「あ‥あっ、赤木さん!! 」

横に座っていた加賀が慌てて自分の上着を彼女に羽織らせながら此方をキッと睨みつけた…! 

空母赤城は艤装展開で着衣を全て吹き飛ばして素っ裸だったが、本人はレンゲの中にあった筈の水餃子が無いことにショックを受けて呆然となっていたのだった。お陰で豊かな双丘の全体像が瓜生の双眼に焼き付いた!

 

 

ー赤城のB地区が瓜生のアルバムに追加されましたー

 

 

「えっ? エエェっ!? なんで裸になってんのよ!! 」

藤堂さんは顔を真っ赤にして俺の胸倉を掴んでガクガク揺さぶる……このことまでは聞いてなかったようだ。

 

また剝いてしまった…

やれって言ったの藤堂さんだからな!

 

 

 

 

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